秘伝賜ります

紫南

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第七章 秘伝と任されたもの

447 紳士です

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大歓声を浴びて帰ってきた優希に、エルラントがゆっくりと近づいて行く。

その動きがまた優雅で誰もが見惚れるものだ。優希も気付く。

「あれ? エルさま? わあっ、エルさまきてくれたの!? こんにちは!」
「やあ。お姫様。君やお兄さんの勇姿が見たくて来てしまったよ。おめでとう。これはまた一つ未来への輝きを見せたお姫様へと……夢へ一歩近付いた君たちへ」

ゆっくりと跪いて片膝をつき、優希には一本の薔薇を。そして、同じ色の十本の薔薇の花束を衣装を作った代表の子に差し出す。それらは、一本ずつ包装されていた。十人のメンバーにということだろう。

茫然と受け取る代表の子とは別に、優希は飛び跳ねて喜んでいる。

「うわあっ! 青っ。青いバラっ! すごい! きれい!!」
「ふふふっ。少し前までは青い薔薇は不可能を意味したのだけれどね。現代ではこうして青い薔薇もできるようになった。だから、花言葉も変わっていてね。『奇跡』『夢叶う』『神の祝福』というものになっている。夢や目標を達成した君たちにぴったりだと思ってね。一輪ずつ持っていってくれ。そして、お姫様にはもう一つの『喝采』という意味をこめて」
「ありがとう!」
「「「「「っ、ううっ、うわぁぁぁんっ」」」」」

大号泣が始まった。見ていた者達まで泣いている。

「やべえ……エルさんやべぇ……」
「……かっこいい……これが大人の男性……っ、紳士……っ」

自然にこれだけのことをやって見せるエルラントに、俊哉と二葉は戦慄していた。自分には無理だと。

そんな中でも結果発表は続く。

『いよいよ! 大人部門、結果発表です!!』

ここよりも盛り上がる外の声のお陰で、大泣きする声も聞こえてはいない。

優希が一生懸命に宥め、エルラントが改めてメンバーに一本ずつ薔薇を渡すのを横目に、発表がなされた。

『第三位、1-3! 第二位! 3-3! そして! 第一位! 2-3!! 2-3が! 全部門で一位を獲得!! これは満場一致で決定となりました! おめでとうございます!!』
「「「「「やったぁぁぁぁっ!!」」」」」
「お兄さん!! ありがとう!!」
「行こうっ! 行こう! お兄さん!!」
「あ、ああ」

高耶は熱気に驚いていた。背中を押されていく。舞台に出る手前で、俊哉が声をかけた。

「高耶! 御当主モードでいいから!」
「え……それはどんな……」

戸惑ったが、舞台に出てしまえば変わる。堂々としていなくては、努力した学生達が恥をかくと思ったのだ。服を作った学生達を讃えるように彼らと前に出ていく。

「「「「「っ……」」」」」

優しく微笑み、よく頑張ったなと代表三人の肩を叩き前へと促す。その表情に代表の三人は感動し、観客達は射抜かれていた。

「……これぞ、御当主様モードだぜ……」
「すごい……っ」

静まり返ったのは一瞬。そして、三位までの者達が中央に集まった時には、大歓声が上がった。

「「「「「うぉぉぉぉぉっ!!!」」」」」
「「「「「おめでとぉぉぉぉっ!!」」」」

止まらない拍手が鳴り響き、体育館の外まで溢れ出る。今日一番の歓声だった。満場一致というのは間違いないようだ。

高耶達がゆっくりと戻っていくと、全てのクラスのモデルが並んでいた。空いている中央の所に入る。

『以上で、ファッションショーを終わります! 皆さん、もう一度拍手を!!』
「「「「「凄かったぞー!!」」」」」
「「「「「よくやった!!」」」」」
「「「「「かっこよかった!!」」」」」

感想が飛び交う中、誰もが楽しそうに手を振って舞台を降りた。

その舞台袖でまたも待っていたのは、一本の白い薔薇を持ったエルラント。

「さあ、これは君に。深い尊敬を」
「……ありがとうございます」
「と、思っていたんだけどね。こちらにしよう。モデルも高耶君には充分出来るようだからね」

そう言って手渡そうとした一本の白い薔薇は、まるで手品のように、十一本の一本ずつ小分けにされた白い薔薇の花束に変わり、更にゆっくりと白から色を変えた。

「「「「「えっ!?」」」」」
「うそ……あれ……レインボーローズ!」
「すごいっ……素敵……っ」

そしてエルラントの手から高耶がしっかりとそれを受け取った時には間違い様のないはっきりとしたレインボーローズに変わっていた。

「尊敬を込めて……『無限の可能性』を見せてくれた君に」
「……ありがとうございます」
「「「「「きゃぁぁぁっ」」」」」
「「「「「ステキっ!!」」」」」

感動で座り込む女子が続出した。そこで舞台から紹介する声が聞こえた。

『今回の作品は本当にどれも秀逸です。これをこのショーだけで終わらせるのは惜しいという話が上がりました。そこで! 期間限定で、枚数も限定してではありますが、この学校から車で十分の場所にありますショッピングモールに入っていますエルートにて販売することが決定いたしました!』
「「「「「おぉぉぉぉぉっ」」」」」

エルートは、親子コーデにも力を入れる服や雑貨を売る店だ。モール型の店には大体入っている。かなり有名な店だった。

『エルートを経営する代表をお招きいたしました! エルラント・ビズラートさんです!』
「え……」

このために来たのかと高耶が目を丸くしていれば、エルラントはニコリと微笑み、優雅に舞台に出て行った。

当然のように、歓声というか、女性達の嬉しそうな悲鳴が上がっていた。






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読んでくださりありがとうございます◎






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