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【第53話:勝った?】
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爆発することもなく、ミスリルゴーレムはただ静かに崩れ落ちた。
一瞬何が起こったのかわからなかった。
今はもうあの巨躯は存在せず、ミスリル特有の薄っすらと緑に反射する欠片が山となっていた。
「……か、勝ったのか?」
もうダメだと死を覚悟した直後だったためだろうか。
まったく実感がわいてこず、思わず口から呟きが洩れた。
「か、勝ったのよね?」
フィアも似たような呟きをもらし、あとの二人はただ口を開けて言葉にならない様子だった。
「ど、どうやらそうみたいだな……」
ミスリルゴーレム、それはAランクの魔物だ。
それをオレたちだけで……。
オックスの裏切りと謀略にかかって危ない目にもあったが、ミスリルゴーレムとの戦いそのものは純粋に冒険者としてのオレたちの実力で勝利をもぎとった。
そう思うと何だか熱いものが込み上げてきて……。
「ぉぉぉ……おおぉぉ!! やった! 勝ったんだ! オレたちの力でダンジョンのボスを、Aランクの魔物ミスリルゴーレムを倒したんだ!!」
思わず叫んでしまっていた。
そうだ。オレは仲間と共にこういう戦いを、こういう冒険をしたかったんだ。
幼馴染にそそのかされたのが全てじゃない。
子供のころからいろいろな冒険譚などを聞いて純粋に憧れていたんだ!
なんだか、その当時の想いがよみがえった気がした。
「勝ったんだ……私たち勝ったんだ! フォーレスト!!」
オレの前で立ち尽くしていたフィアが声をあげて駆け寄ってきた。
「……フォーレストさん!!」
そして次はロロアが目に少し涙をためながら、こちらはゆっくりと歩み寄る。
気付けばオレはフィアに勢いよく前から抱きつかれ、後ろからはロロアに裾を握られ、背中によりかかられていた。
「やったね! あたしたちだけでミスリルゴーレムを倒しちゃったわよ!」
「す、凄いです! 未だに信じられないです!」
ちょっと恥ずかしいが、これが本当の仲間、パーティメンバーの姿だよな……。
一瞬、以前所属していたパーティーのことが頭に浮かぶが、オレは頭を軽く振ってイメージを追い出した。
もう、いまさら振り返る必要もない。
「これで……ようやくこれで終わったんだな……」
幼馴染の裏切りから始まった一連の騒動は、これでようやく幕を閉じた……のだが……。
「お、お兄ちゃん……」
なぜか乾いた笑いを浮かべてオレを見つめるメリア。
「ん? メリア、どうしたんだ? 手紙が届けられなかったとかか? それなら……」
それならミスリルゴーレムに勝ったんだから気にしなくても……と、言おうと思った所でそれに気付いた。
粉々に砕け散ったミスリルゴーレムの破片が薄っすらと光りを帯びていたのだ。
「な!? まさか、まだ死んでなかったのか!?」
「そ、そんな!? これで倒せないって……」
「い、いったいどうしたら……」
フィアとロロアの悲痛な言葉が洩れたところで、メリアが慌てるように声をあげた。
「あぁ!! 待って! 大丈夫だから!」
「だ、大丈夫って、いったいなにが……」
もうオレのバフの効果時間は切れてしまっているだろう。
そうするとまた一からの戦いになる。
いや、そもそもオレの補助魔法では倒せない可能性の方が高いだろう。
このあとどう行動をとるのか必死に考えていると、メリアがミスリルゴーレムの光る破片を指さし、ぼそりと呟いた。
「あれ……わたし……」
ん? ミスリルゴーレムが私ってどういう意味だ?
