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第21話 初めての女装
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買い物が終わってショッピングモールを出た俺達は、沙織さんの家に到着した。お昼は彼女が何か作ってくれるみたいだが、何になるんだろう?
「お昼は、焼きそばとサラダにするわ」
リビングに着いてから彼女はそう言った。
「おばさんの焼きそば楽しみ~♪」
「ありがとう。できるまで勉強しててちょうだい」
「えっ…」
一気に伊草さんの表情が曇る。気持ちはわかるぞ。
「お昼の後はイベントが盛りだくさんだから、今の内にしないと…ね?」
ポッキーゲームと俺の“プチ罰ゲーム”の事だな。
「…わかった。ウチ頑張る!」
「母さん。何か手伝おうか?」
「大丈夫よ、詩織もしっかり勉強してね。わたし達は連帯責任なんだから」
自分から切り出す以上、約束は守るみたいだな。
詩織さんに筆記用具や教科書・問題集を借りて、リビングで勉強する俺達。こうなる事がわかっていたら、事前に準備したんだが…。
「良い匂いがするね~♪」
伊草さんがつぶやく。
焼きそばのソースの匂いが、キッチンだけでなくリビングまで漂うようになってきた。
「紬、集中して」
「はいはい。もう少しだけ頑張ろ」
俺もラストスパートだ!
「みんなできたわよ~!」
キッチンから沙織さんの声が聞こえた。
「待ってました~!」
伊草さんは席を立ち、彼女の元に向かって行く。
「みんなも来て~! どれぐらい食べるか教えてちょうだい!」
確かにそれを言う必要はあるな。俺達はキッチンに向かう。
「…これぐらいで良い? 紬ちゃん?」
「うん、おばさんありがと~」
「どういたしまして」
焼きそばとサラダが乗ったトレイを持った伊草さんと道中すれ違う。
「いっぱい作ったから、遠慮なく食べてね♪」
お言葉に甘えて、たくさん頂こうかな。
俺達がさっき選んだ食材が早速使われているな。ゴーヤとネギは焼きそばに、キュウリ・アスパラ・ゴボウはサラダの具材になっている。
「おばさん、焼きそばおいしいよ~」
「ありがとう紬ちゃん」
「焼きそばにゴーヤって合うんですね。驚きました」
「満里奈ちゃんのお口に合って良かったわ」
俺も大満足だ。いっぱいもらって正解だった。
「瀬川くん、お菓子食べる余裕あるよね?」
余程満腹でない限り、〇ッキーを食べるぐらい余裕だろ。みんなと違って焼きそば大盛だから気になるのか?
「もちろん」
「なら良いや。どっちも楽しみだからさ~♪」
伊草さんはどっちもイケるから、誰が相手でも良いもんな。
「あたしは瀬川の女装のほうが楽しみかな。ポッキーゲームより予想できないから面白そうだもん♪」
「私もそうかな。せっくんの女の子姿を目に焼き付けないと♪」
「わたしはどちらも楽しみよ♪ こんなにワクワクするのはいつ以来かしら?」
みんなそれぞれ反応が違うな。流れ的に“プチ罰ゲーム”が先になりそうだ。どうせやるんだから、覚悟を決めよう。
全員昼食を食べ終え、沙織さんの食器洗いも完了したようだ。いよいよだな…。
「瀬川君、一緒にわたしの部屋に来て。着てもらう服を選んでもらうわ」
「わかりました…」
よく考えたら、沙織さんの部屋に入るのは今回が初めてだ。どんな部屋なんだろう?
「あたし達はリビングで待ってるからね~」
「焦らずにゆっくり準備して、せっくん」
「ウチは待ち切れな~い」
伊草さんは相変わらずだな。そんな事を思いながら、俺と沙織さんと一緒にリビングを出る。
詩織さんの部屋は2階にあるみたいだから彼女の部屋もそうなのか? なんて思ったが、リビングを出てすぐにある扉前で沙織さんは足を止める。
「ここよ。遠慮なく入ってちょうだい」
「はい。――お邪魔します」
沙織さんの部屋は散らかっておらず、キレイに整理整頓されている。――っと、ジロジロ見るのは失礼だな。程々にしよう。
「瀬川君に合いそうな服は…」
沙織さんはそう言って、タンスを開け始める。
「スカートかワンピースだったらどっちが良い?」
「…ワンピースでお願いします」
今思うと、どっちもヒラヒラしてるからあんまり変わらないかも…。ワンピースのほうが丈が長いイメージがあるから、それだけで選んだ。
「わかったわ。じゃあ、地味なデザインと派手なデザインだったら?」
「地味なデザインですね」
これは迷わない。
「わかったわ。じゃあ派手なデザインにするわね」
何で? 聞いた意味ないじゃん!
「一応罰ゲームだから。瀬川君の希望を叶えすぎると罰にならないでしょ?」
「まぁ、そうですね…」
「――これにしようかな」
沙織さんが見せたのは、黒地で花柄のワンピースだ。丈は膝下ぐらいまでありそうだが、やっぱり派手だな…。
「サイズは多分大丈夫だと思うし、普通に着れば問題ないわ」
「そうですか…」
「わたしは詩織達とリビングで待ってるから、着替え終わったら来てね」
「わかりました」
そう言って部屋を出ようとした沙織さんだったが、何故か急に戻ってきた。
「ワンピースだけだと物足りないから、これも付けてちょうだい」
……前髪にヘアピンを付けられた。目に届く長さじゃないから、付ける意味はないはずだが…。
「ヘアピンもオシャレに使えるのよ。――それじゃあ、また後でね」
今度こそ沙織さんは部屋を出て行った。さて、覚悟を決めて着替えよう!
何とかワンピースを着た俺は、部屋にある鏡で全身をチェックする。
…やはり違和感が半端ない。伊草さんに『似合わな~い』とか言われるのがオチだ。そう言われるのも罰ゲームみたいなものだから我慢しよう。
確認を済ませてから部屋を出て、そばのリビングに入る。……入って早々、詩織さん達にジロジロ見られているな。似合ってないのはわかってるよ…。
「ねぇ。瀬川の下の名前って何?」
「真だけど…」
何で今訊く?
「真、可愛い♡ そのヘアピンも良い感じじゃん♡」
「はっ?」
何言ってるんだ?
「私の予想以上だよ♡ せっくんの女の子姿♡」
返答に困る事言わないでくれ。
「ねぇねえ。下はどうなってるの? めくって良い?」
伊草さんが興味津々だ。彼女はいつも通りだな。
「ダメに決まってるだろ」
「わたしのセンスに狂いはなかったわね。瀬川君に合うと思ったのよ♪」
「そうですか…」
思ったより好感触だから悪い気はしないが、恥ずかしい事に変わりない。
「じゃあ、俺は着替えに戻ります」
「え~×4」
女性陣からブーイングが飛ぶ。今回は“プチ罰ゲーム”だし、そこまで付き合わなくて良いよな。さっさと戻るとしよう。
「あたし、ブーメランパンツじゃなくて女装に変えようかな~」
「ウチもそうしようかな~」
なんて不穏な会話をよそに、俺は沙織さんの部屋に入る。
着替え終わった俺は再度リビングに入る。
「お疲れ様、瀬川君。とても良かったわよ♪」
「ありがとうございます…」
「ねぇ瀬川。さっきは流れ的に名前で呼んだけど、これからもそう呼んで良い?」
流れあったか? 詩織さんが強引に作っただけだと思うが…。
「ああ、良いよ」
「じゃああたしは『真』で」
「私は『まこくん』にしようかな」
「ウチは『まーちゃん』にしよ。可愛いもん」
「わたしは『真君』にするわ」
「わかりました」
「私も名前で呼んで欲しいな。一方的なのは良くないから」
「ウチもそうして、まーちゃん」
「――わかった。『満里奈さん』と『紬さん』で良いか?」
「うん♪」
「次は“ポッキーゲーム”だよ、まーちゃん! すぐやろ!」
休憩入れてくれよ…。そう心の中で思う俺だった。
「お昼は、焼きそばとサラダにするわ」
リビングに着いてから彼女はそう言った。
「おばさんの焼きそば楽しみ~♪」
「ありがとう。できるまで勉強しててちょうだい」
「えっ…」
一気に伊草さんの表情が曇る。気持ちはわかるぞ。
「お昼の後はイベントが盛りだくさんだから、今の内にしないと…ね?」
ポッキーゲームと俺の“プチ罰ゲーム”の事だな。
「…わかった。ウチ頑張る!」
「母さん。何か手伝おうか?」
「大丈夫よ、詩織もしっかり勉強してね。わたし達は連帯責任なんだから」
自分から切り出す以上、約束は守るみたいだな。
詩織さんに筆記用具や教科書・問題集を借りて、リビングで勉強する俺達。こうなる事がわかっていたら、事前に準備したんだが…。
「良い匂いがするね~♪」
伊草さんがつぶやく。
焼きそばのソースの匂いが、キッチンだけでなくリビングまで漂うようになってきた。
「紬、集中して」
「はいはい。もう少しだけ頑張ろ」
俺もラストスパートだ!
「みんなできたわよ~!」
キッチンから沙織さんの声が聞こえた。
「待ってました~!」
伊草さんは席を立ち、彼女の元に向かって行く。
「みんなも来て~! どれぐらい食べるか教えてちょうだい!」
確かにそれを言う必要はあるな。俺達はキッチンに向かう。
「…これぐらいで良い? 紬ちゃん?」
「うん、おばさんありがと~」
「どういたしまして」
焼きそばとサラダが乗ったトレイを持った伊草さんと道中すれ違う。
「いっぱい作ったから、遠慮なく食べてね♪」
お言葉に甘えて、たくさん頂こうかな。
俺達がさっき選んだ食材が早速使われているな。ゴーヤとネギは焼きそばに、キュウリ・アスパラ・ゴボウはサラダの具材になっている。
「おばさん、焼きそばおいしいよ~」
「ありがとう紬ちゃん」
「焼きそばにゴーヤって合うんですね。驚きました」
「満里奈ちゃんのお口に合って良かったわ」
俺も大満足だ。いっぱいもらって正解だった。
「瀬川くん、お菓子食べる余裕あるよね?」
余程満腹でない限り、〇ッキーを食べるぐらい余裕だろ。みんなと違って焼きそば大盛だから気になるのか?
「もちろん」
「なら良いや。どっちも楽しみだからさ~♪」
伊草さんはどっちもイケるから、誰が相手でも良いもんな。
「あたしは瀬川の女装のほうが楽しみかな。ポッキーゲームより予想できないから面白そうだもん♪」
「私もそうかな。せっくんの女の子姿を目に焼き付けないと♪」
「わたしはどちらも楽しみよ♪ こんなにワクワクするのはいつ以来かしら?」
みんなそれぞれ反応が違うな。流れ的に“プチ罰ゲーム”が先になりそうだ。どうせやるんだから、覚悟を決めよう。
全員昼食を食べ終え、沙織さんの食器洗いも完了したようだ。いよいよだな…。
「瀬川君、一緒にわたしの部屋に来て。着てもらう服を選んでもらうわ」
「わかりました…」
よく考えたら、沙織さんの部屋に入るのは今回が初めてだ。どんな部屋なんだろう?
「あたし達はリビングで待ってるからね~」
「焦らずにゆっくり準備して、せっくん」
「ウチは待ち切れな~い」
伊草さんは相変わらずだな。そんな事を思いながら、俺と沙織さんと一緒にリビングを出る。
詩織さんの部屋は2階にあるみたいだから彼女の部屋もそうなのか? なんて思ったが、リビングを出てすぐにある扉前で沙織さんは足を止める。
「ここよ。遠慮なく入ってちょうだい」
「はい。――お邪魔します」
沙織さんの部屋は散らかっておらず、キレイに整理整頓されている。――っと、ジロジロ見るのは失礼だな。程々にしよう。
「瀬川君に合いそうな服は…」
沙織さんはそう言って、タンスを開け始める。
「スカートかワンピースだったらどっちが良い?」
「…ワンピースでお願いします」
今思うと、どっちもヒラヒラしてるからあんまり変わらないかも…。ワンピースのほうが丈が長いイメージがあるから、それだけで選んだ。
「わかったわ。じゃあ、地味なデザインと派手なデザインだったら?」
「地味なデザインですね」
これは迷わない。
「わかったわ。じゃあ派手なデザインにするわね」
何で? 聞いた意味ないじゃん!
「一応罰ゲームだから。瀬川君の希望を叶えすぎると罰にならないでしょ?」
「まぁ、そうですね…」
「――これにしようかな」
沙織さんが見せたのは、黒地で花柄のワンピースだ。丈は膝下ぐらいまでありそうだが、やっぱり派手だな…。
「サイズは多分大丈夫だと思うし、普通に着れば問題ないわ」
「そうですか…」
「わたしは詩織達とリビングで待ってるから、着替え終わったら来てね」
「わかりました」
そう言って部屋を出ようとした沙織さんだったが、何故か急に戻ってきた。
「ワンピースだけだと物足りないから、これも付けてちょうだい」
……前髪にヘアピンを付けられた。目に届く長さじゃないから、付ける意味はないはずだが…。
「ヘアピンもオシャレに使えるのよ。――それじゃあ、また後でね」
今度こそ沙織さんは部屋を出て行った。さて、覚悟を決めて着替えよう!
何とかワンピースを着た俺は、部屋にある鏡で全身をチェックする。
…やはり違和感が半端ない。伊草さんに『似合わな~い』とか言われるのがオチだ。そう言われるのも罰ゲームみたいなものだから我慢しよう。
確認を済ませてから部屋を出て、そばのリビングに入る。……入って早々、詩織さん達にジロジロ見られているな。似合ってないのはわかってるよ…。
「ねぇ。瀬川の下の名前って何?」
「真だけど…」
何で今訊く?
「真、可愛い♡ そのヘアピンも良い感じじゃん♡」
「はっ?」
何言ってるんだ?
「私の予想以上だよ♡ せっくんの女の子姿♡」
返答に困る事言わないでくれ。
「ねぇねえ。下はどうなってるの? めくって良い?」
伊草さんが興味津々だ。彼女はいつも通りだな。
「ダメに決まってるだろ」
「わたしのセンスに狂いはなかったわね。瀬川君に合うと思ったのよ♪」
「そうですか…」
思ったより好感触だから悪い気はしないが、恥ずかしい事に変わりない。
「じゃあ、俺は着替えに戻ります」
「え~×4」
女性陣からブーイングが飛ぶ。今回は“プチ罰ゲーム”だし、そこまで付き合わなくて良いよな。さっさと戻るとしよう。
「あたし、ブーメランパンツじゃなくて女装に変えようかな~」
「ウチもそうしようかな~」
なんて不穏な会話をよそに、俺は沙織さんの部屋に入る。
着替え終わった俺は再度リビングに入る。
「お疲れ様、瀬川君。とても良かったわよ♪」
「ありがとうございます…」
「ねぇ瀬川。さっきは流れ的に名前で呼んだけど、これからもそう呼んで良い?」
流れあったか? 詩織さんが強引に作っただけだと思うが…。
「ああ、良いよ」
「じゃああたしは『真』で」
「私は『まこくん』にしようかな」
「ウチは『まーちゃん』にしよ。可愛いもん」
「わたしは『真君』にするわ」
「わかりました」
「私も名前で呼んで欲しいな。一方的なのは良くないから」
「ウチもそうして、まーちゃん」
「――わかった。『満里奈さん』と『紬さん』で良いか?」
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