【完結】I adore you

ひつじのめい

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あやまち

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 震える手で電話に出るも『はい』以外の言葉をだす事が出来なかった。

「夏樹くん?蒼の母です、今日は心配掛けてごめんなさいね、さっき心桜こはるちゃんをお父さんが送って行ったから、蒼の荷物渡してもらえるかしら?」

 そう言うおばさんの声は、どこか疲れてそうなのに気遣う言葉すら出せず、蒼は大丈夫ですかと訊ねる事しか出来なかった。

 おばさんは、少し頑張り過ぎただけだから大丈夫よと教えてくれた。

 電話を切った後、おばさんの言葉が頭から離れなかった。

 少し頑張り過ぎただけ。

 蒼は、そこまで努力しなくても器用になんでもこなす事が出来るように見えるけど見えない所で人一倍、努力をしてきてたじゃないか。

 俺は、それを知りながらも蒼なら大丈夫だと、どこか過信していたのかもしれない。

 少し頑張りすぎたと言う事は、凄く無理をしていたに違いない、それも倒れるぐらいに。

 暫くして、姉ちゃんが帰宅して話を聞くと、蒼は大事をみて2~3日入院する事になったみたいだ。

 おじさんは、蒼がおいて行った鞄を受け取ると今日はありがとうと病院へと戻っていった。

 その日は、なんだか寝付けずに気がつくと朝のアラームが日付が変わったことを知らせ学校の準備をする時間だと急かさるている気がした。

 学校には行かないと……そう思いながらも寝不足も手伝い体が重い。

 いつもと同じ通いなれた道、乗りなれた電車。

 だけど今日は隣に蒼が居ない。

 働かない頭で、なんとか最後の授業を受け終わると同時に後ろから肩を叩かれた。

「夏樹、なにがあった?」

 振り返ると、後ろの席の諒太が真剣な面持ちで俺の返事を待っている。

 何も言わなくても気付いてくれた諒太の気持ちが嬉しくて泣きそうになりながら、蒼が倒れて入院した事を伝えると、頑張りすぎだよなと呟いた。

 なんとなく重くなった空気を変えたのは俺のもとに来た小暮さんだった。

「杠葉くん予定がなかったら今日、一緒に帰らない?」

 そう言った後に俺達を纏う空気がいつもと違う事に気付き、お話の邪魔しちゃったみたいでゴメンネと涙目になっていた。

 俺は大丈夫だよと小暮さんに言うと続けて、蒼が入院したことを続けた。

 小暮さんは凄く驚いた顔をした後に、凄く心配だよね橘くんのお見舞い行こうよと提案してくれた。

小暮さんの話を聞いていた諒太は。 

 倒れた次の日に行くのは蒼の迷惑になるんじゃなか?
 蒼のおばさんに確認してから夏樹1人で行った方が良いんじゃないか?
 そうアドバイスをしてくれたけど俺は小暮さんが提案してくれた事が嬉しくて一緒に行く事にした。

 諒太は難しい顔をしていたが、蒼に無理はさせるなよ、俺は落ち着いた頃に行くと伝えてと言われた。

 病院へ向かう途中に小暮さんから下の名前で呼び合いたいと言われ俺は何故このタイミングなんだろうと思いながらも、付き合ってたらそうだよなと思い、お互いの名前で呼び合う事にした。

 この時の違和感を俺は後のちに気付く事になる。

 病院の受付で蒼の病室を聞こうとした時、姉ちゃんが前から歩いてくるのが見えた。

「夏樹、病院は病気を治す所だよ倒れた次の日に複数で来るのは良くないよ。」

 そう注意されたけど、小さな声で気持ちはわかるけどねと続けた。

 白衣を着てる姉ちゃんを見ると、看護師なんだなと改めて思った。

 姉ちゃんに教えて貰った病室は個室で入り口の壁に付いているプレートには
 
『橘蒼様』
 
 そう記されていた。

 この扉の先に蒼が居るんだろうけど、なんだかドラマのワンシーンを見せられてるようで体が動かない。

 そんな俺を見て舞が俺の手を繋いできてくれた、俺は大きく息を吐いた後、扉をノックした。

 中から、誰?と声が聞こえた間違いなく蒼の声だ。

 やっぱり現実だと思いながらも俺だけどと言うと中から、なっちゃん来てくれたんだ、入って大丈夫だよと言われたので病室へと足を運んだ。

 俺の目に映った蒼は、少しやつれた顔で柔らかな笑顔を向けていた。

 病衣を着ている事もあって俺の知ってる蒼ではないように見えて、何て声を掛けようかと迷っていると俺より先に舞が蒼に声をかけた、その時。

「なんで君がいるの?」

 そう言った蒼は笑顔ではあるものの、さっきとは違い声に温度が感じられず俺はゾクリと体が震えた。

「彼氏の親友が倒れたと聞いて、夏樹1人で行かせるのも心配だから一緒に来ました」

 舞がそう言うと、蒼の雰囲気が変わった気がした。

「へぇ~名前で呼び合ってるんだ……」

 そう呟いた蒼の目線が俺達の繋がれた手に向けられていた事に、俺は気づいていなかった。
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