転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀

文字の大きさ
72 / 157

72.離宮での監禁暮らし(3)

しおりを挟む
シリウス様が用意してくれていた桶に入った水を見つけた。
ここまでなら鎖も届くし急いで顔を洗ったり、自分の身支度を終わらせなきゃ!シリウス様…全部お世話するだなんて言ってたけど無理…恥ずかしいし何より怖い。

私が近くにあったタオルで顔を拭いているとコンコンとドアをノックする音が聞こえた。


「お待たせ、スレイちゃん朝ごはん食べようか!」

朝からシリウス様はご機嫌だ。すごく楽しそうにしている姿を見ると明るくて爽やかさがある。あの悪魔のような姿とはまるで正反対。

部屋にあるテーブルにシリウス様が朝食を並べてくれている。

「あ、あの、流石に王子殿下にそんなことさせるわけにはいかないので…私がやります。」
「うーん…そう思うのは当然なんだけど。俺がお世話したいんだよね~。そうだ…やっぱりこれ、使おうか。」

シリウス様は棚から枷を取り出して呪文を唱えはじめた。
その枷はシリウス様の手から消えていつの間にか私の手首にはまっていた。

「え…!?やだ…っ!外してくださいシリウス様!」
「これでスレイちゃんは何も出来なくなっちゃったね。俺がやるから、支度してる間大人しくしてて。」

私の言葉をスルーしてテキパキと準備をする。

「よし、お待たせ~!さぁここに座って食べようか。」
シリウス様は私の手を引っ張り椅子に座らせる。
「はい、スープからね。あーんして」
「え゛…むむ無理ですわ。」
「でもその両手じゃ食べられないでしょ?」
「そう…ですけど…そんな恥ずかしい事出来ません。」
「大丈夫。今は俺たちだけしかいないんだから何も恥ずかしがる事はないよ。はやく食べて…はやく。」

シリウス様の目がどんどん怖くなってる…。これ食べなかったら悪魔降臨する…?そうなったら私ではどうにも太刀打ちできなくなるどころか恐怖で動けなくなる。

私は思いきって口を開けて食べてみると、シリウス様は上機嫌に笑ってこっちを見ていた。

「食べる姿も可愛いんだね。スレイちゃんて全部が可愛いよね。いつ見ても癒される…。さぁ、こっちのパンとベリーも食べて!」

私はされるがまま口に運んでもらって食べていた。

「あの、シリウス様…。この手枷いつ外してくれますか?」
「んー。この枷も魔法使ってて外す時は魔力が結構いるんだよね。だからそうそう外せないかなぁ。今日はこの後俺が勉強も教えてあげるね。スレイちゃん勉強頑張ってたでしょ?因みに俺はもう研究科のカリキュラムがそろそろ終わるんだよね。だから何でも答えられるよ。」
「勉…強…」

私は勉強がしたいわけじゃなくて早くここから出たい。この手足の枷も外してもらいたい。この状況が不安でしかないのにシリウス様はそれを無視するかのように次から次へと話が進んでいく。シリウス様とは全然話が噛み合わないし、私本当にここから出られないの…?

「シリウス様、ご飯はもうお腹いっぱいなのでいらないですわ…。」
「もう?まだ半分も食べてない…どうしたの、泣いてるの?」
「私は…早く帰りたいんです。手足の枷も外して欲しいのに…シリウス様に私の言葉が全然届かない。」
「俺さぁ…言ったよね?もうここからは出られないって。何言っても無理だから諦めて?それに俺、スレイちゃんの泣き顔が1番大好きなんだよね。その顔見るとどんどん泣いて欲しくて嫌な事沢山してしまうかも。」

シリウス様は私の手を取り、目を瞑りながら自分の頰に摺り寄せる。そしてシリウス様が目を開けた時に赤くキラキラした瞳が泣いている私の顔を映していた。

「スレイちゃん…」

シリウス様の顔が私の顔に近づいてきた。

「だ、駄目です…キスは駄目ですわ。」

私は咄嗟に両手でシリウス様の口元を押さえた。
シリウス様は私の手を払う。
「なんで…?もう初めてじゃないし、いいじゃん。」
「こういうのは嫌だって何回もお伝えしてます…。」
「そっか…嫌だって言ってたね。じゃぁ嫌な事なら沢山しなきゃね。もっと泣いてる顔見せて…」

シリウス様は抵抗する私の手を押さえつけてキスをした。
「ん…っやめ…」
「スレイちゃん、ベッドに行こうか。」
「い、嫌です!お願い離して!」
シリウス様は私を抱きかかえてベッドに移動した。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)

透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。 有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。 「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」 そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて―― しかも、彼との“政略結婚”が目前!? 婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。 “報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。

子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました

もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!

『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』

ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています この物語は完結しました。 前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。 「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」 そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。 そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?

【完結】異世界転移した私、なぜか全員に溺愛されています!?

きゅちゃん
恋愛
残業続きのOL・佐藤美月(22歳)が突然異世界アルカディア王国に転移。彼女が持つ稀少な「癒しの魔力」により「聖女」として迎えられる。優しく知的な宮廷魔術師アルト、粗野だが誠実な護衛騎士カイル、クールな王子レオン、最初は敵視する女騎士エリアらが、美月の純粋さと癒しの力に次々と心を奪われていく。王国の危機を救いながら、美月は想像を絶する溺愛を受けることに。果たして美月は元の世界に帰るのか、それとも新たな愛を見つけるのか――。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

処理中です...