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第六章 秘伝と知己の集い
329 誤解は解けたらしい
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高耶は、こんな説明を同級生にするとは思わなかった。
あくまでも高耶にとっては、学校の事は、学業の事だけの関係と思っていた。
当主となってからは特に、学校の外に出れば、付き合うのは、家業の関係者ばかり。
家業の事については、母親もノータッチだったし、完全に学校での付き合いと別にもなる。
「うちの一族の場合は、当主になれる技術を継承できるかどうかが重要で……だから、分家筋だろうと、それが可能な者が当主になるんだ。スープ冷めるぞ」
高耶は、運ばれてきたスープを味わいながらも説明する。ジャガイモのスープのようだ。滑らかな舌触りになっており、とても美味しかったため、食べるのを忘れて聞き入りかけていた満達に、早く食べろと声をかけておく。
「っ、お、おう。え? それだと、親父さんの後継ぎってわけじゃないのか……ん? じゃあ、本家の人を差し置いてってこと!?」
「すげえじゃんっ。その素質? を小四の時に!?」
「……それ、大変だったろ……」
満と嶺は、すごいと素直に興奮気味に話すが、槇は気の毒そうに色々察したようだ。
「ああ……本家からの当たりが強くてな。それも、三代くらい当主になれるのが居なくて、本家で当主代理を立ててたから、色々奪ったとか、何とか、最近まで煩く言われた」
「「うわ~……」」
「……最近までって……親父さん居なくなってからもずっとか……」
槇はあまり普段から喋らないし、ムッとしていることが多いが、こうしたことを色々と考えているのだろう。かなり共感してくれていた。
「まあな。俺は……父さんみたいに、道場の一つでも継げれば良かっただけだから、迷惑にも感じたけど、こればっかりは仕方ない。別に俺が決めた訳じゃないし、他に理解者も居たから、まあ何とかできた」
「……お前が、周りとあんま絡まなかったのは、そういうの全部抱えてたからか……それなのに俺ら、なんか偉そうにしてるとか、無視してるとか言って……」
槇達には、一人だけ雰囲気が違うし、カッコつけたやつということで、気に入らなかった。
それで目立ちたいだけの奴だと思い込んで、仲間外れにしたりしていたのだ。
それを思い出し、落ち込んだらしい。
「いや……俺もあの頃は必死だったし。母さんは全くこっちの業界には関わらないというか、知らない人だったから、巻き込まないようにしないととか……確かに、あの頃は色々抱えてて周りが見えてなかったかもな。付き合い悪いって思ってたんだろ?」
「っ、そ、そうだけど……そんな事情があると知ってたら……」
とは口にしても、槇も知ってもどうだっただろうと考える。これには高耶も苦笑いを浮かべた。
「さすがに身内の恥みたいなもんだし、話せないだろ。本家と喧嘩とか、それも子ども一人を親戚中で叩こうとしてるとか……外聞悪すぎる。説明も面倒だし」
「……確かに……というか、じゃあ今は?」
「もうほぼ解決した」
「それは良かった……」
「ああ」
本気で槇達が良かったと思ってくれているのが分かり、高耶は微笑む。
「っ!」
「うわっ」
「イケメンやべえわ……っ」
「ん?」
良い顔だったらしい。不意に笑ったのはよくなかったようだ。女性達の小さな悲鳴のような声もそこここで聞こえた。
これは俊哉にも止めようがないので仕方がない。
ここで、冷静な彰彦が余計な事を言った。
「親戚同士で裁判とかにならなくて良かったな」
「ああ……そういうこともあり得たのか……力技だったから、訴えられてたかもな……」
「何をしたのだ?」
「ちょい周りがキレて家潰した。あと説教?」
「物理か」
「ああ。家は半分以上が完全に倒壊したから、いくつか今まだ建ててる」
「そういや……請求書回ってきてないな……」
「「「「「……」」」」」
どういう会話だと、周りが少しばかり静かになる。そこへ、エリーゼが給仕のためにやって来た。そして、会話に口を挟む。
《それらの請求書でしたら心配要りません。今までの迷惑料も込みだと、本家の者達でどうにかすることになっております》
「そうだったのか……」
《はい。借金してでも払えと、他の首領達と契約書もきちんと交わしておりました》
「……そうか……」
焔泉や蓮次郎達との契約書など、絶対に破れないだろう。少し気の毒になった高耶だ。
「あ、あの……蔦枝……くん?」
「ん?」
それは、話を聞いていたらしい女性達だった。視線は、高耶とエリーゼへと交互に向かっている。
「そのメイドさん……と、どういう関係?」
「……エリーゼはうちの……メイドだ」
《お手伝いさせていただいております。エリーゼです》
「「「「「…………ええっ!!」」」」」
これが一番ショッキングだったらしい。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
あくまでも高耶にとっては、学校の事は、学業の事だけの関係と思っていた。
当主となってからは特に、学校の外に出れば、付き合うのは、家業の関係者ばかり。
家業の事については、母親もノータッチだったし、完全に学校での付き合いと別にもなる。
「うちの一族の場合は、当主になれる技術を継承できるかどうかが重要で……だから、分家筋だろうと、それが可能な者が当主になるんだ。スープ冷めるぞ」
高耶は、運ばれてきたスープを味わいながらも説明する。ジャガイモのスープのようだ。滑らかな舌触りになっており、とても美味しかったため、食べるのを忘れて聞き入りかけていた満達に、早く食べろと声をかけておく。
「っ、お、おう。え? それだと、親父さんの後継ぎってわけじゃないのか……ん? じゃあ、本家の人を差し置いてってこと!?」
「すげえじゃんっ。その素質? を小四の時に!?」
「……それ、大変だったろ……」
満と嶺は、すごいと素直に興奮気味に話すが、槇は気の毒そうに色々察したようだ。
「ああ……本家からの当たりが強くてな。それも、三代くらい当主になれるのが居なくて、本家で当主代理を立ててたから、色々奪ったとか、何とか、最近まで煩く言われた」
「「うわ~……」」
「……最近までって……親父さん居なくなってからもずっとか……」
槇はあまり普段から喋らないし、ムッとしていることが多いが、こうしたことを色々と考えているのだろう。かなり共感してくれていた。
「まあな。俺は……父さんみたいに、道場の一つでも継げれば良かっただけだから、迷惑にも感じたけど、こればっかりは仕方ない。別に俺が決めた訳じゃないし、他に理解者も居たから、まあ何とかできた」
「……お前が、周りとあんま絡まなかったのは、そういうの全部抱えてたからか……それなのに俺ら、なんか偉そうにしてるとか、無視してるとか言って……」
槇達には、一人だけ雰囲気が違うし、カッコつけたやつということで、気に入らなかった。
それで目立ちたいだけの奴だと思い込んで、仲間外れにしたりしていたのだ。
それを思い出し、落ち込んだらしい。
「いや……俺もあの頃は必死だったし。母さんは全くこっちの業界には関わらないというか、知らない人だったから、巻き込まないようにしないととか……確かに、あの頃は色々抱えてて周りが見えてなかったかもな。付き合い悪いって思ってたんだろ?」
「っ、そ、そうだけど……そんな事情があると知ってたら……」
とは口にしても、槇も知ってもどうだっただろうと考える。これには高耶も苦笑いを浮かべた。
「さすがに身内の恥みたいなもんだし、話せないだろ。本家と喧嘩とか、それも子ども一人を親戚中で叩こうとしてるとか……外聞悪すぎる。説明も面倒だし」
「……確かに……というか、じゃあ今は?」
「もうほぼ解決した」
「それは良かった……」
「ああ」
本気で槇達が良かったと思ってくれているのが分かり、高耶は微笑む。
「っ!」
「うわっ」
「イケメンやべえわ……っ」
「ん?」
良い顔だったらしい。不意に笑ったのはよくなかったようだ。女性達の小さな悲鳴のような声もそこここで聞こえた。
これは俊哉にも止めようがないので仕方がない。
ここで、冷静な彰彦が余計な事を言った。
「親戚同士で裁判とかにならなくて良かったな」
「ああ……そういうこともあり得たのか……力技だったから、訴えられてたかもな……」
「何をしたのだ?」
「ちょい周りがキレて家潰した。あと説教?」
「物理か」
「ああ。家は半分以上が完全に倒壊したから、いくつか今まだ建ててる」
「そういや……請求書回ってきてないな……」
「「「「「……」」」」」
どういう会話だと、周りが少しばかり静かになる。そこへ、エリーゼが給仕のためにやって来た。そして、会話に口を挟む。
《それらの請求書でしたら心配要りません。今までの迷惑料も込みだと、本家の者達でどうにかすることになっております》
「そうだったのか……」
《はい。借金してでも払えと、他の首領達と契約書もきちんと交わしておりました》
「……そうか……」
焔泉や蓮次郎達との契約書など、絶対に破れないだろう。少し気の毒になった高耶だ。
「あ、あの……蔦枝……くん?」
「ん?」
それは、話を聞いていたらしい女性達だった。視線は、高耶とエリーゼへと交互に向かっている。
「そのメイドさん……と、どういう関係?」
「……エリーゼはうちの……メイドだ」
《お手伝いさせていただいております。エリーゼです》
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これが一番ショッキングだったらしい。
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