某国の皇子、冒険者となる

くー

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第3章 定めに抗う者たち

13. 対話

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視界のきかない中、冒険者たちを焼き尽くさんと迫りくる炎。
反対方向へ、無我夢中で走り抜けた。


ここまでくれば――

足をとめた。

……三人の姿は、どこにもなかった。


「ウィルーー!ジンーー!ニケーー!」

幾度名を呼べども、仲間たちの返る声は届いてこない。
先のモンスターの絶叫で耳の調子が狂わされ、音が拾いにくくなっている。
冒険者たちの悲鳴や怒号、モンスターの止まぬ唸り声が満ち――周辺一帯は阿鼻叫喚の地獄と化していた。

突然、腹に衝撃を受け、からだが宙に浮き、吹き飛ばされ、既に絶命している冒険者の上へと放り出された。
「かっ……!」
吐血した。口に手を当てると、真っ赤な血で手のひらが染まっていた。

今のは、アラゴグの尾にでもかすったか……
動けず、からだを横たえると、恐怖を目に焼き付けながら死んいった名も知らぬ冒険者の虚ろな目と、視線がかち合う。

俺も、もうすぐこうなるのだろうか――



『異世界より招かれし者よ――こんなつまらぬところで、おまえは死ぬのか?』

その声は頭の中に直接響いてきたようだった。
首を動かし辺りを見回すと、きかない視界の中に、人影が揺らめくのが見えた。

その男は漆黒のローブに身を包んでいた。
背が高く、フードを目深に被っている。フードから覗く口元から、男は不健康そうな青白い肌に血の気の失せた薄い唇をしているのがわかった。

『生きたいか?だが――なんのためにお前は生きるのだ?』

生きたい――仲間のために。友のために。家族のために。そして、自分のために――

『平凡な答えだ……くだらぬ……』

俺は平凡だよ――だから、もっと……俺は生きたい。

『……才乏しき憐れな人間よ。おまえの望みはなんだ?』

力が欲しい。あの化け物を倒す力を――

『その望み、叶えてやろう……ただし――これは貸しだ』

男が俺に向かって手をかざすと、腹の痛みが消えた。
起き上がり、地を踏み、立ち上がる。
からだのどこかから、力があふれ出している。
視界が晴れた。
敵の姿がはっきりと見える。

ありったけの魔力を、アラゴグへと向けて放った。

いなくなれ――そう願いながら。




そして――



辺りは闇に包まれた。


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