君が僕を好きなことを知ってる

大天使ミコエル

文字の大きさ
24 / 101

24 君の声が聞きたい(4)

しおりを挟む
 水面が、ぴちゃん、と音を立てる。
 魚でも居るのだろうか。

「うん」
 礼央が、どこか残念そうな顔をしたので、また少し笑った。

 そんなにぶっ飛ばしたかったんだろうか。
 けっこう過激なゲームが好きみたいだし、攻撃的な性格は予想外だ。

 こんな穏やかな見た目してるくせに。

「……みかみくんは、やりたいの?」

「どうかな。正直、部活のメンバーなのは間違いないし、手伝いたい気はしてるんだ。けど、裏方だけってわけにはいかないみたいで」

「そ……っか」

 礼央が、何か考える。
 考えた末に、うん、と頷いた。

「やってみるのは、どうかな。手伝える事があったら、何か手伝うし」

「え」

 やってみるといいって、言われたのは初めてだった。

 ケントも優しいけれど、“やらなくてもいいように配慮する“という優しさだ。

 ……こんな風に、背中を押されたのは、初めてだった。

 確かに、こんな話を誰かにしたのも初めてだったけれど。

 実際、教室で話せないというほどではない。
 授業での発表程度では困ることもない。

 体育館レベルの舞台に立たないといけないことは、それほどない。
 ……それほどないように、賞を取るような事は避けてきた。
 生徒会に入るような事も。
 そんな舞台に立たないとならない習い事も、全て。

 苦手なんだと笑って言えば、いつだって、じゃあ無理しないでと返事が返ってきた。

 こんな風に、手伝ってくれると言ってくれる人がいるなんて。

「どうしても、やりたくないわけじゃないんだよね。やってみたい気持ちがあるなら……」

「ああ。……そうなんだ。チャレンジしたい気持ちは、あってさ。けど、迷惑かけるかもしれなくて」

「練習しよう。付き合うよ」

 礼央が笑う。

「…………うん」

 呆然としつつも、そう返事をする。

「僕は、みかみくんが司会とか、実況とか?してるところ見たいな」

「…………そか?」

 それは、好きな奴が活躍するのを見たいってこと?

「僕、みかみくんの声、好きだよ」

「…………」

 へ?

 亮太本人のことではないとはいえ、『好き』だなんて、まさかそんな直球な言葉を使うとは思わなかったから。
 少し驚いた。

 礼央は、亮太をじっと見ていた。

 ほのかに染まった頬。
 はにかんだ……それでいて真剣な顔。

 あまりにも隠しきれていない好意に、戸惑っていいのか、喜んでいいのかわからなくなる。

 少し驚いた顔のまま、じっと見てしまったものだから、礼央は慌てた顔をした。

「変な意味じゃなくて!」

 今の話をなかったことにするかのようにブンブンと手を振る。

 確かに下心があるような言葉じゃなくて、純粋に応援してくれているんだと思うけど。
 恋愛的な感情からのものじゃないっていう意味なら、それはちょっと……いや、かなり疑わしい言葉だった。

 けど、だからこそ信じられる。

 声なんか誰も気にして聞いてないだとか、そんな風に言われても、反論したくなる気持ちばかりでうまく飲み込めなかっただろう。だって、みんながみんな、そんな人間ばかりじゃないだろ。

 けど、礼央の言葉は。

『好き』だという純粋な言葉は、心にスッと入ってくるのがわかる。

 亮太は、ふっと笑う。

「うん。……ありがとう」



◇◇◇◇◇



意外とれおくんの方が行動的だったりするかもしれません。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?

cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき) ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。 「そうだ、バイトをしよう!」 一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。 教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった! なんで元カレがここにいるんだよ! 俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。 「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」 「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」 なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ! もう一度期待したら、また傷つく? あの時、俺たちが別れた本当の理由は──? 「そろそろ我慢の限界かも」

【完結】俺とあの人の青い春

月城雪華
BL
 高校一年の夏、龍冴(りょうが)は二つ上の先輩である椰一(やいち)と付き合った。  けれど、告白してくれたにしては制限があまりに多過ぎると思っていた。  ぼんやりとした不信感を抱いていたある日、見知らぬ相手と椰一がキスをしている場面を目撃してしまう。  けれど友人らと話しているうちに、心のどこかで『椰一はずっと前から裏切っていた』と理解していた。  それでも悲しさで熱い雫が溢れてきて、ひと気のない物陰に座り込んで泣いていると、ふと目の前に影が差す。 「大丈夫か?」  涙に濡れた瞳で見上げると、月曜日の朝──その数日前にも件の二人を見掛け、書籍を落としたのだがわざわざ教室まで届けてくれたのだ──にも会った、一学年上の大和(やまと)という男だった。

推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです

一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお) 同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。 時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。 僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。 本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。 だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。 なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。 「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」 ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。 僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。 その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。 悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。 え?葛城くんが目の前に!? どうしよう、人生最大のピンチだ!! ✤✤ 「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。 全年齢向けの作品となっています。 一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。 ✤✤

幼なじみの友達に突然キスされました

光野凜
BL
『素直になれない、幼なじみの恋』 平凡な俺、浅野蒼にはイケメンでクラスの人気者な幼なじみ、佐伯瑛斗がいる。 家族ぐるみの付き合いのせいか、瑛斗は昔から距離感がおかしくて、何かと蒼にベッタリ。けれど、蒼はそれを“ただの友情”だと思っていた。 ある日、初めての告白に浮かれていると、瑛斗から突然キスされて......!? 「蒼のことが好きだ」 「お前が他の奴と付き合うのは耐えられない」 友達だと思っていた関係が一気に変わり、戸惑いながらも瑛人の一途で甘い想いに少しずつ心が揺れていく。 しかし、素直になれない蒼は最後の一歩が踏み出せずにいた。 そんなとき、ふたりの関係に”あるトラブル”が訪れて......。 じれったくて、思わず応援したくなるふたりのピュアな青春ラブストーリー。 「......蒼も、俺のこと好きになってよ」 「好きだ。好きだよ、蒼」 「俺は、蒼さえいればいい」 どんどん甘く、独占欲を隠さなくなる瑛斗に、戸惑いながらも心が揺れていく。 【一途で独占欲強めな攻め × 不器用で素直になれない受け】

君と過ごした最後の一年、どの季節でも君の傍にいた

七瀬京
BL
廃校が決まった田舎の高校。 「うん。思いついたんだ。写真を撮って、アルバムを作ろう。消えちゃう校舎の思い出のアルバム作り!!」 悠真の提案で、廃校になる校舎のアルバムを作ることになった。 悠真の指名で、写真担当になった僕、成瀬陽翔。 カメラを構える僕の横で、彼は笑いながらペンを走らせる。 ページが増えるたび、距離も少しずつ近くなる。 僕の恋心を隠したまま――。 君とめくる、最後のページ。 それは、僕たちだけの一年間の物語。

唇を隠して,それでも君に恋したい。

初恋
BL
同性で親友の敦に恋をする主人公は,性別だけでなく,生まれながらの特殊な体質にも悩まされ,けれどその恋心はなくならない。 大きな弊害に様々な苦難を強いられながらも,たった1人に恋し続ける男の子のお話。

運命なんて知らない[完結]

ななな
BL
Ω×Ω ずっと2人だった。 起きるところから寝るところまで、小学校から大学まで何をするのにも2人だった。好きなものや趣味は流石に同じではなかったけど、ずっと一緒にこれからも過ごしていくんだと当たり前のように思っていた。そう思い続けるほどに君の隣は心地よかったんだ。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

処理中です...