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第391話 勝者には褒美を
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「あ…れ…?」
突如俺の身体から力が抜ける。
何だこれは?
両腕が重い、支えられない。
肩からだらんと力無く垂れ下がる俺の左右の腕。
「う…?」
続いて両足の力も抜けていく。
立って居られない。
俺はなす術も無く両膝を着いた。
「はあ…はあ…
こ、これは一体…?」
「ケイガお兄様、
これはわたくしが行使した光属性の身体能力低下魔法、
『減衰光』の効果ですわ」
全身から力が抜けた俺に言葉を掛けるポーラ姫。
「…身体能力低下魔法だって?
でもポーラ、
君は俺に向かって魔法を唱えた様子は無かった筈…?
魔法は、魔法の言葉である『言霊』を
対象の相手にも聞こえる様にはっきりと口にしなければ、
その相手に魔法の効果は発現しない筈…?
それがこの異世界エゾン・レイギスの魔法の法則じゃ無いのか?」
「お兄様、確かに自分以外の他者へ魔法を行使する際は
明確に相手の耳に聞こえる様に『言霊』を唱える必要がありますわ。
でも相手に聞こえないぐらいの小声でも”世界の事象”には干渉できます。
つまり魔法自体は効果を発現するのです。
威力はとても小さくなりますけれど。
でも一度の威力は小さくても重ね掛けすれば…どうでしょうか?」
「そうか…
君は俺の隙を見ながら、
小声で身体能力低下魔法を何度も掛けていたということか…
つまり俺は時間をかけて魔法の効果を積み重ねられて…
たった今、魔法の効果が一気に表れて全身から力が抜けた…
そういう訳なんだな?」
「その通りですわケイガお兄様。
ちなみにわたくしが掛けた『減衰光』の魔法は計7回です。
そしてお兄様が今の着られている衣服は
魔法耐性が付加された戦闘服では無く普通の衣服。
お兄様自身にも魔法の耐性は在りますけれど、
この様な方法で身体能力低下魔法を掛けられれば…
身体を動けなくされてしまう事は
避けようが無いということです。
お兄様はお強いですわ。
でも…魔法による戦いを侮っているふしがあります。
攻撃魔法による正面からの戦い以外にも、
こういった隠密の魔法行使で相手に勝利するという搦め手もありますの。
そして戦場では無く、
気を抜かれてリラックスされた自室で、
親しき者に偽装した敵が
この様な搦め手で襲い掛かって来れば、
ひとたまりもありませんわ。
わたくしは王族として生まれた経験から、
お兄様がこの様な魔法の搦め手で大変な目に合わないか危惧しておりました。
といっても言葉にして説明するよりも実際に見て、
経験してもらうのがわかりやすいかと思いましたの。
そこで大変失礼と承知で…
この様にわたくしが実践させて頂きましたわ」
ポーラ姫はそう話を締めると俺の胸に手のひらを添えた。
「ケイガお兄様。
この度の戦いを実践とするなら…
これで王手、
つまりわたくしの勝ちという事になりますでしょうか?」
「ああ…ポーラ、完全に君の勝ちだ。
魔法戦闘にはこういった手もあるんだな…
ありがとう、とても良い経験になったよ」
ポーラ姫は生まれながらの王族であり聖王女を務める此の国の要人。
庶民である俺には想像することも出来ない、
無数の殺意にこれまで晒されて来たのであろう。
その経験から…こういった方法での襲撃もあり得るのだと、
彼女は身をもって俺に教えてくれたのである。
…良かった。
つまり欲望全力全開で
スケスケネグリジェ姿で
俺に本気で夜這いを掛けて来るお姫様なんていなかったんだ。
「それではお兄様。
勝者には褒美を、
それがセカイの理ですわ。
ですから、わたくしもご褒美を下さいませ…」
ポーラ姫はそう述べると、
俺の頬に口付けをした。
突如俺の身体から力が抜ける。
何だこれは?
両腕が重い、支えられない。
肩からだらんと力無く垂れ下がる俺の左右の腕。
「う…?」
続いて両足の力も抜けていく。
立って居られない。
俺はなす術も無く両膝を着いた。
「はあ…はあ…
こ、これは一体…?」
「ケイガお兄様、
これはわたくしが行使した光属性の身体能力低下魔法、
『減衰光』の効果ですわ」
全身から力が抜けた俺に言葉を掛けるポーラ姫。
「…身体能力低下魔法だって?
でもポーラ、
君は俺に向かって魔法を唱えた様子は無かった筈…?
魔法は、魔法の言葉である『言霊』を
対象の相手にも聞こえる様にはっきりと口にしなければ、
その相手に魔法の効果は発現しない筈…?
それがこの異世界エゾン・レイギスの魔法の法則じゃ無いのか?」
「お兄様、確かに自分以外の他者へ魔法を行使する際は
明確に相手の耳に聞こえる様に『言霊』を唱える必要がありますわ。
でも相手に聞こえないぐらいの小声でも”世界の事象”には干渉できます。
つまり魔法自体は効果を発現するのです。
威力はとても小さくなりますけれど。
でも一度の威力は小さくても重ね掛けすれば…どうでしょうか?」
「そうか…
君は俺の隙を見ながら、
小声で身体能力低下魔法を何度も掛けていたということか…
つまり俺は時間をかけて魔法の効果を積み重ねられて…
たった今、魔法の効果が一気に表れて全身から力が抜けた…
そういう訳なんだな?」
「その通りですわケイガお兄様。
ちなみにわたくしが掛けた『減衰光』の魔法は計7回です。
そしてお兄様が今の着られている衣服は
魔法耐性が付加された戦闘服では無く普通の衣服。
お兄様自身にも魔法の耐性は在りますけれど、
この様な方法で身体能力低下魔法を掛けられれば…
身体を動けなくされてしまう事は
避けようが無いということです。
お兄様はお強いですわ。
でも…魔法による戦いを侮っているふしがあります。
攻撃魔法による正面からの戦い以外にも、
こういった隠密の魔法行使で相手に勝利するという搦め手もありますの。
そして戦場では無く、
気を抜かれてリラックスされた自室で、
親しき者に偽装した敵が
この様な搦め手で襲い掛かって来れば、
ひとたまりもありませんわ。
わたくしは王族として生まれた経験から、
お兄様がこの様な魔法の搦め手で大変な目に合わないか危惧しておりました。
といっても言葉にして説明するよりも実際に見て、
経験してもらうのがわかりやすいかと思いましたの。
そこで大変失礼と承知で…
この様にわたくしが実践させて頂きましたわ」
ポーラ姫はそう話を締めると俺の胸に手のひらを添えた。
「ケイガお兄様。
この度の戦いを実践とするなら…
これで王手、
つまりわたくしの勝ちという事になりますでしょうか?」
「ああ…ポーラ、完全に君の勝ちだ。
魔法戦闘にはこういった手もあるんだな…
ありがとう、とても良い経験になったよ」
ポーラ姫は生まれながらの王族であり聖王女を務める此の国の要人。
庶民である俺には想像することも出来ない、
無数の殺意にこれまで晒されて来たのであろう。
その経験から…こういった方法での襲撃もあり得るのだと、
彼女は身をもって俺に教えてくれたのである。
…良かった。
つまり欲望全力全開で
スケスケネグリジェ姿で
俺に本気で夜這いを掛けて来るお姫様なんていなかったんだ。
「それではお兄様。
勝者には褒美を、
それがセカイの理ですわ。
ですから、わたくしもご褒美を下さいませ…」
ポーラ姫はそう述べると、
俺の頬に口付けをした。
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