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バイトを終えてから~夏休みが終わるまで
第126話 前代未聞の取り組み
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自宅兼事務所の“ウィルベル”で、彼女から浮気調査の結果を聴いた俺達。全容解明にはほど遠い内容だったが、沙織さんはどう思ったんだろう?
「母さん。あたし思ったんだけど、父さんが旅行に行ってた可能性ない?」
詩織さんの言葉でハッとする。明夫さんが旅行中なら部屋の電気が点かないのは当然だし、姿を見かける事はない。
「それだったら昨日までに帰ると思うわ。今日の食事の約束ギリギリまで旅行していたら、不測の事態に対応できないわよ」
車は道路が混んだりするし公共交通機関は遅延があるから、確かに考えにくい。
「ワタシもアイヤマさんに賛成」
「旅行する時間があるなら、沙織ママと詩織ちゃんにすぐ会いに行くでしょ!」
紬さんは自信満々な様子だが、それは2人を大切に想っている事が前提だ…。
「ウィルベルさん。夫のマンションの郵便受けは確認しましたか?」
「もちろん。でも新聞とかはたまってなかったヨ?」
「そうですか…」
旅行中は新聞を止めたかもしれないし、そもそも取ってない可能性もある。それで判断するのは無理だ。
「アイヤマさん、これからどうする? プロの探偵さんにお願いしても良いし、もう1回チャンスをくれるならベストを尽くすヨ!」
それを決めるのは沙織さんだ。どうするんだろう?
「――浮気調査は今回で終わりにします」
どちらでもないのか…。
「理由を聞かせてもらって良イ?」
「ウィルベルさんの判断を信じるので、追加の依頼は不要だからです」
「ワタシの判断を信じる? 全然役に立てなかったのにどうしテ?」
「“勘”ですね。ウィルベルさんのまっすぐな目を見て『この人は信じられる』と思いました」
そこまで言い切るのか。悪い人じゃなさそうなのは俺も思っているが…。
「目でそんな事がわかるノ?」
「直感を言葉で説明するのは難しいですが、ウィルベルさんとロジーさんの関係を詳しく話すのも難しいですよね? そんな風に思ってもらえれば」
「なるほど~。アイヤマさんはワタシより年上だから凄いネ~♪」
「さすが沙織ママ!」
「ありがとう♪」
ウィルベルさんも沙織さんを慕うようになるのか? まさかこんな事になるなんて…。
「今回の罪滅ぼしにはならないけど、調査の途中でロジーが面白い話を聞いたみたいだから教えるネ」
「面白い事? ウィルちゃん教えて!」
こういう話に興味を持つのは紬さんらしい。
「ツムギの学校は、もう体育祭やっタ?」
「やってない。夏休み明けに実行委員を決めてから色々まとめるらしいよ」
「そうなんだ。明夫さんの会社近くに高校があるらしいんだけど、そこで『Hな体育祭』を今年限定でやるんだっテ」
「Hな体育祭!?」
しかも内容は紬さん好みか。なんという偶然だ。
「うん、それで来年の“定員割れ”を食い止めるみたい。今は少子化だからどの学校も大変だろうネ~」
中学生の時に、両親から今と昔では1クラスの人数はもちろんクラス数も違う事を聞かされた。その時は『だから何なんだ?』としか思ってなかったな…。
「もし内外問わず反応が良ければ来年も続けるし、その企画を考えた人にご褒美を与えるらしいヨ」
「ご褒美って何?」
「さぁ? それはわからないナ~」
そんな体育祭は前代未聞だから、反応は未知数だ。褒美はまだ決まってないと考えるのが自然だろう。
「今のところこの情報を知ってるのは、その高校の人達と全国の高校の先生だけだって。周りを混乱させないために『SNSでの拡散禁止』を徹底してるみたイ」
ロジーさんはそれをどうやって知ったんだ? バイトに専念している彼の方が探偵に向いてるじゃないか…。
「――決めた! ウチ、体育祭の実行委員になって『Hな体育祭』を絶対やる! んで、ご褒美をもらう!」
紬さんのやる気に火が付いたようだが、そう簡単にいくのか?
