君が僕を好きなことを知ってる

大天使ミコエル

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70 静かな夜(1)

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 夜。
 二人で部屋に入る。

 礼央が異様にキラキラとした目をあちらこちらに向けた。
 ……いや、そんな目で見ても面白いものなんて何も無いからな!?

 確かに礼央を部屋に入れるのは初めてだけれど。実際、亮太の部屋には何があるわけでもない。
 入れるのが嫌とかではなく、実際何もないし4人だと狭いから使わなかっただけだ。
 勉強に使う為に買ってもらったノートPCや、ゲームはそこそこ持っているけれどそれくらいで、他に趣味らしい趣味はない。
 本棚はあるけれどそれほど本を読む方ではない。
 デスクはあるけれど、それほど勉強熱心というわけでもないし。
 ベッドも普通のシングルサイズだ。

 まだ8時にもなってないし、流石にこのまま寝るのは無理があるだろう。
 早すぎる。

 ケントなら、床でもベッドでも好きなところでゴロゴロしているのが常なので、どこに転がしておいてもいいのだけれど。
 さて……、れおくんが相手だと、どうしよう。

 ベッド……は変な意味が付き纏わないだろうか。
 考えすぎか!?

 いや、それでもベッドは……。

 ベッドには出来るだけ近づかないようにしよう……。

 取りあえず、テーブルらしいテーブルはないけれど、座布団はあるのでそれを床に二つ置いた。

 そこへ、ちょこんと、礼央が座る。

 ……緊張し過ぎだろうか。
 いや、気を抜いちゃいけない。
 れおくんは、俺の事が好きなんだから……。

「あれ」
 と、礼央が声を上げ、ぴゃっと亮太が、飛び上がる。

「あれって、」

 あ……、ああ。部屋の話か。

 押し倒されるのかと思った!
 いや、れおくんに限ってそんな……無理矢理なことはないだろうけど!

 けど、気を抜き過ぎるのはどうかと思うんだ。

 相手は男だし。
 俺の事好きだし。
 ……俺も男だけど。

「ギター?」

「え?」

 くるりと振り向く。

 そうだった。
 小学生の時に買ってもらった、子供向けの少し小さめのアコースティックギター。

 もうずっと弾いていなくて、存在ももうすっかり忘れていた。

「そう。あれが、弾くのやめちゃったギター」

「触っていい?」

「うん」

 布製のギターケースからは、小さめのギターが出てきた。

「綺麗だね」

 礼央の、いかにも予想外だという言葉に、少し笑う。

「妹が時々持ち出してるみたいでさ。そんな弾けるわけじゃないと思うんだけど。弦の交換もしてくれてたのか」

「へぇ……」

 礼央が、見様見真似でギターを抱え、かき鳴らす。
 どうやらチューニングは合っていないらしく、変にビヨンビヨンした音がした。

「ははっ」
 二人で笑う。

 カバーの中に、チューニングの機械もある。
 取り出すと、なんとか使えるみたいだった。

「音、合わせるんだよ。緩んだりするとさ、音変わっちゃうから」

 そう言って、ギターを受け取った。
 久しぶりに触れるギター。
 ネックの収まり具合。
 弦の硬い感触。
 懐かしくて、少し、ドキドキする。



◇◇◇◇◇



二人で向かい合って黙々と何かしてるのいいよね。
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