新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART1 ~この恋、日本を守ります!~

あさくらやたろう-BELL☆PLANET

文字の大きさ
63 / 117
第一章その3 ~とうとう逢えたわ!~ 鶴ちゃんの快進撃編

悪事を暴き、メリメリと音を立てて日本が良くなる。気がする。

しおりを挟む
 佐々木は流星のように飛び続け、すぐに旗艦に到着した。彼を追ってきた誠達も、甲板にふわりと着地する。

 鶴は額に手をかざし、懐かしそうに周囲を見渡す。

「なるほど、見た事あると思ったら、下界で最初に来た安宅船あたけぶねね」

「ようこそお越しやで、姫様!」

 先回りして甲板で出迎えた神使達は、うやうやしく一礼する。

 先頭の眼帯アイパッチを付けた狛犬が言った。

「姫様はまだ復活されたばかりなんで、念のため護衛にワシらがお供しますぜ」

「分かったわ。それじゃよろしくね」

 鶴は頷くと、宙を漂う佐々木の後を付いていく。

 誠は鶴の後ろをちょこちょこ歩く神使達に話しかけた。

「コマだけでも強いのに、お前達が護衛してくれたら安心だな」

 だがそこで、眼帯を付けた狛犬が、ぎろりと誠を振り返った。

「……やいてめえ、何ふざけた口きいとるんじゃい」

「ええっ!?」

「勘違いするなよ、ぽっと出のお前なんぞ、ワシらは一切認めてないんじゃい」

 狛犬の言葉に、横を歩くキツネも同意している。

「そや、ワイらは長い事、苦しいお役目や修行してきたんやぞ。それをお前みたいなトーヘンボクに、大事な手柄渡すかいな! みんな、いてまえ!」

 神使達は刀を取り出し、誠に向かい襲い掛かった。

「えっ!? いやちょっと、もしもし!?」

 慌てて避ける誠だったが、神使達は攻撃をかわされても、壁や天井を蹴ってまた襲ってくるのだ。

「や、やめろ、うわっちょっとヒメ子!」

 悲鳴を上げる誠をよそに、鶴達は議員控え室に到着した。

 佐々木はエネルギーを使い果たしたらしく、杖をついてふらふらしている。

「こ、この中におりますので……蛭間は留守のようなのですが」

「ありがとう、案内ご苦労よ」

「それは……何よりです。ふうーっ……」

 佐々木は安らかな顔で倒れ込んだ。

 佐々木の額に濡れタオルを乗せるコマをよそに、鶴は扉の隙間から室内を覗いた。中には複数の政治家達と秘書、そして護衛らしき男性陣もいた。

「なーるほど、あいつらが悪い奴らなのね」

「こいつらも悪いんだ! うぎゃああっ!」

 誠はタコ殴りにされながら言うが、鶴は勢い良く室内に突入した。

「いざたのもう! 私よ!」」

「うわっ、なんだね君は!?」

 一同は驚いて振り返ったが、さすがに鶴の噂は聞いていたようだ。顔を見合わせ、口々に相談している。

「あっ、鎧!? 聞いたことがあるぞ……鎧姿のおかしな子が来て、大活躍していると」

「じゃあこの子がその子なのか? こないだの悪漢も鎧だったと言うが……」

「ええい、だまらっしゃい! そして後者は永久とこしえに忘れなさい!」

「ひいっ!?」

 一同は鶴の気迫に怯えている。

「私の名は大祝鶴姫、現世を守るスペシャルな聖者よ! 前は調べずひっぱたいて怒られたから、まずは罪をあばいてやるわ!」

 鶴は虚空から神器のタブレット画面を取り出した。

「むむ、さっそく反応があるわ!」

 鶴は画面の反応を見て、物凄い勢いで引き出しを開けていく。

 引き出しは上げ底になっており、たちどころに隠していた書類が見つかった。

 コマが駆け寄り、書類の中身を吟味してみる。

「なるほど鶴、これは資材の横流しの記録だよ。この調子でいこう」

「任せてコマ!」

 鶴は神器を駆使し、次々に不正の証拠を発見する。

 戸棚の奥、パソコンの隠しフォルダ、絵画の裏から絨毯の下。

 データにパスワードをかけていようが、適当に数字を打ち込んで解除し、理不尽なまでに秘密が暴かれていくのだ。

「まだこの場にないものも沢山あるわね。そういう時はこれよ!」

 鶴は神器を高々と掲げると、光り輝かせ、大きなカメラの形に変えた。

「……あ、あれは何のカメラなんだっ!?」

 誠は狛犬の刃を白刃取りしながらコマに尋ねた。

「あれはね黒鷹、時間を遡って撮影出来るカメラだよ。本人を撮れば、過去の悪事も写真におさめられるんだ」

「それじゃ、一気に行くわよ!」

 鶴が次々シャッターを切ると、汚職の瞬間をとらえた証拠写真が大量に宙に舞った。

「さすがは姫様、最高じゃあ!」

 神使達がはやしたてるので、鶴はノリノリで撮影ボタンを連打するが、勢い余って誠の前でもシャッターを切ってしまう。

「あらごめんなさい、黒鷹もやっちゃったわ……」

 鶴は神器から吐き出された写真を拾うが、そこには誠が水着写真集を持つ様が映っている。

 鶴は真っ赤になり、室内にはオソロシーイ、と鶴の悲鳴が木霊した。

「おんどりゃあっ、姫様に失礼なものを見せやがったな!」

「このエロガキが、やっぱり死ぬべきや!」

「俺のじゃない、もらったんだ!」

 誠は神使達から逃げ回るが、

「全員、正座よ!!!」

 鶴が叫び、なぜか誠も正座させられた。鶴は正座した一同の前に、証拠の写真や書類を積み上げ、お説教を開始する。

「あなた達、それでも人の上に立つ身なのかしら? いいこと、世の主君というものは、常に民を思いやり、王としての責任を果たすものなの。かくいう私は、生後百日で喋り、大変真面目で立派な姫として……」

 長くなりそうなので、コマが鶴の肩に飛び乗って遮った。

「ストップだよ鶴、調子に乗って話を盛ると、またこっぴどく怒られるよ?」

「そ、それもそうね。とにかく、悪事が出来たのは今までの話よ。今のうちに悪党と手を切るなら、命だけは勘弁してあげる。もちろん全く強制じゃないけど、そこの狛犬は悪党の魂が大好物だから、自由に選ぶといいわ」

 政治家達が目をやると、いつの間にか巨大化した狛犬が彼らを見ながら、よだれをたらして唸っている。

 選択肢など1つも無く、政治家達は流れるような土下座を見せる。

 狛犬がじろりと睨んでくるので、誠も冷や汗を流しながら倣った。

「わ、私達も、良くない事だとは思っていました。しかし食料も資金も、そして土地さえも蛭間が握っており、逆らいようが無かったのです」

「そうですとも、彼らの援助なくして第5船団は成り立たないため、やむなく言いなりになっただけなのです」

「姫様、どうしやしょうか?」

 うなるような声で狛犬が尋ねる。

「そうね、私は慈悲深いから……こうよ!」

 鶴が×の付いたカードを差し出し、狛犬が政治家達を追い回す。

「よし、食ってやる!」

「ひえええっ!?」

「あら、出す向きを間違えたわ」

 鶴がカードを反転させ、○をこちらに向けた頃には、政治家達は全員白髪になってへたり込んでいた。

「うんうん、これにて一件落着よ」

 鶴は満足そうに頷くが、その瞬間、なぜかコマが焦って×のカードを掲げていた。鶴が振り返ると、いつの間にか後ろに女神が立っていたのだ。

「ひっ、ナギっぺ!?」

「私は仲間にしろと言ったのだ、誰が脅迫しろと言ったか、このお調子者め! そしてまた話を盛ったな!」

 鶴は神使達とともに、急いで廊下を駆け去って行く。

 女神はやれやれとため息をつき、政治家達に向き直った。

 佐々木も杖をついたまま、生まれたての小鹿のように立っている。

「ともかく佐々木、それに貴様らには、これからバリバリ働いてもらうぞ。取り急ぎ船団のまつりごとを立て直す事だ」

「か、かしこまりましたっ!」

 佐々木達は言葉通り、かしこまって一礼する。

 女神はそこで扉からこちらを窺っている狛犬達に目配せをした。

「……今の気配だ、追え」

「合点!」

 狛犬達は飛び上がると、通路の向こうへ走って行った。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...