102 / 157
102.王太子殿下の訪問(4)
しおりを挟む
「スレイ、お前の気持ちもちゃんと聞きたい。もしここで言いづらいのなら私達は席を空けよう。2人で話し合ってくれてもいい。」
本当は王族からの申し出に断る事なんて出来ない。断ってしまったらお父様の立場も悪くなる。お父様はそれを承知の上で私を優先してくれている。
なんて素敵なお父様なのだろう。私はお父様の事も大事だけどそのお父様が私を尊重してくれている。ここは本当の気持ちをしっかりと伝えないと…誠意を見せないと。
「お父様お母様、お気遣いありがとうございます。カイお兄様も心配して下さりありがとうございます。そして、ルル様もこんな私に婚約の話をして下さるなんてとても光栄に思っております。ただ…私に王太子妃という立場が務まるとは到底思えません…ただ…急な申し出でビックリしましたが、ルル様は何か他に理由があって婚約という話を私に打診しているのではないですか?」
両親もカイお兄様も少し驚いた顔をしているがルル様は表情を一つも変えずにじっと私を見ていた。
「他に理由…というのはどういう事だ?スレイ。」
お父様は少しピリついたような言い方をした。私が不敬な事を言っているように聞こえたのかもしれない。
「ルル様ごめんなさい…。婚約という言葉を聞いてびっくりした時に不意に目の力が動いてしまって…ルル様の心が視えたのです。何か思い悩む事がある…何かを危惧している色が視えましたわ。無理にとは言いませんが…私に話せる範囲でも構わないので教えて頂けますか?」
ルル様はずっと表情を変えず私の目を見ていたが、フッと笑った。
「やっぱりスーには分かるんだな。俺が婚約の申し込みをしたのはそのスーの力を守るの為でもあるんだ。」
「私の…力ですか…?」
「あぁ、魔獣と話せる事、瘴気を払うことが出来る力があると、どこからか王妃の耳に入ってしまった。」
「瘴気を払う…?私は光魔法や聖魔法は使えませんが…」
「スーが視えている心のモヤや黒く濁っているものは恐らく人間の心にたまる瘴気だ。それを払い除ける事が出来る力もある。そんなスーの力を利用する為に研究材料にするか邪魔と判断して殺すのかは分からない。ただ目をつけられて危険な状態なのは確かだ。」
「な…っ! スーが王妃様に目をつけられている…!?ルル、それは確かなのか!?」
「あぁ、間違いない。だから俺はスーを守りたい。婚約者という立場なら1番近くで守れるし、護衛も沢山つけられるから。」
「そういう事情だったのですね…合点がいきました。王妃様の噂は少しだけ耳にしておりましたがどれも良い噂ではありませんでした…。この噂は事実かもしれませんね。」
「スー、スーの気持ちも分かるが…俺はスーを守りたい。先ずは候補でも良いから俺のそばに居て守らせてくれないか?」
ルル様は私の前に膝をつき手を取った。
「ルル様…。」
「ちょっと待った!!!」
ドアがバタンと開き大きな声が聞こえてきた。
本当は王族からの申し出に断る事なんて出来ない。断ってしまったらお父様の立場も悪くなる。お父様はそれを承知の上で私を優先してくれている。
なんて素敵なお父様なのだろう。私はお父様の事も大事だけどそのお父様が私を尊重してくれている。ここは本当の気持ちをしっかりと伝えないと…誠意を見せないと。
「お父様お母様、お気遣いありがとうございます。カイお兄様も心配して下さりありがとうございます。そして、ルル様もこんな私に婚約の話をして下さるなんてとても光栄に思っております。ただ…私に王太子妃という立場が務まるとは到底思えません…ただ…急な申し出でビックリしましたが、ルル様は何か他に理由があって婚約という話を私に打診しているのではないですか?」
両親もカイお兄様も少し驚いた顔をしているがルル様は表情を一つも変えずにじっと私を見ていた。
「他に理由…というのはどういう事だ?スレイ。」
お父様は少しピリついたような言い方をした。私が不敬な事を言っているように聞こえたのかもしれない。
「ルル様ごめんなさい…。婚約という言葉を聞いてびっくりした時に不意に目の力が動いてしまって…ルル様の心が視えたのです。何か思い悩む事がある…何かを危惧している色が視えましたわ。無理にとは言いませんが…私に話せる範囲でも構わないので教えて頂けますか?」
ルル様はずっと表情を変えず私の目を見ていたが、フッと笑った。
「やっぱりスーには分かるんだな。俺が婚約の申し込みをしたのはそのスーの力を守るの為でもあるんだ。」
「私の…力ですか…?」
「あぁ、魔獣と話せる事、瘴気を払うことが出来る力があると、どこからか王妃の耳に入ってしまった。」
「瘴気を払う…?私は光魔法や聖魔法は使えませんが…」
「スーが視えている心のモヤや黒く濁っているものは恐らく人間の心にたまる瘴気だ。それを払い除ける事が出来る力もある。そんなスーの力を利用する為に研究材料にするか邪魔と判断して殺すのかは分からない。ただ目をつけられて危険な状態なのは確かだ。」
「な…っ! スーが王妃様に目をつけられている…!?ルル、それは確かなのか!?」
「あぁ、間違いない。だから俺はスーを守りたい。婚約者という立場なら1番近くで守れるし、護衛も沢山つけられるから。」
「そういう事情だったのですね…合点がいきました。王妃様の噂は少しだけ耳にしておりましたがどれも良い噂ではありませんでした…。この噂は事実かもしれませんね。」
「スー、スーの気持ちも分かるが…俺はスーを守りたい。先ずは候補でも良いから俺のそばに居て守らせてくれないか?」
ルル様は私の前に膝をつき手を取った。
「ルル様…。」
「ちょっと待った!!!」
ドアがバタンと開き大きな声が聞こえてきた。
96
あなたにおすすめの小説
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)
透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。
有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。
「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」
そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて――
しかも、彼との“政略結婚”が目前!?
婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。
“報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。
『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』
ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています
この物語は完結しました。
前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。
「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」
そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。
そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?
【完結】異世界転移した私、なぜか全員に溺愛されています!?
きゅちゃん
恋愛
残業続きのOL・佐藤美月(22歳)が突然異世界アルカディア王国に転移。彼女が持つ稀少な「癒しの魔力」により「聖女」として迎えられる。優しく知的な宮廷魔術師アルト、粗野だが誠実な護衛騎士カイル、クールな王子レオン、最初は敵視する女騎士エリアらが、美月の純粋さと癒しの力に次々と心を奪われていく。王国の危機を救いながら、美月は想像を絶する溺愛を受けることに。果たして美月は元の世界に帰るのか、それとも新たな愛を見つけるのか――。
辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました
腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。
しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる