9 / 20
第9話『社交界への招待状』
しおりを挟む
建国記念の大夜会まで、残すところあと一日となりました。
王都にある辺境伯家の別邸は、嵐の前の静けさに包まれていました。 手入れが行き届いた庭園には、小鳥のさえずりが響き、窓からは穏やかな日差しが差し込んでいます。
しかし、一歩屋敷の外に出れば、そこは魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈する社交界という名の戦場です。 王都中の貴族たちが、明日の夜会に向けて着々と準備を進め、あるいは敵対者を蹴落とすための策謀を巡らせているのです。
「……旦那様、ネクタイが曲がっておりますわ」
私は、姿見の前で身支度を整えているジークハルト様に近づき、首元のクラバットを直しました。
今日の彼は、王城へ事前の挨拶回りに行くために、正装をしています。 漆黒のフロックコートに、銀の刺繍が施されたベスト。 そして顔には、いつもの鉄仮面。 その威圧感たるや、魔王が人間界の視察に行くような趣です。
「ああ、すまない。……どうも、王都の空気は肌に合わん。ネクタイ一つでさえ、首を締め付ける鎖のように感じる」
ジークハルト様は不快そうに首を振りました。 彼の魔力は、王都に充満する雑多な欲望や悪意に敏感に反応してしまうのです。 屋敷の中では私の「魔力無効化」効果で安定していますが、外に出れば再びストレスとの戦いになります。
「ご無理はなさらないでくださいね。もし誰かが失礼なことを言ったら、コッソリ教えてください。後で私が、その方の家の庭に雑草の種を蒔いておきますから」
私が冗談めかして言うと、仮面の奥からクックッという低い笑い声が聞こえました。
「それは恐ろしい報復だ。……だが、俺にはお前という最強の盾がある。誰も俺の心を傷つけることはできんよ」
彼は私の手を取り、革手袋越しに甲へとキスを落としました。
「行ってくる。夜までには戻るから、大人しく待っていてくれ。……間違っても、勝手に実家に行ったりするなよ」
「行きませんよ。あんな家、もう私の記憶の中では『更地』になっていますから」
「はは、頼もしいな」
ジークハルト様は機嫌よく笑い、護衛の騎士たちを引き連れて出かけていきました。 その背中を見送りながら、私はふっと表情を引き締めました。
旦那様は、私に心配をかけまいとして気丈に振る舞っていますが、王城での風当たりが強いことは想像に難くありません。 「北の化け物」を心よく思わない保守派の貴族たちは、ここぞとばかりに嫌味を言ったり、無視を決め込んだりするでしょう。
(私も、戦わなくては)
私は拳を握りしめました。 明日の夜会は、ただのお披露目ではありません。 ジークハルト様の名誉を回復し、私たちが「幸せな夫婦」であることを証明するための決戦の場なのです。
◇
一方その頃。 王都の貴族街の一角にある、伯爵家のタウンハウス。
そこには、かつての栄華の面影もなく、どんよりとした空気が淀んでいました。
「どういうことなのよ! 新しいドレスが買えないって!」
金切り声とともに、重そうな花瓶が壁に叩きつけられました。 ガシャン!という破壊音。
部屋の中で暴れ回っているのは、私の妹、マリアです。 美しい金髪は振り乱れ、青い瞳は血走っていました。 床には、破られたカタログや、散乱した宝石箱が転がっています。
「お、落ち着きなさい、マリア。今、資金繰りをどうにかしようとしているところで……」
父がオロオロとなだめようとしますが、マリアの怒りは収まりません。
「うるさい! お父様の役立たず! 明日は夜会なのよ!? 国中の貴族が集まる、一番大事な日なのよ!? なのに、去年のドレスを着ていけって言うの!?」
「しかしなぁ……北の辺境伯からの援助が切れてしまって、我が家にはもう現金が……」
「だったら借金すればいいじゃない! 領地の一部を売るとか、なんとかしなさいよ!」
マリアはヒステリックに叫び、ソファーのクッションを引き裂きました。
伯爵家の財政は、火の車でした。 私が身代わり婚で家を出た際、ジークハルト様から支払われた多額の支度金。 本来なら、それを借金の返済や領地の経営に充てるべきでした。 しかし、マリアと義母はそれを「臨時収入」と勘違いし、湯水のように浪費してしまったのです。
新しい馬車、宝石、毎日のように開くお茶会。 お金なんて、湧いてくるものだと思っていたのでしょう。 そのツケが、今、最悪のタイミングで回ってきていました。
