微妙なバフなどもういらないと追放された補助魔法使い、バフ3000倍で敵の肉体を内部から破壊して無双する

こげ丸

文字の大きさ
6 / 54

【第6話:簡単な事】

しおりを挟む
 診療所に連れ戻されると、鍛錬用と思われる器具が散乱している広い部屋に連れていかれた。
 どうやら診療所と言いつつ、実質はただのクランのアジトのようだ。

 おそらくローリエが回復魔法が使えるので、国に申請して、お金でも不正に受け取っているのだろう。
 たしか回復魔法使いが診療所を開くと、いくらかお金が貰えるとか聞いた気がするしな。

 そんなどうでも良い事を考えていると、いきなり顔面に衝撃が走り、一瞬意識が途切れた。

「ねぇ、ローリエ? こいつもう壊れてない?」

 どうやらローリエ以外に一人いた女性は、水系統の魔法を使える魔法使いのようだ。
 全身がずぶ濡れになった自分の身体を見て、ぼんやりとそう認識する。

 それにしても、1.5倍の全能力向上フルブーストが切れた反動がここまで酷いとは思わなかったな。
 痛みでまったく身体が動かない。

「ほんとね……。いい気味だけど、なんかムカつくわね。フォー。あなた、何か抵抗の一つでもしようと思わないの? 優等生くんな所が嫌いだったんだけど、これじゃぁ、いじめ甲斐がないじゃない?」

 くそっ、好き勝手言いやがって……そもそも、身体が動かないから抵抗したくても出来ないんだよ!

 もう、このまま暴行でも何でも受け入れよう……。
 自暴自棄になり、そんな諦めの覚悟を決めた時だった。

「ねぇ、フォー? もうちょっと抵抗頑張んないと……妹を酷い目にあわせちゃうわよ?」

 その一言で、今まで完全に冷め切っていたオレの心に、憎しみと言う名の炎が灯った。

「なん……だと……」

「あらぁ? 良いわね! その眼! そういう目をした奴の心を折った時が一番ゾクゾクするのよ!」

 ふざけるな……ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなっ!!

 怒りに身をまかせ、身体を起こす事までは出来たものの、立ち上がるのがやっとの状態だ。

「ほらぁ~? 頑張んないと、うちのクランメンバーに妹を襲わせちゃうぞ? ふふふ」

「おぉぉ! 良いじゃねぇか!!」

「ローリエの村まで馬車で三日ぐらいだろ? 今度、依頼ついでに行こうぜ!」

 許さない……許さない許さない許さない許さない許さない!!
 こいつらだけは、許しちゃダメだ!

「ふざっ……けるな!!」

 考えろ……考えろ考えろ考えろ考えろ!!

 どうすればこいつらを……殺せる?

「こいつ殴っても全然応えねぇな? もしかして、さっき限界超えてバフかけてたからか?」

 名前も知らない。さっき会ったばかりの男。
 そいつが何気なく漏らした言葉。

「限界を…超えて……」

 なんだ……あるじゃないか。
 簡単な事だったんだ。

 こいつら……壊しちゃえば良いだけじゃないか。

 でも、タイミングだ……。
 この人数を相手にするには、仕掛けるタイミングを間違うと、オレが反撃されて死ぬことになるだろう。
 だからオレは、笑いながら殴り掛かってくる相手の隙を伺い、ひたすら耐え続けた。

 きっと、本性を現したあいつなら……だから、その機会を待つんだ!

「あははは。あらぁ? 怪我が酷くなってきたわねぇ? やさしいこのローリエ様が治してあげるね~? 軽治癒ライトヒール!」

 殴られ、蹴られ、怪我が酷くなってきたところで、ローリエが軽傷のみを治療できる回復魔法をかけてきた。

 どうしてオレの怪我を治したのかって? そんなのわかりきっている。

「ローリエちゃん、酷いなぁ。これじゃ、フォーレストが永遠に殴られ続けることになるぞ?」

 チャモの言うように、オレをもっといたぶりたいのだろう。

 でも……その油断が命取りだ。後悔させてやる!

身体能力向上フィジカルブースト! 1.5倍!」

 全能力向上フルブーストと違って、身体能力向上フィジカルブーストには自然治癒能力の向上などは含まれていない。
 だから、このバフを使う時は回復魔法とセットで使わないといけないんだが……回復魔法使いって、回復魔法ほとんど効かないよな? ローリエ?

「え? な、なにを……ぎゅふ!? ぎゃぁ!? い、痛い!? 痛い痛い痛いいだいいだい!?」

 身体はまだあまり動かないが、魔法を使うのには関係ない。
 何が起こったのかわからず混乱する他の奴らに向かって、オレは片っ端からバフをかけていく。

身体能力向上フィジカルブースト! 1.5倍!」

身体能力向上フィジカルブースト! 1.5倍!」

 さすがに何度もかけていれば、からくりはバレる。

「そいつを止めろ~!! そいつが限界越えのバフをばら撒いて……ぐぁっ!?」

身体能力向上フィジカルブースト! 1.5倍!」

 まだ一〇人ほど残っているが、バフは発動して効果を発揮するまで一瞬だ。
 近づこうとしてくる奴から順にどんどんばら撒いていく。

「くそっ!? バフにそんな使い方が!?」

「焦るな! バフで人が死ぬことはないって聞いた事がある! 痛みにさえ耐えられれば、こいつを殺すことぐらいわけないはずだ!」

 どうやら向こうも、もうオレを殺すつもりらしい。
 いいね。その方がこちらもスッキリ殺せるよ。

「な、舐めんじゃないわよ!! スキル範囲化! 軽治癒ライトヒール! いい、痛い……は、早くそいつを殺して!!」

 範囲化スキルか。
 魔法使いなら誰もが使えるスキルだが、自分に効果が無いのに、この場面で冷静に皆を回復してくるとは……。

「おぉぉ! 痛みが引いた! やっちまえ!!」

 その点は褒めてやるよ……最だしな。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

パーティーの役立たずとして追放された魔力タンク、世界でただ一人の自動人形『ドール』使いになる

日之影ソラ
ファンタジー
「ラスト、今日でお前はクビだ」 冒険者パーティで魔力タンク兼雑用係をしていたラストは、ある日突然リーダーから追放を宣告されてしまった。追放の理由は戦闘で役に立たないから。戦闘中に『コネクト』スキルで仲間と繋がり、仲間たちに自信の魔力を分け与えていたのだが……。それしかやっていないことを責められ、戦える人間のほうがマシだと仲間たちから言い放たれてしまう。 一人になり途方にくれるラストだったが、そこへ行方不明だった冒険者の祖父から送り物が届いた。贈り物と一緒に入れられた手紙には一言。 「ラストよ。彼女たちはお前の力になってくれる。ドール使いとなり、使い熟してみせよ」 そう記され、大きな木箱の中に入っていたのは綺麗な少女だった。 これは無能と言われた一人の冒険者が、自動人形(ドール)と共に成り上がる物語。 7/25男性向けHOTランキング1位

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

スキルが農業と豊穣だったので追放されました~辺境伯令嬢はおひとり様を満喫しています~

白雪の雫
ファンタジー
「アールマティ、当主の名において穀潰しのお前を追放する!」 マッスル王国のストロング辺境伯家は【軍神】【武神】【戦神】【剣聖】【剣豪】といった戦闘に関するスキルを神より授かるからなのか、代々優れた軍人・武人を輩出してきた家柄だ。 そんな家に産まれたからなのか、ストロング家の者は【力こそ正義】と言わんばかりに見事なまでに脳筋思考の持ち主だった。 だが、この世には例外というものがある。 ストロング家の次女であるアールマティだ。 実はアールマティ、日本人として生きていた前世の記憶を持っているのだが、その事を話せば病院に送られてしまうという恐怖があるからなのか誰にも打ち明けていない。 そんなアールマティが授かったスキルは【農業】と【豊穣】 戦いに役に立たないスキルという事で、アールマティは父からストロング家追放を宣告されたのだ。 「仰せのままに」 父の言葉に頭を下げた後、屋敷を出て行こうとしているアールマティを母と兄弟姉妹、そして家令と使用人達までもが嘲笑いながら罵っている。 「食糧と食料って人間の生命活動に置いて一番大事なことなのに・・・」 脳筋に何を言っても無駄だと子供の頃から悟っていたアールマティは他国へと亡命する。 アールマティが森の奥でおひとり様を満喫している頃 ストロング領は大飢饉となっていた。 農業系のゲームをやっていた時に思い付いた話です。 主人公のスキルはゲームがベースになっているので、作物が実るのに時間を要しないし、追放された後は現代的な暮らしをしているという実にご都合主義です。 短い話という理由で色々深く考えた話ではないからツッコミどころ満載です。

婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。

拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。

コストカットだ!と追放された王宮道化師は、無数のスキルで冒険者として成り上がる。

あけちともあき
ファンタジー
「宮廷道化師オーギュスト、お前はクビだ」  長い間、マールイ王国に仕え、平和を維持するために尽力してきた道化師オーギュスト。  だが、彼はその活躍を妬んだ大臣ガルフスの陰謀によって職を解かれ、追放されてしまう。  困ったオーギュストは、手っ取り早く金を手に入れて生活を安定させるべく、冒険者になろうとする。  長い道化師生活で身につけた、数々の技術系スキル、知識系スキル、そしてコネクション。  それはどんな難関も突破し、どんな謎も明らかにする。  その活躍は、まさに万能!  死神と呼ばれた凄腕の女戦士を相棒に、オーギュストはあっという間に、冒険者たちの中から頭角を現し、成り上がっていく。  一方、国の要であったオーギュストを失ったマールイ王国。  大臣一派は次々と問題を起こし、あるいは起こる事態に対応ができない。  その方法も、人脈も、全てオーギュストが担当していたのだ。  かくしてマールイ王国は傾き、転げ落ちていく。 目次 連載中 全21話 2021年2月17日 23:39 更新

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

妹が聖女に選ばれました。姉が闇魔法使いだと周囲に知られない方が良いと思って家を出たのに、何故か王子様が追いかけて来ます。

向原 行人
ファンタジー
私、アルマには二つ下の可愛い妹がいます。 幼い頃から要領の良い妹は聖女に選ばれ、王子様と婚約したので……私は遠く離れた地で、大好きな魔法の研究に専念したいと思います。 最近は異空間へ自由に物を出し入れしたり、部分的に時間を戻したり出来るようになったんです! 勿論、この魔法の効果は街の皆さんにも活用を……いえ、無限に収納出来るので、安い時に小麦を買っていただけで、先見の明とかはありませんし、怪我をされた箇所の時間を戻しただけなので、治癒魔法とは違います。 だから私は聖女ではなくて、妹が……って、どうして王子様がこの地に来ているんですかっ!? ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

役立たず聖女見習い、追放されたので森でマイホームとスローライフします ~召喚できるのは非生物だけ?いいえ、全部最強でした~

しおしお
ファンタジー
聖女見習いとして教会に仕えていた少女は、 「役立たず」と嘲笑され、ある日突然、追放された。 理由は単純。 彼女が召喚できるのは――タンスやぬいぐるみなどの非生物だけだったから。 森へ放り出され、夜を前に途方に暮れる中、 彼女は必死に召喚を行う。 呼び出されたのは、一体の熊のぬいぐるみ。 だがその瞬間、彼女のスキルは覚醒する。 【付喪神】――非生物に魂を宿らせる能力。 喋らないが最強の熊、 空を飛び無限引き出し爆撃を行うタンス、 敬語で語る伝説級聖剣、 そして四本足で歩き、すべてを自動化する“マイホーム”。 彼女自身は戦わない。 努力もしない。 頑張らない。 ただ「止まる場所が欲しかった」だけなのに、 気づけば魔物の軍勢は消え、 王城と大聖堂は跡形もなく吹き飛び、 ――しかし人々は、なぜか生きていた。 英雄になることを拒み、 責任を背負うこともせず、 彼女は再び森へ帰る。 自動調理、自動防衛、完璧な保存環境。 便利すぎる家と、喋らない仲間たちに囲まれた、 頑張らないスローライフが、今日も続いていく。 これは、 「世界を救ってしまったのに、何もしない」 追放聖女の物語。 -

処理中です...