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高坂修斗復帰編
元野球少年②
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【第三者目線】
~中学3年夏~
「ストライーック! バッターアウッ! ゲームセット!」
「しゃああああ!」
光里シニアという野球クラブに最速140kmの速球を投げるピッチャーがいた。
佐川新之助。
速球派でありながらもスライダーとカーブを使い分ける本格右腕として野球関係者の中ではそれなりに知名度が通っていた。
中学3年になる頃には近くの強豪高校のスカウトも試合に観に来るような人物だった。
「新之助、今日もキレキレだな」
「当然。全試合全部俺が投げてやんよ」
「おいおい、俺にも投げさせてくれよな」
新之助を労ったのは同じピッチャーで小学校の頃から一緒だった成瀬伊織。
光里シニアの2番手ピッチャーであったが、新之助がほとんどの試合を投げ切ってしまうためそれほど出番は多くなかった。
怪我もしないし最後まで投げ切るスタミナがあるのは他の選手にとってはある意味不幸とも言えた。
それでも成瀬はお互いを高め合う存在であり、新之助にとっても親友と言える相手だった。
「佐川」
「なんですか監督」
「次の試合、遠方からもいくつか甲子園常連校のスカウトが観に来ると連絡があった。アピールするチャンスだからな」
「マジっすか!? しゃあああ頑張るぜ!」
「やったな新之助」
「おう!」
新之助が狙っていたのは東京で甲子園常連の帝聖高校と大阪にある大阪桐隻高校の二つ。
今度の試合ではもしかしたらその二つの高校のスカウトが視察に来るかもしれないということだった。
俄然、新之助のモチベーションも上がった。
「お前のいつものピッチングなら余裕さ。内定、決められるといいな」
「ありがとな伊織」
ウキウキで家に帰った新之助は早速母親達に報告をした。
父はまだ帰っていなかったが、ご飯を準備していた母とテレビを見ていた妹が新之助の話を聞いてくれた。
「今度の試合で俺の進路決まるかもしんないわ」
「へぇ~凄いわね。アンタあんまり勉強出来ないんだからそっちで進路決まるなら良かったじゃない」
「だろだろ。最悪、希望のとこじゃなくてもスポーツ推薦で行けそうなところはいくつかあるけどな」
「自分でちゃんと考えてるなら母ちゃんも父ちゃんも応援してるから好きなようにやんな」
「ちなみに大阪の学校寮とかに入るかもしれないから」
「えっ…………兄さん、家から出て行っちゃうんですか?」
寮の話をしたところで妹の雫が目を丸くして驚いた。
「なんだよ雫、兄ちゃんが家から出て行っちゃうのが寂しいのか~?」
新之助がニヤニヤしながら聞いた。
「ち、違います。うるさい人がいなくなると思って喜んでるだけです」
雫がプイッと顔を背けて答えた。
「連絡ならしてやっから泣くなよな」
「いりませんよ。泣きもしないです」
「ほら唐揚げできたわよ。アンタたち運びなさいな」
「へーい」
「はい」
母が作ってお皿に盛った唐揚げを、新之助はつまみ食いをしながらテーブルに持っていった。
今が絶賛成長期の新之助にとって、夜ご飯は母と雫の二人分を足した以上に食していた。
試合当日。
会場に向かおうと準備していた新之助の携帯に一通の連絡が届いた。
送信者は成瀬だった。
『助けてくれ新之助!実は前から個人的にトラブル抱えてたんだが、その関係で複数人に絡まれてる!場所は◯◯の××!お前しか頼めねぇ!』
内容を見て新之助の血の気が引いた。
成瀬がリンチに合っているかもしれないという不穏な内容。暴力沙汰の経験が無い新之助。
さらにはこの時間から成瀬がいる場所に行けば、試合開始には間に合わないという事実。早く片付いたとしても確実に遅れてしまう。
なにより今日の試合にはスカウトの人達も来るため、すっぽかしてしまえば監督達にも迷惑がかかり、新之助の将来の進路すらも不安定なものになってしまうものだった。
それでも新之助は迷いなく家を飛び出した。
書かれていた場所に向かって自転車を飛ばした。
自分の将来を捨てても、新之助は友人の危機を選んだのだ。
30分ひたすらに自転車を飛ばし、書かれていた場所は簡単な柵で覆われた解体現場のようなところだった。
新之助は汗だくになりながら到着し、自転車を投げ出して中に入った。
「伊織!!」
声を掛けるも成瀬の姿は無かった。
しかし、奥から同じ年頃ぐらいの男が五人ゾロゾロと出てきた。
どれもニヤニヤと不適な笑みを浮かべており、新之助を囲むように広がる。
「なんだよ……お前ら」
「本当にアイツの言う通り来たよ。お前が佐川だよな」
「伊織はどこだよ!」
新之助の質問に五人は顔を見合わせ、またしてもニヤニヤと笑みを浮かべた。
「お前、騙されてるよ」
「…………はぁ?」
「まぁいいや。とりあえず、お前はしばらくここで寝てろな」
男の一人が殴りかかってきた。
~中学3年夏~
「ストライーック! バッターアウッ! ゲームセット!」
「しゃああああ!」
光里シニアという野球クラブに最速140kmの速球を投げるピッチャーがいた。
佐川新之助。
速球派でありながらもスライダーとカーブを使い分ける本格右腕として野球関係者の中ではそれなりに知名度が通っていた。
中学3年になる頃には近くの強豪高校のスカウトも試合に観に来るような人物だった。
「新之助、今日もキレキレだな」
「当然。全試合全部俺が投げてやんよ」
「おいおい、俺にも投げさせてくれよな」
新之助を労ったのは同じピッチャーで小学校の頃から一緒だった成瀬伊織。
光里シニアの2番手ピッチャーであったが、新之助がほとんどの試合を投げ切ってしまうためそれほど出番は多くなかった。
怪我もしないし最後まで投げ切るスタミナがあるのは他の選手にとってはある意味不幸とも言えた。
それでも成瀬はお互いを高め合う存在であり、新之助にとっても親友と言える相手だった。
「佐川」
「なんですか監督」
「次の試合、遠方からもいくつか甲子園常連校のスカウトが観に来ると連絡があった。アピールするチャンスだからな」
「マジっすか!? しゃあああ頑張るぜ!」
「やったな新之助」
「おう!」
新之助が狙っていたのは東京で甲子園常連の帝聖高校と大阪にある大阪桐隻高校の二つ。
今度の試合ではもしかしたらその二つの高校のスカウトが視察に来るかもしれないということだった。
俄然、新之助のモチベーションも上がった。
「お前のいつものピッチングなら余裕さ。内定、決められるといいな」
「ありがとな伊織」
ウキウキで家に帰った新之助は早速母親達に報告をした。
父はまだ帰っていなかったが、ご飯を準備していた母とテレビを見ていた妹が新之助の話を聞いてくれた。
「今度の試合で俺の進路決まるかもしんないわ」
「へぇ~凄いわね。アンタあんまり勉強出来ないんだからそっちで進路決まるなら良かったじゃない」
「だろだろ。最悪、希望のとこじゃなくてもスポーツ推薦で行けそうなところはいくつかあるけどな」
「自分でちゃんと考えてるなら母ちゃんも父ちゃんも応援してるから好きなようにやんな」
「ちなみに大阪の学校寮とかに入るかもしれないから」
「えっ…………兄さん、家から出て行っちゃうんですか?」
寮の話をしたところで妹の雫が目を丸くして驚いた。
「なんだよ雫、兄ちゃんが家から出て行っちゃうのが寂しいのか~?」
新之助がニヤニヤしながら聞いた。
「ち、違います。うるさい人がいなくなると思って喜んでるだけです」
雫がプイッと顔を背けて答えた。
「連絡ならしてやっから泣くなよな」
「いりませんよ。泣きもしないです」
「ほら唐揚げできたわよ。アンタたち運びなさいな」
「へーい」
「はい」
母が作ってお皿に盛った唐揚げを、新之助はつまみ食いをしながらテーブルに持っていった。
今が絶賛成長期の新之助にとって、夜ご飯は母と雫の二人分を足した以上に食していた。
試合当日。
会場に向かおうと準備していた新之助の携帯に一通の連絡が届いた。
送信者は成瀬だった。
『助けてくれ新之助!実は前から個人的にトラブル抱えてたんだが、その関係で複数人に絡まれてる!場所は◯◯の××!お前しか頼めねぇ!』
内容を見て新之助の血の気が引いた。
成瀬がリンチに合っているかもしれないという不穏な内容。暴力沙汰の経験が無い新之助。
さらにはこの時間から成瀬がいる場所に行けば、試合開始には間に合わないという事実。早く片付いたとしても確実に遅れてしまう。
なにより今日の試合にはスカウトの人達も来るため、すっぽかしてしまえば監督達にも迷惑がかかり、新之助の将来の進路すらも不安定なものになってしまうものだった。
それでも新之助は迷いなく家を飛び出した。
書かれていた場所に向かって自転車を飛ばした。
自分の将来を捨てても、新之助は友人の危機を選んだのだ。
30分ひたすらに自転車を飛ばし、書かれていた場所は簡単な柵で覆われた解体現場のようなところだった。
新之助は汗だくになりながら到着し、自転車を投げ出して中に入った。
「伊織!!」
声を掛けるも成瀬の姿は無かった。
しかし、奥から同じ年頃ぐらいの男が五人ゾロゾロと出てきた。
どれもニヤニヤと不適な笑みを浮かべており、新之助を囲むように広がる。
「なんだよ……お前ら」
「本当にアイツの言う通り来たよ。お前が佐川だよな」
「伊織はどこだよ!」
新之助の質問に五人は顔を見合わせ、またしてもニヤニヤと笑みを浮かべた。
「お前、騙されてるよ」
「…………はぁ?」
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男の一人が殴りかかってきた。
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