某国の皇子、冒険者となる

くー

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第7章 命の代償

8. 夕食

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情報収集を終え、ミーカの診療所へ戻る頃にはすっかり日が暮れていた。そのため、ドラゴンの住処である東の山に向かうのは明日だ。
里の中心部近くの宿屋に部屋を取り、食事は宿の食堂で取ることになった。


「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」」

杯に注がれた蜂蜜酒を一気に飲み干した。

「おいおいノア、そんなにいっぺんに飲んで大丈夫か?」
右隣りに座っているウィルは相変わらず心配性だ。
「っはあ~!生き返るなあ」
「国は違えど、お酒はどこでもおいしいですねえ」
「料理もおいしいよ~。お、きたきた!」
サラダ、グラタン、ローストビーフに、なんとも言えない芳醇ないい香りのスープに浸かった煮込み料理――
しばらく船の上での保存食が中心だったので、ひさしぶりの手の込んだ料理にみんな喜び、会話は大いに弾んだ。


この雰囲気ならいけるかも――
俺はラウルスに、前々から気になっていたことを尋ねることにした。

「ラウルス。お願いがあるんだけど……」
左隣りに座るラウルスに小さめの声で話しかけた。

「なんでしょうか?」
「ラウルスの書いてる小説、読みたいなー……なんて」
「……ノアに読んでいただけるような出来ではありませんので」

ちぇ……やっぱり、すんなりとはいかないか――

「ちらっと読んだけど、ちゃんとした文章だったけどなあ」
「ど、どこで読まれたのですか!?」
「ふだんは亜空間魔法の中にしまってるんだろうけど……船室にお見舞いに行ったとき、ラウルスはもう寝ちゃってたんだよね。枕元の棚の上に置いてあったから、ちょっとだけこっそりと。ごめんね?」
「あ、ああ!あれは友人が書いたものです」
「そうなんだ。じゃあ、続きを読みたいから貸してもらってもいい?」
「………」
「今すぐお願い」
「……ノア、怪我人をいじめないでくださいますか」
「ごめんごめん♪」
「はあ……」
ラウルスは顔を手のひらで覆っている。

「やっぱりラウルスが書いたんじゃないか。そんなに俺には読まれたくないの?」
「そういうわけでは……とりあえず、落ち着いてからにしましょう。作品を私をよく知る人に読まれるというのは、実は苦手でして……」
「じゃあ……怪我が治ってから、なら貸してくれる?」

ラウルスの眉間の皺がいつもより深く刻まれている……

「やっぱり……俺に読まれるの、嫌なんだ……俺、城の家庭教師からもあまり覚えがよくない、兄上と比べ物にならないって、遠回しだけどよく嫌味言われてたんだ……そんな俺にラウルスの小説のよさなんかわかりっこないよね……」
「ノ、ノア……そういうことではなくてですね」
「じゃあ、読ませてくれる?」
「……はい。お約束いたします」
「やった!約束だからね!!」

――勝った。

ラウルスは深い溜め息を吐いている。

楽しみがひとつ増えた♪
明日からますます、がんばらないとな――



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