新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART1 ~この恋、日本を守ります!~

あさくらやたろう-BELL☆PLANET

文字の大きさ
14 / 117
第一章その1 ~始めよう日本奪還~ 少年たちの苦難編

これより救助に向かいます

しおりを挟む
「よし、繋がった!」

 誠は画面に飛びついて、通信ウインドウを最大化した。

 やがてモニターに青年が映し出される。

 名は不是唯剋ふぜただかつ

 砂色の髪に、日焼けした野生的な面立ち。専用の黒いパイロットスーツに身を包み、歳は誠とそう変わらないはずだが、荒んだ風貌はかなり大人びて見えた。

「鳴瀬から特務隊へ。敵の強襲により避難区東岸の住民が取り残されているため、救助作戦を申請します」

『はあ? 見捨てろよ、そんな連中。バカかてめえ』

 不是はそう一蹴した。

『狩りも潮時だ。てめえらの持ち場が終わったんなら撤退しろ』

 見下すような目で言い放つと、通信はあっと言う間に切られてしまった。

「嘘だろ、くそっ!」

 誠は歯噛みした。

 ことさらに悲劇を誇張した創作フィクションでもない限り、現実の戦いで仲間を見捨てるなどあり得ない。規模の大小こそあれ、必ず救出作戦を行うのが普通だ。

 もし自分が孤立しても、助ける努力をしてくれる……そう思わなければ誰もまともに戦わなくなるからだ。

「それで……どーすんだよ隊長」

「……突出したら俺らも囲まれるだろうし、そうなったらお陀仏ではあるがな」

 宮島と香川が口々に言った。香川の語尾は少し苛立ちを滲ませている。

 香川は元々こちらの避難区の出身であり、逃げ遅れた人々に顔見知りがいるかも知れない。

「…………」

 誠はしばし考えた。お伽話の英雄じゃないし、出来る事に限りがあるのも分かっている。

 だが誠はこういう時、いつも心に念じる言葉があった。

(あの人なら、こんな時どうするだろう……?)

 答えはもちろん決まっている。

 誠は中佐に連絡を取った。

「池谷中佐。申請は却下されましたが、我が隊はこれより救助に向かいます」



「……言うと思ったわ」

 画面の端でカノンが苦笑し、難波と宮島がガッツポーズした。香川は満更でも無さそうに口元を緩めている。

 中佐は真っ直ぐに誠を見つめ、力強く頷いた。

「すまない、鳴瀬少尉。搬送部隊は後を追わせるが、今はとにかく孤立した人々に支援が必要だ。出来うる限り迅速に急行して欲しい。もちろん、責任は全て私にある」

「共犯でお願いします。隊員達は、仕方なく従った事に」

 誠がそう答えるのも待てず、仲間達はたまりかねて声を上げた。

「いよっしゃあ、俺もガンガンポイント稼ぐぜ!」

「せやな、うちのたこ焼き屋の開店資金にするんや」

「それじゃあ俺も、寺の再建費用に充てさせてもらうかな」

 彼らの口にした『稼ぐ』という言葉。それは照れ隠しでもあるだろうが、戦いに駆り出された若者達の希望でもある。

 敵を撃破したり、手柄を立てて得られるスコア……つまり『貢献こうけんポイント』を貯めて、地位または金銭を得る事。

 我先に手柄を立てようとすれば戦列が崩壊するから、この手のアメは使いどころが難しいが、若者が戦意を失い、逃亡が相次ぐ現状では仕方がない。

 稼いだ報酬により、安全な島の市民権を買った者もいるという。後方の事務部隊に回り、戦わない日常を得た者もいるという。

 地位もコネもなく、守ってくれる身内もないなら、手柄を立てて成り上がるしかない。

 喰われて全てを失うか、勝ってこの地獄から這い上がるのか。戦国時代の雑兵ぞうひょうさながら、命を賭けたサバイバルである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...