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第1話 鎖に繋がれた騎士
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《登場人物》
敵国の皇帝
名:オルフェン・ヴァルガディア
年齢:37歳
立場:帝国の皇帝。若くして父帝を亡くし、
内乱を鎮めて即位した強き支配者。
外見:漆黒の髪と鋭い金の瞳。長身で、
威厳ある雰囲気。戦場に立った経験も
あるため、筋肉質。
性格:冷徹で計算高い。感情を表に出さず、
恐怖と尊敬を同時に集める帝王。
捕虜の騎士
名:エリアス・グランヴェル
年齢:22歳
立場:隣国の王国に仕える若き騎士。
名門の家に生まれ、幼い頃から
剣と忠誠を叩き込まれてきた。
外見:明るい栗色の髪、灰青色の瞳。
がっしりした体格だが若さゆえ
の初々しさも残る。
性格:誇り高く、まっすぐ。情に厚い。
戦場に立ちこめる煙と血の匂いは、敗北の現実をいやというほど突きつけていた。
リュミエール王国の旗は地に落ち、騎士たちの鎧は泥と赤にまみれている。かつて「誇りの騎士団」と謳われた精鋭たちも、帝国ヴァルガディアの圧倒的な軍勢と、皇帝オルフェン自らの魔術の前に屈したのだ。
空を裂いた黒炎の柱が王国の防衛線を焼き尽くしたとき、戦況は決した。
人々は震えながら口にする――「魔帝オルフェン」。その異名に偽りはない。
エリアスは、仲間の亡骸の上に膝をつきながらも、剣を手放さなかった。
腕は血に濡れ、視界は霞んでいたが、それでも瞳の光だけは消えていない。
「……まだ、俺は……」
その言葉を言い切る前に、背から無骨な衝撃が走り、地面に押し伏せられる。
数人の帝国騎士に取り押さえられ、鎖が音を立てて両手にかけられた。
鉄の枷がはめられた瞬間、ようやくエリアスは敗北を悟った。
唇は血で切れながらも、嘲笑のように歪められている。
「……何を」
帝国騎士は侮蔑の眼差しで受け流し、彼を引きずるようにして連行していく。
燃え落ちた城壁の残骸と、血に染まった土の匂いを背に、エリアスは鎖に繋がれたまま、荷馬車に突っ込まれる。
最後まで剣を捨てるつもりはなかったのに、仲間は次々と倒れ、国は力に押し潰された。
それでも、胸の奥にまだ熱は残っているはずなのに、抗えぬ現実が、誇りを体力を削り取っていく。
――心まで屈するつもりはない。
リュミエールの騎士である限り。
***
重厚な扉が開かれる。眼前に広がったのは、帝国宮殿の玉座の間。
黒大理石の床に、赤き絨毯が真っ直ぐ敷かれ、その先に漆黒の皇帝が座していた。
オルフェン・ヴァルガディア。
若くして帝位を継ぎ、戦場で無敗を誇る男。帝国を「魔帝国」と呼ばしめた存在。
漆黒の髪と、獲物を見据える獣のような黄金の瞳。その姿は、威厳というよりも暴威に近い。
エリアスは引きずられるように進んだ先で、オルフェンを前に膝を折ろうとはしなかった。
足を蹴りつけられ、地面に押し伏せられながらも、必死に頭を上げる。
その眼差しだけは真っ直ぐにオルフェンを射抜いていた。
オルフェンは玉座に腰掛けたまま、無言で彼を見つめていた。
その視線は冷酷なようで、楽しんでいるようでもあった。
沈黙ののち、皇帝は低く笑う。
「……地下牢に入れておけ」
あまりにあっさりとした言葉に、兵士たちがわずかに戸惑う。
「はっ。しかし、――」
「下がれ」
短く放たれた声は、どんな刃より鋭く、空気を凍らせる。
オルフェンの金の瞳は、一瞬だけ愉悦に揺らいだ。
エリアスはその意味を測りかねていた。
なぜ殺さない?一介の騎士を捕虜にして、どんな価値がある?
誇りを胸に睨み返しながらも、彼の背筋を冷たい予感が這い登っていく。
――この皇帝は、何を考えている?
そしてなぜ、自分を見て笑ったのか。
玉座の間を後にしながら、エリアスの心には、戦場では味わわなかった種類の恐怖と苛立ちが残っていた。
それが後に「執着」と名を変えることなど、まだ知る由もないままに。
敵国の皇帝
名:オルフェン・ヴァルガディア
年齢:37歳
立場:帝国の皇帝。若くして父帝を亡くし、
内乱を鎮めて即位した強き支配者。
外見:漆黒の髪と鋭い金の瞳。長身で、
威厳ある雰囲気。戦場に立った経験も
あるため、筋肉質。
性格:冷徹で計算高い。感情を表に出さず、
恐怖と尊敬を同時に集める帝王。
捕虜の騎士
名:エリアス・グランヴェル
年齢:22歳
立場:隣国の王国に仕える若き騎士。
名門の家に生まれ、幼い頃から
剣と忠誠を叩き込まれてきた。
外見:明るい栗色の髪、灰青色の瞳。
がっしりした体格だが若さゆえ
の初々しさも残る。
性格:誇り高く、まっすぐ。情に厚い。
戦場に立ちこめる煙と血の匂いは、敗北の現実をいやというほど突きつけていた。
リュミエール王国の旗は地に落ち、騎士たちの鎧は泥と赤にまみれている。かつて「誇りの騎士団」と謳われた精鋭たちも、帝国ヴァルガディアの圧倒的な軍勢と、皇帝オルフェン自らの魔術の前に屈したのだ。
空を裂いた黒炎の柱が王国の防衛線を焼き尽くしたとき、戦況は決した。
人々は震えながら口にする――「魔帝オルフェン」。その異名に偽りはない。
エリアスは、仲間の亡骸の上に膝をつきながらも、剣を手放さなかった。
腕は血に濡れ、視界は霞んでいたが、それでも瞳の光だけは消えていない。
「……まだ、俺は……」
その言葉を言い切る前に、背から無骨な衝撃が走り、地面に押し伏せられる。
数人の帝国騎士に取り押さえられ、鎖が音を立てて両手にかけられた。
鉄の枷がはめられた瞬間、ようやくエリアスは敗北を悟った。
唇は血で切れながらも、嘲笑のように歪められている。
「……何を」
帝国騎士は侮蔑の眼差しで受け流し、彼を引きずるようにして連行していく。
燃え落ちた城壁の残骸と、血に染まった土の匂いを背に、エリアスは鎖に繋がれたまま、荷馬車に突っ込まれる。
最後まで剣を捨てるつもりはなかったのに、仲間は次々と倒れ、国は力に押し潰された。
それでも、胸の奥にまだ熱は残っているはずなのに、抗えぬ現実が、誇りを体力を削り取っていく。
――心まで屈するつもりはない。
リュミエールの騎士である限り。
***
重厚な扉が開かれる。眼前に広がったのは、帝国宮殿の玉座の間。
黒大理石の床に、赤き絨毯が真っ直ぐ敷かれ、その先に漆黒の皇帝が座していた。
オルフェン・ヴァルガディア。
若くして帝位を継ぎ、戦場で無敗を誇る男。帝国を「魔帝国」と呼ばしめた存在。
漆黒の髪と、獲物を見据える獣のような黄金の瞳。その姿は、威厳というよりも暴威に近い。
エリアスは引きずられるように進んだ先で、オルフェンを前に膝を折ろうとはしなかった。
足を蹴りつけられ、地面に押し伏せられながらも、必死に頭を上げる。
その眼差しだけは真っ直ぐにオルフェンを射抜いていた。
オルフェンは玉座に腰掛けたまま、無言で彼を見つめていた。
その視線は冷酷なようで、楽しんでいるようでもあった。
沈黙ののち、皇帝は低く笑う。
「……地下牢に入れておけ」
あまりにあっさりとした言葉に、兵士たちがわずかに戸惑う。
「はっ。しかし、――」
「下がれ」
短く放たれた声は、どんな刃より鋭く、空気を凍らせる。
オルフェンの金の瞳は、一瞬だけ愉悦に揺らいだ。
エリアスはその意味を測りかねていた。
なぜ殺さない?一介の騎士を捕虜にして、どんな価値がある?
誇りを胸に睨み返しながらも、彼の背筋を冷たい予感が這い登っていく。
――この皇帝は、何を考えている?
そしてなぜ、自分を見て笑ったのか。
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