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夏休み明け最初の『千玲』・“ソフィー”
第242話 ポンコツお嬢様誕生?
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俺・紬さん・朱里さんの3人は、“ソフィー”の占い部屋に入る。ここなら聞き耳を立てない限り、会話を聞かれる事はない…はず。
「朱ちゃん、そろそろ教えて~。みなちゃんとひめちゃんに優しくする理由」
初対面の人に優しくする事はおかしくないが、この部屋で寝泊まりさせるのは流石に気になる。
「別に大した理由じゃないよ。アタシの勘と姉さんの占いの結果を聞いて、そうしたほうが良いと思っただけ」
「朱ちゃんの勘?」
「そう。この店に来てから、“くらくら”は“みなみな”にバレないように何度もチラチラ見てたんだよ。気付いてた?」
「全然。まーちゃんは?」
「俺も気付かなかった」
何事も詩織さん達が最優先なので、2人に意識を向ける事はあまりない。他の場面でもそうしてたかもな。
「そっか。くらくらの片思い? って思ったら、つむぎんが占いの結果を話したじゃん? それを聞いて『この2人は良い関係になれる』と確信したの」
南谷さんは“男運が悪い”という結果で、倉敷さんは“チャンスを逃さないように、今の内から行動を!”だったな。うまく噛み合えば何とかなる…かも。
「だから姉さんに相談したんだよ。みなみなとくらくらはどう見ても良い子そうだから、難なくOKしてくれたって訳」
「なるほどね~。じゃあチェーン展開の話って嘘なの?」
「ううん、前々から考えてた。でも面白半分というか、ほぼ無理だと思ってたんだよね~。そんな時に相性良さそうな2人が来たら誘いたくならない?」
「確かに! 満里奈と沙織ママがいない時は、その店に通いまくるかも」
紬さんらしい答えだが、俺は悩むところだ。通う回数によっては浮気扱いされかねない。
「他に聞きたい事がないから、みんなのところに戻ろっか」
「ウチは思い付かないな~。まーちゃんはどう?」
「――俺も特にないですね」
「わかった。思い付いたらその時に聞いて」
さて、みんながいるところに戻ろう!
店内に戻ると南谷さん・倉敷さんはキッチンに立っていて、2人のそばに月夜さんがいる。――さっきまでみんなテーブル席にいたが、今は何故かカウンター席にいるので空いてるところに座る事にした。朱里さんはキッチンに向かう。
「朱里。南谷さんと倉敷さん、今からお試しで料理の勉強をする事になったわ」
詩織さん達がカウンター席にいるのは、その成り行きを見守るためか。
「今から? やる気満々だね~」
南谷さんと少しでも長く一緒に過ごすため、倉敷さんはできる事を何でもやるようだ。その行動力は見習ったほうが良いかも。
「今ある在庫と初心者である事を考慮して、卵料理にしようと思うの。朱里はどう思う?」
「良いんじゃない? くらくらが卵を割って、みなみなが作る感じ?」
「それが無難かも。2人同時にできるからね」
「わたくし、卵を割った事ないので緊張しますわ…」
「そんなに緊張しなくて良いよ。こんな風にやれば良いから」
朱里さんは卵1個を手に取り、ボウルに軽く当ててヒビを入れる。それから慣れた手付きで開く。
「凄いですわ」
「これぐらい大した事ないって。次はくらくらね」
倉敷さんは深呼吸を1回してから、卵を手に取る。
「…えい!」
朱里さんと同じようにボウルに数回当てたものの…。
「――ヒビがほんの少ししか入りませんわ」
「力が弱すぎるね。もうちょっと強めにやってみて」
「わかりました。……これなら!」
「くらくら、今度は強すぎだって!」
黄身と白身が近くに飛び散る。初めての卵割りは失敗だ…。
「申し訳ございません!」
倉敷さんが謝ってる間に、月夜さんが布巾でキレイに拭き取る。フォローが早いな。
「良いの良いの。でも、力加減は何となくわかったんじゃない?」
「ええ…」
「姫華ちゃん、次はちゃんとできるよ!」
「凛さん…」
この2人、良いコンビになる気がする。朱里さんの勘は冴えてるな。
「もう1度お願いして良いでしょうか?」
「もちろん」
「さっきのお手本をよく思い出して…」
倉敷さんはそう独り言を言ってから卵を手に取り、ボウルに当てる。
「良い感じのヒビが入ったね。後はうまく開くだけだよ」
「えーと、確かこんな風でしたわよね?」
――卵は問題なくボウルの中に入る。今度はうまくいったか。
「凛さん、うまくできましたわ!」
倉敷さんは喜びのあまり、南谷さんに抱き着く。
「そうだね。おめでとう姫華ちゃん」
この調子で頑張ってくれ、倉敷さん!
「くらくら。テストとして、もう1個割ってくれる? それを問題なくできたら合格って事で」
「わかりましたわ」
――彼女はコツを掴んだのか、問題なく割る事ができた。ここでまた失敗したら、ポンコツキャラになったかもしれない…。
「これでボウルに3個の卵があるから、今度はそれを使って卵焼きとかどう? 姉さん?」
「私もそう思ってたところ」
「アタシ達双子だから、考える事が一緒だね♡」
「はいはい」
照れくさそうに笑う月夜さん。
「今度はアタシの番だ。頑張らないと!」
「凛さん、よろしければ応援しますわよ?」
「別に良いよ」
「そうですか…」
料理中は静かなほうが良いよな…。
「朱里。今度は私が教えるから交代ね」
「了解」
予想に反して見応えがあるので、俺達はこのまま見守る事にした。
「朱ちゃん、そろそろ教えて~。みなちゃんとひめちゃんに優しくする理由」
初対面の人に優しくする事はおかしくないが、この部屋で寝泊まりさせるのは流石に気になる。
「別に大した理由じゃないよ。アタシの勘と姉さんの占いの結果を聞いて、そうしたほうが良いと思っただけ」
「朱ちゃんの勘?」
「そう。この店に来てから、“くらくら”は“みなみな”にバレないように何度もチラチラ見てたんだよ。気付いてた?」
「全然。まーちゃんは?」
「俺も気付かなかった」
何事も詩織さん達が最優先なので、2人に意識を向ける事はあまりない。他の場面でもそうしてたかもな。
「そっか。くらくらの片思い? って思ったら、つむぎんが占いの結果を話したじゃん? それを聞いて『この2人は良い関係になれる』と確信したの」
南谷さんは“男運が悪い”という結果で、倉敷さんは“チャンスを逃さないように、今の内から行動を!”だったな。うまく噛み合えば何とかなる…かも。
「だから姉さんに相談したんだよ。みなみなとくらくらはどう見ても良い子そうだから、難なくOKしてくれたって訳」
「なるほどね~。じゃあチェーン展開の話って嘘なの?」
「ううん、前々から考えてた。でも面白半分というか、ほぼ無理だと思ってたんだよね~。そんな時に相性良さそうな2人が来たら誘いたくならない?」
「確かに! 満里奈と沙織ママがいない時は、その店に通いまくるかも」
紬さんらしい答えだが、俺は悩むところだ。通う回数によっては浮気扱いされかねない。
「他に聞きたい事がないから、みんなのところに戻ろっか」
「ウチは思い付かないな~。まーちゃんはどう?」
「――俺も特にないですね」
「わかった。思い付いたらその時に聞いて」
さて、みんながいるところに戻ろう!
店内に戻ると南谷さん・倉敷さんはキッチンに立っていて、2人のそばに月夜さんがいる。――さっきまでみんなテーブル席にいたが、今は何故かカウンター席にいるので空いてるところに座る事にした。朱里さんはキッチンに向かう。
「朱里。南谷さんと倉敷さん、今からお試しで料理の勉強をする事になったわ」
詩織さん達がカウンター席にいるのは、その成り行きを見守るためか。
「今から? やる気満々だね~」
南谷さんと少しでも長く一緒に過ごすため、倉敷さんはできる事を何でもやるようだ。その行動力は見習ったほうが良いかも。
「今ある在庫と初心者である事を考慮して、卵料理にしようと思うの。朱里はどう思う?」
「良いんじゃない? くらくらが卵を割って、みなみなが作る感じ?」
「それが無難かも。2人同時にできるからね」
「わたくし、卵を割った事ないので緊張しますわ…」
「そんなに緊張しなくて良いよ。こんな風にやれば良いから」
朱里さんは卵1個を手に取り、ボウルに軽く当ててヒビを入れる。それから慣れた手付きで開く。
「凄いですわ」
「これぐらい大した事ないって。次はくらくらね」
倉敷さんは深呼吸を1回してから、卵を手に取る。
「…えい!」
朱里さんと同じようにボウルに数回当てたものの…。
「――ヒビがほんの少ししか入りませんわ」
「力が弱すぎるね。もうちょっと強めにやってみて」
「わかりました。……これなら!」
「くらくら、今度は強すぎだって!」
黄身と白身が近くに飛び散る。初めての卵割りは失敗だ…。
「申し訳ございません!」
倉敷さんが謝ってる間に、月夜さんが布巾でキレイに拭き取る。フォローが早いな。
「良いの良いの。でも、力加減は何となくわかったんじゃない?」
「ええ…」
「姫華ちゃん、次はちゃんとできるよ!」
「凛さん…」
この2人、良いコンビになる気がする。朱里さんの勘は冴えてるな。
「もう1度お願いして良いでしょうか?」
「もちろん」
「さっきのお手本をよく思い出して…」
倉敷さんはそう独り言を言ってから卵を手に取り、ボウルに当てる。
「良い感じのヒビが入ったね。後はうまく開くだけだよ」
「えーと、確かこんな風でしたわよね?」
――卵は問題なくボウルの中に入る。今度はうまくいったか。
「凛さん、うまくできましたわ!」
倉敷さんは喜びのあまり、南谷さんに抱き着く。
「そうだね。おめでとう姫華ちゃん」
この調子で頑張ってくれ、倉敷さん!
「くらくら。テストとして、もう1個割ってくれる? それを問題なくできたら合格って事で」
「わかりましたわ」
――彼女はコツを掴んだのか、問題なく割る事ができた。ここでまた失敗したら、ポンコツキャラになったかもしれない…。
「これでボウルに3個の卵があるから、今度はそれを使って卵焼きとかどう? 姉さん?」
「私もそう思ってたところ」
「アタシ達双子だから、考える事が一緒だね♡」
「はいはい」
照れくさそうに笑う月夜さん。
「今度はアタシの番だ。頑張らないと!」
「凛さん、よろしければ応援しますわよ?」
「別に良いよ」
「そうですか…」
料理中は静かなほうが良いよな…。
「朱里。今度は私が教えるから交代ね」
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