「ツムギならそう言うと思ったよ、頑張ってネ」
「うん。みんながいるから大丈夫!」
何か嫌な予感がするな…。
「ねぇ紬。そのみんなに私は入ってるの?」
「当たり前じゃん! 満里奈・詩織ちゃん・まーちゃんは当然入ってるよ」
この流れはマズイ。早く何とかしないと!
「ちょっと待ってくれ。俺に実行委員なんてできる訳ないって」
どう考えても荷が重すぎる。
「え~、そんな事言わないで一緒にやろうよ~。沙織ママも何か言って!」
「真君、何事も経験よ♪」
沙織さんの言ってる事は間違ってないが…。
「真。あたし達が頑張れば、あたし達の高校の定員割れを何とかできるかもしれないよね? それに対するご褒美って豪華になりそうじゃない?」
「詩織ちゃんもご褒美気になる? たくさんお金くれるかな~?」
下心がある詩織さんと紬さんだが、俺も気になっている。定員割れは学校にとって死活問題だから、それを何とかできた時の見返りは大きいはず。
「バイトの時みたいに、真と満里奈ちゃんは裏方頼むわ。2人がいると安心できるんだよ」
「詩織ちゃんにセリフ取られた~。お願い、満里奈・まーちゃん!」
「まこくん、どうする?」
「そうだな…。2人のやる気を無駄にしたくないし、俺も褒美は気になってて…」
「それは私も同じ。よく考えると実行委員の経験って面接の自己PRとかに使えるから、貴重な機会かもしれないね」
そんな事は浮かんですらいないぞ。さすが満里奈さんだ。
「まーちゃんと満里奈もやる気アリと…。早く実行委員決めて欲しいな~」
「わたしも出来る限りサポートするからね♪」
「ありがとう沙織ママ!」
こうして、俺達は体育祭の実行委員を希望する流れになった。この話のキリが付いたので、ウィルベルさんに挨拶してから沙織さんの家に戻る事にした…。
「母さん。あたし思ったんだけど、父さんが旅行に行ってた可能性ない?」
詩織さんの言葉でハッとする。明夫さんが旅行中なら部屋の電気が点かないのは当然だし、姿を見かける事はない。
「それだったら昨日までに帰ると思うわ。今日の食事の約束ギリギリまで旅行していたら、不測の事態に対応できないわよ」
車は道路が混んだりするし公共交通機関は遅延があるから、確かに考えにくい。
「ワタシもアイヤマさんに賛成」
「旅行する時間があるなら、沙織ママと詩織ちゃんにすぐ会いに行くでしょ!」
紬さんは自信満々な様子だが、それは2人を大切に想っている事が前提だ…。
「ウィルベルさん。夫のマンションの郵便受けは確認しましたか?」
「もちろん。でも新聞とかはたまってなかったヨ?」
「そうですか…」
旅行中は新聞を止めたかもしれないし、そもそも取ってない可能性もある。それで判断するのは無理だ。
「アイヤマさん、これからどうする? プロの探偵さんにお願いしても良いし、もう1回チャンスをくれるならベストを尽くすヨ!」
それを決めるのは沙織さんだ。どうするんだろう?
「――浮気調査は今回で終わりにします」
どちらでもないのか…。
「理由を聞かせてもらって良イ?」
「ウィルベルさんの判断を信じるので、追加の依頼は不要だからです」
「ワタシの判断を信じる? 全然役に立てなかったのにどうしテ?」
「“勘”ですね。ウィルベルさんのまっすぐな目を見て『この人は信じられる』と思いました」
そこまで言い切るのか。悪い人じゃなさそうなのは俺も思っているが…。
「目でそんな事がわかるノ?」
「直感を言葉で説明するのは難しいですが、ウィルベルさんとロジーさんの関係を詳しく話すのも難しいですよね? そんな風に思ってもらえれば」
「なるほど~。アイヤマさんはワタシより年上だから凄いネ~♪」
「さすが沙織ママ!」
「ありがとう♪」
ウィルベルさんも沙織さんを慕うようになるのか? まさかこんな事になるなんて…。
「今回の罪滅ぼしにはならないけど、調査の途中でロジーが面白い話を聞いたみたいだから教えるネ」
「面白い事? ウィルちゃん教えて!」
こういう話に興味を持つのは紬さんらしい。
「ツムギの学校は、もう体育祭やっタ?」
「やってない。夏休み明けに実行委員を決めてから色々まとめるらしいよ」
「そうなんだ。明夫さんの会社近くに高校があるらしいんだけど、そこで『Hな体育祭』を今年限定でやるんだっテ」
「Hな体育祭!?」
しかも内容は紬さん好みか。なんという偶然だ。
「うん、それで来年の“定員割れ”を食い止めるみたい。今は少子化だからどの学校も大変だろうネ~」
中学生の時に、両親から今と昔では1クラスの人数はもちろんクラス数も違う事を聞かされた。その時は『だから何なんだ?』としか思ってなかったな…。
「もし内外問わず反応が良ければ来年も続けるし、その企画を考えた人にご褒美を与えるらしいヨ」
「ご褒美って何?」
「さぁ? それはわからないナ~」
そんな体育祭は前代未聞だから、反応は未知数だ。褒美はまだ決まってないと考えるのが自然だろう。
「今のところこの情報を知ってるのは、その高校の人達と全国の高校の先生だけだって。周りを混乱させないために『SNSでの拡散禁止』を徹底してるみたイ」
ロジーさんはそれをどうやって知ったんだ? バイトに専念している彼の方が探偵に向いてるじゃないか…。
「――決めた! ウチ、体育祭の実行委員になって『Hな体育祭』を絶対やる! んで、ご褒美をもらう!」
紬さんのやる気に火が付いたようだが、そう簡単にいくのか?
「ツムギならそう言うと思ったよ、頑張ってネ」
「うん。みんながいるから大丈夫!」
何か嫌な予感がするな…。
「ねぇ紬。そのみんなに私は入ってるの?」
「当たり前じゃん! 満里奈・詩織ちゃん・まーちゃんは当然入ってるよ」
この流れはマズイ。早く何とかしないと!
「ちょっと待ってくれ。俺に実行委員なんてできる訳ないって」
どう考えても荷が重すぎる。
「え~、そんな事言わないで一緒にやろうよ~。沙織ママも何か言って!」
「真君、何事も経験よ♪」
沙織さんの言ってる事は間違ってないが…。
「真。あたし達が頑張れば、あたし達の高校の定員割れを何とかできるかもしれないよね? それに対するご褒美って豪華になりそうじゃない?」
「詩織ちゃんもご褒美気になる? たくさんお金くれるかな~?」
下心がある詩織さんと紬さんだが、俺も気になっている。定員割れは学校にとって死活問題だから、それを何とかできた時の見返りは大きいはず。
「バイトの時みたいに、真と満里奈ちゃんは裏方頼むわ。2人がいると安心できるんだよ」
「詩織ちゃんにセリフ取られた~。お願い、満里奈・まーちゃん!」
「まこくん、どうする?」
「そうだな…。2人のやる気を無駄にしたくないし、俺も褒美は気になってて…」
「それは私も同じ。よく考えると実行委員の経験って面接の自己PRとかに使えるから、貴重な機会かもしれないね」
そんな事は浮かんですらいないぞ。さすが満里奈さんだ。
「まーちゃんと満里奈もやる気アリと…。早く実行委員決めて欲しいな~」
「わたしも出来る限りサポートするからね♪」
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