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第6章 あなたは私の宝物
11. 最期
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この部屋とかあさまの眠る棺、そしてかあさま自身にも、命を長らえさせるための複雑な魔法をかけている。だから、この部屋から移動させることはできない。転移魔法をかけるなんて、とんでもない。
王宮を守る城壁は破壊され、宮殿内はずいぶんと慌ただしい。部屋の扉にはできるかぎりのめくらましや防御の魔法をかけてはいるが、いずれ突破されてしまうだろう……
「ずっと、そばにいるからね……かあさま」
部屋の外が一層騒がしくなってきた。
――ガンガンガンッ!
宮殿内のすべての他の扉と同じように、この部屋の扉も帝国兵たちに打ち破られんとしている。
――ドォォォンッ!
ついに扉は破られ、敵兵たちが部屋になだれ込んできた。
「何者だ!」
「それはこっちのセリフだよ」
「貴様、王族か?おとなしく降伏するならば、少しは生き延びられるぞ」
「それは寛大なことだね……」
「おい…貴様のうしろにある棺はなんだ」
「……これには、指一本触れさせないよ」
「なんだと!?」
兵士たちが武器を掲げて向かってきたので、魔法障壁を展開させる。
「クソッ!そんなもの、いつまでも持たんだろう」
そう――反撃の手段のないこの状況では、魔力が尽き、障壁がなくなればお終いだった。
王都を囲む城壁が破壊されたとき、すぐに衛兵へ塔にいるはずのノアを連れてくるようにと命じたが、塔の部屋はもぬけの空だったそうだ。
こんなときのために、ノアを閉じ込めておいたのに……逃げられちゃうなんてなぁ……
魔法障壁を打ち破らんとする、帝国兵らの猛攻に晒され、魔力は急激に消耗し、もうほとんど残っていない。
弓兵によって放たれた矢は、障壁に弾かれるはずだったが、その矢は違った。
障壁を突き抜け、目前に迫りくる矢の動きがやけにゆっくりと見えていた。しかし、からだを動かすことはできなかった。
かあさま――ごめんなさい。
「ニケッ……!」
何者かに、強い力で床に引き倒されていた。
甘くみずみずしい花の香りで鼻腔が満たされる。
うそだ――
「かあさま……?」
「ニケ……ケガはない?」
かあさまの胸からは――……
背から刺さった矢が貫通し、血に染まった矢じりが突き出ていた。
王宮を守る城壁は破壊され、宮殿内はずいぶんと慌ただしい。部屋の扉にはできるかぎりのめくらましや防御の魔法をかけてはいるが、いずれ突破されてしまうだろう……
「ずっと、そばにいるからね……かあさま」
部屋の外が一層騒がしくなってきた。
――ガンガンガンッ!
宮殿内のすべての他の扉と同じように、この部屋の扉も帝国兵たちに打ち破られんとしている。
――ドォォォンッ!
ついに扉は破られ、敵兵たちが部屋になだれ込んできた。
「何者だ!」
「それはこっちのセリフだよ」
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「それは寛大なことだね……」
「おい…貴様のうしろにある棺はなんだ」
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「なんだと!?」
兵士たちが武器を掲げて向かってきたので、魔法障壁を展開させる。
「クソッ!そんなもの、いつまでも持たんだろう」
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障壁を突き抜け、目前に迫りくる矢の動きがやけにゆっくりと見えていた。しかし、からだを動かすことはできなかった。
かあさま――ごめんなさい。
「ニケッ……!」
何者かに、強い力で床に引き倒されていた。
甘くみずみずしい花の香りで鼻腔が満たされる。
うそだ――
「かあさま……?」
「ニケ……ケガはない?」
かあさまの胸からは――……
背から刺さった矢が貫通し、血に染まった矢じりが突き出ていた。
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