「ああ、許せない……許せないわ、エルサ……!」
マリアは爪を噛みながら、憎悪に満ちた声で唸りました。
「あの地味で能無しのお姉様が、辺境伯夫人? ふざけないでよ。その座は、本来ならこの私が座るはずだったのよ! 私が北に行って、ちやほやされて、莫大な富を手に入れるはずだったのに!」
彼女の記憶の中では、すでに事実は歪曲されていました。 自分が「行きたくない」と泣き叫んで姉を押し付けたことなど忘れ去り、「姉に騙されて幸福な結婚の権利を奪われた」という被害妄想にすり替わっているのです。
「奥様、お嬢様……。お客様がお見えです」
怯えた様子のメイドが、部屋の入り口から声をかけました。
「誰よ! 今、機嫌が悪いって見てわからないの!?」
「そ、それが……お嬢様がお呼びになった、薬師の方だと……」
その言葉を聞いた瞬間、マリアの表情が変わりました。 激情がすっと引き、代わりに爬虫類のような冷たく粘着質な笑みが浮かび上がります。
「……通して。すぐに」
部屋に入ってきたのは、全身を鼠色のローブで覆った、小柄な男でした。 顔は見えませんが、鼻を突くような薬品の臭いと、不気味な魔力の気配を漂わせています。 明らかに、まともな商売人ではありません。 裏社会の人間、あるいは禁忌とされる闇魔法の研究者。
「ヒヒッ……ごきげんよう、麗しのマリアお嬢様」
男は卑屈な笑い声を上げ、マリアの前に跪きました。
「例のモノ、ご用意できましたよ」
「本当!?」
マリアが目を輝かせて身を乗り出しました。
男は懐から、小さな小瓶を取り出しました。 手のひらに収まるほどの、ガラスの瓶。 中には、妖しくピンク色に光る液体が入っています。 それは液体というよりは、生き物のようにドロドロと蠢いていました。
「これが……『魅了の香水(チャーム・パフューム)』?」
「ええ、左様でございます。しかも、ただの魅了薬ではありません。古代の遺跡から発掘された、禁断の秘薬……その名も『愛欲の檻』」
男は小瓶を光にかざし、うっとりと説明しました。
「これを一振りすれば、どんなに意志の強い男でも、理性を失い、本能のままに貴女様を求めるようになるでしょう。たとえ相手が聖職者だろうと、国王だろうと……あるいは、人外の魔力を持つ者だろうとね」
「人外の……」
マリアはごくりと唾を飲み込みました。 彼女の脳裏に浮かぶのは、北の辺境伯、ジークハルトの姿です。 噂では恐ろしい化け物とされていますが、最近の王都では「実は絶世の美男子らしい」という噂もまことしやかに囁かれています。
もし、その噂が本当なら。 そして、その彼をこの薬で意のままに操ることができれば。
莫大な財産も、強大な権力も、すべてマリアのものになります。 そして、姉のエルサを目の前で捨てさせ、絶望のどん底に叩き落とすこともできるのです。
「……素晴らしいわ」
マリアは震える手で小瓶を受け取りました。 冷たいガラスの感触。 その奥に潜む、甘く危険な誘惑。
「ただし、ご注意を」
男が声を低くしました。
「効果が強力すぎるあまり、副作用もございます。相手の魔力が強ければ強いほど、理性が飛んだ時の反動も大きい。最悪の場合……暴走して、周囲を破壊し尽くすかもしれません」
「あら、そんなのどうでもいいわ」
マリアはケラケラと笑いました。
「私さえ愛してくれれば、周りがどうなろうと知ったことじゃないもの。壊れたら壊れたで、また新しいのを買えばいいわ」
彼女の瞳には、狂気の色が宿っていました。 もはや、正常な判断能力は失われています。 あるのは、姉への嫉妬と、自分だけが特別でありたいという肥大化した自己愛だけ。
「それに、もし暴走したら……それはそれで見ものじゃない? 『やっぱりあの男は化け物だった』って、みんなが納得するわ。そうしたら、私が『可哀想な被害者』として同情を集められるし」
「ヒヒッ……さすがお嬢様。悪魔も裸足で逃げ出しそうだ」
男は満足げに笑い、報酬の金貨袋を受け取ると、影のように消え去りました。
部屋に残されたマリアは、小瓶を胸に抱きしめ、恍惚とした表情で天井を見上げました。
「待っていてね、お姉様。明日の夜会は、私のためのステージよ。貴女には、せいぜい『引き立て役』として、惨めに這いつくばってもらうから」
彼女の歪んだ笑い声が、没落寸前の屋敷に虚しく響き渡りました。
◇
