29 / 77
28
しおりを挟む
「挨拶が済んだならリリアを解放してやってくれ。せっかくの料理だ」
「そういえば二人の分を用意していないわ。どうしよう」
「急に押しかけたのはこちらです。どうぞお気になさらず」
「そうそう。あ、でもすげー良い匂いすんなあ。アエラス、ちょっと分けてくれよ」
「やだよ! 王様の方が多いんだから王様から分けてもらいなよ!」
「……断る」
エレスがつれなく言うと他の精霊たちは驚いたように顔を見合わせて黙ってしまった。
(なんなのかしら…?)
確かに大人げない対応だが、賑やかな精霊たちが絶句するほどでもない気がする。
どうやら精霊ルールのようなものがあるらしい。
リリアが混乱しているとエレスはリリアの分のスープに手をかざした。
するとぬるくなっていたスープが、あっという間にまた湯気を揺らめかせはじめる。
「温めなおしてくれたの? こんな事も出来るのね。ありがとう、嬉しいわ」
「また冷めないうちに頂こう。それとアエラス、ウォネロとフォティアにも分けるんだ」
「……はあい」
リリアもスープを口に運ぶ。温めてくれたおかげで熱々で美味しい。
やはり出汁のあるなしでは格段に味が違う。
「美味いな! なんだい、これは」
「あー! フォティア、食べすぎ!」
「まあいいじゃないですか。ふむ、それにしてもなんと美味な……。繊細で細やかな心遣いと優しい気持ちが染み渡りますねえ」
「ね! ほんっと美味しい! 作ってる所もワクワクしたし、リリアって天才だよ!」
次々に褒められてリリアは気恥しくなっていた。
スープよりも顔が熱い。
そういえばエレスはどうだろうと表情を盗み見る。
「……エレス?」
エレスは目を閉じて感じ入っているように見える。
大好物を出された子供のような表情でありながら、じいんとしっかり味わっている。
とにかく全身で上機嫌を表していた。
「ああ、リリアさん。我らが王はいたく感動しているようでして」
「そうみたいだけど、そんなに?」
「それ本気で言ってるの!?」
「うーん、人間にはこの感覚が分からないかねえ?」
フォティアが尾を振りながら考えこむ。
「ああ、すまないなリリア。味わうのに必死だった。これも、とても美味しい」
エレスはにっこりと笑う。相変わらず非常に眩しい。
それぞれがスープを飲み干したので、リリアは外の小川に洗いに行こうとした。
小屋を出た所でウォネロに話しかけられる。
「おや、リリアさん。もしかしてそれを洗いにいくのですか?」
「ええ。近くに小川があるの」
ウォネロはきょとんとしていたが、帽子を上げてウィンクをする。
「せっかく水精霊がいるのですから頼ってください。……ああ、ちょうどいい木がありますね」
それは小屋の近くに育っていた木だった。
まだ若そうだが枝ぶりがよく、リリアの背の二倍程に育っている。
「その木の枝を折ってください。そう、リリアさんの腰くらいの所の枝です」
「こう?」
言われるがまま手近な枝の先端を折る。
すると……。
「ひゃっ!?」
まるで枝の中に水が満ちていたかのようにどぱっ!っと勢いよく水があふれ出た。
枝から溢れた水はどんどん流れて地を濡らしていく。
「まあ、不思議……。木の中からお水が出てきてるみたい」
「みたい、ではなく実際にそうしてるんですよ。新鮮な湧き水ですからどうぞ遠慮なく使ってくださいね。ああそう
だ、リリアさん水瓶を持ってきていただけますか?」
「嬉しい……。これ、すっごく助かるわ。ありがとうウォネロ! 水瓶、すぐ持ってくるわね」
小屋の周りには使われていない水瓶があった。泥だらけだが洗えば充分使えそうだ。
横向きにして転がして運び、水の出る不思議な枝の下に設置する。
ある程度水が溜まれば洗おうと思っていたのだが。
「あら?」
水瓶の上でウォネロがくるりと回ると、汚れてドロとカビだらけだった水瓶がすっかり綺麗になっていた。
それだけではない。
「このお水、どこにいってるのかしら」
滔々と水が流れこんでいるはずの瓶は、そのフチいっぱいまで溜まるだけで水が溢れない。
「瓶の中に流れた水は下の方から生活用水路に戻しています。気にしなくても大丈夫ですよ」
「そうなの……?」
目の前の光景が現実離れしていて、まるでおとぎ話を聞いているような感覚だ。
水と言えば井戸や川から汲んできて溜めておき、汚水は用水路に流すかそのまま道に流すかだ。
そういえば孤児院の水汲み、ちゃんとやっているかしら。
水汲みは最も基本的な仕事だがとにかく嫌がられる仕事でもある。
リリアがいた時は足りない分をカバーしていたが、今はどうだろうか。
孤児院にもこの不思議な枝があれば皆喜ぶだろうな、とリリアは思った。
「凄すぎてこんな事していいのか不安になってきたわ」
「大丈夫ですよ。自然は私たちの領分ですから、加減は分かっています。この程度では何の問題もありません」
「だったら、精霊さん達が協力してくれたら人間は皆きっと便利になるわね」
リリアがそういうとウォネロは笑うようにひれを震わせる。
「私はリリアさんのお役に立ちたいだけですよ」
何か含みを感じたが、リリアにはどういう意味かまでは読み取れなかった。
「じゃあお皿、洗っちゃうわね」
「ふふ、そうですよね」
「なあに? ……まあ!」
使用した食器はすっかり綺麗になっていた。
「皆が手伝ってくれるからやる事がなくなっちゃうわね」
「夕食は期待してますよ」
ウォネロは帽子を上げてウィンクをする。
「任せてちょうだい!」
「そういえば二人の分を用意していないわ。どうしよう」
「急に押しかけたのはこちらです。どうぞお気になさらず」
「そうそう。あ、でもすげー良い匂いすんなあ。アエラス、ちょっと分けてくれよ」
「やだよ! 王様の方が多いんだから王様から分けてもらいなよ!」
「……断る」
エレスがつれなく言うと他の精霊たちは驚いたように顔を見合わせて黙ってしまった。
(なんなのかしら…?)
確かに大人げない対応だが、賑やかな精霊たちが絶句するほどでもない気がする。
どうやら精霊ルールのようなものがあるらしい。
リリアが混乱しているとエレスはリリアの分のスープに手をかざした。
するとぬるくなっていたスープが、あっという間にまた湯気を揺らめかせはじめる。
「温めなおしてくれたの? こんな事も出来るのね。ありがとう、嬉しいわ」
「また冷めないうちに頂こう。それとアエラス、ウォネロとフォティアにも分けるんだ」
「……はあい」
リリアもスープを口に運ぶ。温めてくれたおかげで熱々で美味しい。
やはり出汁のあるなしでは格段に味が違う。
「美味いな! なんだい、これは」
「あー! フォティア、食べすぎ!」
「まあいいじゃないですか。ふむ、それにしてもなんと美味な……。繊細で細やかな心遣いと優しい気持ちが染み渡りますねえ」
「ね! ほんっと美味しい! 作ってる所もワクワクしたし、リリアって天才だよ!」
次々に褒められてリリアは気恥しくなっていた。
スープよりも顔が熱い。
そういえばエレスはどうだろうと表情を盗み見る。
「……エレス?」
エレスは目を閉じて感じ入っているように見える。
大好物を出された子供のような表情でありながら、じいんとしっかり味わっている。
とにかく全身で上機嫌を表していた。
「ああ、リリアさん。我らが王はいたく感動しているようでして」
「そうみたいだけど、そんなに?」
「それ本気で言ってるの!?」
「うーん、人間にはこの感覚が分からないかねえ?」
フォティアが尾を振りながら考えこむ。
「ああ、すまないなリリア。味わうのに必死だった。これも、とても美味しい」
エレスはにっこりと笑う。相変わらず非常に眩しい。
それぞれがスープを飲み干したので、リリアは外の小川に洗いに行こうとした。
小屋を出た所でウォネロに話しかけられる。
「おや、リリアさん。もしかしてそれを洗いにいくのですか?」
「ええ。近くに小川があるの」
ウォネロはきょとんとしていたが、帽子を上げてウィンクをする。
「せっかく水精霊がいるのですから頼ってください。……ああ、ちょうどいい木がありますね」
それは小屋の近くに育っていた木だった。
まだ若そうだが枝ぶりがよく、リリアの背の二倍程に育っている。
「その木の枝を折ってください。そう、リリアさんの腰くらいの所の枝です」
「こう?」
言われるがまま手近な枝の先端を折る。
すると……。
「ひゃっ!?」
まるで枝の中に水が満ちていたかのようにどぱっ!っと勢いよく水があふれ出た。
枝から溢れた水はどんどん流れて地を濡らしていく。
「まあ、不思議……。木の中からお水が出てきてるみたい」
「みたい、ではなく実際にそうしてるんですよ。新鮮な湧き水ですからどうぞ遠慮なく使ってくださいね。ああそう
だ、リリアさん水瓶を持ってきていただけますか?」
「嬉しい……。これ、すっごく助かるわ。ありがとうウォネロ! 水瓶、すぐ持ってくるわね」
小屋の周りには使われていない水瓶があった。泥だらけだが洗えば充分使えそうだ。
横向きにして転がして運び、水の出る不思議な枝の下に設置する。
ある程度水が溜まれば洗おうと思っていたのだが。
「あら?」