「あれ、動かしてるの私なの……」
「……え?」
一瞬理解が追い付かないで惚けてしまったが、メリアが手に持つアーティファクトが輝いているのを見てようやく理解が追い付いた。
「なっ!? ミスリルゴーレムを従えたのか!?」
そう言えば、オックスの口ぶりだと一定のダメージを与えたあとにアーティファクトを使用しようとしていたみたいだし、その狙いが正しいのであればオレたちは確実にダメージを与えており条件は満たしている。
「うん。お兄ちゃんがやられそうだったから咄嗟に使ってみたんだけど、お兄ちゃんの止めの魔法の方が先に決まっていたから、本来の強さはないとは思うけど……」
どういうことなのか、メリアから詳しく話を聞いてみることにした。
そして、だいたいのことがわかった。
「ってことは、オレが最後のバフを放った直後にそのアーティファクトを使ったってことか?」
オレが殺されそうになった時に一か八かで身体能力向上を放ったのと同じように、一か八かでメリアもアーティファクトを使ってみたようだ。
すると、ミスリルゴーレムがオレの魔法で崩れ落ちる瞬間にメリアのアーティファクトも従えるのに成功し、ミスリルゴーレムの一部を支配下においたようだ。
そう。一部を。
「驚いたわね……でも、それで発光しているのが欠片の一部なのね」
フィアの言う通り、ちゃんと確認してみると、崩れ落ちたミスリルゴーレムの欠片全てが光っているのではなく、発光しているのは全体の三分の一ほどだ。
「でも……メリアちゃん。ゴーレムは壊れてしまっているのでは?」
ロロアの言う通り、その発光している部分もバラバラの状態なのだ。
せっかく従えることに成功したのだが、これでは意味がないように思えた。
「うん。でも、もともと魔法生物って呼ばれている魔物だから、たぶん大丈夫じゃないかなぁ?」
すると、メリアがアーティファクトに一瞬魔力を込めると、光っている欠片が宙に浮かび、ひとところに集まっていった。
そうして集まった欠片が強く発光した次の瞬間には……ゴーレムが復元されていた。
「ご、ゴーレムが⁉ ……で、でも、ちょっと小さいな……」
そう。メリアが言ったように元になった欠片が三分の一ほどなので、復元されたミスリルゴーレムの大きさもオレたちが戦った奴の三分の一ほどなのだ。
「小さいって言っても、十分な大きさがあるし、ミスリルゴーレムよ? メリア凄いわ!」
確かにそうか。元が大きかったので、三分の一になってもオレよりもまだ少し大きいし、これでも相当な強さだろう。
「メリアちゃん、ミスリルゴーレムはもう暴れたりしない?」
ロロアがまた襲ってこないかと少し怯えた声で尋ねると、それに対してはメリアは力強く頷いてみせた。
「うん! そこは心配しないで! アーティファクトを通じて私の召喚獣として完全に制御できているから!」
その後、メリアが実際にいろいろと指示を出し、ミスリルゴーレムが素直に従っていることを確認したオレたちは、今度こそ本当に戦いが終わったのだとほっと息をついたのだった。
一瞬何が起こったのかわからなかった。
今はもうあの巨躯は存在せず、ミスリル特有の薄っすらと緑に反射する欠片が山となっていた。
「……か、勝ったのか?」
もうダメだと死を覚悟した直後だったためだろうか。
まったく実感がわいてこず、思わず口から呟きが洩れた。
「か、勝ったのよね?」
フィアも似たような呟きをもらし、あとの二人はただ口を開けて言葉にならない様子だった。
「ど、どうやらそうみたいだな……」
ミスリルゴーレム、それはAランクの魔物だ。
それをオレたちだけで……。
オックスの裏切りと謀略にかかって危ない目にもあったが、ミスリルゴーレムとの戦いそのものは純粋に冒険者としてのオレたちの実力で勝利をもぎとった。
そう思うと何だか熱いものが込み上げてきて……。
「ぉぉぉ……おおぉぉ!! やった! 勝ったんだ! オレたちの力でダンジョンのボスを、Aランクの魔物ミスリルゴーレムを倒したんだ!!」
思わず叫んでしまっていた。
そうだ。オレは仲間と共にこういう戦いを、こういう冒険をしたかったんだ。
幼馴染にそそのかされたのが全てじゃない。
子供のころからいろいろな冒険譚などを聞いて純粋に憧れていたんだ!
なんだか、その当時の想いがよみがえった気がした。
「勝ったんだ……私たち勝ったんだ! フォーレスト!!」
オレの前で立ち尽くしていたフィアが声をあげて駆け寄ってきた。
「……フォーレストさん!!」
そして次はロロアが目に少し涙をためながら、こちらはゆっくりと歩み寄る。
気付けばオレはフィアに勢いよく前から抱きつかれ、後ろからはロロアに裾を握られ、背中によりかかられていた。
「やったね! あたしたちだけでミスリルゴーレムを倒しちゃったわよ!」
「す、凄いです! 未だに信じられないです!」
ちょっと恥ずかしいが、これが本当の仲間、パーティメンバーの姿だよな……。
一瞬、以前所属していたパーティーのことが頭に浮かぶが、オレは頭を軽く振ってイメージを追い出した。
もう、いまさら振り返る必要もない。
「これで……ようやくこれで終わったんだな……」
幼馴染の裏切りから始まった一連の騒動は、これでようやく幕を閉じた……のだが……。
「お、お兄ちゃん……」
なぜか乾いた笑いを浮かべてオレを見つめるメリア。
「ん? メリア、どうしたんだ? 手紙が届けられなかったとかか? それなら……」
それならミスリルゴーレムに勝ったんだから気にしなくても……と、言おうと思った所でそれに気付いた。
粉々に砕け散ったミスリルゴーレムの破片が薄っすらと光りを帯びていたのだ。
「な!? まさか、まだ死んでなかったのか!?」
「そ、そんな!? これで倒せないって……」
「い、いったいどうしたら……」
フィアとロロアの悲痛な言葉が洩れたところで、メリアが慌てるように声をあげた。
「あぁ!! 待って! 大丈夫だから!」
「だ、大丈夫って、いったいなにが……」
もうオレのバフの効果時間は切れてしまっているだろう。
そうするとまた一からの戦いになる。
いや、そもそもオレの補助魔法では倒せない可能性の方が高いだろう。
このあとどう行動をとるのか必死に考えていると、メリアがミスリルゴーレムの光る破片を指さし、ぼそりと呟いた。
「あれ……わたし……」
ん? ミスリルゴーレムが私ってどういう意味だ?
「あれ、動かしてるの私なの……」
「……え?」
一瞬理解が追い付かないで惚けてしまったが、メリアが手に持つアーティファクトが輝いているのを見てようやく理解が追い付いた。
「なっ!? ミスリルゴーレムを従えたのか!?」
そう言えば、オックスの口ぶりだと一定のダメージを与えたあとにアーティファクトを使用しようとしていたみたいだし、その狙いが正しいのであればオレたちは確実にダメージを与えており条件は満たしている。
「うん。お兄ちゃんがやられそうだったから咄嗟に使ってみたんだけど、お兄ちゃんの止めの魔法の方が先に決まっていたから、本来の強さはないとは思うけど……」
どういうことなのか、メリアから詳しく話を聞いてみることにした。
そして、だいたいのことがわかった。
「ってことは、オレが最後のバフを放った直後にそのアーティファクトを使ったってことか?」
オレが殺されそうになった時に一か八かで身体能力向上を放ったのと同じように、一か八かでメリアもアーティファクトを使ってみたようだ。
すると、ミスリルゴーレムがオレの魔法で崩れ落ちる瞬間にメリアのアーティファクトも従えるのに成功し、ミスリルゴーレムの一部を支配下においたようだ。
そう。一部を。
「驚いたわね……でも、それで発光しているのが欠片の一部なのね」
フィアの言う通り、ちゃんと確認してみると、崩れ落ちたミスリルゴーレムの欠片全てが光っているのではなく、発光しているのは全体の三分の一ほどだ。
「でも……メリアちゃん。ゴーレムは壊れてしまっているのでは?」
ロロアの言う通り、その発光している部分もバラバラの状態なのだ。
せっかく従えることに成功したのだが、これでは意味がないように思えた。
「うん。でも、もともと魔法生物って呼ばれている魔物だから、たぶん大丈夫じゃないかなぁ?」
すると、メリアがアーティファクトに一瞬魔力を込めると、光っている欠片が宙に浮かび、ひとところに集まっていった。
そうして集まった欠片が強く発光した次の瞬間には……ゴーレムが復元されていた。
「ご、ゴーレムが⁉ ……で、でも、ちょっと小さいな……」
そう。メリアが言ったように元になった欠片が三分の一ほどなので、復元されたミスリルゴーレムの大きさもオレたちが戦った奴の三分の一ほどなのだ。
「小さいって言っても、十分な大きさがあるし、ミスリルゴーレムよ? メリア凄いわ!」
確かにそうか。元が大きかったので、三分の一になってもオレよりもまだ少し大きいし、これでも相当な強さだろう。
「メリアちゃん、ミスリルゴーレムはもう暴れたりしない?」
ロロアがまた襲ってこないかと少し怯えた声で尋ねると、それに対してはメリアは力強く頷いてみせた。
「うん! そこは心配しないで! アーティファクトを通じて私の召喚獣として完全に制御できているから!」
その後、メリアが実際にいろいろと指示を出し、ミスリルゴーレムが素直に従っていることを確認したオレたちは、今度こそ本当に戦いが終わったのだとほっと息をついたのだった。
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