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アルバイト勧誘編
無圧面接①
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家に着いた頃、時刻は既に19時半を回っていた。
裏から入ろうとした俺達は表の暖簾が既に下げられていることに気付き、頭を捻った。
「店を閉めるにはまだ早くないか?」
「そうだよね。まだ7時半なのに」
不思議に思った俺達は裏からではなく表から入ることにした。
ガラガラと扉を開けて中に入ると、テーブル席に繁オジさんと梨音のお母さんが座っており、対面するようにスーツ姿の女性の姿が見えた。
スーツ姿の女性は俺達に気付くと、にへらとフニャッとした笑みで軽く会釈をしたため、俺達も会釈を仕返した。
ウェーブのかかった明るめの茶髪で、猫背ながらも座っていて身長が高いことが伺える。
俺達から見ても歳上だとすぐに分かるが、社会人……と呼べるほどスーツが似合っているわけではない。
スーツに着させられている感じだ。
恐らくは大学生だろう。
「おう、二人ともお帰り」
「お父さん、お店はもう閉めたの?」
「まぁな。今ちょうど面接をしてたところなんだ」
「面接?」
「前にも話したでしょ? そろそろアルバイトの方を雇おうかしらって」
俺は梨音と顔を見合わせ、そう言えばそんなこと言っていたなと思い出した。
弥守に告白をされた日(後日サッカーをさせるための方便だと知ったが)、家に帰ると二人がかなり忙しそうにしていたから仕事を手伝ったんだ。
その時に梨音のお母さんがポロリと口にしていた。
本来なら居候させてもらっている俺が手伝うべきなのだが、ここしばらくは生徒会だの試験勉強だので手伝えていないことが多かった。
そしてオジさんも梨音のお母さんもそれについて何も言わない。
学校を優先しろと常に言っているんだ。
「最近は嬉しいことにやたらと忙しくなってきたんだが、梨音も高校生になって手伝えることが少なくなってきたから人手が足りなくてな」
「そこでアルバイトを募集することにしたのよ~」
「修介の奴に色々聞いてネットを使って募集をかけてな、最近は『飯ログ』? っていうのにも登録したんだ」
修介というのは俺の父親のことだ。
知らない間に連絡を取り合っていたのか。
俺はパソコンに詳しくないが、父さんはしょっちゅう家でも仕事で使っていたな。
「それで今日、働きたいという人から連絡が来たから少し早めに店を閉めて面接しているわけだ」
「なるほど」
「こちら、望月さん」
「望月日夏っす~。気軽にもっちーと呼んで下さい。よろしくっす」
「敬語はいらないですよ。私達、見ての通り高校生ですから」
「でもここのお店の人っすよね? だったら使用者と労働者の立場なんで敬語っすよ」
そう言いつつも望月さんと名乗った人は俺達二人の姿をじーっと見ながら頭を捻った。
「どうしました?」
「………………二卵性の双子?」
「「違います!!」」
俺と梨音が声を揃えて否定した。
確かにそういう紹介のされ方されたら兄弟だと誤解されてしまうかもしれないが、いくらなんでも双子はないだろう。
「息ピッタリすねぇ~」
「ははは。男の子の方は俺の親友の息子でな、事情があってこの家に住み込みさせてるんだ。ほとんど家族みたいなもんだな」
「そうねぇ~。修斗くんは小さい頃から知ってるものねぇ」
「いっすねぇなんかそういうの。あったかみがあると言いますか」
「もっちーさんはどうしてウチを希望したんですか?」
「梨音……それは父さんが聞きたかったところ……」
どうやら一番の志望動機をまだ聞いていなかったらしい。
梨音にその質問を取られ、繁オジさんが悔しそうな顔をした。
オジさんもアルバイトを雇うのは初めてのことだろうから、面接すること自体を楽しんでいたのかもしれない。
「や、もちろんお金が必要だからというのをあるんすけど…………こういう家族経営でお店をしてるところで働かせてもらえるのって、なんかいいっすよね~。アットホームな職場! と言いますか……チェーン店にはないあったかみがあるというか…………」
その広告の謳い方だとギンギンのブラックに聞こえるんですが。
「大学の終わった帰りにそのまま寄れるっていうのもポイント高いんすよ!」
「大学は…………三奈上女子大か。確かに近いな」
オジさんが履歴書を見ながら確認した。
「…………ちなみに何で写真でピースしてるんだ?」
もっちーさんが持ってきた履歴書では、確かに写真が笑顔でダブルピースしているものだった。
俺ですらこういう真面目なものでピースがよろしくないのは知ってるんだが。
プリクラ気分かな?
「いやぁやっぱり履歴書と言えば私の人となりを知ってもらうものっすからねぇ~、明るい人ですよアピールっす」
「…………ウチ以外だと落ちるから気をつけてな」
「マジっすか!?」
…………大丈夫かこの人。
裏から入ろうとした俺達は表の暖簾が既に下げられていることに気付き、頭を捻った。
「店を閉めるにはまだ早くないか?」
「そうだよね。まだ7時半なのに」
不思議に思った俺達は裏からではなく表から入ることにした。
ガラガラと扉を開けて中に入ると、テーブル席に繁オジさんと梨音のお母さんが座っており、対面するようにスーツ姿の女性の姿が見えた。
スーツ姿の女性は俺達に気付くと、にへらとフニャッとした笑みで軽く会釈をしたため、俺達も会釈を仕返した。
ウェーブのかかった明るめの茶髪で、猫背ながらも座っていて身長が高いことが伺える。
俺達から見ても歳上だとすぐに分かるが、社会人……と呼べるほどスーツが似合っているわけではない。
スーツに着させられている感じだ。
恐らくは大学生だろう。
「おう、二人ともお帰り」
「お父さん、お店はもう閉めたの?」
「まぁな。今ちょうど面接をしてたところなんだ」
「面接?」
「前にも話したでしょ? そろそろアルバイトの方を雇おうかしらって」
俺は梨音と顔を見合わせ、そう言えばそんなこと言っていたなと思い出した。
弥守に告白をされた日(後日サッカーをさせるための方便だと知ったが)、家に帰ると二人がかなり忙しそうにしていたから仕事を手伝ったんだ。
その時に梨音のお母さんがポロリと口にしていた。
本来なら居候させてもらっている俺が手伝うべきなのだが、ここしばらくは生徒会だの試験勉強だので手伝えていないことが多かった。
そしてオジさんも梨音のお母さんもそれについて何も言わない。
学校を優先しろと常に言っているんだ。
「最近は嬉しいことにやたらと忙しくなってきたんだが、梨音も高校生になって手伝えることが少なくなってきたから人手が足りなくてな」
「そこでアルバイトを募集することにしたのよ~」
「修介の奴に色々聞いてネットを使って募集をかけてな、最近は『飯ログ』? っていうのにも登録したんだ」
修介というのは俺の父親のことだ。
知らない間に連絡を取り合っていたのか。
俺はパソコンに詳しくないが、父さんはしょっちゅう家でも仕事で使っていたな。
「それで今日、働きたいという人から連絡が来たから少し早めに店を閉めて面接しているわけだ」
「なるほど」
「こちら、望月さん」
「望月日夏っす~。気軽にもっちーと呼んで下さい。よろしくっす」
「敬語はいらないですよ。私達、見ての通り高校生ですから」
「でもここのお店の人っすよね? だったら使用者と労働者の立場なんで敬語っすよ」
そう言いつつも望月さんと名乗った人は俺達二人の姿をじーっと見ながら頭を捻った。
「どうしました?」
「………………二卵性の双子?」
「「違います!!」」
俺と梨音が声を揃えて否定した。
確かにそういう紹介のされ方されたら兄弟だと誤解されてしまうかもしれないが、いくらなんでも双子はないだろう。
「息ピッタリすねぇ~」
「ははは。男の子の方は俺の親友の息子でな、事情があってこの家に住み込みさせてるんだ。ほとんど家族みたいなもんだな」
「そうねぇ~。修斗くんは小さい頃から知ってるものねぇ」
「いっすねぇなんかそういうの。あったかみがあると言いますか」
「もっちーさんはどうしてウチを希望したんですか?」
「梨音……それは父さんが聞きたかったところ……」
どうやら一番の志望動機をまだ聞いていなかったらしい。
梨音にその質問を取られ、繁オジさんが悔しそうな顔をした。
オジさんもアルバイトを雇うのは初めてのことだろうから、面接すること自体を楽しんでいたのかもしれない。
「や、もちろんお金が必要だからというのをあるんすけど…………こういう家族経営でお店をしてるところで働かせてもらえるのって、なんかいいっすよね~。アットホームな職場! と言いますか……チェーン店にはないあったかみがあるというか…………」
その広告の謳い方だとギンギンのブラックに聞こえるんですが。
「大学の終わった帰りにそのまま寄れるっていうのもポイント高いんすよ!」
「大学は…………三奈上女子大か。確かに近いな」
オジさんが履歴書を見ながら確認した。
「…………ちなみに何で写真でピースしてるんだ?」
もっちーさんが持ってきた履歴書では、確かに写真が笑顔でダブルピースしているものだった。
俺ですらこういう真面目なものでピースがよろしくないのは知ってるんだが。
プリクラ気分かな?
「いやぁやっぱり履歴書と言えば私の人となりを知ってもらうものっすからねぇ~、明るい人ですよアピールっす」
「…………ウチ以外だと落ちるから気をつけてな」
「マジっすか!?」
…………大丈夫かこの人。
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