【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸

文字の大きさ
13 / 107
第一章 前半

第13話:初めての依頼

しおりを挟む
 パーティー名が『恒久こうきゅう転生竜てんせいりゅう』に決まったオレたちは、そのままカリンに初めての依頼を斡旋してもらうことになった。

「それじゃぁ、こんな依頼はドウデスか?」

 そう言って依頼書をオレ達に広げて見せてくれる。

「フォレストウルフの群れの討伐? ……にゃ」

「ハイ。ドウデスか? コウガさんたちのさっきの鍛錬場での動きを見る限りは余裕だと思いマスよ」

 何かカリンの様子がおかしい……。

「カリン~? なんか依頼書の上に変な姿勢で手をついて一部見えなくしてるのは何故だ?」

「ギクっ!?」

 口に出してギクって言う人をはじめて見た。

 そしてギクってしている隙をついて手を払いのけると、そこには推奨冒険者ランクC級の文字が……。

「アハハハ。だ、大丈夫ですって。こっそり依頼達成しちゃえばわかりませんよ」

 受付嬢が言っていいセリフじゃないな……と呆れる気持ちの一方で……。

「面白そうではあるな。ほんとにカリンがいいのなら受けてみたい」

「え? 意外ですね。本当にいいの? ……にゃ」

「いやな。フォレストウルフの群れなら村で何度か一人・・で倒した経験があるんだ」

 リリーとルルーは一瞬驚いた表情を見せるが、それなら異論はありませんと言うので受けてしまうことにした。

「そうこなくちゃです! じゃぁ依頼受託状態にしておきますので、よろしくお願いしますね! あっ、これ、目撃報告のあった場所の地図です!」

 こうしてオレたちの初依頼は「フォレストウルフの群れ討伐」になった。
 またもや難解な地図を渡されたが想定内だ。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇ 


 想定外だった……。

「ようやく群れを見つけた……にゃ」

「獣人なのに地図を見ながら探していたら、危うく森で迷う所だった……にゃ」

 オレ以上に森に慣れ親しんでいる獣人の二人を惑わす地図とはいったい……。

 まさか地図が南西を上にして描かれているとは……。
 なんとかトリックそのことに気付いて東門付近から森に入り直して南下することで、ようやくフォレストウルフの群れを発見することができたのだった。

「数は一五匹って所か?」

「そうですね。ところでコウガ。私たちの実力を見せておきたいから、ここは任せて貰ってもいいですか? ……にゃ」

「ん~……わかった。でも危なそうならすぐにオレも加わるから」

 そう口にしたものの、さっきの訓練での動きを見る限りはおそらく問題ないだろう。
 だけど、いつでも介入できる準備だけはしておく。

「ルルー、じゃぁ行きますよ……にゃ」

「リリー、わかった……にゃ」

 二人に視線をやると、フォレストウルフの群れへと向けて走り出した。

「お。中々の速さだな。いや、それより……体が薄く発光している。スキルか?」

 二人は瞬く間にフォレストウルフの群れに接近すると、二刀の短剣でまるで舞でも披露するかのように次々と急所を斬り裂き、黒い霧へと変えていく。

 その動きは円。
 クルクルと舞うような足運びだ。

 しかも連携がすごい。二人の立ち位置を絶えずスイッチしながら近寄り、遠心力を利用した強力な一撃を加え、そこからまたクルリと回って追撃して仕留めていく。

 敵の反撃も円の動きで躱し、スイッチしてカウンター。
 仕留めるとまた別の獲物に近づき首を掻き切った。

 まるで川に流れる落ち葉のようだ。
 止まらぬ鮮やかな動きで、フォレストウルフを終始翻弄している。

「すごい……」

 結局最後までオレの出る幕はなく、一五匹のフォレストウルフの群れをわずか五分ほどで無傷で全て黒い霧へと変えてしまった。

「正直ここまでとは思わなかったな……」

 フォレストウルフは一匹だけだとEランクの魔物だ。

 だが群れると非常に高度な連携をとって襲ってくるためにCランクとされている。

 だと言うのに、リリーとルルーの二人はフォレストウルフよりもさらに高度な連携で翻弄。
 常に一対一の状況を作り出すことで、単なるEランクの魔物として葬っていた。

 オレのように力技で圧倒するのとはまた違うベクトルの強さだ。

「「お粗末さまでした……にゃ」」

「お粗末なんてとんでもない! まるで舞いを見ているようで思わず魅入ってしまった。お疲れさま!」

 褒められて嬉しいのか、すこし頬を赤く染め、尻尾がゆっさゆっさと揺れていた。

 揺れる尻尾もちょっと気になるが、それよりも気になることがある。
 さっきのはやはりギフトだろうか?

「どうしました? ……にゃ」

「答えたくなければ答えなくて構わないんだが……さっきのはギフトを使ったのか?」

 パーティーメンバーにはギフトをあかすことが多いとはいえ、まだ結成したばかり。
 断られても仕方ないと思いつつも、どうしても気になったので聞いてみた。

 オレのギフトはまだ使ったことがないというか、そう簡単に使えないからな……。

「はい。コウガなら教えても問題ないですよ。あれは【共鳴の舞】と言うギフトです……にゃ」

 話を聞くとこのような効果のギフトらしい。


【ギフト:共鳴の舞】
 同じギフトを持つものと共闘すると、あらゆる能力を共鳴させて増幅し、五感を共有して戦うことができる。


 中々ユニークなギフトだ。単体では何の能力も持たないが、上手く使いこなせばかなり強力。
 そして、もちろん二人とも同じギフトだ。

「このギフトを使えば身体能力があがるだけでなく、五感を共有させることで連携を強化し、死角を無くすことができます……にゃ」

「五感が共有できるので、夜の戦いでも使えると思いますよ? 試してみます? ……にゃ」

「へ? ……いやいやいや!? 試さないから!?」

 い、いきなりなにを!?

 こういう話は勘弁して欲しい。
 普段は平気なのに意識するとついぎこちなくなってしまう。

「ふふふ。強い姿もいいけど、困ってる姿もいいですね。ますますコウガのことが気に入りました……にゃ」

「ふふふ。同世代で私たちより強い人と初めて会った。獣人族は本能のままに強い人に惹かれる……にゃ」

 なんか話がどんどん苦手な方にいきそうだ。
 獣人の女の子はやっぱり肉食系なのだろうか……。

 オレは強引に違う話題を振ると、逃げるように街へと向けて歩き始めたのだった。


 ◆◇◆◇◆◇◆◇


 ギルドに着いて報告に向かうと、カリンもまさか半日で終わらせてくるとは思っていなかったようで、声をあげて驚いていた。

「半日もかけずにフォレストウルフの群れを討伐してきたんですか!?」

 驚いた勢いそのままに大声でそんなことを叫ぶものだから、オレたちにCランクの依頼を斡旋したのが上司にバレて怒られていたが……。

 まぁ、こっそりこっちにピースサインしてるからきっと大丈夫だろう。

 それからカリンの説教を待って少し……。

「はい。達成完了の確認が出来ましたのでギルドカードをお返しします。それとこれが今回の報酬です!」

 ギルドカードと一緒に受け取った報酬は金貨一枚と銀貨五枚。

 達成報酬だけで一人五万円ほどを稼いだことになる。
 これに魔石も売ればさらにお金が手に入る。

 半日で一人五万と思えば美味しいが、命がかかっているのでこんなものだろうか。

 ちなみに討伐確認は、ギルドカードに倒した魔物の魔力紋が記録される仕組みがあるので、それでチェックされる。
 魔物を倒すと魔力の一部が吸収されてステータスに反映されるが、ギルドカードはそれと同じ仕組みで記録をとっているそうだ。

「あれ? ギルドカード変わってないか?」

「「ほんとだ……にゃ」」

 返して貰ったギルドカードは、さっきまで持ってた鉄製のものから銅製のものに変えられていた。

「はい! さすがにCランクの依頼をたった三人で半日かからず終わらせる人たちをこのままE級冒険者のままにしておくことはできない! ……と、上司がギルドマスターに相談して、ギルマス権限でD級にしてくれたんです!」

 こうしてオレたち『恒久こうきゅう転生竜てんせいりゅう』は、初めての依頼で一人前の冒険者と言われるD級冒険者になったのだった。

 ランクが上がるのは嬉しいけど早すぎないか……。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

転落貴族〜千年に1人の逸材と言われた男が最底辺から成り上がる〜

ぽいづん
ファンタジー
ガレオン帝国の名門貴族ノーベル家の長男にして、容姿端麗、眉目秀麗、剣術は向かうところ敵なし。 アレクシア・ノーベル、人は彼のことを千年に1人の逸材と評し、第3皇女クレアとの婚約も決まり、順風満帆な日々だった 騎士学校の最後の剣術大会、彼は賭けに負け、1年間の期限付きで、辺境の国、ザナビル王国の最底辺ギルドのヘブンズワークスに入らざるおえなくなる。 今までの貴族の生活と正反対の日々を過ごし1年が経った。 しかし、この賭けは罠であった。 アレクシアは、生涯をこのギルドで過ごさなければいけないということを知る。 賭けが罠であり、仕組まれたものと知ったアレクシアは黒幕が誰か確信を得る。 アレクシアは最底辺からの成り上がりを決意し、復讐を誓うのであった。 小説家になろうにも投稿しています。 なろう版改稿中です。改稿終了後こちらも改稿します。

銀眼の左遷王ケントの素人領地開拓&未踏遺跡攻略~だけど、領民はゼロで土地は死んでるし、遺跡は結界で入れない~

雪野湯
ファンタジー
王立錬金研究所の研究員であった元貴族ケントは政治家に転向するも、政争に敗れ左遷された。 左遷先は領民のいない呪われた大地を抱く廃城。 この瓦礫に埋もれた城に、世界で唯一無二の不思議な銀眼を持つ男は夢も希望も埋めて、その謎と共に朽ち果てるつもりでいた。 しかし、運命のいたずらか、彼のもとに素晴らしき仲間が集う。 彼らの力を借り、様々な種族と交流し、呪われた大地の原因である未踏遺跡の攻略を目指す。 その過程で遺跡に眠っていた世界の秘密を知った。 遺跡の力は世界を滅亡へと導くが、彼は銀眼と仲間たちの力を借りて立ち向かう。 様々な苦難を乗り越え、左遷王と揶揄された若き青年は世界に新たな道を示し、本物の王となる。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

処理中です...