[完結]私を巻き込まないで下さい

シマ

文字の大きさ
32 / 107
本編

料理の秘密

しおりを挟む
 ランバートさんの着替えを待っている間に、オーウェンさんから兵器の破壊について教えて貰った。マガユダの砦の方に古代魔具兵器があって、砦の床をランバートさんが壊してオーウェンさんの魔法で兵器を壊したらしい。しかも、オーウェンさんの爆炎で今頃、砦は火事になっているはずだって言った。

「犠牲は最小限だ。そして、此が兵器の魔石だ」

 オーウェンさんが服の中から真っ赤な魔石を取り出した。大人の男性の握り拳と同じぐらいの大きさの石は、色が濁って使えなくなっている。

「奴らの手元にあれば、イリーナが狙われる。王よ、お主はこの石をどうしたい?」

 突然、質問されて驚いた王様だったけど、答えは決まっていたのか直ぐに答えた。

「破壊をお願いしたいですね」

「ほう、何故だ?」

 答えが意外だったのか、片眉を上げていたけど、王様は笑顔が消えて真剣な表情になった。

「兵器開発の為の利用をさせない為に」

 その言葉に納得したらしいオーウェンさんが、私達の目の前で魔石を握り締めるとパンと乾いた音が響き、次に手を開いた時には赤い砂になっていた。

「ご協力、感謝致します」

 王様が頭を下げると、オーウェンさんは満足そうに口元に笑みを浮かべて頷いた。赤い砂はオーウェンさんが責任を持って人が触れない、エルフの森の奥に封印すると約束した。
 話が途切れたタイミングで、使用人の人が王様に三十分程で朝食の準備終わると伝えにきた。それならパイは片付けようかな?

「リナ、そのままにしとけ。ランディーが泣くぞ」

 片付けようとした事に気付いた師匠に止められて、困惑しているとランバートさんが戻ってきた。王様も朝食が食べられるって言ったのに、そうですかって言うだけで急いでミートパイを食べ始めた。ねぇ、王様の話を聞いてた?ご飯、もうすぐ食べれるよ!

「やっぱり、イリーナの作ったご飯が一番旨い」

「餌付けか」

 嬉しそうにパイを食べる彼を、オーウェンさんが呆れた様な表情で見ている。そんな事など気にせずに、彼は二枚目のパイに手を伸す。十分程で三枚のパイを完食した。結局、食べるんだ……

「はー、生き返る」

「プロが作った方が美味しいと思いますけど?」

「いや、イリーナの作る飯は、他と違うかと言うか……」

 唸りながらランバートさんが考え込んでいる。言葉か見付からないと言う彼に、オーウェンさんが当然だろうと言った。

「小僧は鈍感だから気付いて無いだけだ。イリーナの作る食事には回復の付加がある」

「成る程、だから身体が軽くなるのか」

 納得するランバートさんの横で、オーウェンさんが言うには、回復効果は少ないけど全体回復の付加がある。だから師匠も魔眼を抑えていても、今まで大丈夫だったんだろうって言われた。うん?付加?回復って何ですか?

「私は、普通に作っただけですよ?」

「お前の祖母が回復が使えたからだ」

 お祖母ちゃんが、回復魔法を使っていたのは初めて聞いた。そう言えば何か危険がある時には、お母さんの声が助けてくれた。私の魔力は間違いなく、お母さんから受け継いでるけど……

「母方の家系の話は、何も聞いていないです」

 両親は結婚を反対されて駆け落ちしたから祖父母はいなかった。曾祖母の話は母から聞いただけで、私と同じオレンジの瞳だったって事だけ。祖母には会った事も話を聞いた事もなかった。

「エルフ殿は、彼女の家系について何かご存じなのですかね?」

「あぁ、お前の祖父母は生きているぞ」

 生きていると聞いても、何処か他人事の様に話を聞いていた。朝食の準備が終わったと連絡がきて、話の続きはご飯を食べながらする事になった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。 相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。 結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。 現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう… その時に前世の記憶を取り戻すのだった… 「悪役令嬢の兄の婚約者って…」 なんとも微妙なポジション。 しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。

自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~

浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。 本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。 ※2024.8.5 番外編を2話追加しました!

【完結】髪は女の命と言いますが、それよりも大事なものがある〜年下天才魔法使いの愛には応えられません〜

大森 樹
恋愛
髪は女の命。しかし、レベッカの髪は切ったら二度と伸びない。 みんなには秘密だが、レベッカの髪には魔法が宿っている。長い髪を切って、昔助けた男の子レオンが天才魔法使いとなって目の前に現れた。 「あなたを愛しています!絶対に絶対に幸せにするので、俺と結婚してください!よろしくお願いします!!」 婚約破棄されてから、一人で生きていくために真面目に魔法省の事務員として働いていたレベッカ。天才魔法使いとして入団してきた新人レオンに急に告白されるが、それを拒否する。しかし彼は全く諦める気配はない。 「レベッカさん!レベッカさん!」とまとわりつくレオンを迷惑に思いながらも、ストレートに愛を伝えてくる彼に次第に心惹かれていく…….。しかし、レベッカはレオンの気持ちに答えられないある理由があった。 年上訳あり真面目ヒロイン×年下可愛い系一途なヒーローの年の差ラブストーリーです。

傷物令嬢は騎士に夢をみるのを諦めました

みん
恋愛
伯爵家の長女シルフィーは、5歳の時に魔力暴走を起こし、その時の記憶を失ってしまっていた。そして、そのせいで魔力も殆ど無くなってしまい、その時についてしまった傷痕が体に残ってしまった。その為、領地に済む祖父母と叔母と一緒に療養を兼ねてそのまま領地で過ごす事にしたのだが…。 ゆるっと設定なので、温かい気持ちで読んでもらえると幸いです。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

【完結】勘当されたい悪役は自由に生きる

雨野
恋愛
 難病に罹り、15歳で人生を終えた私。  だが気がつくと、生前読んだ漫画の貴族で悪役に転生していた!?タイトルは忘れてしまったし、ラストまで読むことは出来なかったけど…確かこのキャラは、家を勘当され追放されたんじゃなかったっけ?  でも…手足は自由に動くし、ご飯は美味しく食べられる。すうっと深呼吸することだって出来る!!追放ったって殺される訳でもなし、貴族じゃなくなっても問題ないよね?むしろ私、庶民の生活のほうが大歓迎!!  ただ…私が転生したこのキャラ、セレスタン・ラサーニュ。悪役令息、男だったよね?どこからどう見ても女の身体なんですが。上に無いはずのモノがあり、下にあるはずのアレが無いんですが!?どうなってんのよ!!?  1話目はシリアスな感じですが、最終的にはほのぼの目指します。  ずっと病弱だったが故に、目に映る全てのものが輝いて見えるセレスタン。自分が変われば世界も変わる、私は…自由だ!!!  主人公は最初のうちは卑屈だったりしますが、次第に前向きに成長します。それまで見守っていただければと!  愛され主人公のつもりですが、逆ハーレムはありません。逆ハー風味はある。男装主人公なので、側から見るとBLカップルです。  予告なく痛々しい、残酷な描写あり。  サブタイトルに◼️が付いている話はシリアスになりがち。  小説家になろうさんでも掲載しております。そっちのほうが先行公開中。後書きなんかで、ちょいちょいネタ挟んでます。よろしければご覧ください。  こちらでは僅かに加筆&話が増えてたりします。  本編完結。番外編を順次公開していきます。  最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

<完結> 知らないことはお伝え出来ません

五十嵐
恋愛
主人公エミーリアの婚約破棄にまつわるあれこれ。

処理中です...