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第一章その1 ~始めよう日本奪還~ 少年たちの苦難編
これより救助に向かいます
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「よし、繋がった!」
誠は画面に飛びついて、通信ウインドウを最大化した。
やがてモニターに青年が映し出される。
名は不是唯剋。
砂色の髪に、日焼けした野生的な面立ち。専用の黒いパイロットスーツに身を包み、歳は誠とそう変わらないはずだが、荒んだ風貌はかなり大人びて見えた。
「鳴瀬から特務隊へ。敵の強襲により避難区東岸の住民が取り残されているため、救助作戦を申請します」
『はあ? 見捨てろよ、そんな連中。バカかてめえ』
不是はそう一蹴した。
『狩りも潮時だ。てめえらの持ち場が終わったんなら撤退しろ』
見下すような目で言い放つと、通信はあっと言う間に切られてしまった。
「嘘だろ、くそっ!」
誠は歯噛みした。
ことさらに悲劇を誇張した創作でもない限り、現実の戦いで仲間を見捨てるなどあり得ない。規模の大小こそあれ、必ず救出作戦を行うのが普通だ。
もし自分が孤立しても、助ける努力をしてくれる……そう思わなければ誰もまともに戦わなくなるからだ。
「それで……どーすんだよ隊長」
「……突出したら俺らも囲まれるだろうし、そうなったらお陀仏ではあるがな」
宮島と香川が口々に言った。香川の語尾は少し苛立ちを滲ませている。
香川は元々こちらの避難区の出身であり、逃げ遅れた人々に顔見知りがいるかも知れない。
「…………」
誠はしばし考えた。お伽話の英雄じゃないし、出来る事に限りがあるのも分かっている。
だが誠はこういう時、いつも心に念じる言葉があった。
(あの人なら、こんな時どうするだろう……?)
答えはもちろん決まっている。
誠は中佐に連絡を取った。
「池谷中佐。申請は却下されましたが、我が隊はこれより救助に向かいます」
「……言うと思ったわ」
画面の端でカノンが苦笑し、難波と宮島がガッツポーズした。香川は満更でも無さそうに口元を緩めている。
中佐は真っ直ぐに誠を見つめ、力強く頷いた。
「すまない、鳴瀬少尉。搬送部隊は後を追わせるが、今はとにかく孤立した人々に支援が必要だ。出来うる限り迅速に急行して欲しい。もちろん、責任は全て私にある」
「共犯でお願いします。隊員達は、仕方なく従った事に」
誠がそう答えるのも待てず、仲間達はたまりかねて声を上げた。
「いよっしゃあ、俺もガンガンポイント稼ぐぜ!」
「せやな、うちのたこ焼き屋の開店資金にするんや」
「それじゃあ俺も、寺の再建費用に充てさせてもらうかな」
彼らの口にした『稼ぐ』という言葉。それは照れ隠しでもあるだろうが、戦いに駆り出された若者達の希望でもある。
敵を撃破したり、手柄を立てて得られるスコア……つまり『貢献ポイント』を貯めて、地位または金銭を得る事。
我先に手柄を立てようとすれば戦列が崩壊するから、この手のアメは使いどころが難しいが、若者が戦意を失い、逃亡が相次ぐ現状では仕方がない。
稼いだ報酬により、安全な島の市民権を買った者もいるという。後方の事務部隊に回り、戦わない日常を得た者もいるという。
地位もコネもなく、守ってくれる身内もないなら、手柄を立てて成り上がるしかない。
喰われて全てを失うか、勝ってこの地獄から這い上がるのか。戦国時代の雑兵さながら、命を賭けたサバイバルである。
誠は画面に飛びついて、通信ウインドウを最大化した。
やがてモニターに青年が映し出される。
名は不是唯剋。
砂色の髪に、日焼けした野生的な面立ち。専用の黒いパイロットスーツに身を包み、歳は誠とそう変わらないはずだが、荒んだ風貌はかなり大人びて見えた。
「鳴瀬から特務隊へ。敵の強襲により避難区東岸の住民が取り残されているため、救助作戦を申請します」
『はあ? 見捨てろよ、そんな連中。バカかてめえ』
不是はそう一蹴した。
『狩りも潮時だ。てめえらの持ち場が終わったんなら撤退しろ』
見下すような目で言い放つと、通信はあっと言う間に切られてしまった。
「嘘だろ、くそっ!」
誠は歯噛みした。
ことさらに悲劇を誇張した創作でもない限り、現実の戦いで仲間を見捨てるなどあり得ない。規模の大小こそあれ、必ず救出作戦を行うのが普通だ。
もし自分が孤立しても、助ける努力をしてくれる……そう思わなければ誰もまともに戦わなくなるからだ。
「それで……どーすんだよ隊長」
「……突出したら俺らも囲まれるだろうし、そうなったらお陀仏ではあるがな」
宮島と香川が口々に言った。香川の語尾は少し苛立ちを滲ませている。
香川は元々こちらの避難区の出身であり、逃げ遅れた人々に顔見知りがいるかも知れない。
「…………」
誠はしばし考えた。お伽話の英雄じゃないし、出来る事に限りがあるのも分かっている。
だが誠はこういう時、いつも心に念じる言葉があった。
(あの人なら、こんな時どうするだろう……?)
答えはもちろん決まっている。
誠は中佐に連絡を取った。
「池谷中佐。申請は却下されましたが、我が隊はこれより救助に向かいます」
「……言うと思ったわ」
画面の端でカノンが苦笑し、難波と宮島がガッツポーズした。香川は満更でも無さそうに口元を緩めている。
中佐は真っ直ぐに誠を見つめ、力強く頷いた。
「すまない、鳴瀬少尉。搬送部隊は後を追わせるが、今はとにかく孤立した人々に支援が必要だ。出来うる限り迅速に急行して欲しい。もちろん、責任は全て私にある」
「共犯でお願いします。隊員達は、仕方なく従った事に」
誠がそう答えるのも待てず、仲間達はたまりかねて声を上げた。
「いよっしゃあ、俺もガンガンポイント稼ぐぜ!」
「せやな、うちのたこ焼き屋の開店資金にするんや」
「それじゃあ俺も、寺の再建費用に充てさせてもらうかな」
彼らの口にした『稼ぐ』という言葉。それは照れ隠しでもあるだろうが、戦いに駆り出された若者達の希望でもある。
敵を撃破したり、手柄を立てて得られるスコア……つまり『貢献ポイント』を貯めて、地位または金銭を得る事。
我先に手柄を立てようとすれば戦列が崩壊するから、この手のアメは使いどころが難しいが、若者が戦意を失い、逃亡が相次ぐ現状では仕方がない。
稼いだ報酬により、安全な島の市民権を買った者もいるという。後方の事務部隊に回り、戦わない日常を得た者もいるという。
地位もコネもなく、守ってくれる身内もないなら、手柄を立てて成り上がるしかない。
喰われて全てを失うか、勝ってこの地獄から這い上がるのか。戦国時代の雑兵さながら、命を賭けたサバイバルである。
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