163 / 203
文化祭勧誘編
田舎出身⑦
しおりを挟む
ヴァリアブルが攻めあぐねている状況で、少しでも早く点を取りたいグレイブだが、同じように攻撃に厚みを持たせられない状態だった。
確かに守備の練度は高いが、それでもヴァリアブルのDF陣を上回るほどの攻撃力は無いようだ。
ヴァリアブルも攻めの際のパスミスはするが、守りでの致命的なミスは起こしていない。両者共に攻めあぐねていた。
後半、時間を置いたことで何かしらの指示があったのか、ヴァリアブルが動いた。
選手を1人交代させ、FWの枚数を一枚増やしたのだ。入ってきたのは2年の藤宮樹。
攻め方は変わらないのだが、ボールをサイドいっぱいまで広げ始めた。
そしてその動きに合わせるように、グレイブのWBが釣られて前に出たところのスペースを安達が走り込む。
そのマークのためにCBがズレていき…………というように相手のDFを動かし始めた。
そうすることで生まれたスペース、そこを支配していきシュートコースをこじ開けるという算段だ。
このやり方なら、無策にサイドから仕掛けてクロスをあげるよりも今のヴァリアブルには得点の匂いがするだろう。
ペナルティエリア手前までボールが回り、トップ下の翔平にボールが渡った。
その瞬間、大石弟がボールをインターセプトした。
一瞬マークが外れたがためにパスが回ってきたのだが、それはわざと外したように見せただけか。
もしかして意外と策士なのか? 大石弟。
すぐさまヴァリアブルがプレスに寄せにくるが、大石弟は最前線に向けて大きくクリアをした。
いや……クリアじゃないな。
最終ラインにいる陽翔とグレイブのFWが並走してボールを追っている。狙ったスルーパスだ。
FWの選手が先に触り、体を寄せられながらもペナルティエリア付近からシュートを放ち、ボールはポスト脇を逸れていった。
残念ながらゴールとはならなかったようだ。
「うっわぁ、惜しいべ今の」
「いいカウンターでしたね」
「かうんたー? って言うんだねぇ」
大石弟が起点になったいい攻撃だ。
躊躇いなくFWが走っていたのを見るに、今のは予定されていた攻撃の一つってところか。
ともあれ試合が始まってから両チーム含めて初めて得点の匂いがしたシーンだ。
ヴァリアブルは赤坂コーチがやりたいことを実践しているのは分かるが、足元の技術が追いついていないように見える。
流石にまだジュニアユースだからかもな。
(とかいう俺も去年までは同じ立ち位置だったわけだけど)
その後、ヴァリアブルはトライアンドエラーによる攻撃の内の一つが成功し、安達から樹へのクロスで点を決めることができた。
ボールポゼッションもヴァリアブルが高く、一見して優勢に見えていたのはヴァリアブルだったが、そのほとんどは持たされていただけで戦術としてはグレイブが機能していただけにこの失点は悔しいものだろう。
結果、1ー0でヴァリアブルジュニアユースが勝利することとなった。
「惜しかったねぇ」
「良い形で封じ込めてはいたんですけどね、グレイブ側は攻撃に変化をもたらせるキーマンが足りませんでしたね」
「?? そうかぁ」
あんまりよく分かってなさそう。
純真な笑顔は輝いてるんだけど。
「ちょっとヴァリアブルの方に顔出してきますね。少ししたら戻ってきますので」
「はーい」
俺は観客席からヴァリアブル側のベンチ近くに移動した。
勝てた割には少し顔が暗いか。
あんまり良いプレーが出来なかったからかな。
「この後は試合のフィードバックをするからな。汗の処理はちゃんとしておけよ」
赤坂コーチが選手に指揮を取っているのを見て、俺は観客席の上から声を掛けた。
「赤坂コーチ」
「ん? …………おお!? 高坂じゃないか! 久しぶりだな、今度は俺が驚かされたよ。試合見に来てくれてたのか?」
「ええ、向こうのグレイブに知り合いがいまして。ついでに顔を出そうかなと」
「えっ…………修斗さんじゃないっすか」
「うわほんとだ!! 修斗さーん!! 久しぶりー!!」
俺に気付いた2、3年生が一斉に寄ってきた。
俺がいなくなってから1年経つのに覚えててくれてるとは。
2年生に至っては夏にいなくなってるのに。
「修斗さん足は大丈夫なんすか?」
安達が聞いてきた。
「それなりにな。それより安達、お前今日ダメダメだな」
「相手の守備がかてーんすもん! つーか修斗さん、なんで相変わらず俺は苗字呼びなんすかー!」
「だってお前の名前、相手にボール渡すみたいで嫌なんだよ」
「人の名前なのにヒデーっす!」
貢だもん。
申し訳ないがプレー中に呼びたくないです。
確かに守備の練度は高いが、それでもヴァリアブルのDF陣を上回るほどの攻撃力は無いようだ。
ヴァリアブルも攻めの際のパスミスはするが、守りでの致命的なミスは起こしていない。両者共に攻めあぐねていた。
後半、時間を置いたことで何かしらの指示があったのか、ヴァリアブルが動いた。
選手を1人交代させ、FWの枚数を一枚増やしたのだ。入ってきたのは2年の藤宮樹。
攻め方は変わらないのだが、ボールをサイドいっぱいまで広げ始めた。
そしてその動きに合わせるように、グレイブのWBが釣られて前に出たところのスペースを安達が走り込む。
そのマークのためにCBがズレていき…………というように相手のDFを動かし始めた。
そうすることで生まれたスペース、そこを支配していきシュートコースをこじ開けるという算段だ。
このやり方なら、無策にサイドから仕掛けてクロスをあげるよりも今のヴァリアブルには得点の匂いがするだろう。
ペナルティエリア手前までボールが回り、トップ下の翔平にボールが渡った。
その瞬間、大石弟がボールをインターセプトした。
一瞬マークが外れたがためにパスが回ってきたのだが、それはわざと外したように見せただけか。
もしかして意外と策士なのか? 大石弟。
すぐさまヴァリアブルがプレスに寄せにくるが、大石弟は最前線に向けて大きくクリアをした。
いや……クリアじゃないな。
最終ラインにいる陽翔とグレイブのFWが並走してボールを追っている。狙ったスルーパスだ。
FWの選手が先に触り、体を寄せられながらもペナルティエリア付近からシュートを放ち、ボールはポスト脇を逸れていった。
残念ながらゴールとはならなかったようだ。
「うっわぁ、惜しいべ今の」
「いいカウンターでしたね」
「かうんたー? って言うんだねぇ」
大石弟が起点になったいい攻撃だ。
躊躇いなくFWが走っていたのを見るに、今のは予定されていた攻撃の一つってところか。
ともあれ試合が始まってから両チーム含めて初めて得点の匂いがしたシーンだ。
ヴァリアブルは赤坂コーチがやりたいことを実践しているのは分かるが、足元の技術が追いついていないように見える。
流石にまだジュニアユースだからかもな。
(とかいう俺も去年までは同じ立ち位置だったわけだけど)
その後、ヴァリアブルはトライアンドエラーによる攻撃の内の一つが成功し、安達から樹へのクロスで点を決めることができた。
ボールポゼッションもヴァリアブルが高く、一見して優勢に見えていたのはヴァリアブルだったが、そのほとんどは持たされていただけで戦術としてはグレイブが機能していただけにこの失点は悔しいものだろう。
結果、1ー0でヴァリアブルジュニアユースが勝利することとなった。
「惜しかったねぇ」
「良い形で封じ込めてはいたんですけどね、グレイブ側は攻撃に変化をもたらせるキーマンが足りませんでしたね」
「?? そうかぁ」
あんまりよく分かってなさそう。
純真な笑顔は輝いてるんだけど。
「ちょっとヴァリアブルの方に顔出してきますね。少ししたら戻ってきますので」
「はーい」
俺は観客席からヴァリアブル側のベンチ近くに移動した。
勝てた割には少し顔が暗いか。
あんまり良いプレーが出来なかったからかな。
「この後は試合のフィードバックをするからな。汗の処理はちゃんとしておけよ」
赤坂コーチが選手に指揮を取っているのを見て、俺は観客席の上から声を掛けた。
「赤坂コーチ」
「ん? …………おお!? 高坂じゃないか! 久しぶりだな、今度は俺が驚かされたよ。試合見に来てくれてたのか?」
「ええ、向こうのグレイブに知り合いがいまして。ついでに顔を出そうかなと」
「えっ…………修斗さんじゃないっすか」
「うわほんとだ!! 修斗さーん!! 久しぶりー!!」
俺に気付いた2、3年生が一斉に寄ってきた。
俺がいなくなってから1年経つのに覚えててくれてるとは。
2年生に至っては夏にいなくなってるのに。
「修斗さん足は大丈夫なんすか?」
安達が聞いてきた。
「それなりにな。それより安達、お前今日ダメダメだな」
「相手の守備がかてーんすもん! つーか修斗さん、なんで相変わらず俺は苗字呼びなんすかー!」
「だってお前の名前、相手にボール渡すみたいで嫌なんだよ」
「人の名前なのにヒデーっす!」
貢だもん。
申し訳ないがプレー中に呼びたくないです。
11
あなたにおすすめの小説
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。
エース皇命
青春
高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。
そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。
最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。
陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。
以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。
※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
※表紙にはAI生成画像を使用しています。
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる