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後編
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あの後、友人と共に翌日から学校を欠席して転校の準備を始めた。
そして、今は新しい学校に二人で通っている。途中編入だった事もあり、私と友人は寮で同室になった。教科書が変わって勉強は大変だったけど、クラスメイトの助けもあり何とか追い付いた。前の学校では婚約者がいた手前、遠慮していたが男性の友人も出来た。男性目線の意見は、自分の考えと違い面白い。
「転校して良かったわ」
夜、寮の部屋で寛いでいると、友人が染々と言う。転校してから半年が経っていた。彼女には新しい出会いがあり、もうすぐ婚約をする。前の婚約者とは違い互いに話し合える事が嬉しいと、そう言った時の友人の笑顔は今まで見た中で一番、綺麗で穏やかな笑顔だった。
「二人が羨ましいわ」
思わず漏れた心の声に苦笑する。私は相変わらす愛しいと、生涯を共にしたいと言える人に出会えて無かった。
休日の今日は、久しぶりにお兄様と外でランチを楽しむ予定で待ち合わせ場所に一人で待っていた。遅いわね。約束の時間を過ぎたのに、連絡も来ないなんて……大丈夫かしら。
「やっと、見付けた」
何処からか聞こえた声は聞き覚えがあった。声のした方へ振り向くと、元婚約者が立っていた。身嗜みに煩い彼には珍しく依れた服を着て頭はボサボサ。以前の彼からは考えられない姿に唖然としていると、彼は私に近付いて手を伸ばした。鬼気迫る雰囲気に、身を竦めた私の前に誰かが立ち塞がった。
「彼女に、何か用かい?」
「彼女は俺の婚約者だ。他人が口を挟むな」
元婚約者の自分勝手な言葉にあきれ果ていると、お兄様がやって来た。遅いわ。もう、お兄様が遅刻するからいけないのよ!
「お待たせ。妹を護ってくれて、ありがとう友よ」
「何が友だ。妹に合わせてくれない癖に、よく言うよ」
私の前に元婚約者から、庇う様に立っていたのはお兄様の友人らしい。彼は苦笑いしながら私の横に移動した。
「誰が婚約者だって?仮の婚約だったし君から破棄の申し出があったよね?」
「あ……いや、誤解です。破棄は誤解なんです」
普段は穏やかな笑顔のお兄様が、無表情で語る。それは、私が想像しなかった事だった。
元婚約者が言った真実の愛の相手は結婚詐欺師で、相手に言われるままお金を渡し今は借金だらけ。会社の資金にまで手を出したなんて……私を探していたのは、もしかしてお金?
「全寮制の学校で良かったよ。妹に執拗に探していたからね。どうせお金目的だろう?」
「……彼女を更に傷付けるつもりか」
やっぱりかと思う反面、真実の愛は存在しないのかと落胆の気持ちが混ざる。お兄様とその友人の二人に気圧されて、元婚約者はジリジリと後ろに下がって行った。
「そんなつもりは……」
「どうかな?君、勘当されたんだろう。君の家族から連絡がきたよ」
元婚約者は驚いて目を大きく見開いて動かなくなった。お兄様に促されて友人の男性と三人で歩き出す。私達の後ろでボソボソと何か言っていたが、お兄様達に邪魔されて聞く事も見る事も出来なかった。
「昔の男より、僕はどう?」
「兄の前で口説くとは良い度胸だねぇ~」
お兄様の友人は以前から私と話したかったらしい。パーティーで私を見て、真面目な態度と綺麗な立ち振舞いにひかれたらしい。結婚を前提にお友達から始めましょうって言われて、私は真っ赤な顔で頷いた。
彼と話すだけでドキドキする。この気持ちが何か、まだ分からないけど大切にして何時か……
私の事を愛しいと言う彼と、同じ気持ちになれたら良いと思います。
そして、今は新しい学校に二人で通っている。途中編入だった事もあり、私と友人は寮で同室になった。教科書が変わって勉強は大変だったけど、クラスメイトの助けもあり何とか追い付いた。前の学校では婚約者がいた手前、遠慮していたが男性の友人も出来た。男性目線の意見は、自分の考えと違い面白い。
「転校して良かったわ」
夜、寮の部屋で寛いでいると、友人が染々と言う。転校してから半年が経っていた。彼女には新しい出会いがあり、もうすぐ婚約をする。前の婚約者とは違い互いに話し合える事が嬉しいと、そう言った時の友人の笑顔は今まで見た中で一番、綺麗で穏やかな笑顔だった。
「二人が羨ましいわ」
思わず漏れた心の声に苦笑する。私は相変わらす愛しいと、生涯を共にしたいと言える人に出会えて無かった。
休日の今日は、久しぶりにお兄様と外でランチを楽しむ予定で待ち合わせ場所に一人で待っていた。遅いわね。約束の時間を過ぎたのに、連絡も来ないなんて……大丈夫かしら。
「やっと、見付けた」
何処からか聞こえた声は聞き覚えがあった。声のした方へ振り向くと、元婚約者が立っていた。身嗜みに煩い彼には珍しく依れた服を着て頭はボサボサ。以前の彼からは考えられない姿に唖然としていると、彼は私に近付いて手を伸ばした。鬼気迫る雰囲気に、身を竦めた私の前に誰かが立ち塞がった。
「彼女に、何か用かい?」
「彼女は俺の婚約者だ。他人が口を挟むな」
元婚約者の自分勝手な言葉にあきれ果ていると、お兄様がやって来た。遅いわ。もう、お兄様が遅刻するからいけないのよ!
「お待たせ。妹を護ってくれて、ありがとう友よ」
「何が友だ。妹に合わせてくれない癖に、よく言うよ」
私の前に元婚約者から、庇う様に立っていたのはお兄様の友人らしい。彼は苦笑いしながら私の横に移動した。
「誰が婚約者だって?仮の婚約だったし君から破棄の申し出があったよね?」
「あ……いや、誤解です。破棄は誤解なんです」
普段は穏やかな笑顔のお兄様が、無表情で語る。それは、私が想像しなかった事だった。
元婚約者が言った真実の愛の相手は結婚詐欺師で、相手に言われるままお金を渡し今は借金だらけ。会社の資金にまで手を出したなんて……私を探していたのは、もしかしてお金?
「全寮制の学校で良かったよ。妹に執拗に探していたからね。どうせお金目的だろう?」
「……彼女を更に傷付けるつもりか」
やっぱりかと思う反面、真実の愛は存在しないのかと落胆の気持ちが混ざる。お兄様とその友人の二人に気圧されて、元婚約者はジリジリと後ろに下がって行った。
「そんなつもりは……」
「どうかな?君、勘当されたんだろう。君の家族から連絡がきたよ」
元婚約者は驚いて目を大きく見開いて動かなくなった。お兄様に促されて友人の男性と三人で歩き出す。私達の後ろでボソボソと何か言っていたが、お兄様達に邪魔されて聞く事も見る事も出来なかった。
「昔の男より、僕はどう?」
「兄の前で口説くとは良い度胸だねぇ~」
お兄様の友人は以前から私と話したかったらしい。パーティーで私を見て、真面目な態度と綺麗な立ち振舞いにひかれたらしい。結婚を前提にお友達から始めましょうって言われて、私は真っ赤な顔で頷いた。
彼と話すだけでドキドキする。この気持ちが何か、まだ分からないけど大切にして何時か……
私の事を愛しいと言う彼と、同じ気持ちになれたら良いと思います。
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