水瓶の上でウォネロがくるりと回ると、汚れてドロとカビだらけだった水瓶がすっかり綺麗になっていた。
それだけではない。
「このお水、どこにいってるのかしら」
滔々と水が流れこんでいるはずの瓶は、そのフチいっぱいまで溜まるだけで水が溢れない。
「瓶の中に流れた水は下の方から生活用水路に戻しています。気にしなくても大丈夫ですよ」
「そうなの……?」
目の前の光景が現実離れしていて、まるでおとぎ話を聞いているような感覚だ。
水と言えば井戸や川から汲んできて溜めておき、汚水は用水路に流すかそのまま道に流すかだ。
そういえば孤児院の水汲み、ちゃんとやっているかしら。
水汲みは最も基本的な仕事だがとにかく嫌がられる仕事でもある。
リリアがいた時は足りない分をカバーしていたが、今はどうだろうか。
孤児院にもこの不思議な枝があれば皆喜ぶだろうな、とリリアは思った。
「凄すぎてこんな事していいのか不安になってきたわ」
「大丈夫ですよ。自然は私たちの領分ですから、加減は分かっています。この程度では何の問題もありません」
「だったら、精霊さん達が協力してくれたら人間は皆きっと便利になるわね」
リリアがそういうとウォネロは笑うようにひれを震わせる。
「私はリリアさんのお役に立ちたいだけですよ」
何か含みを感じたが、リリアにはどういう意味かまでは読み取れなかった。
「じゃあお皿、洗っちゃうわね」
「ふふ、そうですよね」
「なあに? ……まあ!」
使用した食器はすっかり綺麗になっていた。
「皆が手伝ってくれるからやる事がなくなっちゃうわね」
「夕食は期待してますよ」
ウォネロは帽子を上げてウィンクをする。
「任せてちょうだい!」
83
あなたにおすすめの小説
【完結】呪いのせいで無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになりました。
里海慧
恋愛
わたくしが愛してやまない婚約者ライオネル様は、どうやらわたくしを嫌っているようだ。
でもそんなクールなライオネル様も素敵ですわ——!!
超前向きすぎる伯爵令嬢ハーミリアには、ハイスペイケメンの婚約者ライオネルがいる。
しかしライオネルはいつもハーミリアにはそっけなく冷たい態度だった。
ところがある日、突然ハーミリアの歯が強烈に痛み口も聞けなくなってしまった。
いつもなら一方的に話しかけるのに、無言のまま過ごしていると婚約者の様子がおかしくなり——?
明るく楽しいラブコメ風です!
頭を空っぽにして、ゆるい感じで読んでいただけると嬉しいです★
※激甘注意 お砂糖吐きたい人だけ呼んでください。
※2022.12.13 女性向けHOTランキング1位になりました!!
みなさまの応援のおかげです。本当にありがとうございます(*´꒳`*)
※タイトル変更しました。
旧タイトル『歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件』
女嫌いな騎士が一目惚れしたのは、給金を貰いすぎだと値下げ交渉に全力な訳ありな使用人のようです
珠宮さくら
恋愛
家族に虐げられ結婚式直前に婚約者を妹に奪われて勘当までされ、目障りだから国からも出て行くように言われたマリーヌ。
その通りにしただけにすぎなかったが、虐げられながらも逞しく生きてきたことが随所に見え隠れしながら、給金をやたらと値下げしようと交渉する謎の頑張りと常識があるようでないズレっぷりを披露しつつ、初対面から気が合う男性の女嫌いなイケメン騎士と婚約して、自分を見つめ直して幸せになっていく。
婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
きさらぎ
恋愛
テンネル侯爵家の嫡男エドガーに真実の愛を見つけたと言われ、ブルーバーグ侯爵家の令嬢フローラは婚約破棄された。フローラにはとても良い結婚条件だったのだが……しかし、これを機に結婚よりも大好きな研究に打ち込もうと思っていたら、ガーデンパーティーで新たな出会いが待っていた。一方、テンネル侯爵家はエドガー達のやらかしが重なり、気づいた時には―。
※『婚約破棄された地味令嬢は、あっという間に王子様に捕獲されました。』(現在は非公開です)をタイトルを変更して改稿をしています。
お気に入り登録・しおり等読んで頂いている皆様申し訳ございません。こちらの方を読んで頂ければと思います。
ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!
沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。
それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。
失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。
アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。
帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。
そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。
再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。
なんと、皇子は三つ子だった!
アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。
しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。
アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。
一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ化企画進行中「妹に全てを奪われた元最高聖女は隣国の皇太子に溺愛される」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
部屋にこもって絵ばかり描いていた私は、聖女の仕事を果たさない役立たずとして、王太子殿下に婚約破棄を言い渡されました。
絵を描くことは国王陛下の許可を得ていましたし、国中に結界を張る仕事はきちんとこなしていたのですが……。
王太子殿下は私の話に聞く耳を持たず、腹違い妹のミラに最高聖女の地位を与え、自身の婚約者になさいました。
最高聖女の地位を追われ無一文で追い出された私は、幼なじみを頼り海を越えて隣国へ。
私の描いた絵には神や精霊の加護が宿るようで、ハルシュタイン国は私の描いた絵の力で発展したようなのです。
えっ? 私がいなくなって精霊の加護がなくなった? 妹のミラでは魔力量が足りなくて国中に結界を張れない?
私は隣国の皇太子様に溺愛されているので今更そんなこと言われても困ります。
というより海が荒れて祖国との国交が途絶えたので、祖国が危機的状況にあることすら知りません。
小説家になろう、アルファポリス、pixivに投稿しています。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
小説家になろうランキング、異世界恋愛/日間2位、日間総合2位。週間総合3位。
pixivオリジナル小説ウィークリーランキング5位に入った小説です。
【改稿版について】
コミカライズ化にあたり、作中の矛盾点などを修正しようと思い全文改稿しました。
ですが……改稿する必要はなかったようです。
おそらくコミカライズの「原作」は、改稿前のものになるんじゃないのかなぁ………多分。その辺良くわかりません。
なので、改稿版と差し替えではなく、改稿前のデータと、改稿後のデータを分けて投稿します。
小説家になろうさんに問い合わせたところ、改稿版をアップすることは問題ないようです。
よろしければこちらも読んでいただければ幸いです。
※改稿版は以下の3人の名前を変更しています。
・一人目(ヒロイン)
✕リーゼロッテ・ニクラス(変更前)
◯リアーナ・ニクラス(変更後)
・二人目(鍛冶屋)
✕デリー(変更前)
◯ドミニク(変更後)
・三人目(お針子)
✕ゲレ(変更前)
◯ゲルダ(変更後)
※下記二人の一人称を変更
へーウィットの一人称→✕僕◯俺
アルドリックの一人称→✕私◯僕
※コミカライズ化がスタートする前に規約に従いこちらの先品は削除します。
公爵令嬢 メアリの逆襲 ~魔の森に作った湯船が 王子 で溢れて困ってます~
薄味メロン
恋愛
HOTランキング 1位 (2019.9.18)
お気に入り4000人突破しました。
次世代の王妃と言われていたメアリは、その日、すべての地位を奪われた。
だが、誰も知らなかった。
「荷物よし。魔力よし。決意、よし!」
「出発するわ! 目指すは源泉掛け流し!」
メアリが、追放の準備を整えていたことに。
婚約者を義妹に奪われましたが貧しい方々への奉仕活動を怠らなかったおかげで、世界一大きな国の王子様と結婚できました
青空あかな
恋愛
アトリス王国の有名貴族ガーデニー家長女の私、ロミリアは亡きお母様の教えを守り、回復魔法で貧しい人を治療する日々を送っている。
しかしある日突然、この国の王子で婚約者のルドウェン様に婚約破棄された。
「ロミリア、君との婚約を破棄することにした。本当に申し訳ないと思っている」
そう言う(元)婚約者が新しく選んだ相手は、私の<義妹>ダーリー。さらには失意のどん底にいた私に、実家からの追放という仕打ちが襲い掛かる。
実家に別れを告げ、国境目指してトボトボ歩いていた私は、崖から足を踏み外してしまう。
落ちそうな私を助けてくれたのは、以前ケガを治した旅人で、彼はなんと世界一の超大国ハイデルベルク王国の王子だった。そのままの勢いで求婚され、私は彼と結婚することに。
一方、私がいなくなったガーデニー家やルドウェン様の評判はガタ落ちになる。そして、召使いがいなくなったガーデニー家に怪しい影が……。
※『小説家になろう』様と『カクヨム』様でも掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる