11 / 12
第11話 プロポーズ
しおりを挟む
見せたいものがあると、ユーリを連れ出し、生徒会室へ移動した。
蝋燭の炎が揺れる中、クリストフは机に大量の資料を広げ、向かいに座るユーリに見せる。
「クリストフ、これは?」
「ユーリ……実は、以前から考えていたことがあります」
「え……?」
クリストフは資料の中から一枚の設計案を差し出した。
「それは“魔術研究棟”を設立する計画です。国としては専門的な魔術研究や後進の指導などの支援が大きな理由でしたが、……有能な魔術師であるユーリの才能を生かすためにも必要だと早急に進めるように提案済みです」
ユーリは目を見開き、資料に視線を落とした。
そこには、書庫と実験室を兼ね備えた立派な建物の図が描かれている。
「いいですか、ユーリ。卒業後、俺は学園の理事に関わる立場になりますが、基本は王城で過ごすことになります。
ユーリに好きなことをしてほしいとは言いましたが、このまま学園で講師をされては一緒にいる時間が減ります。
なので、俺の傍にいたくなるように仕向けさせていただきました」
「へ?」
「貴方にとってこの魅力的な研究棟は王城の敷地内に建設されます。資金や物資、人材の調整は、セオドアと共に進めますので、ご心配なく……先生はただ、この研究棟で“魔術師ユーリ・グレイ”として存分に好きなことを研究してください」
「……で、でもっ……」
「ユーリが――自分の傍で研究を続けてくれたら、俺は今以上に国の為に頑張れます。これはこの国にとっても有益なことになるでしょう」
クリストフは椅子から立ち上がり、彼の前に歩み寄り、片膝をつく。
そしてユーリを愛おしそうに見上げた。
「ク、クリストフ!?そんなことしては!」
慌てるユーリの手を取り、口づけをする。
「ユーリ、愛しています。生涯、俺の傍にいてください」
「…………」
驚きのあまり、言葉を失うユーリ。
クリストフはユーリをじっと見つめ、安心させるような柔らかい笑みを作る。
「ユーリ、返事をいただけませんか」
「え、あの……よ、よろしくお願いしまっ、ひゃっ……!?」
ユーリが肯定した瞬間、クリストフは軽々とうユーリを抱き上げた。
「ク、クリストフ、何して!?」
抗議の声も聞かず、彼を自分の膝の上に座らせる。
至近距離にあるユーリの美しい紫の瞳を見つめ、今度はいたずらっ子のように不敵な笑みを浮かべた。
「……ユーリ、ちゃんと理解してますか?」
「え?」
「もう、逃げられませんよ」
言葉と同時に、唇が重なる。
「……っ……!」
最初は柔らかく、次第に深さを増す口づけ。
ユーリは抗えず、胸に手を置きながら目を閉じるしかなかった。
唇が離れたとき、クリストフは低く囁いた。
「ユーリの未来は、俺と共にあります。……王城でも、研究棟でも、ずっと隣に」
涙を滲ませながらも、ユリウスは頬を赤く染め、小さな声で答えた。
「……はい」
金の瞳が柔らかく細められ、彼の額にそっと口づけが落とされた。
研究室の灯火の中、二人の影は強く寄り添い――
もう、離れる理由などどこにもなかった。
蝋燭の炎が揺れる中、クリストフは机に大量の資料を広げ、向かいに座るユーリに見せる。
「クリストフ、これは?」
「ユーリ……実は、以前から考えていたことがあります」
「え……?」
クリストフは資料の中から一枚の設計案を差し出した。
「それは“魔術研究棟”を設立する計画です。国としては専門的な魔術研究や後進の指導などの支援が大きな理由でしたが、……有能な魔術師であるユーリの才能を生かすためにも必要だと早急に進めるように提案済みです」
ユーリは目を見開き、資料に視線を落とした。
そこには、書庫と実験室を兼ね備えた立派な建物の図が描かれている。
「いいですか、ユーリ。卒業後、俺は学園の理事に関わる立場になりますが、基本は王城で過ごすことになります。
ユーリに好きなことをしてほしいとは言いましたが、このまま学園で講師をされては一緒にいる時間が減ります。
なので、俺の傍にいたくなるように仕向けさせていただきました」
「へ?」
「貴方にとってこの魅力的な研究棟は王城の敷地内に建設されます。資金や物資、人材の調整は、セオドアと共に進めますので、ご心配なく……先生はただ、この研究棟で“魔術師ユーリ・グレイ”として存分に好きなことを研究してください」
「……で、でもっ……」
「ユーリが――自分の傍で研究を続けてくれたら、俺は今以上に国の為に頑張れます。これはこの国にとっても有益なことになるでしょう」
クリストフは椅子から立ち上がり、彼の前に歩み寄り、片膝をつく。
そしてユーリを愛おしそうに見上げた。
「ク、クリストフ!?そんなことしては!」
慌てるユーリの手を取り、口づけをする。
「ユーリ、愛しています。生涯、俺の傍にいてください」
「…………」
驚きのあまり、言葉を失うユーリ。
クリストフはユーリをじっと見つめ、安心させるような柔らかい笑みを作る。
「ユーリ、返事をいただけませんか」
「え、あの……よ、よろしくお願いしまっ、ひゃっ……!?」
ユーリが肯定した瞬間、クリストフは軽々とうユーリを抱き上げた。
「ク、クリストフ、何して!?」
抗議の声も聞かず、彼を自分の膝の上に座らせる。
至近距離にあるユーリの美しい紫の瞳を見つめ、今度はいたずらっ子のように不敵な笑みを浮かべた。
「……ユーリ、ちゃんと理解してますか?」
「え?」
「もう、逃げられませんよ」
言葉と同時に、唇が重なる。
「……っ……!」
最初は柔らかく、次第に深さを増す口づけ。
ユーリは抗えず、胸に手を置きながら目を閉じるしかなかった。
唇が離れたとき、クリストフは低く囁いた。
「ユーリの未来は、俺と共にあります。……王城でも、研究棟でも、ずっと隣に」
涙を滲ませながらも、ユリウスは頬を赤く染め、小さな声で答えた。
「……はい」
金の瞳が柔らかく細められ、彼の額にそっと口づけが落とされた。
研究室の灯火の中、二人の影は強く寄り添い――
もう、離れる理由などどこにもなかった。
11
あなたにおすすめの小説
脳筋剣士と鈍感薬師 ~騎士様、こいつです~
季エス
BL
「ルカーシュは、駄目よ」
その時胸に到来した思いは安堵であり、寂しさでもあった。
ルカーシュは薬師だ。幼馴染と共に、魔王を倒すために村を出た。彼は剣士だった。薬師のルカーシュは足手纏いだった。途中で仲間が増えたが、それでも足手纏いである事に変わりはなかった。そうしてついに、追い出される日が来たのだ。
ルカーシュはそっと、瞼を伏せた。
明日、明日になったら、笑おう。そして、礼と別れを言うのだ。
だから、今だけは、泣いてもいいかな。
沈黙のΩ、冷血宰相に拾われて溺愛されました
ホワイトヴァイス
BL
声を奪われ、競売にかけられたΩ《オメガ》――ノア。
落札したのは、冷血と呼ばれる宰相アルマン・ヴァルナティス。
“番契約”を偽装した取引から始まったふたりの関係は、
やがて国を揺るがす“真実”へとつながっていく。
喋れぬΩと、血を信じない宰相。
ただの契約だったはずの絆が、
互いの傷と孤独を少しずつ融かしていく。
だが、王都の夜に潜む副宰相ルシアンの影が、
彼らの「嘘」を暴こうとしていた――。
沈黙が祈りに変わるとき、
血の支配が終わりを告げ、
“番”の意味が書き換えられる。
冷血宰相×沈黙のΩ、
偽りの契約から始まる救済と革命の物語。
死に戻り騎士は愛のために願う 〜10回だけの奇跡〜
湯川岳
BL
「一生苦しむがいい。その呪いは俺からのプレゼントだ」
幼い頃に出会った友から呪いを貰ってしまったユーリ。
時は流れ、シューベルト家次男のアルトを追って騎士団に入隊をし、副団長まで上り詰めたユーリ。
毎日アルトの世話をしていく内に心惹かれていく。
「キスしてみろよ。それでオレが嫌じゃなければ……考えてやってもいい」
ユーリはアルトに口付けをする。そして呪いがこの時を待っていたかのように発動してしまった。
意識が乗っ取られ、目を覚ませばそこにあったはずの幸せは鮮やかな赤で染まっていた。
その日を境に始まったのは、暗くて長い道のりだった。
※アルト編、ユーリ編。どちらから先に読まれても大丈夫です。
エンディング異なります。それもお楽しみ頂けたら幸いです。
※最後はハッピーエンド確定。4話までだいぶ暗めの話なので苦手な方はお気をつけ下さい。
※タイトル変えてみました。
旧:死に戻り騎士の願い
表紙素材:ぱくたそ
《うちの子》推し会!〜いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます〜お月見編
日色
BL
明日から始まる企画だそうで、ぜひとも参加したい!と思ったものの…。ツイッターをやっておらず参加の仕方がわからないので、とりあえずこちらに。すみませんm(_ _)m
【完結・BL】DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!【騎士団員×騎士団長】
彩華
BL
とある平和な国。「ある日」を境に、この国を守る騎士団へ入団することを夢見ていたトーマは、無事にその夢を叶えた。それもこれも、あの日の初恋。騎士団長・アランに一目惚れしたため。年若いトーマの恋心は、日々募っていくばかり。自身の気持ちを、アランに伝えるべきか? そんな悶々とする騎士団員の話。
「好きだって言えるなら、言いたい。いや、でもやっぱ、言わなくても良いな……。ああ゛―!でも、アラン様が好きだって言いてぇよー!!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる