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文化祭勧誘編
田舎出身④
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【高坂修斗目線】
次の日、文化祭の出し物を何にするか、という事でクラスで話し合うことになった。
他クラスとの兼ね合いもあるが、大体の要望は通るらしい。
生徒会での活動もあると思うが、主に動くのは文化祭実行委員に選ばれた人達になる。ある程度、俺や梨音も自由に行動できるだろう。
「まずは、何の出し物をするかだけど」
学級委員の逢坂が黒板の前に立ち、音頭を取った。
隣には宇佐木先生が座って状況を見ている。
「希望とかはある?」
「はいはいはーい! 俺、希望、ある!」
「出た佐川」
「なんでカタコトなんだよ」
「ろくでもないこと言うぞコイツ」
新之助が、いの一番に手を挙げた。
それを見たクラスメイトが次々にツッコミを入れた。
何かを言う前に、既に新之助が言わんとしていることがどうせくだらないことだと、みんなが理解しているようだ。
半年近くも経てば、みんなも新之助がどういう奴か分かっているようだった。
「おい佐川。しょうもないことだったら、その口まつり縫いしてやるからな」
「おいおいユキ先、いくら俺だって文化祭の出し物ぐらい、みんなが楽しめるものを提案するっつーの」
「それで佐川君、希望は?」
「メイドカフェだよ!」
「おーい、誰か針と糸持ってきてくれ」
───────────────
─────────
────
「ということで、ウチのクラスは仮装しつつカレーを販売するということで」
「じゃあ先生はこの希望を渡してくるからな。他にも飲食店が大勢いない限りは問題ないと思う」
そう言って宇佐木先生は教室から出て行った。
それと同時にクラス中が決まったカレー屋について話し始め、ザワつき出した。
「見たか修斗、俺の交渉術」
新之助が話しかけてきた。
「何が交渉術だよ。メイドカフェなんて即却下されてたじゃねーか。そこから駄々こねまくってコスプレ要素だけ残すのにみんなが賛同してくれたんだろ」
「ちっちっち、分かってねーなぁ。交渉っつーのは最初に無理難題をふっかけることで、本当の自分の要求を通しやすくするのさ」
「じゃあなにか、お前の本当の希望はコスプレだったと?」
「いや、本当はメイドカフェが良かった」
「最高にキモいよお前」
一瞬、手出そうになった。
本能に正直すぎる。
よくもまぁクラスのみんなの前で堂々と言えるもんだよ。
そういうキャラであることを浸透させたの強すぎるだろこいつ。
「でもコスプレでも良いんだ俺は。女子の普段と違う姿が見られればなんでもな!」
「その我の強さはスポーツマン向きだよ」
「元野球少年だからな!」
後日、大石さんから連絡があった。
次の土曜日、弟が午前中に試合があるので午後から一緒にどうですかとのことだった。
ちなみに試合相手を聞いたら、偶然にもヴァリアブルのジュニアユースらしい。
赤坂コーチもいるだろうし、せっかくなら挨拶も兼ねて午前中から行きますよと返信しておいた。
大石さんの弟がどれぐらい出来るのかも知っておきたいしな。
当時見た印象では、特にこれと言って特徴のないMFという印象だった。
強いて言えば、しつこい。
マンマークのつき方が徹底されていた。
土曜日の朝、指定のグラウンドに向かうと大石さんが既に待っており、俺を見つけると手を振って呼んだ。
「高坂、こっちだべ」
長めのロングスカートに大きめのカーディガン。
いわゆるゆるふわ系ファッションという奴だろうか。まったりした性格によく合った私服だ。
「ごめんなぁ、せっかくの土曜なのに付き合わせちまって」
「全然ですよ。サッカーに関係することならむしろ喜んで」
「ありがとなぁ。ほれ、義助も挨拶せねど」
「こ、こんにちわ!! 大石義助、中学3年生です!!」
「こんにちわ。高坂修斗です」
大石さんの後ろに隠れるようにして縮こまっているのがいると思ったら、弟だった。
野球部かと思ってしまうほどの坊主で、身長はそれほど大きくない。
165ぐらいか?
でも体格はガッシリしてるな。
「こ、高坂さんとは中学時代に一度戦ったことがあり……!」
「覚えてるよ。2年前の冬だったかな。マッチアップすることも何回か合ったよね」
「うおー!! 覚えててくれたんですか!? オラ嬉しいっす!」
凄い。
ガチファンだ。
熱量がとんでもない。
「今日はよろしくお願いします! 試合も頑張ってきますんで!」
「どれぐらいやれるか見てるから」
「ひえっ……! 緊張する…………けど逆に滾《たぎ》ってきたぁ!」
そう言って義助は走ってグラウンドに行ってしまった。
「元気一杯ですね」
「高坂と会えるって分かってからずっとあんな調子だすけなぁ、本当に憧れてるみたいだぁ」
「照れますね」
とはいえ、今の俺を見てガッカリされないか心配だ。
ちゃんとしたサッカーボールを使って誰かと練習なんて、怪我をしてからしたことがない。
いつも自分一人の自主練だし、フットサルの時もボールの種類が違う。
当時の俺とは違う、なんて言われでもしたら流石に少しへこむぜ。
次の日、文化祭の出し物を何にするか、という事でクラスで話し合うことになった。
他クラスとの兼ね合いもあるが、大体の要望は通るらしい。
生徒会での活動もあると思うが、主に動くのは文化祭実行委員に選ばれた人達になる。ある程度、俺や梨音も自由に行動できるだろう。
「まずは、何の出し物をするかだけど」
学級委員の逢坂が黒板の前に立ち、音頭を取った。
隣には宇佐木先生が座って状況を見ている。
「希望とかはある?」
「はいはいはーい! 俺、希望、ある!」
「出た佐川」
「なんでカタコトなんだよ」
「ろくでもないこと言うぞコイツ」
新之助が、いの一番に手を挙げた。
それを見たクラスメイトが次々にツッコミを入れた。
何かを言う前に、既に新之助が言わんとしていることがどうせくだらないことだと、みんなが理解しているようだ。
半年近くも経てば、みんなも新之助がどういう奴か分かっているようだった。
「おい佐川。しょうもないことだったら、その口まつり縫いしてやるからな」
「おいおいユキ先、いくら俺だって文化祭の出し物ぐらい、みんなが楽しめるものを提案するっつーの」
「それで佐川君、希望は?」
「メイドカフェだよ!」
「おーい、誰か針と糸持ってきてくれ」
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「ということで、ウチのクラスは仮装しつつカレーを販売するということで」
「じゃあ先生はこの希望を渡してくるからな。他にも飲食店が大勢いない限りは問題ないと思う」
そう言って宇佐木先生は教室から出て行った。
それと同時にクラス中が決まったカレー屋について話し始め、ザワつき出した。
「見たか修斗、俺の交渉術」
新之助が話しかけてきた。
「何が交渉術だよ。メイドカフェなんて即却下されてたじゃねーか。そこから駄々こねまくってコスプレ要素だけ残すのにみんなが賛同してくれたんだろ」
「ちっちっち、分かってねーなぁ。交渉っつーのは最初に無理難題をふっかけることで、本当の自分の要求を通しやすくするのさ」
「じゃあなにか、お前の本当の希望はコスプレだったと?」
「いや、本当はメイドカフェが良かった」
「最高にキモいよお前」
一瞬、手出そうになった。
本能に正直すぎる。
よくもまぁクラスのみんなの前で堂々と言えるもんだよ。
そういうキャラであることを浸透させたの強すぎるだろこいつ。
「でもコスプレでも良いんだ俺は。女子の普段と違う姿が見られればなんでもな!」
「その我の強さはスポーツマン向きだよ」
「元野球少年だからな!」
後日、大石さんから連絡があった。
次の土曜日、弟が午前中に試合があるので午後から一緒にどうですかとのことだった。
ちなみに試合相手を聞いたら、偶然にもヴァリアブルのジュニアユースらしい。
赤坂コーチもいるだろうし、せっかくなら挨拶も兼ねて午前中から行きますよと返信しておいた。
大石さんの弟がどれぐらい出来るのかも知っておきたいしな。
当時見た印象では、特にこれと言って特徴のないMFという印象だった。
強いて言えば、しつこい。
マンマークのつき方が徹底されていた。
土曜日の朝、指定のグラウンドに向かうと大石さんが既に待っており、俺を見つけると手を振って呼んだ。
「高坂、こっちだべ」
長めのロングスカートに大きめのカーディガン。
いわゆるゆるふわ系ファッションという奴だろうか。まったりした性格によく合った私服だ。
「ごめんなぁ、せっかくの土曜なのに付き合わせちまって」
「全然ですよ。サッカーに関係することならむしろ喜んで」
「ありがとなぁ。ほれ、義助も挨拶せねど」
「こ、こんにちわ!! 大石義助、中学3年生です!!」
「こんにちわ。高坂修斗です」
大石さんの後ろに隠れるようにして縮こまっているのがいると思ったら、弟だった。
野球部かと思ってしまうほどの坊主で、身長はそれほど大きくない。
165ぐらいか?
でも体格はガッシリしてるな。
「こ、高坂さんとは中学時代に一度戦ったことがあり……!」
「覚えてるよ。2年前の冬だったかな。マッチアップすることも何回か合ったよね」
「うおー!! 覚えててくれたんですか!? オラ嬉しいっす!」
凄い。
ガチファンだ。
熱量がとんでもない。
「今日はよろしくお願いします! 試合も頑張ってきますんで!」
「どれぐらいやれるか見てるから」
「ひえっ……! 緊張する…………けど逆に滾《たぎ》ってきたぁ!」
そう言って義助は走ってグラウンドに行ってしまった。
「元気一杯ですね」
「高坂と会えるって分かってからずっとあんな調子だすけなぁ、本当に憧れてるみたいだぁ」
「照れますね」
とはいえ、今の俺を見てガッカリされないか心配だ。
ちゃんとしたサッカーボールを使って誰かと練習なんて、怪我をしてからしたことがない。
いつも自分一人の自主練だし、フットサルの時もボールの種類が違う。
当時の俺とは違う、なんて言われでもしたら流石に少しへこむぜ。
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