夜会当日の朝。 私は、小鳥のさえずりではなく、ジークハルト様の熱い抱擁で目を覚ましました。
「……おはよう、エルサ」
「……んぅ、おはようございます、旦那様。苦しいです……」
朝から全開の溺愛モードです。 彼は昨夜、遅くまで王城での根回しをしていたはずなのに、疲れも見せず爽やかな笑顔(ただし目は本気)で私を見つめています。
「いよいよ今日だな」
彼は私の髪を梳きながら、真剣な眼差しになりました。
「昨日の挨拶回りで、大体の敵味方は判別できた。……やはり、伯爵家と繋がりのある派閥が、何か仕掛けてくる気配がある」
「そうですか……」
「だが、心配するな。俺がすべて弾き返す。お前はただ、俺の隣で笑っていてくれればいい」
「はい。……でも、旦那様」
私は彼の方を向き、その頬に手を添えました。
「守られるだけなのは嫌です。私も、貴方様の妻として、一緒に戦います。私の『武器』で」
「お前の武器?」
「ええ。このドレスと、貴方様が愛してくれたこの笑顔です」
私がニッコリと笑うと、ジークハルト様は一瞬動きを止め、それから愛おしさに耐えきれないように私を抱きしめました。
「……ああ、本当に。お前には敵わないな」
◇
夕刻。 身支度の時間になりました。
数人の侍女たちが、恭しく「星屑のドレス」を運んできます。 深い夜の色をしたそのドレスは、部屋の灯りを受けてキラキラと輝き、まるで宇宙そのものを切り取ってきたかのようでした。
「さあ、奥様。最高に美しく仕上げさせていただきます」
侍女たちの手によって、私は生まれ変わっていきました。 髪は複雑に編み込まれ、ダイヤモンドの髪飾りが散りばめられます。 肌には真珠の粉を混ぜたパウダーがはたかれ、陶器のような光沢を帯びます。 そして、最後にドレスに袖を通すと……。
鏡の中にいたのは、私ではありませんでした。 かつて「地味」「灰色の娘」と呼ばれた少女の面影はどこにもありません。 そこに立っていたのは、夜の女神のような気品と、内側から溢れ出る自信を纏った、一人の女性でした。
「……これが、私?」
「はい、奥様。世界で一番お美しいです」
侍女たちが涙ぐみながら拍手をしてくれました。
そこへ、準備を終えたジークハルト様が入ってきました。 彼は、漆黒の礼服に身を包み、肩には辺境伯家の証である黒いマントを羽織っています。 顔には、装飾の施された儀礼用の仮面。 その姿は、恐ろしいというよりは、神秘的で厳格な美しさを湛えていました。
彼は私を見た瞬間、入り口で立ち尽くしました。
「……」
「旦那様? あの、似合いませんか?」
私が不安になって尋ねると、彼はハッとして、ゆっくりと近づいてきました。
「……言葉が出ないというのは、こういうことを言うのだな」
彼は私の前に跪き、ドレスの裾に恭しく口づけをしました。
「美しい。俺の想像を遥かに超えている。……これでは、会場中の男がお前に恋をしてしまうだろう。やはり、俺だけの檻に閉じ込めておきたい気分だ」
「もう、またそんなことを。私が恋をしているのは、貴方様だけですよ」
「知っている。だが、不安になるほど綺麗なんだ」
彼は立ち上がり、私の手を取りました。
「行こう、エルサ。俺たちの戦場へ」
◇
王城の大広間は、すでに数百人の貴族たちで埋め尽くされていました。 シャンデリアの輝き、グラスが触れ合う音、楽団の奏でるワルツ。 むせ返るような熱気と香水の匂い。
しかし、入り口の衛兵が高らかに告げた瞬間、その喧騒が一瞬にして静まり返りました。
「北の守護者、ジークハルト辺境伯閣下! ならびに、辺境伯夫人、エルサ様ご入場!」
重厚な扉が、ギギギ……と音を立てて開きます。
すべての視線が、私たちに注がれました。 好奇心、恐怖、嘲笑、嫉妬。 様々な感情がないまぜになった視線の槍。
しかし、私たちは怯みませんでした。 ジークハルト様は私の腰に手を回し、堂々と胸を張って歩き出しました。 私も背筋を伸ばし、彼の隣を歩きます。
ザッ、ザッ、ザッ。
私たちの足音が、静寂に包まれた広間に響きます。
「あれが……ジークハルト辺境伯?」 「なんと禍々しいオーラだ……やはり仮面をつけている」 「でも、見ろよ。隣の女性を」 「なんて……美しいんだ」
ざわめきが、波紋のように広がっていきました。 最初はジークハルト様の異形さに向けられていた視線が、次第に私へと、そして二人の間に流れる「圧倒的な空気感」へと移っていきます。
私の星屑のドレスが、シャンデリアの光を反射して煌めきました。 ジークハルト様の漆黒のマントが、闇のようにそれを引き立てます。 光と闇。 対照的でありながら、完全に調和した二人の姿は、見る者を圧倒する迫力を持っていました。
「ふん。雑魚どもが」
ジークハルト様が、私にだけ聞こえる声で囁きました。 仮面の奥の瞳は、周囲の有象無象など意に介していません。
私たちは広間の中央まで進み、そこで足を止めました。 そこは、ダンスホールの中心であり、今夜の主役が立つべき場所。
すると、人垣が割れ、向こう側から数人の人物が近づいてきました。
派手なピンク色のドレスを着た、金髪の少女。 そして、その両脇を固める、高慢そうな中年夫婦。
マリアと、父、義母でした。
マリアの目は、私を見た瞬間、驚愕に見開かれました。 そして次に、どす黒い嫉妬の炎が燃え上がりました。
「……エルサ」
彼女の唇が動きました。 声には出していませんが、その形ははっきりと読み取れました。
『死ねばいいのに』
彼女の手には、扇子が握られていました。 しかし、その扇子の影に、小さなガラスの小瓶が隠されていることを、私はまだ知りませんでした。
「ごきげんよう、お姉様」
マリアが、作り笑顔を張り付けて近づいてきました。 その声は甘ったるく、毒を含んでいます。
「まさか、本当にいらっしゃるとは思いませんでしたわ。てっきり、北の寒さで凍えて、見るも無残な姿になっているかと思いましたのに」
周囲の貴族たちが、息を呑んで見守ります。 身代わり婚の噂は、すでに周知の事実。 捨てられた姉と、奪った妹の対決。 これ以上の見世物はありません。
私は、マリアの挑発を柳のように受け流しました。 そして、優雅に扇を開き、口元を隠して微笑みました。
「ええ、ごきげんよう、マリア。心配してくれてありがとう。でも、見ての通り、私はとても幸せよ。だって、こんなに素敵な旦那様に愛されていますもの」
私はジークハルト様の腕に、ギュッとしがみつきました。 それだけで、ジークハルト様から「愛の波動」が放出され、周囲の空気が甘く震えます。
マリアの笑顔が引きつりました。
「……ふん。仮面をつけた化け物のどこがいいのやら。強がりもいい加減になさったら?」
「化け物ではありません。私の最愛の人です」
きっぱりと言い放つ私に、マリアの額に青筋が浮かびました。 彼女の指が、隠し持った小瓶の蓋にかかります。
いよいよ、開戦の合図です。 この夜会は、ただのダンスパーティーでは終わりそうにありません。
ジークハルト様が、私の肩を抱く手に力を込めました。 『いつでもやれるぞ』という合図です。
さあ、マリア。 あなたの浅はかな悪意が勝つか。 私たちの愛の絆が勝つか。 勝負の時は、今です。
王都にある辺境伯家の別邸は、嵐の前の静けさに包まれていました。 手入れが行き届いた庭園には、小鳥のさえずりが響き、窓からは穏やかな日差しが差し込んでいます。
しかし、一歩屋敷の外に出れば、そこは魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈する社交界という名の戦場です。 王都中の貴族たちが、明日の夜会に向けて着々と準備を進め、あるいは敵対者を蹴落とすための策謀を巡らせているのです。
「……旦那様、ネクタイが曲がっておりますわ」
私は、姿見の前で身支度を整えているジークハルト様に近づき、首元のクラバットを直しました。
今日の彼は、王城へ事前の挨拶回りに行くために、正装をしています。 漆黒のフロックコートに、銀の刺繍が施されたベスト。 そして顔には、いつもの鉄仮面。 その威圧感たるや、魔王が人間界の視察に行くような趣です。
「ああ、すまない。……どうも、王都の空気は肌に合わん。ネクタイ一つでさえ、首を締め付ける鎖のように感じる」
ジークハルト様は不快そうに首を振りました。 彼の魔力は、王都に充満する雑多な欲望や悪意に敏感に反応してしまうのです。 屋敷の中では私の「魔力無効化」効果で安定していますが、外に出れば再びストレスとの戦いになります。
「ご無理はなさらないでくださいね。もし誰かが失礼なことを言ったら、コッソリ教えてください。後で私が、その方の家の庭に雑草の種を蒔いておきますから」
私が冗談めかして言うと、仮面の奥からクックッという低い笑い声が聞こえました。
「それは恐ろしい報復だ。……だが、俺にはお前という最強の盾がある。誰も俺の心を傷つけることはできんよ」
彼は私の手を取り、革手袋越しに甲へとキスを落としました。
「行ってくる。夜までには戻るから、大人しく待っていてくれ。……間違っても、勝手に実家に行ったりするなよ」
「行きませんよ。あんな家、もう私の記憶の中では『更地』になっていますから」
「はは、頼もしいな」
ジークハルト様は機嫌よく笑い、護衛の騎士たちを引き連れて出かけていきました。 その背中を見送りながら、私はふっと表情を引き締めました。
旦那様は、私に心配をかけまいとして気丈に振る舞っていますが、王城での風当たりが強いことは想像に難くありません。 「北の化け物」を心よく思わない保守派の貴族たちは、ここぞとばかりに嫌味を言ったり、無視を決め込んだりするでしょう。
(私も、戦わなくては)
私は拳を握りしめました。 明日の夜会は、ただのお披露目ではありません。 ジークハルト様の名誉を回復し、私たちが「幸せな夫婦」であることを証明するための決戦の場なのです。
◇
一方その頃。 王都の貴族街の一角にある、伯爵家のタウンハウス。
そこには、かつての栄華の面影もなく、どんよりとした空気が淀んでいました。
「どういうことなのよ! 新しいドレスが買えないって!」
金切り声とともに、重そうな花瓶が壁に叩きつけられました。 ガシャン!という破壊音。
部屋の中で暴れ回っているのは、私の妹、マリアです。 美しい金髪は振り乱れ、青い瞳は血走っていました。 床には、破られたカタログや、散乱した宝石箱が転がっています。
「お、落ち着きなさい、マリア。今、資金繰りをどうにかしようとしているところで……」
父がオロオロとなだめようとしますが、マリアの怒りは収まりません。
「うるさい! お父様の役立たず! 明日は夜会なのよ!? 国中の貴族が集まる、一番大事な日なのよ!? なのに、去年のドレスを着ていけって言うの!?」
「しかしなぁ……北の辺境伯からの援助が切れてしまって、我が家にはもう現金が……」
「だったら借金すればいいじゃない! 領地の一部を売るとか、なんとかしなさいよ!」
マリアはヒステリックに叫び、ソファーのクッションを引き裂きました。
伯爵家の財政は、火の車でした。 私が身代わり婚で家を出た際、ジークハルト様から支払われた多額の支度金。 本来なら、それを借金の返済や領地の経営に充てるべきでした。 しかし、マリアと義母はそれを「臨時収入」と勘違いし、湯水のように浪費してしまったのです。
新しい馬車、宝石、毎日のように開くお茶会。 お金なんて、湧いてくるものだと思っていたのでしょう。 そのツケが、今、最悪のタイミングで回ってきていました。
「ああ、許せない……許せないわ、エルサ……!」
マリアは爪を噛みながら、憎悪に満ちた声で唸りました。
「あの地味で能無しのお姉様が、辺境伯夫人? ふざけないでよ。その座は、本来ならこの私が座るはずだったのよ! 私が北に行って、ちやほやされて、莫大な富を手に入れるはずだったのに!」
彼女の記憶の中では、すでに事実は歪曲されていました。 自分が「行きたくない」と泣き叫んで姉を押し付けたことなど忘れ去り、「姉に騙されて幸福な結婚の権利を奪われた」という被害妄想にすり替わっているのです。
「奥様、お嬢様……。お客様がお見えです」
怯えた様子のメイドが、部屋の入り口から声をかけました。
「誰よ! 今、機嫌が悪いって見てわからないの!?」
「そ、それが……お嬢様がお呼びになった、薬師の方だと……」
その言葉を聞いた瞬間、マリアの表情が変わりました。 激情がすっと引き、代わりに爬虫類のような冷たく粘着質な笑みが浮かび上がります。
「……通して。すぐに」
部屋に入ってきたのは、全身を鼠色のローブで覆った、小柄な男でした。 顔は見えませんが、鼻を突くような薬品の臭いと、不気味な魔力の気配を漂わせています。 明らかに、まともな商売人ではありません。 裏社会の人間、あるいは禁忌とされる闇魔法の研究者。
「ヒヒッ……ごきげんよう、麗しのマリアお嬢様」
男は卑屈な笑い声を上げ、マリアの前に跪きました。
「例のモノ、ご用意できましたよ」
「本当!?」
マリアが目を輝かせて身を乗り出しました。
男は懐から、小さな小瓶を取り出しました。 手のひらに収まるほどの、ガラスの瓶。 中には、妖しくピンク色に光る液体が入っています。 それは液体というよりは、生き物のようにドロドロと蠢いていました。
「これが……『魅了の香水(チャーム・パフューム)』?」
「ええ、左様でございます。しかも、ただの魅了薬ではありません。古代の遺跡から発掘された、禁断の秘薬……その名も『愛欲の檻』」
男は小瓶を光にかざし、うっとりと説明しました。
「これを一振りすれば、どんなに意志の強い男でも、理性を失い、本能のままに貴女様を求めるようになるでしょう。たとえ相手が聖職者だろうと、国王だろうと……あるいは、人外の魔力を持つ者だろうとね」
「人外の……」
マリアはごくりと唾を飲み込みました。 彼女の脳裏に浮かぶのは、北の辺境伯、ジークハルトの姿です。 噂では恐ろしい化け物とされていますが、最近の王都では「実は絶世の美男子らしい」という噂もまことしやかに囁かれています。
もし、その噂が本当なら。 そして、その彼をこの薬で意のままに操ることができれば。
莫大な財産も、強大な権力も、すべてマリアのものになります。 そして、姉のエルサを目の前で捨てさせ、絶望のどん底に叩き落とすこともできるのです。
「……素晴らしいわ」
マリアは震える手で小瓶を受け取りました。 冷たいガラスの感触。 その奥に潜む、甘く危険な誘惑。
「ただし、ご注意を」
男が声を低くしました。
「効果が強力すぎるあまり、副作用もございます。相手の魔力が強ければ強いほど、理性が飛んだ時の反動も大きい。最悪の場合……暴走して、周囲を破壊し尽くすかもしれません」
「あら、そんなのどうでもいいわ」
マリアはケラケラと笑いました。
「私さえ愛してくれれば、周りがどうなろうと知ったことじゃないもの。壊れたら壊れたで、また新しいのを買えばいいわ」
彼女の瞳には、狂気の色が宿っていました。 もはや、正常な判断能力は失われています。 あるのは、姉への嫉妬と、自分だけが特別でありたいという肥大化した自己愛だけ。
「それに、もし暴走したら……それはそれで見ものじゃない? 『やっぱりあの男は化け物だった』って、みんなが納得するわ。そうしたら、私が『可哀想な被害者』として同情を集められるし」
「ヒヒッ……さすがお嬢様。悪魔も裸足で逃げ出しそうだ」
男は満足げに笑い、報酬の金貨袋を受け取ると、影のように消え去りました。
部屋に残されたマリアは、小瓶を胸に抱きしめ、恍惚とした表情で天井を見上げました。
「待っていてね、お姉様。明日の夜会は、私のためのステージよ。貴女には、せいぜい『引き立て役』として、惨めに這いつくばってもらうから」
彼女の歪んだ笑い声が、没落寸前の屋敷に虚しく響き渡りました。
◇
夜会当日の朝。 私は、小鳥のさえずりではなく、ジークハルト様の熱い抱擁で目を覚ましました。
「……おはよう、エルサ」
「……んぅ、おはようございます、旦那様。苦しいです……」
朝から全開の溺愛モードです。 彼は昨夜、遅くまで王城での根回しをしていたはずなのに、疲れも見せず爽やかな笑顔(ただし目は本気)で私を見つめています。
「いよいよ今日だな」
彼は私の髪を梳きながら、真剣な眼差しになりました。
「昨日の挨拶回りで、大体の敵味方は判別できた。……やはり、伯爵家と繋がりのある派閥が、何か仕掛けてくる気配がある」
「そうですか……」
「だが、心配するな。俺がすべて弾き返す。お前はただ、俺の隣で笑っていてくれればいい」
「はい。……でも、旦那様」
私は彼の方を向き、その頬に手を添えました。
「守られるだけなのは嫌です。私も、貴方様の妻として、一緒に戦います。私の『武器』で」
「お前の武器?」
「ええ。このドレスと、貴方様が愛してくれたこの笑顔です」
私がニッコリと笑うと、ジークハルト様は一瞬動きを止め、それから愛おしさに耐えきれないように私を抱きしめました。
「……ああ、本当に。お前には敵わないな」
◇
夕刻。 身支度の時間になりました。
数人の侍女たちが、恭しく「星屑のドレス」を運んできます。 深い夜の色をしたそのドレスは、部屋の灯りを受けてキラキラと輝き、まるで宇宙そのものを切り取ってきたかのようでした。
「さあ、奥様。最高に美しく仕上げさせていただきます」
侍女たちの手によって、私は生まれ変わっていきました。 髪は複雑に編み込まれ、ダイヤモンドの髪飾りが散りばめられます。 肌には真珠の粉を混ぜたパウダーがはたかれ、陶器のような光沢を帯びます。 そして、最後にドレスに袖を通すと……。
鏡の中にいたのは、私ではありませんでした。 かつて「地味」「灰色の娘」と呼ばれた少女の面影はどこにもありません。 そこに立っていたのは、夜の女神のような気品と、内側から溢れ出る自信を纏った、一人の女性でした。
「……これが、私?」
「はい、奥様。世界で一番お美しいです」
侍女たちが涙ぐみながら拍手をしてくれました。
そこへ、準備を終えたジークハルト様が入ってきました。 彼は、漆黒の礼服に身を包み、肩には辺境伯家の証である黒いマントを羽織っています。 顔には、装飾の施された儀礼用の仮面。 その姿は、恐ろしいというよりは、神秘的で厳格な美しさを湛えていました。
彼は私を見た瞬間、入り口で立ち尽くしました。
「……」
「旦那様? あの、似合いませんか?」
私が不安になって尋ねると、彼はハッとして、ゆっくりと近づいてきました。
「……言葉が出ないというのは、こういうことを言うのだな」
彼は私の前に跪き、ドレスの裾に恭しく口づけをしました。
「美しい。俺の想像を遥かに超えている。……これでは、会場中の男がお前に恋をしてしまうだろう。やはり、俺だけの檻に閉じ込めておきたい気分だ」
「もう、またそんなことを。私が恋をしているのは、貴方様だけですよ」
「知っている。だが、不安になるほど綺麗なんだ」
彼は立ち上がり、私の手を取りました。
「行こう、エルサ。俺たちの戦場へ」
◇
王城の大広間は、すでに数百人の貴族たちで埋め尽くされていました。 シャンデリアの輝き、グラスが触れ合う音、楽団の奏でるワルツ。 むせ返るような熱気と香水の匂い。
しかし、入り口の衛兵が高らかに告げた瞬間、その喧騒が一瞬にして静まり返りました。
「北の守護者、ジークハルト辺境伯閣下! ならびに、辺境伯夫人、エルサ様ご入場!」
重厚な扉が、ギギギ……と音を立てて開きます。
すべての視線が、私たちに注がれました。 好奇心、恐怖、嘲笑、嫉妬。 様々な感情がないまぜになった視線の槍。
しかし、私たちは怯みませんでした。 ジークハルト様は私の腰に手を回し、堂々と胸を張って歩き出しました。 私も背筋を伸ばし、彼の隣を歩きます。
ザッ、ザッ、ザッ。
私たちの足音が、静寂に包まれた広間に響きます。
「あれが……ジークハルト辺境伯?」 「なんと禍々しいオーラだ……やはり仮面をつけている」 「でも、見ろよ。隣の女性を」 「なんて……美しいんだ」
ざわめきが、波紋のように広がっていきました。 最初はジークハルト様の異形さに向けられていた視線が、次第に私へと、そして二人の間に流れる「圧倒的な空気感」へと移っていきます。
私の星屑のドレスが、シャンデリアの光を反射して煌めきました。 ジークハルト様の漆黒のマントが、闇のようにそれを引き立てます。 光と闇。 対照的でありながら、完全に調和した二人の姿は、見る者を圧倒する迫力を持っていました。
「ふん。雑魚どもが」
ジークハルト様が、私にだけ聞こえる声で囁きました。 仮面の奥の瞳は、周囲の有象無象など意に介していません。
私たちは広間の中央まで進み、そこで足を止めました。 そこは、ダンスホールの中心であり、今夜の主役が立つべき場所。
すると、人垣が割れ、向こう側から数人の人物が近づいてきました。
派手なピンク色のドレスを着た、金髪の少女。 そして、その両脇を固める、高慢そうな中年夫婦。
マリアと、父、義母でした。
マリアの目は、私を見た瞬間、驚愕に見開かれました。 そして次に、どす黒い嫉妬の炎が燃え上がりました。
「……エルサ」
彼女の唇が動きました。 声には出していませんが、その形ははっきりと読み取れました。
『死ねばいいのに』
彼女の手には、扇子が握られていました。 しかし、その扇子の影に、小さなガラスの小瓶が隠されていることを、私はまだ知りませんでした。
「ごきげんよう、お姉様」
マリアが、作り笑顔を張り付けて近づいてきました。 その声は甘ったるく、毒を含んでいます。
「まさか、本当にいらっしゃるとは思いませんでしたわ。てっきり、北の寒さで凍えて、見るも無残な姿になっているかと思いましたのに」
周囲の貴族たちが、息を呑んで見守ります。 身代わり婚の噂は、すでに周知の事実。 捨てられた姉と、奪った妹の対決。 これ以上の見世物はありません。
私は、マリアの挑発を柳のように受け流しました。 そして、優雅に扇を開き、口元を隠して微笑みました。
「ええ、ごきげんよう、マリア。心配してくれてありがとう。でも、見ての通り、私はとても幸せよ。だって、こんなに素敵な旦那様に愛されていますもの」
私はジークハルト様の腕に、ギュッとしがみつきました。 それだけで、ジークハルト様から「愛の波動」が放出され、周囲の空気が甘く震えます。
マリアの笑顔が引きつりました。
「……ふん。仮面をつけた化け物のどこがいいのやら。強がりもいい加減になさったら?」
「化け物ではありません。私の最愛の人です」
きっぱりと言い放つ私に、マリアの額に青筋が浮かびました。 彼女の指が、隠し持った小瓶の蓋にかかります。
いよいよ、開戦の合図です。 この夜会は、ただのダンスパーティーでは終わりそうにありません。
ジークハルト様が、私の肩を抱く手に力を込めました。 『いつでもやれるぞ』という合図です。
さあ、マリア。 あなたの浅はかな悪意が勝つか。 私たちの愛の絆が勝つか。 勝負の時は、今です。
576
あなたにおすすめの小説
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
婚約破棄から50年後
あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。
そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
不貞の子を身籠ったと夫に追い出されました。生まれた子供は『精霊のいとし子』のようです。
桧山 紗綺
恋愛
【完結】嫁いで5年。子供を身籠ったら追い出されました。不貞なんてしていないと言っても聞く耳をもちません。生まれた子は間違いなく夫の子です。夫の子……ですが。 私、離婚された方が良いのではないでしょうか。
戻ってきた実家で子供たちと幸せに暮らしていきます。
『精霊のいとし子』と呼ばれる存在を授かった主人公の、可愛い子供たちとの暮らしと新しい恋とか愛とかのお話です。
※※番外編も完結しました。番外編は色々な視点で書いてます。
時系列も結構バラバラに本編の間の話や本編後の色々な出来事を書きました。
一通り主人公の周りの視点で書けたかな、と。
番外編の方が本編よりも長いです。
気がついたら10万文字を超えていました。
随分と長くなりましたが、お付き合いくださってありがとうございました!
神託の聖女様~偽義妹を置き去りにすることにしました
青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。
それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
悲報!地味系令嬢、学園一のモテ男に「嘘の告白」をされる。
恋せよ恋
恋愛
「君のひたむきさに心打たれた」
学園の王子様、マーロン侯爵令息から突然の告白。
けれどそれは、退屈な優等生である彼が仕掛けた「罰ゲーム」だった。
ターゲットにされたのは、地味で貧乏な子爵令嬢・サブリナ。
彼女は震える声で告白を受け入れるが――眼鏡の奥の瞳は、冷徹に利益を計算していた。
(侯爵家の独占契約……手に入れたも同然だわ!)
実は、サブリナの正体は王都で話題の「エアハート商会」を率いる敏腕マネージャー。
「嘘の告白」をした男と、「嘘の快諾」をした女。
互いに利用し合うつもりが、いつの間にか本気に……?
お互いの本性を隠したまま進む、腹黒×腹黒の騙し合いラブコメディ!
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして
みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。
きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。
私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。
だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。
なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて?
全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです!
※「小説家になろう」様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる