194 / 203
高坂修斗復帰編
補習王子③
しおりを挟む
【佐川新之助目線】
「なんでまた補習なんだ俺はー!」
「テストの点が悪いからだろ」
現国のユキセンに冷たく言い放たれた。
この前は数学の岡部に居残りをさせられ、今度は現国と来たもんだ。
まったく、人気者はつらいぜ。
「お前は人気者なんかじゃないからな」
「ユキセン! なんで人の心が読めてるんでしょうか!」
「それは私が国語教師だからだよ」
やべーな国語教師。
〝この時の主人公の気持ちを答えよ〟を極めるとそんなことができんのか。
「この問題ができたら今日はもう上がっていいから」
「マジっすか! うおおおお轟け俺の右腕ぇ!!」
「先生な、たまにお前を見てると無人島に放り投げていつまでそのテンションが保つか試してみたくなるよ」
なんとか課題を終わらせ、『妖怪GO!』を起動させながら下駄箱に降りたところで若元を見かけた。
昨日に引き続きまたしても補習帰りに出会うとは。
「おいすおいす~若元。こんな時間まで何してんの?」
「あっ、佐川君……。ちょっと生徒会の仕事をね。佐川君は?」
「俺? 見ての通り───補習」
「全然見て分からないんだけど……。というか昨日も補習じゃなかった?」
「別教科だぜ!」
「ええ…………もう補習王子だね」
王子……。
なんて甘美な響きなんだ。
イケメンたる俺に相応しい二つ名だ。
ここは一つ、修斗にも俺のことを崇めさせる必要があるな。
「そういえば修斗は? あいつも生徒会なんだからいるんでしょ?」
「修斗は…………」
ギョッとした。
修斗の話題を出したとたん、若元の目に涙が溜まり始めた。
もしかして、なんか触れちゃいけない琴線に触れたか?
「どどど、どうしたんだよ若元!」
「ご、ごめん……ぐすっ、なんでもないの……」
「なんでもないってこたぁねーだろ……。修斗か? 修斗に何かされたんか!? なんなら肩パンしてきてやんよ!」
「全然違くて…………ズッ、ほんとごめんね急に」
おいおいちょっと見ない間にとんでもないことになってないか?
絶対若元と修斗の間に何かあっただろ。
最近の修斗の様子がおかしいことには気付いていたが、それはあくまで怪我でやることができなかったサッカーに夢中になっているからじゃなかったのか?
だから付き合いが悪いことにも俺は理解していたし、やりたい夢があるやつのことは応援したいぐらいだ。
だけどこの涙は…………二人の関係が上手くいってない証拠だ。
二人の関係が幼馴染だってことは知ってるが、それ以上のことは俺は知らない。
だけどよ、今までの二人の関係を見てたら単純な腐れ縁の関係じゃないことぐらい、俺じゃなくたって分かる。
「若元、何があった? 俺は修斗とも若元とも友達だ。だから二人が笑っていてくれないと目覚めが悪いんだよ」
「ぐすっ…………」
「俺を使ってくれ。頼ってくれ。話してもらったことで必ずしも最高の結果は得られないかもしれない。だけど、最善の結果は与えてやれるかもしれないから」
「………………うん」
俺は若元から事情を聞いた。
修斗がサッカーに集中するために、あらゆるものを切り捨てようとしていること。
それは生徒会であり、友人であり、幼馴染であり。
若元の話す言葉からは修斗を責めるような言葉は何一つとして入っていなかった。
若元がどれだけ修斗のことを大切に想っているかが伝わってくる。
だからこそ、修斗の取った手段は愚の骨頂だと言わざるを得ない。
修斗、お前にとって若元はなんだ?
ただの幼馴染か?
