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第六章 終わりと始まり
066 この後の計画
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ミリアは、理修の怒りはもっともだと思った。
ミリア自身、魔王であるウィルバートに出会い、その人となりを知った今、自分達は何に怯えていたのかが不思議だ。これが、この国の問題なのだろうとミリアは理解していた。
「リズ様……リズ様の仰る通りです。わたくし達は、変わらねばなりません」
ミリアの言葉に、民衆達は呆然と静まり返る。
「わたくし達はなに一つ、自身の目で見て確かめ、理解しようとしませんでした。魔族の方を知ろうともせず、一方的に敵視し、歩み寄る事をしなかった。それは、恥ずべき事です」
そう言ってミリアが目を向けた先には、今し方までしていたはずの戦闘の音が聞こえなくなった森があった。
民衆達がミリアに釣られるように目を向けた時、その森から多くの飛竜が飛び立っていった。
「終わったようだな」
「ええ……」
ジェスラートが腕を組み、満足気な笑みを浮べながらそれらを見送って呟いた。
理修も国へと帰っていく兵達を見送って同意する。そして、飛び立っていく飛竜の中に、一際大きく、鮮やかな青いドラゴンが空高く舞い上がるのを見つけた。
それは、ウィルバートの相棒のドラゴン。その背には、間違いなく彼が乗っているだろう。するとその時、理修が持っていた通信具が反応する。
「ウィル」
『あぁ、終わった』
聞こえて来た声に、理修は少しだけ表情を緩ませる。
『ザサス殿が、今からそっちへ行かれる。掃除を引き受けてくださるそうだ。その国はまだ落ち着かないだろうから、私はご両親達を連れて城で待っていよう』
「うん……」
いくら家の中が安全だと言っても、いつまでも家族を森に放置する訳にもいかない。おかしな事になってしまったが、ウィルバートが側に居てくれるならば安心だ。
通信が終わるのを見計らって、ジェスラートが理修に声をかけた。
「ご両親も無事か?」
「はい。ウィルが城に連れて行くそうです。司、マスターが今からここに来るから、そうしたら家を回収して、私達もサンドリュークへ行こう」
「ん?あ、あぁ」
最初から理修の中では、この国の事などどうでも良いのだ。例え聖女が熱く語っていても、民衆達が気持ちを新たにしようとしていたとしても関係ない。
むしろ、さっさとこの場を放置してウィルバートを追いかけたかった。
「私もお邪魔しようか。良い酒がありそうだ」
そんな理修の思いを察してか、ジェスラートが愉快そうに笑った。
「お酒ですか……確かにありますが……」
「おっ、お前が言うなら相当良いのがあるな。よしっ、なら行くぞ」
こんな口実を付けてはいるが、ジェスラートは理修とその家族を気にかけているのだ。しかし、そんな素振りを素直に見せる事はない。見た目や、普段の様子からは分かり辛いが、情の深い人なのだ。それは理修も分かっている。
だから、渋々といったように理修も答えてはいても、姉のように慕っているジェスラートに感謝している。理修にとってジェスラートは、血の繋がった家族よりも近い身内の様な存在なのだ。
ジェスラートを連れて行く事で、家族やウィルバートがどんな反応をするだろうかと苦笑する理修をよそに、ジェスラートはエヴィスタに乗せてけと言って、既に飛び乗ろうとしていた。
そこで、ふと地球の事が気になった。
「ジェス姐……仕事は……」
「問題ない。全部押し付けてきたからな」
「……それは、問題でしょう……」
間違いなく、押し付けてきた相手とはオルバルトの事だろう。理修が危機的状況にあるという事からOKを出したオルバルトだが、まさかジェスラートが問題を解決してそのまま宴会に突入した為に帰らないという事態は想定していないはずだ。
これにより、ジェスラートが地球に戻るまでオルバルトは気を揉む事になる。
理修は、オルバルトに常に心配を掛けているという自覚がなく、解決した事をすぐに報告する必要性を感じていなかった。
そして、ジェスラートはオルバルトが今も気を揉んでいる事を予想してはいたが、彼を困らせる事に楽しみを見出していた。
二人のそれぞれの理由により、オルバルトは眠る事も出来ずに過ごす事になるのだ。
**********
読んでくださりありがとうございます◎
ミリア自身、魔王であるウィルバートに出会い、その人となりを知った今、自分達は何に怯えていたのかが不思議だ。これが、この国の問題なのだろうとミリアは理解していた。
「リズ様……リズ様の仰る通りです。わたくし達は、変わらねばなりません」
ミリアの言葉に、民衆達は呆然と静まり返る。
「わたくし達はなに一つ、自身の目で見て確かめ、理解しようとしませんでした。魔族の方を知ろうともせず、一方的に敵視し、歩み寄る事をしなかった。それは、恥ずべき事です」
そう言ってミリアが目を向けた先には、今し方までしていたはずの戦闘の音が聞こえなくなった森があった。
民衆達がミリアに釣られるように目を向けた時、その森から多くの飛竜が飛び立っていった。
「終わったようだな」
「ええ……」
ジェスラートが腕を組み、満足気な笑みを浮べながらそれらを見送って呟いた。
理修も国へと帰っていく兵達を見送って同意する。そして、飛び立っていく飛竜の中に、一際大きく、鮮やかな青いドラゴンが空高く舞い上がるのを見つけた。
それは、ウィルバートの相棒のドラゴン。その背には、間違いなく彼が乗っているだろう。するとその時、理修が持っていた通信具が反応する。
「ウィル」
『あぁ、終わった』
聞こえて来た声に、理修は少しだけ表情を緩ませる。
『ザサス殿が、今からそっちへ行かれる。掃除を引き受けてくださるそうだ。その国はまだ落ち着かないだろうから、私はご両親達を連れて城で待っていよう』
「うん……」
いくら家の中が安全だと言っても、いつまでも家族を森に放置する訳にもいかない。おかしな事になってしまったが、ウィルバートが側に居てくれるならば安心だ。
通信が終わるのを見計らって、ジェスラートが理修に声をかけた。
「ご両親も無事か?」
「はい。ウィルが城に連れて行くそうです。司、マスターが今からここに来るから、そうしたら家を回収して、私達もサンドリュークへ行こう」
「ん?あ、あぁ」
最初から理修の中では、この国の事などどうでも良いのだ。例え聖女が熱く語っていても、民衆達が気持ちを新たにしようとしていたとしても関係ない。
むしろ、さっさとこの場を放置してウィルバートを追いかけたかった。
「私もお邪魔しようか。良い酒がありそうだ」
そんな理修の思いを察してか、ジェスラートが愉快そうに笑った。
「お酒ですか……確かにありますが……」
「おっ、お前が言うなら相当良いのがあるな。よしっ、なら行くぞ」
こんな口実を付けてはいるが、ジェスラートは理修とその家族を気にかけているのだ。しかし、そんな素振りを素直に見せる事はない。見た目や、普段の様子からは分かり辛いが、情の深い人なのだ。それは理修も分かっている。
だから、渋々といったように理修も答えてはいても、姉のように慕っているジェスラートに感謝している。理修にとってジェスラートは、血の繋がった家族よりも近い身内の様な存在なのだ。
ジェスラートを連れて行く事で、家族やウィルバートがどんな反応をするだろうかと苦笑する理修をよそに、ジェスラートはエヴィスタに乗せてけと言って、既に飛び乗ろうとしていた。
そこで、ふと地球の事が気になった。
「ジェス姐……仕事は……」
「問題ない。全部押し付けてきたからな」
「……それは、問題でしょう……」
間違いなく、押し付けてきた相手とはオルバルトの事だろう。理修が危機的状況にあるという事からOKを出したオルバルトだが、まさかジェスラートが問題を解決してそのまま宴会に突入した為に帰らないという事態は想定していないはずだ。
これにより、ジェスラートが地球に戻るまでオルバルトは気を揉む事になる。
理修は、オルバルトに常に心配を掛けているという自覚がなく、解決した事をすぐに報告する必要性を感じていなかった。
そして、ジェスラートはオルバルトが今も気を揉んでいる事を予想してはいたが、彼を困らせる事に楽しみを見出していた。
二人のそれぞれの理由により、オルバルトは眠る事も出来ずに過ごす事になるのだ。
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