転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー

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後日譚・番外編

もふもふ!うさ耳シリルの朝(ラセルの実験は成功した)

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 朝の陽ざしがやわらかく差し込む寝室。ベッドの上、シリルは布団の中でぼんやり目を開けた。

「……ふぁ……ねむ……」

 腕を伸ばして欠伸をしながら身を起こす――と、ふわっと何かが視界に入った。

 ピコッ

「……え?」

 もそもそ……頭を手で探る。そこには――ふわふわの、耳。

「はっ……」

 後ろを振り向く。シーツの上に、もそもそと動く……しっぽ。

「うそでしょぉおお!?」

 うさぎの獣人じゃん俺! ピョコ耳に、ふわ尻尾。どっちも、もっふもふ。

「ま、またやりやがったなラセルぅうう……!」

 絶叫してベッドを飛び出そうとしたそのとき――ガチャリ。ドアが開いて入ってきたのは、執務着姿のレオナルト。

「……起きたか、シリル」

「まっ、待って! 今は来ないで、お願い、ぜったい見たら笑うから!」

「……何をだ?」

 すたすたと近づいてきたレオナルトは、驚きもせず、当然のように手を伸ばしてきた。

 もふっ。

「ぴゃっ……!」

「……予想より、手触りが良いな。ふわふわして、柔らかい。……これが、うさ耳か。いいな」

「うう……ひ、ひとの尊厳を、耳としっぽごと踏みにじられてる……」

「シリル。安心しろ。おまえがどんな姿になっても、俺の愛情は変わらない」

「うれしくないその真顔ぁああ!」

 さらに、

「ぴこっ」と耳が動くたびに、レオナルトの手が伸びてきて、撫でられる。

(ああ、これはダメだ……うさ耳というだけでレオナルトの“もふ欲”が爆発してる……!)


 そこへ、ラセルが朝の紅茶を運んできた。

「おはよ~、シリル。うわっ、ちゃんと生えてるー!成功だー!」

「お前がやったのかーー!」

「ふふ、うさ耳ってね、感情が耳に出るからすごく観察しがいがあって……ってわわ、しっぽで叩かないでー!」

「わああん、もふられるし観察されるし、今日一日もたない……!」


 そしてこの日、シリルは一日中、「撫でたい王」と「観察したい猫王子」に挟まれ、うさ耳生活を送ったのだった。
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