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バイトを終えてから~夏休みが終わるまで
第125話 ついに判明! 浮気調査結果
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16時数分前に、沙織さんが自宅兼事務所の“ウィルベル”の呼び鈴を押す。するとウィルベルさんが出て来て、前回と同じように全員にハグする。
「みんな、よく来てくれたネ!」
「今日はブラしててがっかり」
紬さんがつまらなさそうな顔をする。
「この前はうっかりしただけなノ!」(96話参照)
「『ノーブラ探偵』として宣伝すれば、絶対依頼する人増えるって」
適当な事言うなよ。
「それだったら考えるかモ…」
あまり依頼入ってないのかな? 余計なお世話だが気になってしまう。
「――そんな事より上がっテ!」
「失礼します」
沙織さんに続いて俺達も入った後、リビングに案内される。…机を挟んでソファーがあるのは変わらないか。沙織さんとウィルベルさんが同じタイミングで座った後、詩織さんと紬さんが沙織さんの隣に座る。
俺と満里奈さんは背もたれのない椅子だ。前回もそうだったから気にならない。
「それで、夫の浮気はどうでしたか?」
沙織さんからいつものような余裕を感じられない。当然と言えば当然だが…。
「浮気の調査結果だけド…」
どうなんだ? 俺達は緊張しながらウィルベルさんの言葉を待つ。
「――多分浮気してル」
多分? 白黒つけるために調査を依頼したはずなのに、どうしてこうなるんだ?
「詳しく教えてもらえますか?」
「アイヤマさんがワタシに依頼したのは3日だったね。その日の夜から今日の昼前まで、ロジーと一緒に明夫さんが住んでるマンション近くにあるホテルに泊まって観察したんだけど、部屋の電気が点いてる事が1回もなかったノ」
今日は9日だ。3日の夜から9日の昼前まで、1回も部屋の電気が点いてない? 普通に考えたらあり得ないぞ。
「なるほど。では、夫が相手の女性宅に行く様子は確認しましたか?」
明夫さんは既に同棲してる可能性があるよな。
「ううん。というか、明夫さんを1回も見てなイ…」
「ずっと自宅の観察をしていたからですか?」
「そんな事ないよ。2人で観察したら効率悪いから、ワタシが部屋の観察をしてロジーが明夫さんの会社付近で張り込みするパターンが多かったネ」
「それでも見つけられなかったんですか?」
「そうみたいだよ。ワタシより優秀なロジーが見つけられなかったんだから間違いないヨ」
前回ここに来た時、ウィルベルさんは『ワタシ1人だと全然ダメ』と言っていた。それは過大評価かもしれないが、事実の可能性もある…。
「母さん、どういう事なんだろう?」
「今思い付くのは、帽子やマスクで変装したか、向こうでは不規則勤務かもしれないわ」
「朝会社に行って、夜帰ってくるとは限らないって事か。いくら探偵でも24時間観察できる訳ないし、見逃す時もあるよね」
それに加え、休日に家から出なければ見つける事はさらに困難だ。
「耳の痛い話だけどその通り。それにワタシ達はまだ新人だから、どうしてもうまくいかなくてネ…」
沙織さんの調査で4件目と言っていたっけ。確かに慣れているとは言えない。
「今はプライバシーの事があるので調査が難しいのは十分理解できますし、ウィルベルさん達が苦労されているのもわかります。ですが今日の夜は、夫が由紀さんと夜景がキレイなレストランで食事するはずです。何故そちらを確認する前に浮気調査の報告をするのでしょうか?」
「えっ? 母さん、今日だったっけ?」
「そうよ。約束について書かれていたメールは8月1日の金曜日に送信されていて、来週の土曜日が食事の日だったわ」
「――本当に今日じゃん!」
あのメールには場所が明記されていたから、張り込めば明夫さんと由紀さんを見つけられるのに…。ウィルベルさんはどういうつもりだ?
「それはすごく言いにくいんだけど……、ロジーがバイト先に呼び出されたから仕方なくワタシも帰る事にしたの。ワタシ1人じゃほとんど何もできないかラ…」
ウィルベルさんは申し訳なさそうな顔をしている。今の彼女を責める気にはならない…。
「探偵だけだと生活できないから、ロジーがいっぱいバイトしてワタシが家事しながら探偵やる感じでやってきたの。今まで依頼された3件はワタシ1人でも簡単だったし、近場で解決できたんだけド…」
もしかしなくても、浮気調査は初めてみたいだ。初めての事を1人でやるのは不安だよな。
「ロジーはバイト先で頼りにされてて、『シフトの人が急に来れなくなったから何とかならないか』って電話が来たみたいなの。だかラ…」
「そういう事でしたか。わたしに電話した段階で予定を変えていたんですね」
「本当にごめんなさい、アイヤマさん」
座った状態でウィルベルさんは頭を下げる。
「――申し訳ないですが“気にしないで下さい”とは言えないです…」
その食事の様子を見れば全てが分かったかもしれないし、沙織さんが納得できないのも無理はない。
「今回の調査費用はいらないのデ…」
「いえ、お支払いします。わたしに教えた自宅を長い間留守にしている事がわかったので、その分に対するお金は払います」
「ありがとうございます、アイヤマさん…」
だからウィルベルさんは『多分浮気してる』という結論に至ったのか。明夫さんは白とは言えないかも…。
こうして、浮気調査は微妙な結果で終わるのだった。
「みんな、よく来てくれたネ!」
「今日はブラしててがっかり」
紬さんがつまらなさそうな顔をする。
「この前はうっかりしただけなノ!」(96話参照)
「『ノーブラ探偵』として宣伝すれば、絶対依頼する人増えるって」
適当な事言うなよ。
「それだったら考えるかモ…」
あまり依頼入ってないのかな? 余計なお世話だが気になってしまう。
「――そんな事より上がっテ!」
「失礼します」
沙織さんに続いて俺達も入った後、リビングに案内される。…机を挟んでソファーがあるのは変わらないか。沙織さんとウィルベルさんが同じタイミングで座った後、詩織さんと紬さんが沙織さんの隣に座る。
俺と満里奈さんは背もたれのない椅子だ。前回もそうだったから気にならない。
「それで、夫の浮気はどうでしたか?」
沙織さんからいつものような余裕を感じられない。当然と言えば当然だが…。
「浮気の調査結果だけド…」
どうなんだ? 俺達は緊張しながらウィルベルさんの言葉を待つ。
「――多分浮気してル」
多分? 白黒つけるために調査を依頼したはずなのに、どうしてこうなるんだ?
「詳しく教えてもらえますか?」
「アイヤマさんがワタシに依頼したのは3日だったね。その日の夜から今日の昼前まで、ロジーと一緒に明夫さんが住んでるマンション近くにあるホテルに泊まって観察したんだけど、部屋の電気が点いてる事が1回もなかったノ」
今日は9日だ。3日の夜から9日の昼前まで、1回も部屋の電気が点いてない? 普通に考えたらあり得ないぞ。
「なるほど。では、夫が相手の女性宅に行く様子は確認しましたか?」
明夫さんは既に同棲してる可能性があるよな。
「ううん。というか、明夫さんを1回も見てなイ…」
「ずっと自宅の観察をしていたからですか?」
「そんな事ないよ。2人で観察したら効率悪いから、ワタシが部屋の観察をしてロジーが明夫さんの会社付近で張り込みするパターンが多かったネ」
「それでも見つけられなかったんですか?」
「そうみたいだよ。ワタシより優秀なロジーが見つけられなかったんだから間違いないヨ」
前回ここに来た時、ウィルベルさんは『ワタシ1人だと全然ダメ』と言っていた。それは過大評価かもしれないが、事実の可能性もある…。
「母さん、どういう事なんだろう?」
「今思い付くのは、帽子やマスクで変装したか、向こうでは不規則勤務かもしれないわ」
「朝会社に行って、夜帰ってくるとは限らないって事か。いくら探偵でも24時間観察できる訳ないし、見逃す時もあるよね」
それに加え、休日に家から出なければ見つける事はさらに困難だ。
「耳の痛い話だけどその通り。それにワタシ達はまだ新人だから、どうしてもうまくいかなくてネ…」
沙織さんの調査で4件目と言っていたっけ。確かに慣れているとは言えない。
「今はプライバシーの事があるので調査が難しいのは十分理解できますし、ウィルベルさん達が苦労されているのもわかります。ですが今日の夜は、夫が由紀さんと夜景がキレイなレストランで食事するはずです。何故そちらを確認する前に浮気調査の報告をするのでしょうか?」
「えっ? 母さん、今日だったっけ?」
「そうよ。約束について書かれていたメールは8月1日の金曜日に送信されていて、来週の土曜日が食事の日だったわ」
「――本当に今日じゃん!」
あのメールには場所が明記されていたから、張り込めば明夫さんと由紀さんを見つけられるのに…。ウィルベルさんはどういうつもりだ?
「それはすごく言いにくいんだけど……、ロジーがバイト先に呼び出されたから仕方なくワタシも帰る事にしたの。ワタシ1人じゃほとんど何もできないかラ…」
ウィルベルさんは申し訳なさそうな顔をしている。今の彼女を責める気にはならない…。
「探偵だけだと生活できないから、ロジーがいっぱいバイトしてワタシが家事しながら探偵やる感じでやってきたの。今まで依頼された3件はワタシ1人でも簡単だったし、近場で解決できたんだけド…」
もしかしなくても、浮気調査は初めてみたいだ。初めての事を1人でやるのは不安だよな。
「ロジーはバイト先で頼りにされてて、『シフトの人が急に来れなくなったから何とかならないか』って電話が来たみたいなの。だかラ…」
「そういう事でしたか。わたしに電話した段階で予定を変えていたんですね」
「本当にごめんなさい、アイヤマさん」
座った状態でウィルベルさんは頭を下げる。
「――申し訳ないですが“気にしないで下さい”とは言えないです…」
その食事の様子を見れば全てが分かったかもしれないし、沙織さんが納得できないのも無理はない。
「今回の調査費用はいらないのデ…」
「いえ、お支払いします。わたしに教えた自宅を長い間留守にしている事がわかったので、その分に対するお金は払います」
「ありがとうございます、アイヤマさん…」
だからウィルベルさんは『多分浮気してる』という結論に至ったのか。明夫さんは白とは言えないかも…。
こうして、浮気調査は微妙な結果で終わるのだった。
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