新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART1 ~この恋、日本を守ります!~

あさくらやたろう-BELL☆PLANET

文字の大きさ
79 / 117
第一章その5 ~負けないわ!~ 蠢き出す悪の陰謀編

鳴門地区防衛戦5

しおりを挟む
「……な、何さあれ、化け物なの?」

 自分達の持ち場で戦いながら、千春は思わず呟いた。

 白い獣に乗って戦場を駆け抜け、わけの分からない雷や巨大な火の玉で敵陣を薙ぎ払っていく。

 砲撃をも跳ね返す突撃型餓霊を蹴散らす様は、まさに鬼神か何かのようだ。さっきの雷撃は、広域の電磁兵器か何かだろうか?

 もちろん敵も対処して陣形を変えるが、白い獣と彼らの部隊は、ある意味悪魔的な先読みの力で、必ず敵の裏をかくのだ。動く度にその逆を突かれれば、いかな強固な敵でも必ず崩れる。

「活躍してるって聞いてたけど、あれじゃ当然だな。信玄公も野戦じゃほとんど無敵だったし、それに匹敵するかもしれん」

「びっくりするよねぇ」

 玄太やこころも、口々に感嘆の声を漏らした。

 先頭の少女と白い巨獣に目が行きがちだが、付き従う5機の人型重機もかなりの錬度だ。

 特にあの鳴瀬とかいう少年の技量はズバ抜けていて、特務隊の不是にも引けを取らないだろう。

「あの鳴瀬っての、やたら腕が立つけど……昔は横須賀にいたらしいじゃん。どうしてこっちに来たのかな」

「元々こっちの出身なんだろ。それと鶉谷うずらたにっていうレジェンド隊のパイロットが基地司令になったんで、付いて来たとか言ってたな」

 玄太はしっかり者であり、武田の忍者・すっぱのように情報収集を重んじるので、こうした事情に詳しいのである。

「そういや横須賀って、不是さんもいたとか言ってたな」

「ああ、それはあたしも聞いた事あるかも」

 千春はそこで思い出した。

 特務隊のリーダーである不是も、同じ横須賀にいたはずだ。

 先日からの嫌がらせを見るに、何か鳴瀬少年と因縁があるのだろうか。

 あんな陰湿なやり方は嫌いなので、千春は操作レバーを握り締めた。

「とにかく今はちゃっちゃと片付けるよ。こっちはこっちで面子があるんだから」

「了解」

 仲間達も手馴れた動作で射撃し、敵を次々討ち果たしていく。

 このまま楽勝ムードになるはずだったが、その時。

 今まで問題なく動いていた機体が、突如動きを鈍らせた。画面に各種アラートが表示され、操縦の自由が効かなくなる。

「ちょっと、何よこれ、どうなってるの!?」

 千春はコンソールを叩いてあらゆる設定を試した。最終的には、OSの強制シャットダウンでさえも。

 だがしかし、機体は1歩前に踏み出した。もう1歩。もう1歩。

 撤退する餓霊の後を追って、高速で前へと走り始める。

 いくら追撃戦だと言っても、ここまで突出すれば危険だ。

「止められない、どうなってんの!?」

「こっちも駄目だ姉御!」

「こっちも止まらないよお!」

 よく見ると、玄太とこころの機体のみならず、味方の車両も突出している。その全てが、この戦いに差し向けられた本部付けの戦力であった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...