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第一章その7 ~あなたに逢えて良かった!~ 鶴の恩返し編
帰ってきた英雄
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唐突に、誠は何かに揺り動かされるのを感じた。
目を開けるとあの幼子がいたが、誠が起き上がろうとした途端、彼が物凄い勢いで話しかけてきた。
「お兄ちゃん、お姉ちゃんを助けて!」
勢いが付きすぎて頭突きを食らい、2人とも頭を抱えたが、おかげで意識がはっきりしてきた。誠は飛び起きて、周囲を素早く確認する。
体育館は見る影も無く壊れ、白い外壁は半ばほどが崩れ落ちている。
柱の鉄筋は引き千切られていたし、自転車置き場の折板屋根は、アルミホイルを丸めたようにくしゃくしゃになって転がっていた。
駐車場のアスファルトには、巨大な人型重機の足跡が、恐竜のそれのようなサイズ感で刻まれていた。
紛れも無く荒々しい暴力が吹き抜けた跡である。
「雪菜さんは、みんなは無事か!? ヒメ子やコマは、大丈夫だろうけど……」
その時眼前に、白い光が輝いた。光はすぐに人の姿となり、あのサクヤ姫へと変わったのだ。
「お目覚めね。丁度良かったわ。詳しい説明は後だけど、雪菜ちゃんは旗艦よ。私とお姉ちゃんは呪いの霧を解毒するので精一杯、今ここにいるのは分霊なの。人々の避難は歩兵や重機班がしてくれてる、あなたは機体に乗って旗艦に飛んで!」
「了解!」
誠は弾けるように走り出したが、ふいに何かの音が響いた。
立ち止まり、体育館に向き直る。
「何だ……?」
崩れかけた体育館の壇上に、あの白い人型重機・心神が見えた。
背を壁にもたせかけ、座り込んだその姿は、かつて活躍した英雄が、今の時代に不要である事を如実に示していた。
時代は流れる。どんな神話の英雄も、時の流れには勝てないのだから。
だがその時、倒れた心神の全身に、うっすらと青い光が立ち昇った。倒れ込んだ拍子に、何かのスイッチが入ったのだろうか。
機体の人工筋肉に青い光が駆け巡り、それから再び消えてしまった。
心神の顔は、真っ直ぐこちらに向けられていた。まだ動けると言うかのように、誠から目を逸らそうとしない。
「…………」
誠は心神を見つめていたが、1歩、体育館に足を踏み入れた。
割れたガラスを踏みしめ、瓦礫を越えて、1歩、また1歩。
ずっとこの機体が怖かったはずだ。でもなぜか、足は前へと進んでいた。
やがて誠は駆け出すと、倒れた心神に飛びついた。非常開閉レバーを引き、操縦席のハッチを開くと、迷い無く心神に乗り込んだのだ。
機体のメイン電源に触れると、中央の画面がうっすらと光った。
『解凍しますか? Y/N』
画面に表示された緑の文字が、簡潔に問いかけてくる。
「そうか、休眠状態だったんだ……!」
だとしたら、機体はまだ生きてるはずだ。
誠がコンソールのYで回答すると、人工筋肉の解凍用酵素を分泌する弁が開いた。
どくん、どくん、どくん、どくん……!
力強い脈動とともに、機体に力が満ちていく。
今度は機体が音声で問いかけてきた。
「搭乗者名を確認します」
誠は少しためらったが、今は登録変更している時間はない。
「パイロットネームは……志乃森明日馬。味方識別用の表示ネームは光翼天武で。パスワードは……日いづる国の、守り神」
「了解、過去の登録ネームと合致しました。お帰りなさい、光翼天武さん。戦闘用酵素分泌、代謝機能全速回転。各種伝達系および属性添加システム異常なし。末端筋肉組織の解凍まであと30秒。至急メインバッテリーを補充して下さい」
周囲のモニターに次々と光が灯り、機体が唸りを上げていく。
コクピットハッチをロック、OSを短縮起動。
補助発電機出力上昇。
各部人工筋肉に通電開始し、周囲にゴムを圧縮するような音が響き渡った。
全起動シークエンス終了、操作用電子機器、全て異常なし。
やがて白い巨人は、ゆっくりとその身を起こした。
体育館の開口部から外に出ると、目の前に手荒く輸送車が止まった。
運転席から顔を出したのは、あの整備班の老人・美濃木である。
「おお、間に合ったか!」
「美濃木さん、バッテリー!」
「よしきた! いつかこんな日が来ると思って、暇を見てそいつと整備しとったんじゃ。電子機器も最新じゃし、バリバリに動けるはずじゃぞ!」
美濃木が輸送車のハッチを開けると、巨大なバッテリーが剥き出しになった。
誠は機体の手を伸ばし、バッテリーを交換する。更に荷台にあった強化刀と、アサルトガンを装備した。
「思いっきりやって来い! もし倒れても、わしゃ整体士じゃ! いつも通り治してやるわい!」
「治療じゃなくて暴力でしょうがっ」
言い返す誠だったが、そこで空中にサクヤ姫が現れた。
「準備はいい? 分霊だからあまり力は出ないけど、途中まで送るわ。まずは飛んで!」
「了解!」
見上げれば、場違いなほどの青天井が広がっている。
誠は機体の身をかがめ、背の翼に電磁式を装填する。
「翼部属性添加機起動、収束斥力場展開。防御及び消音、空気抵抗軽減式、全身保護……J―X2試作型心神、鳴瀬誠、いきます!」
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
その瞬間、凄まじい加速で機体は空に舞い上がった。全身の血が後ろにもっていかれるような感覚とともに、避難区はあっと言う間に眼下の点と化す。
不意に機体の前方に、白い光の輪が現れた。誠は迷わずそこに飛び込む。
飛び込んだ瞬間、全身を力強く電流のようなものが叩いたが、誠はもう気にしなかった。そんな事がどうこう言っている時ではないのだ。
目を開けるとあの幼子がいたが、誠が起き上がろうとした途端、彼が物凄い勢いで話しかけてきた。
「お兄ちゃん、お姉ちゃんを助けて!」
勢いが付きすぎて頭突きを食らい、2人とも頭を抱えたが、おかげで意識がはっきりしてきた。誠は飛び起きて、周囲を素早く確認する。
体育館は見る影も無く壊れ、白い外壁は半ばほどが崩れ落ちている。
柱の鉄筋は引き千切られていたし、自転車置き場の折板屋根は、アルミホイルを丸めたようにくしゃくしゃになって転がっていた。
駐車場のアスファルトには、巨大な人型重機の足跡が、恐竜のそれのようなサイズ感で刻まれていた。
紛れも無く荒々しい暴力が吹き抜けた跡である。
「雪菜さんは、みんなは無事か!? ヒメ子やコマは、大丈夫だろうけど……」
その時眼前に、白い光が輝いた。光はすぐに人の姿となり、あのサクヤ姫へと変わったのだ。
「お目覚めね。丁度良かったわ。詳しい説明は後だけど、雪菜ちゃんは旗艦よ。私とお姉ちゃんは呪いの霧を解毒するので精一杯、今ここにいるのは分霊なの。人々の避難は歩兵や重機班がしてくれてる、あなたは機体に乗って旗艦に飛んで!」
「了解!」
誠は弾けるように走り出したが、ふいに何かの音が響いた。
立ち止まり、体育館に向き直る。
「何だ……?」
崩れかけた体育館の壇上に、あの白い人型重機・心神が見えた。
背を壁にもたせかけ、座り込んだその姿は、かつて活躍した英雄が、今の時代に不要である事を如実に示していた。
時代は流れる。どんな神話の英雄も、時の流れには勝てないのだから。
だがその時、倒れた心神の全身に、うっすらと青い光が立ち昇った。倒れ込んだ拍子に、何かのスイッチが入ったのだろうか。
機体の人工筋肉に青い光が駆け巡り、それから再び消えてしまった。
心神の顔は、真っ直ぐこちらに向けられていた。まだ動けると言うかのように、誠から目を逸らそうとしない。
「…………」
誠は心神を見つめていたが、1歩、体育館に足を踏み入れた。
割れたガラスを踏みしめ、瓦礫を越えて、1歩、また1歩。
ずっとこの機体が怖かったはずだ。でもなぜか、足は前へと進んでいた。
やがて誠は駆け出すと、倒れた心神に飛びついた。非常開閉レバーを引き、操縦席のハッチを開くと、迷い無く心神に乗り込んだのだ。
機体のメイン電源に触れると、中央の画面がうっすらと光った。
『解凍しますか? Y/N』
画面に表示された緑の文字が、簡潔に問いかけてくる。
「そうか、休眠状態だったんだ……!」
だとしたら、機体はまだ生きてるはずだ。
誠がコンソールのYで回答すると、人工筋肉の解凍用酵素を分泌する弁が開いた。
どくん、どくん、どくん、どくん……!
力強い脈動とともに、機体に力が満ちていく。
今度は機体が音声で問いかけてきた。
「搭乗者名を確認します」
誠は少しためらったが、今は登録変更している時間はない。
「パイロットネームは……志乃森明日馬。味方識別用の表示ネームは光翼天武で。パスワードは……日いづる国の、守り神」
「了解、過去の登録ネームと合致しました。お帰りなさい、光翼天武さん。戦闘用酵素分泌、代謝機能全速回転。各種伝達系および属性添加システム異常なし。末端筋肉組織の解凍まであと30秒。至急メインバッテリーを補充して下さい」
周囲のモニターに次々と光が灯り、機体が唸りを上げていく。
コクピットハッチをロック、OSを短縮起動。
補助発電機出力上昇。
各部人工筋肉に通電開始し、周囲にゴムを圧縮するような音が響き渡った。
全起動シークエンス終了、操作用電子機器、全て異常なし。
やがて白い巨人は、ゆっくりとその身を起こした。
体育館の開口部から外に出ると、目の前に手荒く輸送車が止まった。
運転席から顔を出したのは、あの整備班の老人・美濃木である。
「おお、間に合ったか!」
「美濃木さん、バッテリー!」
「よしきた! いつかこんな日が来ると思って、暇を見てそいつと整備しとったんじゃ。電子機器も最新じゃし、バリバリに動けるはずじゃぞ!」
美濃木が輸送車のハッチを開けると、巨大なバッテリーが剥き出しになった。
誠は機体の手を伸ばし、バッテリーを交換する。更に荷台にあった強化刀と、アサルトガンを装備した。
「思いっきりやって来い! もし倒れても、わしゃ整体士じゃ! いつも通り治してやるわい!」
「治療じゃなくて暴力でしょうがっ」
言い返す誠だったが、そこで空中にサクヤ姫が現れた。
「準備はいい? 分霊だからあまり力は出ないけど、途中まで送るわ。まずは飛んで!」
「了解!」
見上げれば、場違いなほどの青天井が広がっている。
誠は機体の身をかがめ、背の翼に電磁式を装填する。
「翼部属性添加機起動、収束斥力場展開。防御及び消音、空気抵抗軽減式、全身保護……J―X2試作型心神、鳴瀬誠、いきます!」
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
その瞬間、凄まじい加速で機体は空に舞い上がった。全身の血が後ろにもっていかれるような感覚とともに、避難区はあっと言う間に眼下の点と化す。
不意に機体の前方に、白い光の輪が現れた。誠は迷わずそこに飛び込む。
飛び込んだ瞬間、全身を力強く電流のようなものが叩いたが、誠はもう気にしなかった。そんな事がどうこう言っている時ではないのだ。
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