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文化祭勧誘編
告白
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【若元梨音目線】
「すぅ…………はぁ…………」
屋上に来て一つ深呼吸をした。
日がかなり傾き、遮るものがないからか西日がよく差して眩しい。
心臓がこれまで経験したことがないほどに鳴り響いている。
私は今日、ここで修斗に告白をする。
私の気持ちを、想いを、形ある言葉にして。
そのために神奈月先輩に修斗と大事な話をしたいからと伝えて、宇佐木先生に話を通してもらって特別に屋上の鍵を借りることができた。
最近の修斗は椚田さんや他のクラスの子達とも話したり遊ぶことが増えていた。
昨日だって、気付いたら一緒に文化祭も回ってたもん。
いつまでも幼馴染という立場に安心していたらダメなんだ。
だけど私のこの気持ちはあくまで私からの一方通行。
修斗が実際にどう思っているのかは分からない。
嫌われてる…………なんてことはないと思うけど、ただの幼馴染のままでいよう、なんてことも……。
そ、その時はその時だよね。
修斗はまたサッカーに対して集中しようとしてるんだから。
私がその邪魔をするべきじゃないんだ。うん。
「…………はぁ…………緊張する」
遠くから仄かに楽器の音が聞こえてくる。
修斗に連絡をしてからの時間が永遠に感じる。
気持ちがコロコロ変わって、やっぱり来ないでとも思ってしまう。
ウロウロと落ち着きなく、心が張り裂けそうになる。
『ガチャ』
音がしたと同時に足を止め、扉を見た。
修斗が来た。
私の心臓がより一層宙返りをした。
(今、ちゃんと立ててるかな私)
ふわふわして、地に足がついていないような感覚。
足元に一度目線を落として、自分がしっかり立てていることを確認してから顔を上げた。
「ごめんね修斗。いきなり屋上に来てだなんて……」
「…………大丈夫」
「じ、実は…………修斗に伝えたいことがあるの!」
もう引き返せない。
私の気持ちを初めて修斗に……!
「ちょうど良かった。俺も…………梨音に話しておきたいことがあったんだ」
…………え? 修斗も……?
な、なんだろう。
もしかして…………修斗も…………。
「俺は高校に入学して、一度はサッカーから離れて過ごしてみようと思った。だけど途中でやっぱりサッカーが好きなんだってことに気付かされて、高校生活とサッカー、両立を目指そうって気持ちになったんだ」
「うん……知ってるよ。怪我の痛みが残ってるのに頑張ってたよね、リハビリとか……。私も一緒にいたから知ってるよ」
「新之助やニノ、八幡や桜川や前橋、それに生徒会の先輩方。色んなとこに行ったし、学校行事の裏方を手伝ったり、それまでの俺じゃ考えられない新鮮なことばかりだった」
「そうだね。中学の頃の修斗は……サッカーのことばかりだったもんね」
その頃のことを思い出して、少し笑った。
サッカーに夢中だった修斗は、良くも悪くも他のことは二の次だった。
私が修斗のことを好きだったのは昔からだったけど、もしも今もその頃のままだったら告白しようなんて考えなかったかもしれない。
まるで普通の高校生のように過ごすようになったから、私は危機感を覚えたんだ。
「来年に向けて、俺はこのまま高校生活とサッカーの両立が出来ると思っていたよ。だけど…………」
「…………だけど?」
「…………」
ふと、逆光のせいなのか、修斗の表情が影になって見にくくなる。
嫌な予感がした。
「…………俺の考えが甘かった。このままじゃ俺は自分の目指す者にはなれない」
「…………え?」
「二つを充実させようなんて中途半端な思いじゃ、俺は奴らを見返すことなんてできない」
淡々と話す修斗の表情が見えなかった。
それがなんだかとても怖い。
「奴らって…………鷺宮さん達のこと?」
「ああ。さっき涼介達の試合を見た。俺は…………いかに自分の立ち位置を理解できていなかったのかを理解したよ。俺はまだ、スタートラインに立ててすらいなかったんだ」
「それはしょうがないよ! だって修斗はまだ怪我が完治したわけじゃないんだし…………!」
「そういうのを含めて遊んでる場合じゃないって実感したんだ。だから梨音にも伝えておく。今度から俺のことは遊びに誘わないでくれ。新之助達にも同じことを話す。生徒会は…………もし途中で辞めることが可能なら辞める」
違う。違うよ修斗……!
私はそんな告白が聞きたいんじゃないよ……!
だってそんなの…………そんなのまるで怪我する前の……!
「…………俺はもう、生徒会も、友人も、学校生活も…………幼馴染である梨音でさえも切り捨てる覚悟だ」
「わ……私も……?」
「ああいや、ごめん。言い方が悪かった。優先順位の話をしてるんだ。サッカーが絶対の優先事項だとして、それ以外は同率というか、どうでもいいというか…………」
視界が滲んできた。
どうでもいいって…………そんなの怪我する前と同じなんかじゃない。もっと酷くなってる。
サッカーに夢中になっていた頃でさえも、優先順位は別として、私を傷つけるようなことは言わなかった。
こんなの…………私の好きな修斗じゃ…………!
「要はサッカーに重きを置くから梨音にも理解だけしておいて欲しいって話だ。それで、梨音はなんの話が?」
「………………んでも」
「梨音?」
「なんでもない!」
私はそこにいるのが辛くなって校舎内に走って戻った。
階段を下りて、ただひたすらに人のいないところに。
幸いにも後夜祭の影響か、校舎内に人はほとんどいなかった。
少しだけ、修斗が追ってきてくれるんじゃないかなんて期待したけど、そんな淡い期待が叶えられることはなかった。
「あ、梨音いた」
廊下の途中で冬華に会った。
「探したのよ中庭にもいないし───ってどうしたの!?」
「うわあああああん!」
冬華に抱き付くと同時に抑え込んでた感情が溢れた。
後夜祭の途中で良かったと思った。
派手な演奏音で、私の気持ちが知らない人に聞かれることがなかったから。
「すぅ…………はぁ…………」
屋上に来て一つ深呼吸をした。
日がかなり傾き、遮るものがないからか西日がよく差して眩しい。
心臓がこれまで経験したことがないほどに鳴り響いている。
私は今日、ここで修斗に告白をする。
私の気持ちを、想いを、形ある言葉にして。
そのために神奈月先輩に修斗と大事な話をしたいからと伝えて、宇佐木先生に話を通してもらって特別に屋上の鍵を借りることができた。
最近の修斗は椚田さんや他のクラスの子達とも話したり遊ぶことが増えていた。
昨日だって、気付いたら一緒に文化祭も回ってたもん。
いつまでも幼馴染という立場に安心していたらダメなんだ。
だけど私のこの気持ちはあくまで私からの一方通行。
修斗が実際にどう思っているのかは分からない。
嫌われてる…………なんてことはないと思うけど、ただの幼馴染のままでいよう、なんてことも……。
そ、その時はその時だよね。
修斗はまたサッカーに対して集中しようとしてるんだから。
私がその邪魔をするべきじゃないんだ。うん。
「…………はぁ…………緊張する」
遠くから仄かに楽器の音が聞こえてくる。
修斗に連絡をしてからの時間が永遠に感じる。
気持ちがコロコロ変わって、やっぱり来ないでとも思ってしまう。
ウロウロと落ち着きなく、心が張り裂けそうになる。
『ガチャ』
音がしたと同時に足を止め、扉を見た。
修斗が来た。
私の心臓がより一層宙返りをした。
(今、ちゃんと立ててるかな私)
ふわふわして、地に足がついていないような感覚。
足元に一度目線を落として、自分がしっかり立てていることを確認してから顔を上げた。
「ごめんね修斗。いきなり屋上に来てだなんて……」
「…………大丈夫」
「じ、実は…………修斗に伝えたいことがあるの!」
もう引き返せない。
私の気持ちを初めて修斗に……!
「ちょうど良かった。俺も…………梨音に話しておきたいことがあったんだ」
…………え? 修斗も……?
な、なんだろう。
もしかして…………修斗も…………。
「俺は高校に入学して、一度はサッカーから離れて過ごしてみようと思った。だけど途中でやっぱりサッカーが好きなんだってことに気付かされて、高校生活とサッカー、両立を目指そうって気持ちになったんだ」
「うん……知ってるよ。怪我の痛みが残ってるのに頑張ってたよね、リハビリとか……。私も一緒にいたから知ってるよ」
「新之助やニノ、八幡や桜川や前橋、それに生徒会の先輩方。色んなとこに行ったし、学校行事の裏方を手伝ったり、それまでの俺じゃ考えられない新鮮なことばかりだった」
「そうだね。中学の頃の修斗は……サッカーのことばかりだったもんね」
その頃のことを思い出して、少し笑った。
サッカーに夢中だった修斗は、良くも悪くも他のことは二の次だった。
私が修斗のことを好きだったのは昔からだったけど、もしも今もその頃のままだったら告白しようなんて考えなかったかもしれない。
まるで普通の高校生のように過ごすようになったから、私は危機感を覚えたんだ。
「来年に向けて、俺はこのまま高校生活とサッカーの両立が出来ると思っていたよ。だけど…………」
「…………だけど?」
「…………」
ふと、逆光のせいなのか、修斗の表情が影になって見にくくなる。
嫌な予感がした。
「…………俺の考えが甘かった。このままじゃ俺は自分の目指す者にはなれない」
「…………え?」
「二つを充実させようなんて中途半端な思いじゃ、俺は奴らを見返すことなんてできない」
淡々と話す修斗の表情が見えなかった。
それがなんだかとても怖い。
「奴らって…………鷺宮さん達のこと?」
「ああ。さっき涼介達の試合を見た。俺は…………いかに自分の立ち位置を理解できていなかったのかを理解したよ。俺はまだ、スタートラインに立ててすらいなかったんだ」
「それはしょうがないよ! だって修斗はまだ怪我が完治したわけじゃないんだし…………!」
「そういうのを含めて遊んでる場合じゃないって実感したんだ。だから梨音にも伝えておく。今度から俺のことは遊びに誘わないでくれ。新之助達にも同じことを話す。生徒会は…………もし途中で辞めることが可能なら辞める」
違う。違うよ修斗……!
私はそんな告白が聞きたいんじゃないよ……!
だってそんなの…………そんなのまるで怪我する前の……!
「…………俺はもう、生徒会も、友人も、学校生活も…………幼馴染である梨音でさえも切り捨てる覚悟だ」
「わ……私も……?」
「ああいや、ごめん。言い方が悪かった。優先順位の話をしてるんだ。サッカーが絶対の優先事項だとして、それ以外は同率というか、どうでもいいというか…………」
視界が滲んできた。
どうでもいいって…………そんなの怪我する前と同じなんかじゃない。もっと酷くなってる。
サッカーに夢中になっていた頃でさえも、優先順位は別として、私を傷つけるようなことは言わなかった。
こんなの…………私の好きな修斗じゃ…………!
「要はサッカーに重きを置くから梨音にも理解だけしておいて欲しいって話だ。それで、梨音はなんの話が?」
「………………んでも」
「梨音?」
「なんでもない!」
私はそこにいるのが辛くなって校舎内に走って戻った。
階段を下りて、ただひたすらに人のいないところに。
幸いにも後夜祭の影響か、校舎内に人はほとんどいなかった。
少しだけ、修斗が追ってきてくれるんじゃないかなんて期待したけど、そんな淡い期待が叶えられることはなかった。
「あ、梨音いた」
廊下の途中で冬華に会った。
「探したのよ中庭にもいないし───ってどうしたの!?」
「うわあああああん!」
冬華に抱き付くと同時に抑え込んでた感情が溢れた。
後夜祭の途中で良かったと思った。
派手な演奏音で、私の気持ちが知らない人に聞かれることがなかったから。
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