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文化祭勧誘編
文化祭2日目②
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そう言って最初に向かったのは、神奈月先輩や大鳥先輩も行ったという3教室ぶち抜きのお化け屋敷。
教室の前の入り口から入り、後ろの出口と隣の教室の入り口を繋げるようにすることで、3教室ぶち抜きを実現させているようだ。
ちなみに昨日は行っていない。
流石にネタバレはよくないからな。
中に入ると暗幕で光を塞いでいるせいで真っ暗だった。
間接照明による僅かな光量で、マネキンの首や置物を照らすことで雰囲気を醸し出し、かと思えばお化け役の人が奇声を上げながら近寄ってきた。
思わず俺は小さく声をあげ、梨音はしっかり悲鳴をあげていた。
梨音が繋いでいる方の腕にがっしりとしがみついてくる。
それに別ベクトルの驚きを抱えながらも、俺は指摘せずにそのまま進んだ。
角を曲がった瞬間、目の前に長い髪を顔の前に垂れ下げている白装束の幽霊役が立っており、驚いてヒュッと空気が口から漏れた。
「あれ~高坂君とリオちゃんもとい神絵師だ~。お化け屋敷来てくれたんだね~」
「…………新波先輩じゃん」
「……ほんとだ」
髪を掻き分けて顔を覗かせたのは生徒会書記の新波先輩だった。
驚かす気ゼロじゃんこの人。
「お化け役の仕事、やらなくていいんですか?」
「うん、大丈夫大丈夫~。私、そういうの向いてないから立ってるだけで良いって言われたんだ~。昨日は会長と大鳥君も来てくれたんだけど、私が大鳥君にこの姿で声かけたら腰抜かしちゃったんだ~。そんなつもり全然無かったのにね。会長もそれ見て笑いが止まらなくなっちゃってたよ」
ああ、昨日神奈月先輩が笑ってたのはこれか。
そりゃ身内に驚かされたんじゃ大鳥先輩も立つ瀬がないよな。
「それにしても…………二人は凄い仲良しさんなんだね。私、知らなかったな~」
「えっ? あっ……」
俺が反射的に手を離そうとしたが、梨音が両腕でしがみついて離そうとしなかった。
「そうなんです。こう見えて幼馴染ですから」
「うわぁ~いいよね幼馴染! 『俺プリ』にもね、工藤岬君っていう主人公の幼馴染がいるんだけどね、意地っ張りなんだけど主人公のことを大切にしていてとっても仲が良いんだよ~! それでねそれでね、高校に入るとクラスが分かれちゃうんだけど…………」
「あの……この話長くなりそうですかね?」
「後ろがつっかえちゃうかも……」
お化け屋敷の中ということをお忘れではないだろうか。
本当にこの人はお話し好きだね。
お化け役に向いてないって言ったクラスの人の気持ちも分かる。
「あ、そうだよね、ごめんね~一人で話しちゃって。それじゃあこの後も気を付けてね~」
そう言って満面の笑みで新波先輩は送り出してくれた。
そんな幽霊がいてたまるか。
「なんか……緊張感なくなっちゃったね」
「そうだな」
梨音と顔を見合わせて笑った。
でもその後もしっかり叫び声はあげた。
お化け屋敷に行った後は外の屋台で簡単に食べられるものを買い、二人で食べながら劇をやっているクラスの出し物を見に行った。
昨日見たものもあったけど、梨音にとっては初めて見るものなので、俺も初めて見たようなリアクションを取った。
なるほど。
梨音が言ってた一緒にいるのが久しぶりという意味を、やっと分かった気がする。
こうやって二人だけで遊ぶのが夏休み以降無かったってことか。
ここ最近はサッカーを優先に考えていたせいで、梨音との付き合いが悪かったのは間違いない。
こうして梨音と一緒に過ごすと気付かされる。
俺はやっぱり他の人達よりも、梨音のことを特別に思っているらしい。
昨日、瀬古に言われたことを改めて考えさせられる。
〝大切なことは言葉で伝えなきゃ分からない〟
俺は梨音に直接、言葉にして伝える必要があるのかもしれない。
それに…………比重を少しサッカーに置きすぎていたのかもな。
来年にはサッカーが中心になる生活が待っているんだ。
今ぐらいはもっとクラスメイトや生徒会の人達と交流を深めるための時間を取るのもいいんじゃないだろうか。
少し日が傾き始め、文化祭が終わり、後夜祭が始まろうとしていた。
中庭に設置されたステージがオレンジ色に染まる中で軽音楽やダンス部が準備を始めていた。
それに合わせて学校の生徒達も続々と中庭に集まってくる。
その光景を3階廊下の窓から梨音と眺めていた。
「梨音、俺達はどうする? 中庭に行くか?」
「中庭…………うーんと…………その前にちょっとおトイレに行ってきてもいいかな?」
「漏らす前に行ってこい」
「もうっ!」
梨音がトイレに行くのを見ていると、それと入れ違うようにして男子生徒がこちらに歩いてきた。
みんな中庭に向かっているというのに、階段とは逆方向に歩いてくるとは、さては陰の者だな? と思ったが、実際には真逆の人種だった。
そしてその人物は真っ直ぐ俺の方へ向かってきていた。
俺と目が合い、彼が口を開く。
「よう。こうして面と向かって話すのは初めてだな」
「狩野…………先輩」
俺に声を掛けてきたのは元鹿島オルディーズユース所属、現瑞都高校サッカー部の3年生、狩野隼人だった。
教室の前の入り口から入り、後ろの出口と隣の教室の入り口を繋げるようにすることで、3教室ぶち抜きを実現させているようだ。
ちなみに昨日は行っていない。
流石にネタバレはよくないからな。
中に入ると暗幕で光を塞いでいるせいで真っ暗だった。
間接照明による僅かな光量で、マネキンの首や置物を照らすことで雰囲気を醸し出し、かと思えばお化け役の人が奇声を上げながら近寄ってきた。
思わず俺は小さく声をあげ、梨音はしっかり悲鳴をあげていた。
梨音が繋いでいる方の腕にがっしりとしがみついてくる。
それに別ベクトルの驚きを抱えながらも、俺は指摘せずにそのまま進んだ。
角を曲がった瞬間、目の前に長い髪を顔の前に垂れ下げている白装束の幽霊役が立っており、驚いてヒュッと空気が口から漏れた。
「あれ~高坂君とリオちゃんもとい神絵師だ~。お化け屋敷来てくれたんだね~」
「…………新波先輩じゃん」
「……ほんとだ」
髪を掻き分けて顔を覗かせたのは生徒会書記の新波先輩だった。
驚かす気ゼロじゃんこの人。
「お化け役の仕事、やらなくていいんですか?」
「うん、大丈夫大丈夫~。私、そういうの向いてないから立ってるだけで良いって言われたんだ~。昨日は会長と大鳥君も来てくれたんだけど、私が大鳥君にこの姿で声かけたら腰抜かしちゃったんだ~。そんなつもり全然無かったのにね。会長もそれ見て笑いが止まらなくなっちゃってたよ」
ああ、昨日神奈月先輩が笑ってたのはこれか。
そりゃ身内に驚かされたんじゃ大鳥先輩も立つ瀬がないよな。
「それにしても…………二人は凄い仲良しさんなんだね。私、知らなかったな~」
「えっ? あっ……」
俺が反射的に手を離そうとしたが、梨音が両腕でしがみついて離そうとしなかった。
「そうなんです。こう見えて幼馴染ですから」
「うわぁ~いいよね幼馴染! 『俺プリ』にもね、工藤岬君っていう主人公の幼馴染がいるんだけどね、意地っ張りなんだけど主人公のことを大切にしていてとっても仲が良いんだよ~! それでねそれでね、高校に入るとクラスが分かれちゃうんだけど…………」
「あの……この話長くなりそうですかね?」
「後ろがつっかえちゃうかも……」
お化け屋敷の中ということをお忘れではないだろうか。
本当にこの人はお話し好きだね。
お化け役に向いてないって言ったクラスの人の気持ちも分かる。
「あ、そうだよね、ごめんね~一人で話しちゃって。それじゃあこの後も気を付けてね~」
そう言って満面の笑みで新波先輩は送り出してくれた。
そんな幽霊がいてたまるか。
「なんか……緊張感なくなっちゃったね」
「そうだな」
梨音と顔を見合わせて笑った。
でもその後もしっかり叫び声はあげた。
お化け屋敷に行った後は外の屋台で簡単に食べられるものを買い、二人で食べながら劇をやっているクラスの出し物を見に行った。
昨日見たものもあったけど、梨音にとっては初めて見るものなので、俺も初めて見たようなリアクションを取った。
なるほど。
梨音が言ってた一緒にいるのが久しぶりという意味を、やっと分かった気がする。
こうやって二人だけで遊ぶのが夏休み以降無かったってことか。
ここ最近はサッカーを優先に考えていたせいで、梨音との付き合いが悪かったのは間違いない。
こうして梨音と一緒に過ごすと気付かされる。
俺はやっぱり他の人達よりも、梨音のことを特別に思っているらしい。
昨日、瀬古に言われたことを改めて考えさせられる。
〝大切なことは言葉で伝えなきゃ分からない〟
俺は梨音に直接、言葉にして伝える必要があるのかもしれない。
それに…………比重を少しサッカーに置きすぎていたのかもな。
来年にはサッカーが中心になる生活が待っているんだ。
今ぐらいはもっとクラスメイトや生徒会の人達と交流を深めるための時間を取るのもいいんじゃないだろうか。
少し日が傾き始め、文化祭が終わり、後夜祭が始まろうとしていた。
中庭に設置されたステージがオレンジ色に染まる中で軽音楽やダンス部が準備を始めていた。
それに合わせて学校の生徒達も続々と中庭に集まってくる。
その光景を3階廊下の窓から梨音と眺めていた。
「梨音、俺達はどうする? 中庭に行くか?」
「中庭…………うーんと…………その前にちょっとおトイレに行ってきてもいいかな?」
「漏らす前に行ってこい」
「もうっ!」
梨音がトイレに行くのを見ていると、それと入れ違うようにして男子生徒がこちらに歩いてきた。
みんな中庭に向かっているというのに、階段とは逆方向に歩いてくるとは、さては陰の者だな? と思ったが、実際には真逆の人種だった。
そしてその人物は真っ直ぐ俺の方へ向かってきていた。
俺と目が合い、彼が口を開く。
「よう。こうして面と向かって話すのは初めてだな」
「狩野…………先輩」
俺に声を掛けてきたのは元鹿島オルディーズユース所属、現瑞都高校サッカー部の3年生、狩野隼人だった。
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