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『千玲』2日目
第91話 沙織さんの決断
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俺達は千夏さんに訊きたい事があるため、フリースペースに向かう。――さっきまであった食器は下げられていて、彼女と千春さんの姿もない。
「いないか~。今頃お姉さん達はどこかでHしてるかな?」
そもそも、千夏さんが探偵について知ってるのか? 銭湯と接点がないものの、“ソフィー”の件がある。可能性は0とはいえない。
「紬ちゃん、部屋でゆっくりしてからまた温泉に入りましょう」
「そうだね、沙織ママ」
フリースペースを出て受付の前を通ってる途中で、裏から千夏さんが出てきた。
「あれ? アンタ達ここにいたの? てっきり部屋か温泉でHしてると思ったのに」
「それはこっちのセリフだよ。お姉さんがHしてないなんてあり得ないって!」
「…アンタ結構失礼な事言うよね。アタシと母さんは気にしないけど、相手は選んだほうが良いよ」
彼女はそう言ってから満里奈さんを見る。別に保護者枠じゃないんだが…。
「ごめんごめん。それよりお姉さん、探偵の知り合いいる?」
「探偵?紬はよく訳が分からない事言うよね」
千夏さんの言い方はアレだが、共感できる部分もある…。
「…お姉さんも失礼じゃん」
「それはお互い様って事で。そんな事より理由教えて」
紬さんを除く全員で事情を話す。
「なるほど。愛山さんの旦那さんが浮気してるかもしれないのか…」
「そういえば、オバさんと旦那さんが離婚してるのは聞いたけど、何とかなったの?」
それを聞いたのは『千玲』の事を知ったあたりだったか。(54話参照)
「なったよ。言い争う事もなかったし『円満離婚』ってやつだと思う」
「離婚したのはいつ?」
「アタシと玲がここをオープンさせたあたり。父さんも単身赴任してたから、母さんはアタシ達のサポートをしてくれたのよ。それがなかったら絶対今みたいになってないね」
「じゃあ、お姉さんの旦那さんがオバさんにゴム使ったのはそれからなの?」
「ううん、高校の時から使ってた。ゴムとかピルがあったから、母さんはその時から玲とHしてたのよ」
千春さんもだが、玲さんも凄いな…。人は本当に見かけによらない。
「その割に離婚したの遅くない? 何で?」
「それは簡単、アタシ達が成人して落ち着くまで待つ流れになったから。もし高校の時に離婚してたら、母さんのパート収入だけになるからさ~。どう考えても現実的じゃないじゃん」
つまり千春さんは、千夏さん・玲さんの事を考えて離婚を遅らせたのか…。
「オバさんがそうしたなら、沙織ママもそれで良くない?」
「そんな簡単な話じゃないのよ…」
「一般的に考えれば、愛山さんの言う通り。母さんは世間体より自分の気持ちを優先させたって訳」
「……」
千夏さんの今の言葉を聴いて、沙織さんはどう思ったかな?
「それよりお姉さん、探偵は知ってるの?」
「ごめん知らない。縁がないからね」
「そっか。教えてくれてありがと~」
今の話は今後の参考になりそうだ。俺達は部屋に戻る事にした。
部屋に戻って早々、沙織さんが詩織さんに声をかける。
「お父さんの事、探偵さんに頼もうと思うんだけど良いかしら?」
「もちろん良いよ。あたしは何があっても母さんの味方だからね」
「ありがとう詩織。明日家に戻ったら、色々調べてみるわ」
「ねぇ沙織ママ。もし黒だったらどうするの?」
それは俺も気になっていたところだ。
「今のところ、千春さんみたいに先送りするつもりよ」
多分そうする理由も同じだと思う。お金の問題は大変だ…。
「探偵にお願いするのって、事務所とかに行くんだよね? ウチも行きたい!」
「紬、遊びじゃないのよ?」
「わかってるって! ここまで首を突っ込んで放っておけないよ!」
「当然あたしも一緒に行く。無関係じゃないし」
「じゃあ俺も」「私もぜひ…」
俺と満里奈さんの言うタイミングがほぼ被る。
「気持ちは嬉しいけど、さすがに5人で行くのは厳しいわね。そこには紬ちゃんと詩織の3人で行くわ」
沙織さんの言う事は正しいので、反論の余地はない。
「わかりました」
「紬、迷惑かけるんじゃないわよ?」
「あたしがうまくやるから安心して、満里奈ちゃん」
「紬をよろしくね、詩織」
それから俺達は温泉に入ったものの、みんなHする気分にならなかったようだ。沙織さんの件は大切だし影響力があるから当然かもしれないが…。
全員の体を手で洗ってから、早めに温泉を出る。
「ふわぁ~、今日は疲れたね~。早めに寝よっか」
紬さんがあくびをする。
喫茶店の“ソフィー”に初めて行き、初めて朱里さん・月夜さんに会ったんだ。初めて尽くしは予想以上に疲れるよな。
「あんたは昼寝したじゃない」
「あんなちょっとで全快する訳ないじゃん。ウチはもっと寝たいの!」
「やっぱり紬ちゃんは成長期ね。たくさん寝ると良いわ♪」
「そうする」
全員、布団に横になる。俺の隣には満里奈さんと紬さんがいて、ダブルの布団には沙織さんと詩織さんがいる流れだ。
「みんな、お休みなさい」
沙織さんが部屋の電気を消す。明日も色々ありそうだな…、そんな事を思いながら目を閉じる。
「いないか~。今頃お姉さん達はどこかでHしてるかな?」
そもそも、千夏さんが探偵について知ってるのか? 銭湯と接点がないものの、“ソフィー”の件がある。可能性は0とはいえない。
「紬ちゃん、部屋でゆっくりしてからまた温泉に入りましょう」
「そうだね、沙織ママ」
フリースペースを出て受付の前を通ってる途中で、裏から千夏さんが出てきた。
「あれ? アンタ達ここにいたの? てっきり部屋か温泉でHしてると思ったのに」
「それはこっちのセリフだよ。お姉さんがHしてないなんてあり得ないって!」
「…アンタ結構失礼な事言うよね。アタシと母さんは気にしないけど、相手は選んだほうが良いよ」
彼女はそう言ってから満里奈さんを見る。別に保護者枠じゃないんだが…。
「ごめんごめん。それよりお姉さん、探偵の知り合いいる?」
「探偵?紬はよく訳が分からない事言うよね」
千夏さんの言い方はアレだが、共感できる部分もある…。
「…お姉さんも失礼じゃん」
「それはお互い様って事で。そんな事より理由教えて」
紬さんを除く全員で事情を話す。
「なるほど。愛山さんの旦那さんが浮気してるかもしれないのか…」
「そういえば、オバさんと旦那さんが離婚してるのは聞いたけど、何とかなったの?」
それを聞いたのは『千玲』の事を知ったあたりだったか。(54話参照)
「なったよ。言い争う事もなかったし『円満離婚』ってやつだと思う」
「離婚したのはいつ?」
「アタシと玲がここをオープンさせたあたり。父さんも単身赴任してたから、母さんはアタシ達のサポートをしてくれたのよ。それがなかったら絶対今みたいになってないね」
「じゃあ、お姉さんの旦那さんがオバさんにゴム使ったのはそれからなの?」
「ううん、高校の時から使ってた。ゴムとかピルがあったから、母さんはその時から玲とHしてたのよ」
千春さんもだが、玲さんも凄いな…。人は本当に見かけによらない。
「その割に離婚したの遅くない? 何で?」
「それは簡単、アタシ達が成人して落ち着くまで待つ流れになったから。もし高校の時に離婚してたら、母さんのパート収入だけになるからさ~。どう考えても現実的じゃないじゃん」
つまり千春さんは、千夏さん・玲さんの事を考えて離婚を遅らせたのか…。
「オバさんがそうしたなら、沙織ママもそれで良くない?」
「そんな簡単な話じゃないのよ…」
「一般的に考えれば、愛山さんの言う通り。母さんは世間体より自分の気持ちを優先させたって訳」
「……」
千夏さんの今の言葉を聴いて、沙織さんはどう思ったかな?
「それよりお姉さん、探偵は知ってるの?」
「ごめん知らない。縁がないからね」
「そっか。教えてくれてありがと~」
今の話は今後の参考になりそうだ。俺達は部屋に戻る事にした。
部屋に戻って早々、沙織さんが詩織さんに声をかける。
「お父さんの事、探偵さんに頼もうと思うんだけど良いかしら?」
「もちろん良いよ。あたしは何があっても母さんの味方だからね」
「ありがとう詩織。明日家に戻ったら、色々調べてみるわ」
「ねぇ沙織ママ。もし黒だったらどうするの?」
それは俺も気になっていたところだ。
「今のところ、千春さんみたいに先送りするつもりよ」
多分そうする理由も同じだと思う。お金の問題は大変だ…。
「探偵にお願いするのって、事務所とかに行くんだよね? ウチも行きたい!」
「紬、遊びじゃないのよ?」
「わかってるって! ここまで首を突っ込んで放っておけないよ!」
「当然あたしも一緒に行く。無関係じゃないし」
「じゃあ俺も」「私もぜひ…」
俺と満里奈さんの言うタイミングがほぼ被る。
「気持ちは嬉しいけど、さすがに5人で行くのは厳しいわね。そこには紬ちゃんと詩織の3人で行くわ」
沙織さんの言う事は正しいので、反論の余地はない。
「わかりました」
「紬、迷惑かけるんじゃないわよ?」
「あたしがうまくやるから安心して、満里奈ちゃん」
「紬をよろしくね、詩織」
それから俺達は温泉に入ったものの、みんなHする気分にならなかったようだ。沙織さんの件は大切だし影響力があるから当然かもしれないが…。
全員の体を手で洗ってから、早めに温泉を出る。
「ふわぁ~、今日は疲れたね~。早めに寝よっか」
紬さんがあくびをする。
喫茶店の“ソフィー”に初めて行き、初めて朱里さん・月夜さんに会ったんだ。初めて尽くしは予想以上に疲れるよな。
「あんたは昼寝したじゃない」
「あんなちょっとで全快する訳ないじゃん。ウチはもっと寝たいの!」
「やっぱり紬ちゃんは成長期ね。たくさん寝ると良いわ♪」
「そうする」
全員、布団に横になる。俺の隣には満里奈さんと紬さんがいて、ダブルの布団には沙織さんと詩織さんがいる流れだ。
「みんな、お休みなさい」
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