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第一章その1 ~始めよう日本奪還~ 少年たちの苦難編
姫様は成敗がお好き
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コマは全速力で駆け寄ると、鶴の肩に飛び乗った。
「ええい、こうなったら予定変更だ! 難しい話は後にして、君が興味を持ちそうな物から説明するよ!」
「私の興味?」
「まずビラ配りをやめろっ、どこで印刷してきたんだ。いいかい、君の魂には色んな神器が組み込まれてるから、念じれば出てくるんだ。やってみて、そしてビラ配りをやめろ!」
鶴は渋々言う通りにするのだったが、その瞬間、手の中に四角いタブレット画面が現れた。縦は20センチ、横は30センチぐらいで、厚さは5ミリ程度である。
「まあ!」
鶴は気に入ったのか、手品師のようなポーズをとっては、何度も消したり出したりしている。
「しめしめ、これはいいものだわ。隠し芸に使えるわよ」
「隠さなくていいから、画面に触ってみな。それが今生の君が使う神器の1つさ。ちゃんと現代風のタブレットになってるから、持ってても怪しまれないだろ」
画面には色々なアイコンが表示されていた。天罰メニュー、地図機能、探し物モード、悪人成敗モードなどなど。
「じゃあこれね、悪人成敗モード、と。決めゼリフの一覧とか、悪人の罪状一覧とか……あっ、分かりやすい霊界予備校の映像授業があるわ」
鶴がそれを選択すると、ジャジャーンと大げさな効果音が響いて、画面には見目麗しい女性が現れた。
彼女は黒板の前で指示棒を握っている。長い黒髪、着物に良く似た和の装い。思わずため息が出るような美しい人物で、髪には桜花を挿していた。
この女性こそ、かの霊峰富士は浅間神社のご祭神・木花佐久夜姫である。
「うわっ、佐久夜姫様じゃないか、おそれ多い!」
「なるほど、ナギっぺの妹さんが教えてくれるのね」
佐久夜姫が楽しげに指示棒を振ると、桜の花びらが魔法のように周囲に舞った。どうやら女神様はノリノリらしい。
『それではオッホン、始めます。鶴ちゃんは久しぶりの現世だけれど、この時代の言葉や知識はある程度魂に入れておいたから……』
「ここは長そうだから飛ばしましょう」
「ひどい!」
鶴はビデオを大幅に進めるが、女神の説明はまだ続いている。
『……このように、悪党を懲らしめるのは胸がときめく瞬間です。しかし、現世の人の目を忘れてはならないわ。多くの人の印象に残り、より多くの人に伝えてもらえるよう、カッコいい決め台詞を考えるといいわよ?』
「なるほど、これは楽しみね。早く悪党を懲らしめて、怒涛の決め台詞をお見舞いしてやるわ」
鶴は上機嫌で頷くが、その時、神器から警告音が鳴り響いた。コマが覗き込むと、画面に黄色い三角が現れ、その中に描かれた黒い!マークが跳ねている。
「ねえ鶴、神器に警告が出てるよ。きっと重要人物が近付いてるんだ」
「黄色の三角を触ればいいのね。あっ、画面が変わった! この目盛りは……善悪メーターらしいわ。目盛りがすごく偏ってる! コマ、さっそく悪党よ!」
鶴は気合を入れて拳を握る。
「流石は私、ついてるわ。考えてみれば、黒鷹も現世で頑張ってるんだもの。私が手柄を立てれば、きっと褒めてくれるはずよ!」
「認められるってことか、それは願ってもない事だよ。さっき言いかけたんだけど、君はまだ完全に復活してないから…………そうさ、どうせ話を聞かないんだろうけど、今度は肩に乗ってるからね!」
猛スピードで駆け出す鶴にしがみつき、コマは必死でくっついていく。
倉庫区画の端まで来ると、広い通路を移動中の一団が目に入った。
前後を護衛に囲まれているのは、身分が高い証拠だろうか。
鶴はさっそく手近の作業員に声をかけた。
「こんにちは、私よ! あの人達は誰?」
作業員のおじさんは振り返り、コマ達の姿に面食らった。
「えっ? うわっ、鎧っ!? そしてライオン……みたいな子犬?」
「いいから早く教えて頂戴! この日の本の一大事なんだから!」
「す、すごい気迫だな。とにかくその、あれはお偉いさんだよ。この第5船団の代議士で、平たく言えば政治家さ」
おじさんは面食らいながらも、親切に教えてくれた。鶴が漢字を要求すると、神器の画面にタッチペンで『政治家』と書いてくれる。
「なるほど、政のお家柄ってことね。あいつらが悪事をするから、みんなが苦しんでるんだわ。ありがとう、さっそく成敗しなきゃ」
「えっ、成敗って君、ちょっと!」
慌てる作業員をよそに、鶴は駆け出して通路の奥へと先回りしていく。走りながら、腰に佩く太刀を抜き放つので、コマは主の考えに気付いた。
「ちょっと待って、成敗って、直接ひっぱたくつもりかい!? それじゃだめだよ、逮捕されちゃう!」
神器からはビデオ音声が流れ続けている。
『ちなみに成敗と言っても、いきなり暴れると逮捕されるから、そこは気をつけてね。ちゃんと証拠を掴んで、然るべき手続きをふんでから……』
「音が鳴ると気付かれるから切りましょう」
鶴は忠告を気にも留めず、ビデオ音声を切ってしまう。
「コマ、先回りして待ち伏せよ!」
「だめだってば!」
コマの必死の説得も聞かず、鶴は更にスピードを上げたのだ。
「ええい、こうなったら予定変更だ! 難しい話は後にして、君が興味を持ちそうな物から説明するよ!」
「私の興味?」
「まずビラ配りをやめろっ、どこで印刷してきたんだ。いいかい、君の魂には色んな神器が組み込まれてるから、念じれば出てくるんだ。やってみて、そしてビラ配りをやめろ!」
鶴は渋々言う通りにするのだったが、その瞬間、手の中に四角いタブレット画面が現れた。縦は20センチ、横は30センチぐらいで、厚さは5ミリ程度である。
「まあ!」
鶴は気に入ったのか、手品師のようなポーズをとっては、何度も消したり出したりしている。
「しめしめ、これはいいものだわ。隠し芸に使えるわよ」
「隠さなくていいから、画面に触ってみな。それが今生の君が使う神器の1つさ。ちゃんと現代風のタブレットになってるから、持ってても怪しまれないだろ」
画面には色々なアイコンが表示されていた。天罰メニュー、地図機能、探し物モード、悪人成敗モードなどなど。
「じゃあこれね、悪人成敗モード、と。決めゼリフの一覧とか、悪人の罪状一覧とか……あっ、分かりやすい霊界予備校の映像授業があるわ」
鶴がそれを選択すると、ジャジャーンと大げさな効果音が響いて、画面には見目麗しい女性が現れた。
彼女は黒板の前で指示棒を握っている。長い黒髪、着物に良く似た和の装い。思わずため息が出るような美しい人物で、髪には桜花を挿していた。
この女性こそ、かの霊峰富士は浅間神社のご祭神・木花佐久夜姫である。
「うわっ、佐久夜姫様じゃないか、おそれ多い!」
「なるほど、ナギっぺの妹さんが教えてくれるのね」
佐久夜姫が楽しげに指示棒を振ると、桜の花びらが魔法のように周囲に舞った。どうやら女神様はノリノリらしい。
『それではオッホン、始めます。鶴ちゃんは久しぶりの現世だけれど、この時代の言葉や知識はある程度魂に入れておいたから……』
「ここは長そうだから飛ばしましょう」
「ひどい!」
鶴はビデオを大幅に進めるが、女神の説明はまだ続いている。
『……このように、悪党を懲らしめるのは胸がときめく瞬間です。しかし、現世の人の目を忘れてはならないわ。多くの人の印象に残り、より多くの人に伝えてもらえるよう、カッコいい決め台詞を考えるといいわよ?』
「なるほど、これは楽しみね。早く悪党を懲らしめて、怒涛の決め台詞をお見舞いしてやるわ」
鶴は上機嫌で頷くが、その時、神器から警告音が鳴り響いた。コマが覗き込むと、画面に黄色い三角が現れ、その中に描かれた黒い!マークが跳ねている。
「ねえ鶴、神器に警告が出てるよ。きっと重要人物が近付いてるんだ」
「黄色の三角を触ればいいのね。あっ、画面が変わった! この目盛りは……善悪メーターらしいわ。目盛りがすごく偏ってる! コマ、さっそく悪党よ!」
鶴は気合を入れて拳を握る。
「流石は私、ついてるわ。考えてみれば、黒鷹も現世で頑張ってるんだもの。私が手柄を立てれば、きっと褒めてくれるはずよ!」
「認められるってことか、それは願ってもない事だよ。さっき言いかけたんだけど、君はまだ完全に復活してないから…………そうさ、どうせ話を聞かないんだろうけど、今度は肩に乗ってるからね!」
猛スピードで駆け出す鶴にしがみつき、コマは必死でくっついていく。
倉庫区画の端まで来ると、広い通路を移動中の一団が目に入った。
前後を護衛に囲まれているのは、身分が高い証拠だろうか。
鶴はさっそく手近の作業員に声をかけた。
「こんにちは、私よ! あの人達は誰?」
作業員のおじさんは振り返り、コマ達の姿に面食らった。
「えっ? うわっ、鎧っ!? そしてライオン……みたいな子犬?」
「いいから早く教えて頂戴! この日の本の一大事なんだから!」
「す、すごい気迫だな。とにかくその、あれはお偉いさんだよ。この第5船団の代議士で、平たく言えば政治家さ」
おじさんは面食らいながらも、親切に教えてくれた。鶴が漢字を要求すると、神器の画面にタッチペンで『政治家』と書いてくれる。
「なるほど、政のお家柄ってことね。あいつらが悪事をするから、みんなが苦しんでるんだわ。ありがとう、さっそく成敗しなきゃ」
「えっ、成敗って君、ちょっと!」
慌てる作業員をよそに、鶴は駆け出して通路の奥へと先回りしていく。走りながら、腰に佩く太刀を抜き放つので、コマは主の考えに気付いた。
「ちょっと待って、成敗って、直接ひっぱたくつもりかい!? それじゃだめだよ、逮捕されちゃう!」
神器からはビデオ音声が流れ続けている。
『ちなみに成敗と言っても、いきなり暴れると逮捕されるから、そこは気をつけてね。ちゃんと証拠を掴んで、然るべき手続きをふんでから……』
「音が鳴ると気付かれるから切りましょう」
鶴は忠告を気にも留めず、ビデオ音声を切ってしまう。
「コマ、先回りして待ち伏せよ!」
「だめだってば!」
コマの必死の説得も聞かず、鶴は更にスピードを上げたのだ。
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