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裏切り者
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大陸暦767年。
カラ山脈の積雪が溶けるのを待って、シュメルヒと侍従数名、そして護衛騎士団を伴った大所帯の旅路が始まった。
王宮を出発する日の朝、夜が白み始める前から起き出していたシュメルヒは、庭園の温室で育てた植物たちに別れを告げていた。
植物たちは毒があるものも、そうでないものも、素手で触れても何も言わず受け入れてくれる。
ひとしきり枝葉を撫で、別れを惜しんだ後、何種類かの植物は厳重に梱包して積み荷に乗せるよう命じた。
旅の工程は順調に行けば半月ほど。
だが、途中、カラ山脈の中腹で雪崩が起きて一行は足止めを食らうことになる。
これが過去のやり直しなら、きっと今回もそうなるだろう。
(17歳の時にオスロ皇太子との婚姻が父上から言い渡されたのも記憶通りだった。この後に起こる事も、多分同じなはず……)
出発を前に豪勢な馬車とそれを取り囲む隊列は、正門から拓けた空き地に待機していた。
そこへ正装したシュメルヒが降りていくと、ティラ王妃と妹が手を繋ぎ待っていた。
(父上はおられない、か……これも記憶通りだな)
一目顔を見たいような気もするし、反対にこれで良かったと思う自分もいる。
今世でも、父は遠い存在だった。
「お元気で。母上、ナーシャ」
前世ではティラからの言葉を待っているうち、無言で乗車を促されてそれきりになった。
だから今度はシュメルヒから別れを口にした。
ティラが何か言いたげな、そしてそれを飲み込んだような顔をする。
ナーシャはティラの手を解くと、制止も聞かず兄に近寄って一冊の本を差し出した。
「なんだ? 私にくれるのか?」
「お兄様にあげます。ヨアン殿下とご一緒に読んでくださいね」
思わず笑みがこぼれた。
こんな会話は前世ではなかった。予期せぬ贈り物を受け取ると、手袋越しに本が温かみをまとっている気がした。
「お前からだと言って、ヨアン様にも見せて差し上げよう。ありがとう。旅のお守りにさせてもらう」
「……お気を付けて、お兄様」
12歳になったナーシャは見違えるほど大人びていた。前世では妹を妬んで避けていたせいで知る由もなかったが、きっとあと数年すれば母親似の気品と美しさを備えた女性になるだろう。
最後になるかもしれないからと、シュメルヒは悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「次に会う時は、オスロの王妃の冠をお前に渡そう」
ナーシャにしか聞こえない小声でそう告げると、目をまん丸にする妹にもう一度微笑し、促される前に自分で馬車に乗り込んだ。
ここから先は長く険しい旅路になる。
カラ山脈の峠を越えるには馬と徒歩を、そこまでは馬車と船を使って移動するのだ。
前世では体力がないせいで何度も体調を崩しては、休養のため町や村に一行を足止めをさせてしまった。
今世では、乗馬や水練などで、そこそこ身体を鍛えてきたおかげもあって、内心ではちょっとだけ張り切ってもいるのだった。
(前の時は悲壮感しかなかったのに。わたしも単純な性格だな)
ジュールと引き離され、生まれ故郷を追い出されるのだと鬱々として臨んだ一度目の旅とはまるで心持が違う。
責任は重くのしかかるし、失敗すれば処刑の道を辿る恐怖もあるが……。
小窓の外を覗き見る。
春の日差しの中、かすかに花の香りがして、遠くには人々の喧噪の気配がある。
王宮から出たのは、これで二度目。前回もこの新鮮な気持ちを、下を向かず、もっとしっかり味わっておけばよかったと思う。
春の空気を大きく胸の内に吸い込んで、シュメルヒは遠くオスロに思いを馳せた。
――13日後。
オスロの国王宛に伝書鳩が届き、カラ山脈の中腹で起こった雪崩のため、イレニア皇太子一行が立ち往生している旨を伝えた。
国王はすぐに麓の村から人員を派遣して除雪に当たり、十日後、予期せぬ足止めはあったものの、一行は無事、国境までたどり着いた。
国境ではオスロの使節と王室直属の騎士たちがシュメルヒたちを出迎え、これを以て、イレニアから付き添ってきたすべての人々が来た道を引き返していった。
伝令は後にその時の様子をこう振り返っている。
『別れを惜しむでもなく、淡々と袂を分かつような、どこか物寂しい情景であったが、シュメルヒ殿下にあっては、全てを受け入れたような、落ち着いた清々しいお顔であらせられた』と。
◇
実際、シュメルヒは伝令の言う通り、これからの生活と将来に対する計画を頭の中でぐるぐる考え続けていたせいで、波のように退いていくイレニア一行に感傷的になっている余裕はなかった。
オスロ国境の村で一番大きな宿を取り、久々にゆっくりと沐浴し、身なりを整えることができる。
カラ山脈では野営を余儀なくされたので、屋内の風呂と清潔な羽根布団が心底嬉しかった。
風呂に入ろうとした時、使節の一人、ダンカン侯爵が声をかけてきた。
「シュメルヒ殿下。殿下のお世話をさせていただく者をご紹介しても構いませんでしょうか?」
シュメルヒは記憶をたどった。
<毒持ち>に仕えることを、大抵の人間は怖がる。よっぽど高給と権力につられでもしない限り、万が一、毒に当たって死ぬかもしれない職場環境は倦厭されて当然だ。
「侯爵。気持ちは有り難いが、王宮に着くまで私の世話は不要だ」
大陸語でそう言うと、思った通り、侯爵は困惑を浮かべた。
「は、しかし、それでは……」
シュメルヒの身分を考えれば、着替えや沐浴、髪を梳かすといった細々した日常の世話はもちろん、食事にしろ散歩にしろ、誰かが常に付き添うのが当然である。
それを用意しないとなると、オスロがイレニアを軽視していると思われはしまいか。
侯爵の心配はそこにあるのだろう。
が、ここで首を縦に振ると、近くの領主の娘が遣わされてくるはずだ。
しかも若い彼女は<毒持ち>についての過激な噂話を信じ込んでいた。
結果、シュメルヒに近寄る度に怯えて泣き出してしまうので、前世のシュメルヒはそれを見て怒り彼女に茶をぶちまけたり、きつく罵ったりもした。
前世を思い出して、申し訳なさと自己嫌悪に呑まれながら、断固として首を横に振った。
「私の<体質>については侯爵もご存じと思うが、イレニアでも自分のことは自分でするようにしてきた。だから必要な物さえ揃えてくれたら、あとは自分でやるので問題ない」
侯爵が目を見開いて黙ってしまったので、ちょっと言い過ぎたか?と思い付け加えた。
「今のままで十分快適に過ごさせてもらっている。どうもありがとう」
無理をしてそれらしい笑みを向けると、侯爵は慌てて首を横に振った。
「い、いいえ、左様でしたか……いや、これは失礼。殿下のような御方が、身の回りのことをお一人でされてきたとは、思いもよらず」
自らの知る王族の常識とかけ離れていたせいか、ダンカンはひとしきりウンウンと唸ってから、ようやくシュメルヒの言葉を咀嚼したようだった。
「……わかりました。では殿下のお言葉に甘えて、護衛以外に側付きの者は付けませぬが、何かあれば、なんなりと彼らにお申し付けください」
「感謝します」
シュメルヒは暖炉の火にあたって湯上りの身体が冷めないよう温めていた。
濡髪からぽたぽたと雫が垂れて、絨毯を敷いた床に染みを作っている。
「やはり髪が長いのは不便だな……」
イレニアでは男性も長髪が多いが、オスロでは個人の好みで短くしている者も多かったはずだ。
オメガにしても、イレニアでは外見の美しさ、嫋やかさを演出するために男でも髪を腰まで伸ばして綺麗に手入れするのが普通だったが、オスロではどうだったか……。
オメガは大陸における絶対数が少ないので、オスロの王宮で見かけたことはなかったように思う。
正直、洗うのも乾かすにも一人だと一苦労なので、短く切ってしまいたい。
(一応、ヨアン殿下の好みを伺ってからにしよう……)
かつての夫の顔を脳裏に思い浮かべてみたが、虚弱で青い顔色と、おどおどした大きな緑色の目、そしていつもイルミナやキリアスの後ろに隠れていた印象しかなかった。
正直、ヨアン個人に対する印象はほぼ無いに等しい。
(キリアス……あの裏切り者め)
前世でヨアンを裏切り、自分を処刑台におくった男……。
ヨアンの代わりに脳裏に強烈に蘇って来た<敵>の姿に、シュメルヒは無意識に拳を握り込んで爪を立てていた。
「奴が殿下を裏切る前に、何とかしなくては」
もしできなければ、前世の二の舞だ。なんとしても、それだけは避けたかった。
カラ山脈の積雪が溶けるのを待って、シュメルヒと侍従数名、そして護衛騎士団を伴った大所帯の旅路が始まった。
王宮を出発する日の朝、夜が白み始める前から起き出していたシュメルヒは、庭園の温室で育てた植物たちに別れを告げていた。
植物たちは毒があるものも、そうでないものも、素手で触れても何も言わず受け入れてくれる。
ひとしきり枝葉を撫で、別れを惜しんだ後、何種類かの植物は厳重に梱包して積み荷に乗せるよう命じた。
旅の工程は順調に行けば半月ほど。
だが、途中、カラ山脈の中腹で雪崩が起きて一行は足止めを食らうことになる。
これが過去のやり直しなら、きっと今回もそうなるだろう。
(17歳の時にオスロ皇太子との婚姻が父上から言い渡されたのも記憶通りだった。この後に起こる事も、多分同じなはず……)
出発を前に豪勢な馬車とそれを取り囲む隊列は、正門から拓けた空き地に待機していた。
そこへ正装したシュメルヒが降りていくと、ティラ王妃と妹が手を繋ぎ待っていた。
(父上はおられない、か……これも記憶通りだな)
一目顔を見たいような気もするし、反対にこれで良かったと思う自分もいる。
今世でも、父は遠い存在だった。
「お元気で。母上、ナーシャ」
前世ではティラからの言葉を待っているうち、無言で乗車を促されてそれきりになった。
だから今度はシュメルヒから別れを口にした。
ティラが何か言いたげな、そしてそれを飲み込んだような顔をする。
ナーシャはティラの手を解くと、制止も聞かず兄に近寄って一冊の本を差し出した。
「なんだ? 私にくれるのか?」
「お兄様にあげます。ヨアン殿下とご一緒に読んでくださいね」
思わず笑みがこぼれた。
こんな会話は前世ではなかった。予期せぬ贈り物を受け取ると、手袋越しに本が温かみをまとっている気がした。
「お前からだと言って、ヨアン様にも見せて差し上げよう。ありがとう。旅のお守りにさせてもらう」
「……お気を付けて、お兄様」
12歳になったナーシャは見違えるほど大人びていた。前世では妹を妬んで避けていたせいで知る由もなかったが、きっとあと数年すれば母親似の気品と美しさを備えた女性になるだろう。
最後になるかもしれないからと、シュメルヒは悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「次に会う時は、オスロの王妃の冠をお前に渡そう」
ナーシャにしか聞こえない小声でそう告げると、目をまん丸にする妹にもう一度微笑し、促される前に自分で馬車に乗り込んだ。
ここから先は長く険しい旅路になる。
カラ山脈の峠を越えるには馬と徒歩を、そこまでは馬車と船を使って移動するのだ。
前世では体力がないせいで何度も体調を崩しては、休養のため町や村に一行を足止めをさせてしまった。
今世では、乗馬や水練などで、そこそこ身体を鍛えてきたおかげもあって、内心ではちょっとだけ張り切ってもいるのだった。
(前の時は悲壮感しかなかったのに。わたしも単純な性格だな)
ジュールと引き離され、生まれ故郷を追い出されるのだと鬱々として臨んだ一度目の旅とはまるで心持が違う。
責任は重くのしかかるし、失敗すれば処刑の道を辿る恐怖もあるが……。
小窓の外を覗き見る。
春の日差しの中、かすかに花の香りがして、遠くには人々の喧噪の気配がある。
王宮から出たのは、これで二度目。前回もこの新鮮な気持ちを、下を向かず、もっとしっかり味わっておけばよかったと思う。
春の空気を大きく胸の内に吸い込んで、シュメルヒは遠くオスロに思いを馳せた。
――13日後。
オスロの国王宛に伝書鳩が届き、カラ山脈の中腹で起こった雪崩のため、イレニア皇太子一行が立ち往生している旨を伝えた。
国王はすぐに麓の村から人員を派遣して除雪に当たり、十日後、予期せぬ足止めはあったものの、一行は無事、国境までたどり着いた。
国境ではオスロの使節と王室直属の騎士たちがシュメルヒたちを出迎え、これを以て、イレニアから付き添ってきたすべての人々が来た道を引き返していった。
伝令は後にその時の様子をこう振り返っている。
『別れを惜しむでもなく、淡々と袂を分かつような、どこか物寂しい情景であったが、シュメルヒ殿下にあっては、全てを受け入れたような、落ち着いた清々しいお顔であらせられた』と。
◇
実際、シュメルヒは伝令の言う通り、これからの生活と将来に対する計画を頭の中でぐるぐる考え続けていたせいで、波のように退いていくイレニア一行に感傷的になっている余裕はなかった。
オスロ国境の村で一番大きな宿を取り、久々にゆっくりと沐浴し、身なりを整えることができる。
カラ山脈では野営を余儀なくされたので、屋内の風呂と清潔な羽根布団が心底嬉しかった。
風呂に入ろうとした時、使節の一人、ダンカン侯爵が声をかけてきた。
「シュメルヒ殿下。殿下のお世話をさせていただく者をご紹介しても構いませんでしょうか?」
シュメルヒは記憶をたどった。
<毒持ち>に仕えることを、大抵の人間は怖がる。よっぽど高給と権力につられでもしない限り、万が一、毒に当たって死ぬかもしれない職場環境は倦厭されて当然だ。
「侯爵。気持ちは有り難いが、王宮に着くまで私の世話は不要だ」
大陸語でそう言うと、思った通り、侯爵は困惑を浮かべた。
「は、しかし、それでは……」
シュメルヒの身分を考えれば、着替えや沐浴、髪を梳かすといった細々した日常の世話はもちろん、食事にしろ散歩にしろ、誰かが常に付き添うのが当然である。
それを用意しないとなると、オスロがイレニアを軽視していると思われはしまいか。
侯爵の心配はそこにあるのだろう。
が、ここで首を縦に振ると、近くの領主の娘が遣わされてくるはずだ。
しかも若い彼女は<毒持ち>についての過激な噂話を信じ込んでいた。
結果、シュメルヒに近寄る度に怯えて泣き出してしまうので、前世のシュメルヒはそれを見て怒り彼女に茶をぶちまけたり、きつく罵ったりもした。
前世を思い出して、申し訳なさと自己嫌悪に呑まれながら、断固として首を横に振った。
「私の<体質>については侯爵もご存じと思うが、イレニアでも自分のことは自分でするようにしてきた。だから必要な物さえ揃えてくれたら、あとは自分でやるので問題ない」
侯爵が目を見開いて黙ってしまったので、ちょっと言い過ぎたか?と思い付け加えた。
「今のままで十分快適に過ごさせてもらっている。どうもありがとう」
無理をしてそれらしい笑みを向けると、侯爵は慌てて首を横に振った。
「い、いいえ、左様でしたか……いや、これは失礼。殿下のような御方が、身の回りのことをお一人でされてきたとは、思いもよらず」
自らの知る王族の常識とかけ離れていたせいか、ダンカンはひとしきりウンウンと唸ってから、ようやくシュメルヒの言葉を咀嚼したようだった。
「……わかりました。では殿下のお言葉に甘えて、護衛以外に側付きの者は付けませぬが、何かあれば、なんなりと彼らにお申し付けください」
「感謝します」
シュメルヒは暖炉の火にあたって湯上りの身体が冷めないよう温めていた。
濡髪からぽたぽたと雫が垂れて、絨毯を敷いた床に染みを作っている。
「やはり髪が長いのは不便だな……」
イレニアでは男性も長髪が多いが、オスロでは個人の好みで短くしている者も多かったはずだ。
オメガにしても、イレニアでは外見の美しさ、嫋やかさを演出するために男でも髪を腰まで伸ばして綺麗に手入れするのが普通だったが、オスロではどうだったか……。
オメガは大陸における絶対数が少ないので、オスロの王宮で見かけたことはなかったように思う。
正直、洗うのも乾かすにも一人だと一苦労なので、短く切ってしまいたい。
(一応、ヨアン殿下の好みを伺ってからにしよう……)
かつての夫の顔を脳裏に思い浮かべてみたが、虚弱で青い顔色と、おどおどした大きな緑色の目、そしていつもイルミナやキリアスの後ろに隠れていた印象しかなかった。
正直、ヨアン個人に対する印象はほぼ無いに等しい。
(キリアス……あの裏切り者め)
前世でヨアンを裏切り、自分を処刑台におくった男……。
ヨアンの代わりに脳裏に強烈に蘇って来た<敵>の姿に、シュメルヒは無意識に拳を握り込んで爪を立てていた。
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