怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ

文字の大きさ
112 / 203
アルバイト勧誘編

実力確認①

しおりを挟む
 各自、受付を済ませた後に練習着に着替えてフットサルコートへと向かった。
 チームはA~Fチームに分かれており、俺達はFチームとなった。
 最初の試合はEチームと戦うということで、俺達は3つあるコートの内の一つでアップを始めることとした。
 そのコートには既にEチームがおり、会話の声がそれとなく聞こえてきたが、どうやら相手は俺達と同じ高校生で、俺達のようにフットサルではなくサッカーをやっている人達のようだ。練習着に高校の名前が入っているため、気分転換がてら参加したのかもしれない。

 改めてフットサル用のボールに触れる。
 サッカーボールとは大きさが異なり、いわゆる4号球と定義されるボールになる。ちなみにサッカーでは5号球と呼ばれる大きさになる。
 しかし、大きさが違くても重さについては意外にもサッカーボールと同じような重さだ。
 そのため、扱いやすさはあっても浮き球を出したりするには少しコツがいる。この辺りの違いを念頭に置いて感覚を掴まなければならない。

「大城国はフットサルをやったことはあるのか?」

「無いぞ! 今初めて触ってみたが、俺には少し小さ過ぎるな!」

 大城国とパス交換をしながら言葉でもパス交換をしてみる。
 こいつのプレースタイルは言わずもがなではあるが、コンビネーションフットボールにはお互いの理解が必要だ。
 他愛ないことでも、知っておくべきだ。

「高坂こそ怪我をしたと俺は聞いていたんだが? 今の状態を見る限りでは平気そうだな」

「いや、こう見えて俺の右足はボロボロさ。それでも俺はサッカーをやめられないからこうしてフットサルで慣らしにきたってわけだ」

「そいつぁ上々だな。当時のお前を知っている奴なら辞めるのは〝もったいない〟って思うだろうよ」

「つまり、高坂を誘った俺の功績は大である、ということだな」

「違ぇねぇ!」

 山田の言葉に大城国がだっはっはっと大口を開けて笑った。
 ストレッチを終えた山田、橋本、山田弟を含めた5人で試合開始の時間まで鳥籠とりかご【円の中に鬼を一人入れ、奪われないようにパスを回すゲーム】したりしてウォーミングアップを済ませた。

 そしてついに、1戦目の試合開始時間となった。

「1試合10分間。チームで空いている人がタイムキーパーをしてください。間に休憩10分間を挟みつつ、総当たりで試合を回して行きます。ビブスを着るチームはお互いに判断してください。それでは、危険プレー等ないよう、お互いにスポーツマンシップに則ってお願いします。終了後は、代表者の方が私のところへ勝敗報告をお願いします」

 この個サルの企画者であろう人が端的に説明した。
 あの人も選手の一人で、Aチームにいる。
 個サルではファールやタッチラインを割った判断等も自分達で行うみたいだ。
 基本的には自主性に任せる、といったところか。

「ポジションはどうするよ?」

「基本的にフットサルは全員攻撃、全員守備だからポジションは正直どうでもいいんだよな。強いて言えばダイヤモンド陣形か。んで、橋本はキーパー固定だろ。本職だし」

「構わないよ」

「ダイヤモンドなら大城国が前線張り付きか? 典型的センターフォワードじゃん」

「おーおー任せとけ。全てゴールにぶち込んだるわ」

「高坂、ちなみにどれぐらい走れる?」

 今の足の具合を考えると…………6割程度ってところか。

「全力じゃなけりゃランニング程度は」

「となると…………あれだな。ダイヤモンドよりも2:2で別れたほうがいいな。俺と高坂が後ろに入る。守備の面は俺がカバーする」

「介護頼むよ」

「大城国と孝四郎が前線2枚だ。パスの供給は全て高坂がする」

「おいこら」

「介護する代償だっての」

 そんなこんなでざっくりとフォーメーションは決まった。
 大城国と山田弟が前に付き、俺と山田が後ろにつく。
 ただし、あくまでこれは目安のポジションだ。実際はもっと流動的にポジションは入れ替わるに違いない。

 相手は俺達と同じ高校生。
 年齢はもしかしたら向こうの方が上なのかもしれないが、サッカーに年齢は関係ない。身長が190ぐらいある大城国がいい例だ。縦にも横にも高校生離れしている。

「よろしくお願いします」

「こちらこそ」

 向こうの人達も配置につき、挨拶をお互いに済ます。
 そして相手の人が上に蹴ったボールを合図に、俺の実力を試す試合が始まった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。

エース皇命
青春
 高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。  そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。  最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。  陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。  以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。 ※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。 ※表紙にはAI生成画像を使用しています。

静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。 なんと、彼女は学園のマドンナだった……! こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。 彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。 そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。 そして助けられた少女もまた……。 二人の青春、そして成長物語をご覧ください。 ※中盤から甘々にご注意を。 ※性描写ありは保険です。 他サイトにも掲載しております。

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話

水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。 そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。 凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。 「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」 「気にしない気にしない」 「いや、気にするに決まってるだろ」 ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様) 表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。 小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

処理中です...