怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ

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生徒会勧誘編

推薦基準①

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「結局神奈月先輩がいなかったから聞けなかった」

 夜、夕飯を食べながら俺は梨音に話した。
 今日はサバの味噌煮定食。
 梨音が作ったものだが、相変わらず美味い。
 どんどん料理が上手くなるなこいつ。

「ふーん。生徒会長も大変なのね」

「な。でも次期会計になるやつとなら話したぜ。俺達と同じ1年生で3組にいる前橋きいって奴」

「会計も埋まってるんだ。もしかしたら私が入れるような枠はもうないかもしれないね」

「他に空いてるのは書記ぐらいか? 他に役職があるのか分からん」

「その時は仕方ないね。修斗だけで生徒会に入りなよ。その会計の子とも知り合いになったんでしょ?」

「でもやっぱ梨音と一緒に入りてーじゃん」

「そ、そう……?」

「明日もう一回アタックしてみるかぁ」

 一応、前橋にも伝えといてもらうようにお願いしたけど、その返答がいつくるか分からないしな。

「…………何でニヤケてんだよ」

「べっ、別にニヤけてないし!」

「いくら自分の作った飯が美味いからって、さすがにそれはないわ」

「だから違うって言ってるじゃん!」


 ───────────────────────


「お、生徒会長じゃん」

 次の日、昼休みになると神奈月先輩の方から俺のクラスにやって来た。
 放課後に行こうと思っていたのに申し訳ないな。

「キイから連絡をもらったよ。私に話があるみたいだね」

「わざわざすいません。後でこちらから伺おうかと思ってたんですが」

「別に気にすることはないよ。高坂君を誘っているのは私の方だからね。それで、話っていうのは公の場で話しても恥ずかしくないやつかい?」

「当たり前でしょうが」

 何の話をすると思ってるんだ。
 女子の先輩を呼びつけていきなり猥談でも話し始めたら頭ぶっ飛んでると思われるだろ。
 ただでさえ色んな意味で目立ってるんだから、これ以上変なことできるか。

「とはいえここで話すのは嫌なんで廊下でもいいですか?」

「おい何でだよ。親友である俺様にも聞かせろ」

「親友になった覚えはないんだが」

「ニノだって聞きたいよな?」

「全然」

「ニノ!!」

 あっさり裏切られてんじゃねーか。
 もうちょっと打ち合わせしてから絡んでこいや。

 俺は神奈月先輩を教室の外に連れ出し、落ち着いて話ができる環境に逃げた。

「話、というのは生徒会に入るか否かということだよね。何が聞きたいんだい? なんでも聞きたまえ!」

 ドンと胸を張る生徒会長。

「一つは生徒会の活動について。学校行事の際に裏方として動くぐらいのことは知ってるんですけど、具体的にどんなことをやるんですか?」

「そうだね、主に生徒会の役割としては『生徒側と学校側を繋ぐ存在』だと思ってもらえればいい。例えば学校の備品を買い換えたいという意見がある場合、生徒会が代表として学校側に提案する形になる。一例だけど、中学生時代に目安箱なんてものを目にしたことはないかい?」

 そういえば中学の時にそんなものが設置されていたような……?
 でもアレ使ってる人なんているのか?

「あったような気もします」

「無ければ無いで構わないんだけど、生徒側の要望を学校側に伝えるのが生徒会。その他にも、有名な講師の人を学校に呼んで講演会を開いたりする企画を考えたり。要は学校を生徒にとってより良いものにするための存在が生徒会さ!」

 なるほど。
 本当に裏方って感じだな。
 話を聞く限りでは割と面白そうだ。
 っと、それともう一つ聞くことがあるんだった。

「もう一つお聞きしたいんですが」

「私のスリーサイズ?」

「生徒会に立候補できる役職って他に空いてます?」

「わぉ無視だ。大鳥君とは違うね」

 無視する以外の選択肢ないでしょ。
 触れたら負けだろその質問。

「空いてないこともないけど、庶務じゃ不満かい?」

「いや、俺じゃないんですけど、一緒に生徒会入りたいって言ってるやつがいるんですよ」

「本当かい? もちろん構わないけど、空いてる席というのが実は広報なんだ。しかしこれにはとても厳しい審査基準があってね…………!」

「難しいということですか?」

「いやいやいや。とりあえず呼んできてもらえないかい? 実際に私が判断したい」

 そもそも生徒会って生徒会長の推薦で決まるんだっけ?
 あまり詳しく分からないけど、この人に楯突いたりすると俺が消されそうになるほど権力持ってそうなので大人しく梨音を呼びに行った。

「梨音ー」

「あ、戻ってきた」

 梨音は八幡とご飯を食べているところだった。
 その反応からすると神奈月先輩がクラスに来たことを知っていたみたいだな。
 話が早くて助かる。

「ちょっと神奈月先輩が呼んでるから来てくんね?」

「うん、いいよ」

「悪い八幡、ちょっと梨音借りてく」

「借りるどころか貰ってっていいよ」

「も、貰うってちょっと!」

「おう貰ってくわ」

「ちょっと!!」

 俺は梨音を連れて神奈月先輩のところへと戻った。
 果たして梨音が神奈月先輩のお眼鏡にかなうかどうかだな。
 基準がどうなってるのか分からないが、俺を推薦するようなぶっ飛んだ基準だからなんとも言えない。

「先輩、若元梨音といって俺のクラスメイトなんですけど───」

「採用!!!!」

「「えええええええ!?」」

 はええよ!!
 出会って2秒で採用!?
 どんな判断基準!?

「広報とはすなわち生徒会の顔! つまり容姿が整っている人こそ相応しい。それこそ私みたいな!」

 やかましいわ。

「その点、若元さんは完璧!! 学校のパンフに載ってもおかしくない可愛らしい容姿! スタイル! 完璧だよ高坂君!」

「ほ、褒められたんだよね、私。やったー」

 やっぱこの人の推薦基準ぶっ飛んでるよ絶対。
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