337 / 463
第六章 秘伝と知己の集い
337 若い者としての役目です
しおりを挟む
とりあえず温泉に入り、食事を摂る。
全員、食べ終わると、ほっとしていた。
「はあ……やっと落ち着きましたね……」
伊調がゆっくりとお茶を飲みながら穏やかな表情をしていた。
「沁みるよねえ……自覚なかったけど、かなり体が冷えてたみたいで……うん……眠くなってきたかも……」
蓮次郎もほかほかとした顔でお茶を啜っていた。
「ここの温泉はええねえっ。最高やったわっ」
「本当にっ。お肌がスベスベですよっ」
「徹夜したのに、スッキリしましたっ」
テンションが違うのは、焔泉を中心とした女性達だ。
そんな中、高耶は武雄にお願いしていた。
「武雄、この辺の空いてる部屋、全部使っていいか? 寝るところを確保したいんだ」
高耶は徹夜組の中で一番若い。蓮次郎や伊調達を徹夜させたということで、罪悪感があった。彼らは実年齢より若く見えるが、七十を過ぎていたりする。
そんな人たちを徹夜させたのだ。もちろん、夜に活動することには慣れている。しかし、今回は特にハードだった。
一晩中、神気に当たっていたようなものなのだ。かなり精神的にも追い詰められていた。よって、早く休ませたい。
「いいよ! すぐ用意するよ」
「助かる。離れの方は、こっちで勝手に布団を敷くから」
「えっ。いいの?」
「ああ。エリーゼ達に任せる。エリーゼ、天柳、綺翔と……清晶もいいか?」
珀豪は、そろそろ朝食の時間のため、調理場で忙しくしているはずだ。
《お任せください。ご主人様》
《ふふっ。修学旅行みたいになりますわね》
《いっぱい敷く》
《余ってるの他の所にあるなら運ぶよ。ぎっちり敷き詰めてやる》
男性は全部、この離れで雑魚寝ということで、詰め込むことに決まった。
高耶も他の空いている部屋から布団を運ぶのを手伝う。武雄が案内だ。
「なあ、高耶。偉い人も居るんじゃないの? 俊哉が組織をまとめるまとめ役が結構居たって言ってたんだけど……部屋、この辺は空いてるし、こっちに来てもらってもいいんだけど……」
離れから反対側の方は旧館らしく、同級生達にも解放していない。そこから布団も運んでいる。
「まあ、ちょっと倉庫代わりになってる部屋もあるけど、一応はきちんと掃除もしてあるし……」
「いや。固まっていた方が落ち着くんだ。ちょっと強敵の相手をしてたからな」
「……えっと……因みにどんな?」
「神だ」
「……ん?」
「神様だ。物凄い大集合だったんだぞ?」
「……へ……へえ……」
まあ信じられないだろうなと思いながら、布団を運んだ。
そして、三十分後には、全員が眠っていた。
それを見届けて、高耶もようやく力を抜く。
「ふう……」
元ともう一人の刑事は、橘の血を引く刑事の一人を置いて、犯人達を連行している。その残された橘の者は、今や死んだように眠っていた。
伊調達神楽部隊の者も、力尽きて眠っている。一晩中でも演奏し、舞を踊れる人たちが、本気で疲れたと言っていたのだから相当だ。
布団に入って、数分で完全に眠りに落ちていった。
「神気……やばかったもんな……」
《主様がかなり調整しておられましたけどね》
「まあ、可能な限りな……」
密かに、高耶は神気を上空に流していた。土地に影響を出してほしくないというのがあったので、そこは気を付けていたのだ。
高耶が欠伸をすると、エリーゼが申し出る。
《ご主人様。私がここを見ております。お部屋でお休みください》
天柳達、高耶の式は、存在感があり過ぎる。それこそ、神気も纏っているため、ただでさえ、神気を浴び続けたことで過敏になっている者達にとっては、同じ部屋に居るだけでも、ストレスを与えるだろう。
だが、屋敷精霊であるエリーゼならば、守護する者達として傍に居ることで威圧感を与えてたりしない。
「ああ……頼む」
《お任せください》
高耶は俊哉達が居る部屋へと戻った。
迎えてくれた満、嶺、槇、彰彦、俊哉は、高耶を労ってくれた。
「高耶、お疲れ~」
「お疲れ~」
「おう….」
そうして労われ、高耶は笑みを浮かべた。
高耶は二時間ほど眠り、次に目を覚ました時、槇が真面目な顔で告げた。
それは、彼の妹のことに対しての話だった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
全員、食べ終わると、ほっとしていた。
「はあ……やっと落ち着きましたね……」
伊調がゆっくりとお茶を飲みながら穏やかな表情をしていた。
「沁みるよねえ……自覚なかったけど、かなり体が冷えてたみたいで……うん……眠くなってきたかも……」
蓮次郎もほかほかとした顔でお茶を啜っていた。
「ここの温泉はええねえっ。最高やったわっ」
「本当にっ。お肌がスベスベですよっ」
「徹夜したのに、スッキリしましたっ」
テンションが違うのは、焔泉を中心とした女性達だ。
そんな中、高耶は武雄にお願いしていた。
「武雄、この辺の空いてる部屋、全部使っていいか? 寝るところを確保したいんだ」
高耶は徹夜組の中で一番若い。蓮次郎や伊調達を徹夜させたということで、罪悪感があった。彼らは実年齢より若く見えるが、七十を過ぎていたりする。
そんな人たちを徹夜させたのだ。もちろん、夜に活動することには慣れている。しかし、今回は特にハードだった。
一晩中、神気に当たっていたようなものなのだ。かなり精神的にも追い詰められていた。よって、早く休ませたい。
「いいよ! すぐ用意するよ」
「助かる。離れの方は、こっちで勝手に布団を敷くから」
「えっ。いいの?」
「ああ。エリーゼ達に任せる。エリーゼ、天柳、綺翔と……清晶もいいか?」
珀豪は、そろそろ朝食の時間のため、調理場で忙しくしているはずだ。
《お任せください。ご主人様》
《ふふっ。修学旅行みたいになりますわね》
《いっぱい敷く》
《余ってるの他の所にあるなら運ぶよ。ぎっちり敷き詰めてやる》
男性は全部、この離れで雑魚寝ということで、詰め込むことに決まった。
高耶も他の空いている部屋から布団を運ぶのを手伝う。武雄が案内だ。
「なあ、高耶。偉い人も居るんじゃないの? 俊哉が組織をまとめるまとめ役が結構居たって言ってたんだけど……部屋、この辺は空いてるし、こっちに来てもらってもいいんだけど……」
離れから反対側の方は旧館らしく、同級生達にも解放していない。そこから布団も運んでいる。
「まあ、ちょっと倉庫代わりになってる部屋もあるけど、一応はきちんと掃除もしてあるし……」
「いや。固まっていた方が落ち着くんだ。ちょっと強敵の相手をしてたからな」
「……えっと……因みにどんな?」
「神だ」
「……ん?」
「神様だ。物凄い大集合だったんだぞ?」
「……へ……へえ……」
まあ信じられないだろうなと思いながら、布団を運んだ。
そして、三十分後には、全員が眠っていた。
それを見届けて、高耶もようやく力を抜く。
「ふう……」
元ともう一人の刑事は、橘の血を引く刑事の一人を置いて、犯人達を連行している。その残された橘の者は、今や死んだように眠っていた。
伊調達神楽部隊の者も、力尽きて眠っている。一晩中でも演奏し、舞を踊れる人たちが、本気で疲れたと言っていたのだから相当だ。
布団に入って、数分で完全に眠りに落ちていった。
「神気……やばかったもんな……」
《主様がかなり調整しておられましたけどね》
「まあ、可能な限りな……」
密かに、高耶は神気を上空に流していた。土地に影響を出してほしくないというのがあったので、そこは気を付けていたのだ。
高耶が欠伸をすると、エリーゼが申し出る。
《ご主人様。私がここを見ております。お部屋でお休みください》
天柳達、高耶の式は、存在感があり過ぎる。それこそ、神気も纏っているため、ただでさえ、神気を浴び続けたことで過敏になっている者達にとっては、同じ部屋に居るだけでも、ストレスを与えるだろう。
だが、屋敷精霊であるエリーゼならば、守護する者達として傍に居ることで威圧感を与えてたりしない。
「ああ……頼む」
《お任せください》
高耶は俊哉達が居る部屋へと戻った。
迎えてくれた満、嶺、槇、彰彦、俊哉は、高耶を労ってくれた。
「高耶、お疲れ~」
「お疲れ~」
「おう….」
そうして労われ、高耶は笑みを浮かべた。
高耶は二時間ほど眠り、次に目を覚ました時、槇が真面目な顔で告げた。
それは、彼の妹のことに対しての話だった。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
253
あなたにおすすめの小説
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました
小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。
しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!?
助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、
「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。
幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。
ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく!
ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
解雇されたけど実は優秀だったという、よくあるお話。
シグマ
ファンタジー
突如、所属している冒険者パーティー[ゴバスト]を解雇されたサポーターのマルコ。しかし普通のサポート職以上の働きをしていたマルコが離脱した後のパーティーは凋落の一途を辿る。そしてその影響はギルドにまでおよび……
いわゆる追放物の短編作品です。
起承転結にまとめることを意識しましたが、上手く『ざまぁ』出来たか分かりません。どちらかと言えば、『覆水盆に返らず』の方がしっくりくるかも……
サクッと読んで頂ければ幸いです。
※思っていた以上の方に読んで頂けたので、感謝を込めて当初の予定を越える文量で後日談を追記しました。ただ大団円で終わってますので、『ざまぁ』を求めている人は見ない方が良いかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる