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「すごいわエレス!あなたって本当に何でも出来るのね」
リリアも今度は手放しで褒める。
今日は掃除だけで終わる……いや、小屋の状態から快適に過ごせるようになるには数日かかるだろうと思っていたのだ。
だが今はまだ昼に差し掛かったくらいの時間にしかなっていない。
リリアはエレスににっこりと微笑み、エレスはほっとしたように笑う。
「あなたのおかげで大助かりよ。ありがとうエレス」
「どうという事はない、乙女」
「でも本当に嬉しいの。お礼をしたいわエレス。何がいいかしら」
「この程度で礼などいらん」
運び出した時と同じようにエレスが家具を風で運び入れる。
全く以て不思議な光景だが、本当にお礼はいらないのだろうか。
口ではいらないと言っていてもその実報酬を目当てにしていたり、本当に何もいらなかったり。
屋根裏で見聞きした人々は難解な反応をしていた。
リリアは遠巻きにされていたのでそれらを見分けるのがあまり得意ではないのだ。
精霊の場合はどうなのだろう。
エレスはさっぱりと綺麗になった小屋に興味が移ったらしく、小屋の中を熱心に見て回っている。
本当にお礼の事はどうでも良さそうだ。
「確かに場が整っているな。なるほど、掃除というものは素晴らしい」
「そうでしょう? 今日のお掃除はこれでおしまい」
「今日の?」
「そうよ。生活していればまた汚れていくもの。出来るだけこの状態を維持していくのが私たちにとってもこの小屋にとっても良い事なのよ」
そういうものか、と精霊の王は素直に頷く。
いずれは暖炉の煙突掃除や屋根の点検も必要になるだろう。
だがそれはもっと生活が落ち着いてからでいいはずだ。
昨日の段階で暖炉は使用されていたから、おそらくまだ使える、とリリアは判断した。
「そういえば腹が減った。そうだな、礼をというのなら人の作る料理を食べてみたい」
そう言ってエレスは優雅に身を屈め、自然な動作でリリアの額にキスをする。
軽く触れるだけのそれは汲みたての井戸水で顔を洗った時のような清らかな気配と新緑の香りがした。
だが触れ合いに慣れていないリリアは、突然のキスにピシリと固まってしまう。
心臓だけがバクバクと動いて、身体がおかしくなってしまったようだ。
原因のエレスはといえば、先ほどのキスの事など全く気にしていないようであっけらかんとしていた。
「リリア? 料理が苦手なら私は果物だけでも全く構わないが」
(キスより果物の話!?)
一度目のキスはうやむやになっていた。
リリアも色々あったのもあり、考えないようにしていたのだ。
もしキスの事を考えてしまうとリリアは冷静でいられなくなる予感があった。
それなのに。
「リリア、またファイアベリーのようになっているぞ」
エレスは面白そうに真っ赤になって固まったリリアの顔を覗き込む。
(だ、誰のせいだと思ってるの!)
とリリアは思ったが上手く頭が働かず叫ぶ気力もない。
リリアも今度は手放しで褒める。
今日は掃除だけで終わる……いや、小屋の状態から快適に過ごせるようになるには数日かかるだろうと思っていたのだ。
だが今はまだ昼に差し掛かったくらいの時間にしかなっていない。
リリアはエレスににっこりと微笑み、エレスはほっとしたように笑う。
「あなたのおかげで大助かりよ。ありがとうエレス」
「どうという事はない、乙女」
「でも本当に嬉しいの。お礼をしたいわエレス。何がいいかしら」
「この程度で礼などいらん」
運び出した時と同じようにエレスが家具を風で運び入れる。
全く以て不思議な光景だが、本当にお礼はいらないのだろうか。
口ではいらないと言っていてもその実報酬を目当てにしていたり、本当に何もいらなかったり。
屋根裏で見聞きした人々は難解な反応をしていた。
リリアは遠巻きにされていたのでそれらを見分けるのがあまり得意ではないのだ。
精霊の場合はどうなのだろう。
エレスはさっぱりと綺麗になった小屋に興味が移ったらしく、小屋の中を熱心に見て回っている。
本当にお礼の事はどうでも良さそうだ。
「確かに場が整っているな。なるほど、掃除というものは素晴らしい」
「そうでしょう? 今日のお掃除はこれでおしまい」
「今日の?」
「そうよ。生活していればまた汚れていくもの。出来るだけこの状態を維持していくのが私たちにとってもこの小屋にとっても良い事なのよ」
そういうものか、と精霊の王は素直に頷く。
いずれは暖炉の煙突掃除や屋根の点検も必要になるだろう。
だがそれはもっと生活が落ち着いてからでいいはずだ。
昨日の段階で暖炉は使用されていたから、おそらくまだ使える、とリリアは判断した。
「そういえば腹が減った。そうだな、礼をというのなら人の作る料理を食べてみたい」
そう言ってエレスは優雅に身を屈め、自然な動作でリリアの額にキスをする。
軽く触れるだけのそれは汲みたての井戸水で顔を洗った時のような清らかな気配と新緑の香りがした。
だが触れ合いに慣れていないリリアは、突然のキスにピシリと固まってしまう。
心臓だけがバクバクと動いて、身体がおかしくなってしまったようだ。
原因のエレスはといえば、先ほどのキスの事など全く気にしていないようであっけらかんとしていた。
「リリア? 料理が苦手なら私は果物だけでも全く構わないが」
(キスより果物の話!?)
一度目のキスはうやむやになっていた。
リリアも色々あったのもあり、考えないようにしていたのだ。
もしキスの事を考えてしまうとリリアは冷静でいられなくなる予感があった。
それなのに。
「リリア、またファイアベリーのようになっているぞ」
エレスは面白そうに真っ赤になって固まったリリアの顔を覗き込む。
(だ、誰のせいだと思ってるの!)
とリリアは思ったが上手く頭が働かず叫ぶ気力もない。
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