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見舞い騒動
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ハウンドの馬車は通常の馬車より窓が大きくとられ、貴族街の美しい街並みが楽しめる。
しかし今はそんな気分ではなかった。
この馬車の目的地はフィンリー家……デリックのいる屋敷だ。
それでも外を眺めているのは、ハウンドが隣に座っているからである。
迎えに来てから到着するまで、無視し続けても熱心に褒め殺しにくるのでステラは自分から話を変えることにした。
「デリックは殴られたショックで誰にも会いたくないらしいのだけれど」
「それなのにあなたには会ってもいいとは。彼は医者の数を増やした方がいいのでは?」
(たしかに不思議だけれど)
ブリジットと婚約するのに邪魔だったから、デリックはステラのことをとにかく嫌っていた。
それこそパーティーにわざわざ呼び出して見せしめにするくらいには。
(あの時のことはハウンドが現れて話題を全部持っていったから、私もデリックもブリジットもうやむやになったのよね)
とはいえハウンドが社交界を味方につけたせいでブリジットとデリックの行いは悪となってしまったらしい。
現状デリックの社交界復帰はかなり微妙なものとなっている。
自業自得ではあるのだが、ハウンドが暴力を振るった原因はステラではあるので一応謝罪を申し込んでいた。
それが受け入れられたのだ。
そしてなぜか、ハウンドもついてきた。
「あなたに一番会いたくないんだと思うわよ」
「そのようですね。ですが私の方には話がありますから」
「本当に話だけでしょうね」
「それは彼次第ですよ」
隣の男は特になにも気にしていなさそうだが、ステラはため息をついて目を伏せる。
ステラだって会いたくはない。
長年露骨に邪険にされてきたのでステラの方もデリックのことが苦手だった。
しかも今はハウンドのせいで気まずいのだ。
デリックの屋敷、フィンリー家に入ると早々に当主と話をすることになった。
ステラは数回会ったことがあるが、いつも冷静な人という印象だ。
婚約者の変更は受理したはずだが、パーティーのことは知らないはずだから驚いたことだろう。
簡単に挨拶をしたあと、当主はハウンドと話があるから先にデリックの方へ行っておいてくれとステラに告げた。
「ね、ねえ。大丈夫なの?」
思わずハウンドの袖を掴んで引き止めてしまった。
貴族を殴ったのだ。たとえ同じ貴族でも相当な罰を受けるはずであり、今まで自由にしていたのがおかしいくらいなのである。
原因が自分にあるとなれば、ステラが心配になるのも当然だった。
「私から事情を話すわ。フィンリー伯爵は話の分からない方ではないらしいから」
伯爵もさすがになにがあったのかは知っているだろうが、ステラもグレアム家ではある。
ハウンド一人と話をするよりましなはずだ。
しかしハウンドは目をぱちくりと見開いて……そして輝くような見事な微笑みを浮かべた。
「ありがとうございます。でも、私は大丈夫なのでご安心ください」
見る人が見れば悲鳴が上がりそうなウインクをステラに決めて、ハウンドはサロンルームへ向かっていった。
しかし今はそんな気分ではなかった。
この馬車の目的地はフィンリー家……デリックのいる屋敷だ。
それでも外を眺めているのは、ハウンドが隣に座っているからである。
迎えに来てから到着するまで、無視し続けても熱心に褒め殺しにくるのでステラは自分から話を変えることにした。
「デリックは殴られたショックで誰にも会いたくないらしいのだけれど」
「それなのにあなたには会ってもいいとは。彼は医者の数を増やした方がいいのでは?」
(たしかに不思議だけれど)
ブリジットと婚約するのに邪魔だったから、デリックはステラのことをとにかく嫌っていた。
それこそパーティーにわざわざ呼び出して見せしめにするくらいには。
(あの時のことはハウンドが現れて話題を全部持っていったから、私もデリックもブリジットもうやむやになったのよね)
とはいえハウンドが社交界を味方につけたせいでブリジットとデリックの行いは悪となってしまったらしい。
現状デリックの社交界復帰はかなり微妙なものとなっている。
自業自得ではあるのだが、ハウンドが暴力を振るった原因はステラではあるので一応謝罪を申し込んでいた。
それが受け入れられたのだ。
そしてなぜか、ハウンドもついてきた。
「あなたに一番会いたくないんだと思うわよ」
「そのようですね。ですが私の方には話がありますから」
「本当に話だけでしょうね」
「それは彼次第ですよ」
隣の男は特になにも気にしていなさそうだが、ステラはため息をついて目を伏せる。
ステラだって会いたくはない。
長年露骨に邪険にされてきたのでステラの方もデリックのことが苦手だった。
しかも今はハウンドのせいで気まずいのだ。
デリックの屋敷、フィンリー家に入ると早々に当主と話をすることになった。
ステラは数回会ったことがあるが、いつも冷静な人という印象だ。
婚約者の変更は受理したはずだが、パーティーのことは知らないはずだから驚いたことだろう。
簡単に挨拶をしたあと、当主はハウンドと話があるから先にデリックの方へ行っておいてくれとステラに告げた。
「ね、ねえ。大丈夫なの?」
思わずハウンドの袖を掴んで引き止めてしまった。
貴族を殴ったのだ。たとえ同じ貴族でも相当な罰を受けるはずであり、今まで自由にしていたのがおかしいくらいなのである。
原因が自分にあるとなれば、ステラが心配になるのも当然だった。
「私から事情を話すわ。フィンリー伯爵は話の分からない方ではないらしいから」
伯爵もさすがになにがあったのかは知っているだろうが、ステラもグレアム家ではある。
ハウンド一人と話をするよりましなはずだ。
しかしハウンドは目をぱちくりと見開いて……そして輝くような見事な微笑みを浮かべた。
「ありがとうございます。でも、私は大丈夫なのでご安心ください」
見る人が見れば悲鳴が上がりそうなウインクをステラに決めて、ハウンドはサロンルームへ向かっていった。
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