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第3章 定めに抗う者たち
7. 魔獣との対峙
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よく晴れた空に、緑色の狼煙が上がっていた。
何かの合図だろうか……
「みなさ~ん!アルゴグは先遣隊の誘導で現在こちらに向かっています!あと5分ほどで到着する予定です!準備をお願いしま~す!」
冒険者たちに、緊張が走る。多くの者たちが、慌ただしく戦闘の準備や、装備の確認を始めた。
「私たちギルドの者は安全確保のため、ここより少々距離を置いた場所で待機させていただきます!みなさん、アルゴグ討伐、よろしくお願いしま~す!」
「――これ、やばいんじゃないの?」
最初に気付いたのはジンだった。
「……おっさん、けっこう鋭いじゃん」
「俺の名前はジン!おっさんはやめてよ!」
何かが、来る――近づいている…
地鳴りが聞こえ始めたかと思うと、それはすぐに大きく響き渡るようになり、冒険者たちに動揺が走り始めた。
「…ここは場所がよくなさそうだ。移動しよう」
ニケに腕を引かれて、冒険者たちがかたまっている場所から離れた。ジンの顔を見上げると、頷き返された。
「ニケは正しいと思う。あまりかたまっていない方がいいよ」
「ここら辺でいいか…」
ニケは詠唱を始めた。
モンスターの接近は、もう直前まで迫っているようだった。
「おい……まさか…あれか!?」
周りの冒険者たちの恐怖に引きつった声が、方々から聞こえ始めた。
巨大な土煙を上げながら、ソレは俺たち冒険者の集団めがけて突進していた。
「マースヴェール……」
俺たち4人を囲むように、ドーム状の光の膜が現れた。
「来るよ。この中から出ないでね…」
そのモンスター――アルゴグは、とうとう俺たちの前に姿を現した。
ソレは、巨大だった。くすんだ灰色の分厚い皮膚に覆われたモンスターの体高は、前世で見た6階建てのビルほどもありそうだった。獲物を嚙み殺すための牙を有し、狼のような獰猛な顔つきをしている。四足歩行で全長は体長の倍以上。その巨躯が、信じがたいほどの速度でこちらに突進してきた。
アルゴグは冒険者たちの集団を踏みつけにした後、隆々とした筋肉に覆われた腕を振り下ろし、十人余りの冒険者たちを宙に舞い上げた。
「……っ!」
「アレを食らったらひとたまりもないだろうね…」
ニケがボソボソと呟いている。
アルゴグは足に力を込めると、信じられないくらいの高さまで跳躍した。
そして、冒険者たちがひとかたまりになっている場所へと着地した。
「今の…どうやって避けたらいいんだ?」
アルゴグは着地先でもまた腕を振り上げ、冒険者たちをバラバラにしていた。
それは――あまりに一方的だった。
「なんだこれ……」
その時、俺たちの反対方向からアルゴグ目がけて、火球が飛んできた。
火球はアルゴグに直撃し、モンスターは火に包まれた。だが、アルゴグはそのままで冒険者たちへと、容赦のない攻撃を続けている。
「炎耐性アリか…厄介だねぇ~」
「俺も攻撃魔法を…!炎がダメなら……」
「ダメ!!」
「え……」
「今日は撤退になると思う。ノアが身を危険に晒す必要はないよ」
「でも…みんな戦ってるのに……」
「観察も立派な戦いだよ。考えるんだ……どうすればアイツを倒せるのか……攻撃を耐え抜くには、どう動くべきか……この魔法障壁の中はしばらくは安全だ。だからノア――今は、見ることに集中するんだ。他にもほら、そうして見ている者たちがいるよ。彼らは、わかってるんだ――」
何かの合図だろうか……
「みなさ~ん!アルゴグは先遣隊の誘導で現在こちらに向かっています!あと5分ほどで到着する予定です!準備をお願いしま~す!」
冒険者たちに、緊張が走る。多くの者たちが、慌ただしく戦闘の準備や、装備の確認を始めた。
「私たちギルドの者は安全確保のため、ここより少々距離を置いた場所で待機させていただきます!みなさん、アルゴグ討伐、よろしくお願いしま~す!」
「――これ、やばいんじゃないの?」
最初に気付いたのはジンだった。
「……おっさん、けっこう鋭いじゃん」
「俺の名前はジン!おっさんはやめてよ!」
何かが、来る――近づいている…
地鳴りが聞こえ始めたかと思うと、それはすぐに大きく響き渡るようになり、冒険者たちに動揺が走り始めた。
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「ここら辺でいいか…」
ニケは詠唱を始めた。
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「おい……まさか…あれか!?」
周りの冒険者たちの恐怖に引きつった声が、方々から聞こえ始めた。
巨大な土煙を上げながら、ソレは俺たち冒険者の集団めがけて突進していた。
「マースヴェール……」
俺たち4人を囲むように、ドーム状の光の膜が現れた。
「来るよ。この中から出ないでね…」
そのモンスター――アルゴグは、とうとう俺たちの前に姿を現した。
ソレは、巨大だった。くすんだ灰色の分厚い皮膚に覆われたモンスターの体高は、前世で見た6階建てのビルほどもありそうだった。獲物を嚙み殺すための牙を有し、狼のような獰猛な顔つきをしている。四足歩行で全長は体長の倍以上。その巨躯が、信じがたいほどの速度でこちらに突進してきた。
アルゴグは冒険者たちの集団を踏みつけにした後、隆々とした筋肉に覆われた腕を振り下ろし、十人余りの冒険者たちを宙に舞い上げた。
「……っ!」
「アレを食らったらひとたまりもないだろうね…」
ニケがボソボソと呟いている。
アルゴグは足に力を込めると、信じられないくらいの高さまで跳躍した。
そして、冒険者たちがひとかたまりになっている場所へと着地した。
「今の…どうやって避けたらいいんだ?」
アルゴグは着地先でもまた腕を振り上げ、冒険者たちをバラバラにしていた。
それは――あまりに一方的だった。
「なんだこれ……」
その時、俺たちの反対方向からアルゴグ目がけて、火球が飛んできた。
火球はアルゴグに直撃し、モンスターは火に包まれた。だが、アルゴグはそのままで冒険者たちへと、容赦のない攻撃を続けている。
「炎耐性アリか…厄介だねぇ~」
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「ダメ!!」
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「観察も立派な戦いだよ。考えるんだ……どうすればアイツを倒せるのか……攻撃を耐え抜くには、どう動くべきか……この魔法障壁の中はしばらくは安全だ。だからノア――今は、見ることに集中するんだ。他にもほら、そうして見ている者たちがいるよ。彼らは、わかってるんだ――」
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