怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ

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遅延新入生勧誘編

強者蹂躙①

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「相手はBチームと言えどユースサッカーの最高峰ともいえる東京Vヴァリアブルだ! 知っている奴も多いと思うが、世代別の日本代表として何度も召集されている神上や城ヶ崎がいる! 必ず今日も出てくるはずだ! だが、恐れることはない、彼らも俺達と同じ高校生だ! ユース最強の東京Vに勝つことができれば選手権大会で優勝することも夢じゃない! 俺達の実力を見せつけてやれ!」

 目の前のベンチでキャプテンである前橋兄が、チームメイトを鼓舞するように檄を飛ばす声が聞こえた。
 東京Vは今からアップを始めていたが、ホームである瑞都高校は既にアップを終了させ、スタメンを発表されたのかユニフォームに着替えていた。
 誰しもが自信に満ち溢れた表情をしており、ユースチームを喰ってやろうという気概が伺えた。

「桜川はベンチに行かなくていいのか? マネージャーだろ?」

「いやぁほら、ウチって部員が多いでしょ? ベンチにも座れない選手がいる中でマネージャーがベンチにいるのって変だし、私達は外れるようにしてるんだよね。給水もベンチの人達がやるってことで」

「……まぁユースでもベンチメンバーが渡すのが普通だしな」

 そう考えるとマネージャーって結構不遇だよな。
 雑用ばかりやらされるのに、試合の時はチームメンバーから外されたような扱いを受けていて。

 アップしている東京Vのメンバーを見ると、俺の見知った顔が多く見られた。
 涼介や優夜はともかくとして、光や賢治の姿もあった。
 光は特に半年前と変わった様子はないが、賢治は残っていた子供っぽさが抜け、身長とガタイが大きくなっているせいか大人と遜色ない。
 恐らく優夜と賢治は185cm近く身長があるだろう。

 他にも代表メンバーに選ばれることはなかったものの、ジュニアユース時代に苦楽を共にした奴らの顔があった。
 ボランチの潰し屋として優秀な友ノ瀬とものせ龍二りゅうじ、俺と優夜の控えになってしまっていたが他のユースにいれば間違いなくエース級のFW狭間はざま流星りゅうせい、常人よりも長い手足と反射神経、接触を恐れない飛び込みで幾度となくゴールを守ってきたGK大門だいもん郡司ぐんじ
 先輩達も含めて懐かしい顔ぶれだった。
 何人か知らない奴もいたが、セレクションやスカウトで受かった奴らだろう。
 実力は間違いないはずだ。

 しばらくして準備が整ったのか、両チームのスタメンが中央に集まり、挨拶を済ませ円陣を組んだ。
 気合の入った掛け声が両チームから上がり、それぞれがポジションへと移動する。
 東京Vのスタメンには涼介達が全員出場していた。
 Bチームと言えど、既に実力は全国トップクラスにあるのは間違いない。

「修斗はどう思う?」

 不意に弥守から質問された。

「何がだ?」

「高校とヴァリアブル、どっちが勝つと思う?」

 俺の中での答えはほぼ固まっていた。
 しかし、確定的ではない。
 どちらの試合も俺は見たことがないからだ。

「順当に言えばヴァリアブル。アップを見ていても技術力のレベルが違う」

「む、聞き捨てならないなー」

 不服そうに桜川が頬を膨らませた。

「ただ、鹿島オルディーズにいた狩野隼人がどこまでチームを引っ張れるかだな。ヴァリアブルもそれを警戒していると思うが」

「やっぱり狩野先輩がキーマンなんだね」

「…………私はヴァリアブルが圧勝すると思う」

「へぇ」

 弥守が断定するように話したのに驚いた。
 唯一、この中でユースチームのサッカーを見たことがあるから言えることだとは思うが、素人目に見てそこまで言わせるとは。

「悔しいけど、さっき城ヶ崎が言っていたことは本当なの。アイツは…………1年前の冬よりも遥かに成長してた」

「……どう変わったのか見てやろうじゃん」

 キックオフの笛が鳴り響いた。
 ボールが動くと同時に周りの観客達からの応援する歓声も上がる。
 グラウンドを囲む熱気や高揚感に巻き込まれるようにして俺の心も熱くなる。
 瑞都高校vs東京Vの一戦が始まった。
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