秘伝賜ります

紫南

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第三章 秘伝の弟子

130 遊びましょ♪

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驚き過ぎて昼をとっくに回っているのに、空腹であると今更ながらに気付いた一同は食事を軽く取ることになった。

あっという間に用意された食事を食べながら瑶迦が高耶に怒られていた理由を聞いて、皆が困惑していた。

「瑶姫様は思い切ったことをされますね……」

源龍でもあり得ないと思う。呑気な俊哉まで、それはないと呆れていた。

「アレっすよね? ふとした時に『あれ? 一つ足りなくない……?』ってなるんスよね? それマズイっすわ……」

用意していた道具が一つ足りなかったり、人数を数えたら一人多かったりするのだ。怖いに決まっている。

「それで問題ないなんてこと……すごいですね。確かに見つからなければ大丈夫ですし?」

統二は素直に師である瑶迦の言葉を受け取ったらしい。

「騒がれなければ問題ないのですわっ。それに、万が一にもお客様が不安に思ったり、ホテルに悪い噂が流れると困りますもの。おかしいと思っても、従業員の方は喋りませんわ!」
「それ、確信犯のセリフ……」

俊哉のツッコミに大人たちは頷いていた。

「そんな……でも、これも時代ですわね……昔の旅館なら、守り神様や座敷わらしの仕業と思って見なかった振り、知らない振りをしてくださるの。だから問題にはなりませんでしたのよ」

寂しそうに言われては同意するしかない。特に、大人たちは昔というのを美化して振り返る生き物だ。

とはいえ、高耶は騙されない。

「今回もそれを誤魔化すために、従業員の人数が多い旅館に行きましたね? 海外の方はまだ妖精とか神を信じているからとその辺狙いましたよね?」
「防犯カメラとかに映らなければこっちのものですわ!」

瑶迦は時代遅れではないし、過去にしがみつく人でもない。最新技術を知って、それを利用できる人だ。セキュリティがしっかりしているからと注意力の落ちた現代人達の隙を突くなどお手の物だ。

「それはちょっと同意しますけど、本当に気を付けてください。呼び出されるの俺なので」

過去に前例があるので、これ系で何かあれば瑶迦かなと気付く者は多い。それは海外であってもそうだ。そもそも、式神を研修に出すような変わった人は瑶迦ぐらいだ。

「それはいけないわ! 伝達してちょうだい! 高耶さんに迷惑をかけないように、細心の注意をと」
《承知しました》
「……」

そういう問題ではないが、まあ見つからなければいいかと思う高耶は立派にこちら側だった。

◆  ◆  ◆

午後は思い思いに過ごす。

「まさか、屋上にプールがあるなんて!」
「水着も可愛いわね~」
「……」

テンション高めのお姉さん達が景色を楽しみながら温めの水に浸かっていた。

「ねえねえ、高耶君! ボール遊びしましょう!」
「うわあ、高耶くんってやっぱりいい体してるわね~」
「ホントだ! ちょっと触らせてよ!」
「私も~」
「え、いや……あの……」

そう。今この屋上プールには、高耶と美奈深、由佳理しかいなかった。

「高耶君ってさあ、こういうプール来たことないでしょ」

美奈深が指摘する。

「そうですね……競技用のプールにしか行ったことがないですね。仕事関係で監視員はやりましたけど」
「へえ~。それは純粋なバイトとかじゃないの?」
「ええ……」
「なら、あれね? なんか水の中にいたのね~」
「あっ、それをお祓いかあ。大変ねぇ」
「……正解です……」

高耶は怖がらせるかと思い、気を使ってあえて言わなかったのだが、二人は気にしないらしい。

「高耶君ってホント、苦労してきたのね」
「ねえねえ、なら遊びましょ♪ お姉さん達が、遊び方を教えてあげる~」
「そうそう。子ども達が来たらごちゃごちゃしちゃうもの。今の内よ!」
「先ずは三人で楽しみましょ~♪」
「……はい……」

俊哉ならば羨ましがりそうだ。とはいえ、この二人もここへは楽しむために来ているのだ。たまには子ども無しで遊びたいだろう。

「ほ~ら、行くわよ~」
「高耶君早くっ」
「分かりました。ボール、外に行かないようにしときます」
「「さっすが!」」

結界でボールが外に落ちないようにガードを作る高耶に、二人は楽しそうに笑っていた。

**********
読んでくださりありがとうございます◎
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