新説・鶴姫伝! 日いづる国の守り神 PART1 ~この恋、日本を守ります!~

あさくらやたろう-BELL☆PLANET

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第一章その7 ~あなたに逢えて良かった!~ 鶴の恩返し編

それぞれの戦い1

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「こらあかん、そろそろ限界やで!」

 次々に押し寄せる敵に、隊員達は苦戦していた。

 最近になって予算がおり、完成したばかりの人工島避難所アイランドシェルター……つまり、例えるなら江の島によく似た海上避難所に人々が駆け渡っており、その時間を稼ぐべく、付近で応戦していたのだ。

 守りやすいよう多重の防御壁バリケードがあるとはいえ、倒しても倒しても、無限に近い敵また敵。歩兵や車両部隊も奮戦してくれていたが、そろそろ押し切られてしまいそうだ。

 カノンは必死に皆を励ました。

「何としても守るわよ、あのバカに笑われるでしょ!」

「もちろんだぜ副隊長、ここからが俺の、」

「おおっと、そのぐらいにしてくれ宮島。これ以上でかいのが来たら、流石にみんなお陀仏だからな」

 隊員達は何とか会話していたが、それは情報伝達というより意識を保つ意味あいが大きい。

 雪山で眠るのと同様に、今意識が飛んだら即・命取りになってしまうからだ。

 だがしかし、蓄積した疲労は判断を鈍らせ、それに乗じた餓霊達が一気に雪崩れ込んで来た。

 何とか刀で応戦する宮島だったが、その間に別の餓霊が体当たりしてくる。

 派手に吹き飛ばされた宮島を守るべく、香川が援護射撃するが、彼もやがては囲まれてしまう。

 難波やカノンも同様に、目の前の対処で手一杯になり、その間に別の餓霊達が、地響きを立てて押し寄せていた。

「あ、あかんわこれ……!」

 だが難波が呆然と呟いた瞬間、青く輝く光弾が殺到し、押し寄せる餓霊を薙ぎ払っていた。

 無数の餓霊を瞬時に撃ち抜く、変態的な射撃精度に、難波は間違いなく覚えがあった。

「こ、この変態みたいな射撃って、まさか……」

 やがて彼女の機体の前に、白い機体が降り立った。

「……遅くなって悪い、みんな」

 機体は拡声器スピーカーからそう呼びかけて来る。




「鳴っち! 鳴っちなんか!?」

「ちっきしょう、おいしいとこもってきやがるぜ!」

「お迎えかと思ったぞ、隊長!」

「何やってたのよ、このバカ鳴瀬! 女の敵、人類の敵!」

「い、いや、いっぺんに言うなよ……」

 矢継ぎ早に叫ぶ隊員達にたじろぎながら、誠はそれでも安堵した。

「良かった……! みんな生きててくれて」

「…………」

 一瞬の静寂、そして前にも増して一斉に文句を言う隊員達に閉口し、誠は慌てて謝った。

「ごっごめん、ごめんってば! 話は後だ、一旦下がって体勢を整えてくれっ! 限界だったら無理しなくていい、俺に任せて避難してくれ」

「うわあ、なんやのこいつぅ、遅れたくせに、大口叩いてくれるやんか」

「いいからこのみっ、弾薬補充とバッテリーよ!」

 カノンの言葉に、一同は機体を引きずるように退却していく。一度弾薬と装備を補充し、接続操作を解いて脳を休ませるのだ。

「……さてと」

 誠はそこで敵軍を見据えた。

 突如現れた機体を警戒していた餓霊達だったが、やがて空を見上げて雄たけびを上げ始めた。まるで台風の海鳴りのようだ。

(単騎であの大軍に挑むのか……)

 誠は今更ながら実感する。

 正直怖い。緊張で手が震えるのが分かった。

 だが逃げたい気持ちは微塵も無かった。押し寄せる敵を見た時、500年前に故郷の海を埋め尽くした、侵略者の船を思い出したのだ。

 これは自分のけじめであり、前世でやり残した事なのだ。人々や……愛する姫君を守れなかった、あの日の再戦リベンジなのである。

 誠は腹に力を入れ、無理やり声を絞り出す。

「前世の続きだ。ここは絶対通さない……!」

 そして敵軍が突進してくる。誠もそれを迎え撃つ。

 作戦も何もなかった。ただ命の限り刀をふるい、足が動く限り駆け抜けるのだ。

 押し寄せる恐ろしい数の爪を、牙をかいくぐり、射撃を続ける。

 属性添加機の設定を変更し、威力と射程を調整して電磁過負荷オーバーロードを防ぐ。

(動け、動け、一瞬たりとも止まらずに動け! 止まればたちまち八つ裂きにされる!)

 やがて巨体の餓霊が頭上から攻撃を加えてくる。少し小型だが、厨子王型の亜種だった。

 誠は避けざまに左手の装甲からワイヤーを射出し、斬撃系電磁式スラッシュコードを添付して厨子王を輪切りにした。

 が、次の瞬間、視界に赤黒い餓霊が現れる。

「狗王型か」

 数体同時に、恐るべき速度で迫る……はずの相手を、誠はすれ違いざまに斬って捨てる。複数体の狗王型は、細切れになって宙を舞った。

 心神のパワーと速度なら、このぐらいは可能なのだ。 

 ……それでも数の差は圧倒的である。

 弾薬が底を突き、格闘戦の比重が増えると、次第に意識が混濁してきた。

 誠は敵の突進を受け、防御壁バリケードに激しく叩き付けられた。

 だが追撃しようと迫る敵に、横手から車両が体当たりしていた。

 防御装甲ガードバンパーが跳ね飛んだものの、車両は周囲に出鱈目に射撃をバラ撒き、餓霊達は後ずさった。

「くう~っ、久しぶりの無茶じゃ。老体に沁みるわい!」

 運転席から顔を出したのは、整備班の美濃木である。助手席には坊主頭の尚一も見えた。

 車両は荷台を開き、新しい銃をリフトアップする。

「鳴瀬さん、銃と弾倉! バッテリーも!」

「すまない!」

 誠は銃を引き抜き、素早くバッテリーを交換する。

「わしらも戦うぞ、もうひとふんばりじゃい!」

「了解!」

 美濃木の掛け声に、誠は再び銃を構えた。

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