違うだろ。
絶対に違う。
お前が怪我で苦しんでた時、そばにいてくれたんじゃないのかよ。
そのぐらい、聞かなくても俺には分かるぜ。
なにせ俺も同じ境遇だったからな。
俺にもそばにいてくれた人がいた。
だから俺は道を間違わずにここまで立ち直れたんだ。
修斗がやろうとしているのは、その大切な人を蔑ろにしようとしていることだ。
それだけはやっちゃならねぇ。
「若元は…………修斗にどうなって欲しいんだ?」
「サッカーを頑張って欲しい。だけどこのまま放っておいたらきっと…………修斗が…………もう戻って来れなくなるんじゃないかなって……」
その答えだけで俺が決意するには十分だった。
「分かった。後は俺に任せてよ」
「……え?」
「俺が直接修斗と話す」
世話の焼ける友人達だ。
だけどそんな友人達を俺は守りたい。
そのためなら、どんな大変な役回りだって演じてみせるさ。
「なんでまた補習なんだ俺はー!」
「テストの点が悪いからだろ」
現国のユキセンに冷たく言い放たれた。
この前は数学の岡部に居残りをさせられ、今度は現国と来たもんだ。
まったく、人気者はつらいぜ。
「お前は人気者なんかじゃないからな」
「ユキセン! なんで人の心が読めてるんでしょうか!」
「それは私が国語教師だからだよ」
やべーな国語教師。
〝この時の主人公の気持ちを答えよ〟を極めるとそんなことができんのか。
「この問題ができたら今日はもう上がっていいから」
「マジっすか! うおおおお轟け俺の右腕ぇ!!」
「先生な、たまにお前を見てると無人島に放り投げていつまでそのテンションが保つか試してみたくなるよ」
なんとか課題を終わらせ、『妖怪GO!』を起動させながら下駄箱に降りたところで若元を見かけた。
昨日に引き続きまたしても補習帰りに出会うとは。
「おいすおいす~若元。こんな時間まで何してんの?」
「あっ、佐川君……。ちょっと生徒会の仕事をね。佐川君は?」
「俺? 見ての通り───補習」
「全然見て分からないんだけど……。というか昨日も補習じゃなかった?」
「別教科だぜ!」
「ええ…………もう補習王子だね」
王子……。
なんて甘美な響きなんだ。
イケメンたる俺に相応しい二つ名だ。
ここは一つ、修斗にも俺のことを崇めさせる必要があるな。
「そういえば修斗は? あいつも生徒会なんだからいるんでしょ?」
「修斗は…………」
ギョッとした。
修斗の話題を出したとたん、若元の目に涙が溜まり始めた。
もしかして、なんか触れちゃいけない琴線に触れたか?
「どどど、どうしたんだよ若元!」
「ご、ごめん……ぐすっ、なんでもないの……」
「なんでもないってこたぁねーだろ……。修斗か? 修斗に何かされたんか!? なんなら肩パンしてきてやんよ!」
「全然違くて…………ズッ、ほんとごめんね急に」
おいおいちょっと見ない間にとんでもないことになってないか?
絶対若元と修斗の間に何かあっただろ。
最近の修斗の様子がおかしいことには気付いていたが、それはあくまで怪我でやることができなかったサッカーに夢中になっているからじゃなかったのか?
だから付き合いが悪いことにも俺は理解していたし、やりたい夢があるやつのことは応援したいぐらいだ。
だけどこの涙は…………二人の関係が上手くいってない証拠だ。
二人の関係が幼馴染だってことは知ってるが、それ以上のことは俺は知らない。
だけどよ、今までの二人の関係を見てたら単純な腐れ縁の関係じゃないことぐらい、俺じゃなくたって分かる。
「若元、何があった? 俺は修斗とも若元とも友達だ。だから二人が笑っていてくれないと目覚めが悪いんだよ」
「ぐすっ…………」
「俺を使ってくれ。頼ってくれ。話してもらったことで必ずしも最高の結果は得られないかもしれない。だけど、最善の結果は与えてやれるかもしれないから」
「………………うん」
俺は若元から事情を聞いた。
修斗がサッカーに集中するために、あらゆるものを切り捨てようとしていること。
それは生徒会であり、友人であり、幼馴染であり。
若元の話す言葉からは修斗を責めるような言葉は何一つとして入っていなかった。
若元がどれだけ修斗のことを大切に想っているかが伝わってくる。
だからこそ、修斗の取った手段は愚の骨頂だと言わざるを得ない。
修斗、お前にとって若元はなんだ?
ただの幼馴染か?
違うだろ。
絶対に違う。
お前が怪我で苦しんでた時、そばにいてくれたんじゃないのかよ。
そのぐらい、聞かなくても俺には分かるぜ。
なにせ俺も同じ境遇だったからな。
俺にもそばにいてくれた人がいた。
だから俺は道を間違わずにここまで立ち直れたんだ。
修斗がやろうとしているのは、その大切な人を蔑ろにしようとしていることだ。
それだけはやっちゃならねぇ。
「若元は…………修斗にどうなって欲しいんだ?」
「サッカーを頑張って欲しい。だけどこのまま放っておいたらきっと…………修斗が…………もう戻って来れなくなるんじゃないかなって……」
その答えだけで俺が決意するには十分だった。
「分かった。後は俺に任せてよ」
「……え?」
「俺が直接修斗と話す」
世話の焼ける友人達だ。
だけどそんな友人達を俺は守りたい。
そのためなら、どんな大変な役回りだって演じてみせるさ。
10
あなたにおすすめの小説
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。
エース皇命
青春
高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。
そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。
最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。
陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。
以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。
※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
※表紙にはAI生成画像を使用しています。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる