溺愛王子様の3つの恋物語~第3王子編~

結衣可

文字の大きさ
1 / 12

第1話 運命の出会い

しおりを挟む
《登場人物》
 クリストフ・フォン・グランツ 第3王子
  年齢:17歳
  役職:学園生徒会長
  特徴:
  ・冷静沈着で何事も卒なくこなす万能タイプ。
  ・名門の家系に生まれ、容姿・頭脳・リーダーシップすべて完璧。
  ・表向きは誰にでも公平で隙がない。
  ・恋愛では意外に大胆で、二人きりやバレなそうな場面では一気に攻める。
  

 ユーリ・グレイ
  年齢:26歳
  職業:学園魔法学講師/研究者
  特徴:
  ・魔導書と研究に没頭しがちで生活力ゼロ。
  ・優秀だが抜けているところがあり、生徒からも「憎めない先生」と思われている。
  ・恋愛経験はほぼゼロ、自分が対象になると思っていない。
  ・クリストフの直球かつ巧みな攻めに毎回翻弄される。
 
ープロローグー
中原にその名を轟かせる大国―― フォン・グランツ王国。
豊穣なる大地と、代々受け継がれる魔術の叡智によって繁栄を築いてきた。

城塞都市を中心に広がる街並みは、学問と商業の集積地として賑わい、王立学園では日々、多くの若者が剣と魔法を磨いている。
国を治める現国王 アレクシス・フォン・グランツ は、民に愛される理想の統治者。だが彼の視線の先には、常に三人の王子たちの未来があった。

――王国を導く、三つの光。

国政の重責を担う第1王子レオナード、自由奔放な第2王子ライナルト、そして――常に冷静沈着で、何事も卒なくこなす第3王子クリストフ。

それぞれが異なる「責務」と「恋模様」を抱え、やがて交差していく三人の物語。

溺愛と執着、理性と情熱、そして王家に生まれた者ゆえの葛藤。
フォン・グランツ王国を舞台に織りなされるのは、
――王子たちが初めて知る「逃れられない恋の運命」であった。


ー第3王子クリストフ編ー

王立学園の廊下では午後の授業が終わり、行き交う学生たちの声が響く中――
一人の青年が静かに歩を進めていた。

金色の髪を整え、制服の襟元を正しく留めた姿。
まっすぐな背筋は、誰よりも規律を重んじる生徒会長そのもの。

――第3王子、クリストフ・フォン・グランツ。

彼の通る道は自然と人々が開き、視線は畏敬と憧れで満ちていた。

兄二人に比べると目立たない存在と思われがちだが、クリストフは学園内外で絶大な信頼を集めていた。
王立学園の生徒会長を務め、若き才能たちをまとめ上げるその姿は、王国の縮図を思わせる。

「会長、本日の案件は以上です」
副会長の報告に、クリストフは小さく頷いた。

「よくやってくれた。引き続き周知を怠るな」

冷ややかに整った声音に、誰もが従う。
会議室を後にする彼の背に、女生徒たちの視線が集まったが、当の本人は何も気づかぬように歩み去っていった。

――それが「氷の第三王子」と呼ばれる所以だった。

***

その日の午後。
回廊の角を曲がったとき、思いもよらない光景に出会った。

「わっ!」
「……っ」

何冊もの魔導書を抱えた人物とぶつかり、本が床に散らばった。

「す、すみませんっ!」
慌てて本を拾い集める若い青年。

柔らかな銀髪が揺れ、紫水晶のような瞳が焦りで潤んでいる。
まだ幼さの残る顔立ちだが、黒衣のローブは講師の証。

「……君は」
クリストフは視線を落とし、散らばった本の背表紙を見た。
古代魔法理論、高位魔力制御――難解な専門書ばかり。

「うぅ……またやっちゃった。これじゃ学生に示しがつかないよね……」
青年は顔を赤くし、額にかかる髪をかき上げる。

「講師、か。確か……」
「ユーリ・グレイです。今期から魔導理論を担当してます。……あの、ほんとにごめんなさい」

彼はぺこりと頭を下げ、必死に本を抱え直した。
その仕草はどこか小動物のようで、思わず見守りたくなる。

「足元くらいは見た方がいいですよ」
クリストフは無表情のまま本を拾い上げ、差し出した。

「ありがとうございます、生徒会長さん」
ユーリは受け取りながら、少し照れたように笑った。

――その瞬間、クリストフの心にわずかな揺らぎが生まれた。
紫水晶の瞳が光を反射して、ころころと表情を変える。
その無邪気な輝きに、彼の唇がふと、わずかに笑みに緩む。

普段の彼を知る者が見たならば、信じられぬ光景だっただろう。
冷静沈着な生徒会長が、誰かに笑みを見せるなど滅多にないことだった。

こうして――第3王子と若き講師の出会いは、ありふれた偶然の中で運命の始まりとなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

脳筋剣士と鈍感薬師 ~騎士様、こいつです~

季エス
BL
「ルカーシュは、駄目よ」  その時胸に到来した思いは安堵であり、寂しさでもあった。  ルカーシュは薬師だ。幼馴染と共に、魔王を倒すために村を出た。彼は剣士だった。薬師のルカーシュは足手纏いだった。途中で仲間が増えたが、それでも足手纏いである事に変わりはなかった。そうしてついに、追い出される日が来たのだ。  ルカーシュはそっと、瞼を伏せた。  明日、明日になったら、笑おう。そして、礼と別れを言うのだ。  だから、今だけは、泣いてもいいかな。

無愛想な氷の貴公子は臆病な僕だけを逃さない~十年の片想いが溶かされるまで~

たら昆布
BL
執着ヤンデレ攻め×一途受け

《うちの子》推し会!〜いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます〜お月見編

日色
BL
明日から始まる企画だそうで、ぜひとも参加したい!と思ったものの…。ツイッターをやっておらず参加の仕方がわからないので、とりあえずこちらに。すみませんm(_ _)m

『君を幸せにする』と毎日プロポーズしてくるチート宮廷魔術師に、飽きられるためにOKしたら、なぜか溺愛が止まらない。

春凪アラシ
BL
「君を一生幸せにする」――その言葉が、これほど厄介だなんて思わなかった。 チート宮廷魔術師×うさぎ獣人の道具屋。
毎朝押しかけてプロポーズしてくる天才宮廷魔術師・シグに、うんざりしながらも返事をしてしまったうさぎ獣人の道具屋である俺・トア。 
でもこれは恋人になるためじゃない、“一目惚れの幻想を崩し、幻滅させて諦めさせる作戦”のはずだった。 ……なのに、なんでコイツ、飽きることなく俺の元に来るんだよ? 
“うさぎ獣人らしくない俺”に、どうしてそんな真っ直ぐな目を向けるんだ――? 見た目も性格も不釣り合いなふたりが織りなす、ちょっと不器用な異種族BL。 同じ世界観の「「世界一美しい僕が、初恋の一目惚れ軍人に振られました」僕の辞書に諦めはないので全力で振り向かせます」を投稿してます!トアも出てくるので良かったらご覧ください✨

追放オメガ聖帝の幸せな結婚〜クールなスパダリ騎士に拾われて溺愛されるまで〜

あきたいぬ大好き(深凪雪花)
BL
ノルディーナ王国の聖帝サーナは、教皇のありもしない嘘のせいで聖宮から追放されてしまう。 行く当てがないサーナが国境に向かうと、そこで隣国ルミルカ王国の騎士であるムーシュと出会う。ムーシュから諸事情により偽装結婚を提案されて、サーナは期限付きの偽装結婚ならばよいと承諾し、一時的に保護してもらうことに。 異国暮らしに慣れていく中で、やがてムーシュから溺愛されるようになり……?

沈黙のΩ、冷血宰相に拾われて溺愛されました

ホワイトヴァイス
BL
声を奪われ、競売にかけられたΩ《オメガ》――ノア。 落札したのは、冷血と呼ばれる宰相アルマン・ヴァルナティス。 “番契約”を偽装した取引から始まったふたりの関係は、 やがて国を揺るがす“真実”へとつながっていく。 喋れぬΩと、血を信じない宰相。 ただの契約だったはずの絆が、 互いの傷と孤独を少しずつ融かしていく。 だが、王都の夜に潜む副宰相ルシアンの影が、 彼らの「嘘」を暴こうとしていた――。 沈黙が祈りに変わるとき、 血の支配が終わりを告げ、 “番”の意味が書き換えられる。 冷血宰相×沈黙のΩ、 偽りの契約から始まる救済と革命の物語。

処理中です...